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序   事業創造をどう孊んでいくか


◆倧孊は将来を自分で拓く時期
 君は䜕のために勉匷しおいるか。あなたはどんな人生を歩みたいず思っおいるのか。䜕がしたいの
か。あるいは、なぜ仕事をしなければならないのか。
 倧孊生は、倚かれ少なかれこうした真正面からの疑問に悩むものである。今の倧人達も若い頃には
皆それを考えおいた。自分で進む道を決めた者、決められずにやりすごした者はさたざたであるが、
ずもかくもそれぞれの力で今を生きおいる。
 過去に歎史に名を残した人間も、若き時代には同じように進むべき道を考えおいた。土䜐に生たれ
た坂本韍銬は倒幕運動の志士ずしお身を立おようし、埌玉の深谷で育った枋沢栄䞀は尊王攘倷に本気
になっお暪浜を焌き打ちにする䌁おを考えた。゜フトバンクの孫正矩瀟長は犏岡県久留米の高校を䞭
退しおアメリカに枡り自分の人生を切り拓こうずした。
 それずは逆に、自分で人生を考えお遞択するこずができずに、定められた道を生きるために歩たざ
るを埗なかった者も倚い。パナ゜ニックを創業した束䞋幞之助は、家が貧しいために小孊4幎生で商店
に奉公に出された。トペタの祖である豊田䜐吉は父芪の倧工の仕事を継ぐしかなく、ホンダを創った
本田宗䞀郎は家が鍛冶屋だったから自動車修理店に入っお子守の仕事をさせられた。皆がそういう人
生を歩たざるを埗なかった時代であった。
 珟代は昔のそれずは異なっおいる。幞いなこずに、若い頃に考える時間ず環境が䞍足しおいるわけ
ではない。日本の若者の半分以䞊は倧孊に進孊し、本人にやる気かあるかどうかは別ずしお、少なく
ずも4幎間就職掻動を陀けば実質的には3幎匱は瀟䌚に出る前のトレヌニングを倧孊の内倖で受け
る時間はある。

◆重芁なのは、瀟䌚における「取り決め」
 人は、憲法の基本的人暩にあるように、瀟䌚で自由に掻動するこずを蚱されおいる。孊校を卒業す
れば、孊校の䞭の指導や匷制からも「自由」になる。しかし、瀟䌚では他人が孊校のように手取り足
取りでは人生を導いおくれないし、倚くの堎合は叱っおもくれない。
 人間の実瀟䌚ずは、自分ず他の組織や個人ずの間で䜕かを決めお、自分が働き、その分の䟡倀を金
銭で埗るこずを基本ずする䞖界である。これは圓たり前の話だが、わかりやすく蚀えば、自分が働い
おお金を皌ぐこずだ。サラリヌマンはもちろん、お笑いタレントでもプロ野球遞手でも倧孊の教員で
も、日々の劎働で収入を埗おいるこずには倉わりがない。人間でなくずも、生きるためのものを皌ぐ
こずはすべおの生物が行っおいる行為である。ラむオンは獲物を远わなければすぐに飢えおしたう。
 人間が賢いのは、生きるための皌ぎ方を「組織的」に行うこずができるこずである。人間は頭を䜿
えるから、䌚瀟ずいう集団の組織を䜜っお、ものを個人が分担しお生産し販売し、金を皌いでいる。
しかし、人間がその組織䌚瀟をうたく運営するには、さたざたな「取り決め」を孊び理解した䞊
で円滑に凊理をしなければ、ものがうたく䜜れない、補品を売っおも損が出おしたう、あるいは代金
が回収できないこずになる。
 本質的にいえば、経営孊郚で孊ぶ「経営」ずいう孊問は、生きるため
に皌ぐこずを目的に䜜った組織を、どのように運営しお、満足できる皌
ぎを獲埗するこずができるかを䜿呜ずしおいる。皌ぐずいう蚀葉にはあ
たり良いむメヌゞがないかもしれないが、この本質から目をそらしおは
いけない。皌ぐずいう蚀葉が気にさわるならば、䟡倀を創るこずず蚀い
かえおも良い。怍物は光合成によっお氎ず二酞化炭玠ずいう原料から炭
氎化物を生産し、生きる゚ネルギヌずいう䟡倀を生み出しおいる。
 人間は組織を䜜っおいるから、他の生物より圧倒的に優れた䟡倀を創
っおいるけれども、それには倚皮倚様な取り決めが定められお、参加す
る人間がそれに埓っおいるために、円滑な運営が可胜になるのである。
このように、円滑に組織を運営する「取り決め」ずそれを行う理由を孊ぶのが経営孊ず考えおほしい。
経営孊郚で孊ぶ䌁業マネゞメントも、簿蚘も䌚蚈も、情報技術も、組織を運営する䞊であるいは組
織で働く䞊で必芁な知識を埗るこずが目的であるはずだ。




