福島原発1・3号機、本格冷却なおリスク
効率的な供給課題、循環システムも必要
経済産業省の原子力安全・保安院は22日、東京電力の福島第1原子力発電所1号機に続き3号機でも、格納容器に水がたまり始めたことを明らかにした。東電はこのまま水をため、内側の圧力容器を水で覆って燃料棒を冷やす計画。ただ水の効率的な供給や、温まった水を冷やして戻す循環システムも必要で、十分な冷却効果が得られるまでには課題も多い。
東電や保安院によると1、3号機とも圧力容器に入れた水が熱せられ水蒸気となって格納容器に出て凝結、水に戻ってたまっているとみられる。圧力容器が損傷し水漏れしている可能性もある。
東電の「工程表」では3カ月程度を目標に、燃料上部にあたる高さまで格納容器を水で満たすとした。圧力容器を外から冷やして燃料棒の熱を奪い「冷温安定」を急ぐ。
ただ格納容器内の水蒸気が水になると相対的に水素濃度が上がり、水素爆発が起きる懸念もある。予防のため1号機では安定した窒素ガスを注入し続けているが、3号機は遅れている。保安院は22日の記者会見で、「3号機はまだ1号機の前の段階」と説明した。
がれきなどを撤去して窒素注入装置を動かす準備を急ぎ、最適な水量を見極めたうえで格納容器を本格的に水で満たす。順調に水位が上がり燃料棒が冷えれば、水素爆発の心配は薄れる。
東京工業大学の二ノ方寿教授は格納容器から水が漏れだすことを懸念する。「格納容器とその下部の圧力抑制室をつなぐ配管などが今後の余震で損傷し、汚染水が周囲にこぼれる可能性を考慮する必要がある」という。
今後、外部からの注水をやめて格納容器の水を熱交換器などを通して冷やし、循環させられるかどうかが工程実現のカギとなる。配管工事などには時間がかかる。その先の道のりも長い。エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「格納容器を水で満たしても、2年程度は冷やし続ける必要がある」とみている。
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