GMOペパボが「ペパボ研究所」を設立 ~生命維持機能をインターネットサービスに応用した「なめらかなシステム」の実現を目指す~

 GMOインターネットグループのGMOペパボ株式会社(代表取締役社長:佐藤 健太郎 以下、GMOペパボ)は、「なめらかなシステム」の実現をコンセプトに、新技術の創造と実践に取り組む研究開発組織「ペパボ研究所」を2016年7月1日(金)に設立いたしました。
 「なめらかなシステム」とは、生物の細胞が持つ生命維持機能をインターネットサービスに応用した新しいシステムの構想で、AI(人工知能)により、システム自体がサービスを自律制御し、異常が起きる前に自動的に再構築するという仕組みのことです。「ペパボ研究所」では、この「なめらかなシステム」の実現に向けた新技術の研究開発および情報発信、サービスへの実装までを一貫して行ってまいります。

【「ペパボ研究所」設立の背景】

 GMOペパボは、「インターネットで可能性をつなげる、ひろげる」というミッションのもと、「ホスティング」「EC支援」「ハンドメイド」「コミュニティ」の4つの事業領域を柱に、誰もがクリエイターとして活躍できるよう、個人の表現活動を支える様々なインターネットサービスを提供しております。
 昨今では、インターネットの技術革新を背景に、サービスや機能の多様化・成熟化が進んでいます。一方で、ユーザーがニーズに応じた最適なサービスを選択すること自体が困難となっていたり、最新技術の導入にはシステム管理者に対して高レベルな知識や作業が求められたりと、複雑化・高度化が問題となっています。こうした問題を解決するには、生物の細胞における生命維持機能のように、システム自体がサービスを自律制御してユーザーのニーズやサービスの異常などを感知し、各種機能のレコメンドだけでなくシステムの再構築を自動で行う「なめらかなシステム」の実現が必要だと考えます。
 そこでこの度GMOペパボは、これまで様々なサービスの開発・提供で培ってきたノウハウを活用し、インターネットの可能性を広げる「なめらかなシステム」の実現に向けた新技術を研究・開発する組織「ペパボ研究所」を設立いたしました。研究所所長には、GMOペパボ執行役員CTO栗林 健太郎が、主席研究員にシニア・プリンシパルエンジニアである松本 亮介が就任し、まずは2名体制で研究を行ってまいります。

【「ペパボ研究所」の活動について】

サービスを自律制御し、ニーズや異常に自動で対応する「なめらかなシステム」の実現
 「ペパボ研究所」では、学術論文の評価基準である「新規性」「有効性」「信頼性」を担保した論文執筆や、学会での研究成果の発表を通じて新技術の情報発信を行うだけでなく、サービス実装までを一貫して行います。今後、まずはGMOペパボのホスティング事業で推進している「次世代ホスティング」の取り組みとして、AIやIoT、機械学習、ディープラーニング(深層学習)などの技術を活用しながら、「なめらかなシステム」を導入・実践し、その他の事業領域においても順次展開してまいります。
■「なめらかなシステム」の実現メソッド
  1. インターネットサービスにおいて、システム自体が以下を解析する
    ・システムを構成するデータやサーバー等の要素
    ・利用するユーザーがどのようなカテゴリに属し、いかなる特徴を持つか

  2. 1で得た精緻なカテゴリや個別の特徴、あるいはそれらの関係性に基づき、その時々の状況に応じてシステムが自己判断し、最適なサービス・機能のレコメンドやシステム自体の再構築を行う

【プロフィール】

栗林 健太郎

栗林 健太郎  「ペパボ研究所」所長、執行役員CTO。大学では法学部政治学科にて日本政治史および行政学を専攻。卒業後、市役所勤務を経て、2008年よりソフトウェアエンジニアに転じ、2012年に株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ株式会社)に入社。Webアプリケーション開発者、マネジャーとして従事し、2015年より執行役員CTOに就任。ソフトウェアエンジニアとして、大規模Webサービスを迅速に開発できる技術・開発プロセス、安定して運用できるアーキテクチャに興味を持つ。また、近年では技術マネジメントの担い手として、経営課題の技術的解決に関心を持っている。著書に「スクラム実践入門 ── 成果を生み出すアジャイルな開発プロセス」(技術評論社、共著)、「入門Puppet - Automate Your Infrastructure」など。


松本 亮介

松本 亮介  「ペパボ研究所」主席研究員、シニア・プリンシパルエンジニア。2008年3月学部卒業後、ホスティング系企業で3年間大規模ホスティングサービスの運用設計・OSやミドルウェアの研究・開発に従事。その後、2012年4月より京都大学大学院情報学研究科 知能情報学専攻博士後期課程入学。ミドルウェアmod_mruby、ngx_mruby、Trusterd HTTP/2 Web Serverの作者。技術者向けの論文指導も行う。情報処理学会 インターネットと運用技術シンポジウム IPSJ IOTS2013 優秀論文賞、第6回フクオカRuby大賞 優秀賞、第9回日本OSS奨励賞 、2014年度 情報処理学会 山下記念研究賞、RubyPrize2014 最終ノミネートなど多数受賞。2015年4月にGMOペパボ株式会社に入社。2016年に情報処理学会において時流に乗る日本の若手トップ研究者19名に選出。情報処理学会IOT研究会運営委員。


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