全米ライフル協会のツイートに医師らが反撃 「これが私たちの持ち場だ」

Trauma surgeon David Morris responded to an NRA tweet with this photograph

画像提供, David Morris

画像説明, 救急外科のデイビッド・モリス医師は、この写真でNRAに反発した

米国で最も強力な銃推進派グループが、医師は自分たちの仕事に専念しろとツイートした。医師たちはこれに激高し、猛反論した。反論はあっという間に拡散した。

全米ライフル協会(NRA)は7日、「銃に反対する偉そうな医者たちに、持ち場からしゃしゃり出てくるなと言ってやってくれ」とツイートした。カリフォルニア州サウザンドオークスのバーで元海兵隊員が銃を乱射し、12人が死亡した事件のわずか数時間前のことだった。

「自分の手の中で誰かの心臓が止まるのを経験していない限り、その経験を繰り返している我々に、何が『持ち場』で何が『持ち場』じゃないかなど、言わせない」。ユタ州の救急外科医、デイビッド・モリス医師はBBCにこう話した。

ソーシャルメディアではNRAのツイートへの反論として、医師や外科医が個人的な経験や血まみれの写真を投稿し、何万回もシェアされた。米国の銃暴力の現実をめぐる議論に、またもや火がついた格好だ。

ステファニー・ボンさんは、「NRAが、医者は『持ち場』からしゃしゃり出てくるなと言う。私の持ち場は、怒ったパートナーに銃で撃たれた妊娠中の女性。赤ちゃんが銃弾を止めたから彼女は助かった。ばらばらになった赤ちゃんを分娩したことがある?」とツイートした。

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エリー・ウォレスさんはNRAに対し、「あなたたちは、17歳の少年の母親にもう息子を抱きしめられないと伝えるために、自分の靴に付いた血を拭わなくてはならなかった経験など、したことないでしょう。れが私の持ち場。私と一緒に丸一日働いて、銃暴力がこの国に与える影響を見てほしい」と投稿した。

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モリス医師も「#ThisIsOurLane(これが私の持ち場)」のハッシュタグを使ってNRAに抗議した1人だ。このハッシュタグは7万人が使用した。

モリス氏は血まみれになった自分の手術着姿の写真をツイートし、「患者の写真は載せられないので、これが私のセルフィー。私が自分の『持ち場』に残ると、こうなる」とコメントを付けた。

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「我々医師がどういう事態に直面しているのか、世間の人はその現実を見るべきだ。銃暴力に関するありきたりな哲学論争で行き詰ってしまうのが、あまりに多すぎる」と、モリス氏はBBCに語った。

米国では毎年8300人の未成年が銃によるけがで病院に運ばれ、その大半が命を落とす。また、紛争地帯での犠牲者を除くと、米国の銃による死者は中東地域より多い

モリス医師は血まみれの写真について、「これは私や救急センターで働く人々全員が、数え切れないほどしょっちゅう経験することの一例にすぎない」と述べ、あえて詳細は語らなかった。

一方で、モリス氏は自分のような医師は銃やNRAそのものに反対しているわけではないと言う。

「我々が反対するのは、暴力だ。銃は単なる媒体であって、暴力こそが本当の問題だ。我々が望んでいるのは、この問題を研究して、しっかりした科学的手法を用いて事態を改善することだ」

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モリス氏が支持する、銃の暴力を公衆衛生問題として研究する手法は、医療従事者とNRAで長年続く対立の根本にある。

医師の怒りを買ったNRAのツイートは、米内科学会が発表した論文が発端となっている。内科学会は、医療従事者には銃による負傷防止について発言する「特別な責任」があり、医師は「合法の銃火器の購入に関する適切な規制」を支持するべきだと主張した。

NRAは長年にわたり、疾病管理予防センター(CDC)などによる銃暴力に関する公的調査を阻止しようとしてきた。NRAは2017年、500万ドルをロビー活動に投じている。

今年3月には、CDCに銃暴力の原因調査予算が割り当てられたが、1996年に制定されたディッキー修正条項によってCDCはなお、銃規制を推奨することが認められていない。

サンフランシスコを中心に活動する法医学者ジュディ・メリネク氏(49)によるNRA批判も、ソーシャルメディアで広くシェアされた。

Judy Melinek

画像提供, Doug Zimmerman

画像説明, ジュディ・メリネク医師は、司法解剖の訓練についてのベストセラー「Working Stiff」の著者でもある
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メリネク氏はBBCに、「NRAが医師に『持ち場に残れ』と言ったことに憤っている。米国人が銃を簡単に手に入れられることで生まれた遺体を、うちの安置所で見かけない週などない」と話した。

VOXのインタビューでメリネク医師は、これまでに300件以上の射殺死体の司法解剖を行っており、その中には流れ弾に当たったり両親に故意に殺されたりした子供も含まれているとも語っている。

「法医学者が一番、銃撃による死を間近で知っている。この問題について我々は文字通り専門家だ。声を上げなくてはいけない」

NRAはBBCの取材に回答していない。

(ジョージーナ・ロナード、UGC・ソーシャルニュース担当)