                      ~1~
◆事業創造を孊ぶず、組織の本質がわかる
 このテキストでは、れロから始たる事業をどのように立ち䞊げおいくか、あるいはそうした事業の
創造起業にはどのような特城があるか、どのような人々が行っおいるのか、ずいうこずを解説し
おいる。
 たったくの始たりから事業をスタヌトさせるず、先に述べたような人間の䟡倀の䜜り方皌ぎ方
が珟堎で芋えおくる。䌚瀟ずはどのように䜜るのか、瀟長や郚長や埓業員はどのような圹割の分担が
あるのか、あるいは䌚瀟の資金はどのように調達しおいるのか。倧きな䌚瀟や圹所にいるず、その事
業の本質がみえにくくなるものだ。1䞇人も埓業員がいる倧䌁業で働いおいるず、日々の自分の仕事で
䌚瀟の経営が芋えるものではない。自動車メヌカヌで品質管理を担圓しおいる係長にずっおは䌚瀟の
決算曞は経理郚の仕事でしかないだろうが、新宿でネットワヌクゲヌムを䜜っおいる埓業員5名のベン
チャヌでは株䞻総䌚で䜕が議論されたか皆が知っおいる。

◆自分の頭で批刀的に考えるこずが重芁
 䌚瀟を䜜る、運営する、儲ける事ずは䜕かずいうように、人間の経枈掻動の本圓の意味を探ろうず
しお経営を孊ぶならば、おそらく自分達が授業を受けおいる理由や目的も玍埗できるものになるだろ
う。孊生ずいうものは若くお自由だからこそ、瀟䌚が決めた取り決めや慣習に察しお無条件無批刀に
埓うだけではなく、たずはその意味を批刀的に考えおもらいたい。
 䌚蚈や情報技術の授業では、こういうルヌルだからこのように凊理せよず決め事に埓うこずを匷制
させられるこずが倚い。しかし、このテキストで取り䞊げるアントレプレナヌシップは、          「なぜ」が
重芁な孊問である。その理由を䞀蚀でいえば、考えるこずなく無批刀に生きおいおは新しい事業は生
たれないからだ。珟存するビゞネスや瀟䌚に疑問を感じお悩んだからこそ、倚くのベンチャヌが生た
れおきた。マクドナルドや吉野家は、それたでの飲食店のサヌビスが遅くお問題だず考えたからこそ、
「早い、安い、うたい」メニュヌを考え出しおきた。ダむ゚ヌを䜜った䞭内功は小売店の䟡栌が高す
ぎるず思ったから、         「安売り」を商売にしお日本䞀になった。
 このテキストはさたざたな情報を解説しおいるけれども、出おきた内容を芚えなければずいう矩務
感を持぀必芁はない。もちろん、倪字ゎシックで蚘した重芁項目は芚えおほしいが、倧事なこずは各
項目のストヌリヌを読んだ埌に批刀的に考えるこずである。このようなクリティカル・シンキング
critical thinking、批刀的思考を促すために、テキストの各節の終わりに150以䞊の「蚭問」を甚
意しおいる。講矩においおは、担圓教員がこれらの蚭問から逐次セレクトしお課題を出すこずになる
が、受講者は各章を読む前に末尟の蚭問を䞀読するず各節のねらいがわかるだろう。

 経営は、瀟䌚で生掻する限り誰もがさたざたな局面で盎面するこずである。同時に、生きおいる以
䞊は誰もが経営に関わらざるをえない。サラリヌマンでも、自営業者、公務員、あるいは家庭の䞻婊
でも、組織や家蚈に責任を負う者は、それぞれの芖点で経営の仕組みを実践的に孊ぶこずにより、自
分の可胜性を高めるこずができるはずだ。

           孊んで思わざれば 則ち眔くらし。
           思うお孊ばざれば 則ち殆あやうし。      孔子「論語為政」




                          ~2~
第郚 アントレプレナヌシップ総論


Ⅰアントレプレナヌシップを孊ぶずいうこず
  アントレプレナヌシップを孊
はじめに6぀のポむント
(1)アントレプレナヌシップは『新しい経枈䟡倀を創出するこず』が目暙である。
 アントレプレナヌシップ9ペヌゞにその意味を掲茉は、新しい物や技術やサヌビスを珟実に創り出すこ
 ずであり、経枈䟡倀を増やすこずを善ずし、目暙にしおいる。良い経枈瀟䌚機胜を䜜るこずずか、
 個人や䌁業が䟡倀を分け合う分配する行動ではなく、あくたでも䟡倀を創るこず商売で売䞊利益
 を増やすこずがアントレプレナヌシップの目指すものである。

(2) アントレプレナヌシップは『実践的』である。
 アントレプレナヌシップは、珟実の人間の経枈掻動がほずんど唯䞀の関心であるから、その孊問も
 実践的で珟実的なものである。珟実のビゞネスで商売がうたくいくために孊ぶのである。

(3) アントレプレナヌシップは、知だけでなく、『経隓ず行動』が重芁である。
 アントレプレナヌシップは、教宀の講矩やれミナヌルで孊ぶ「知識」だけではなく、珟実瀟䌚での
 ノりハり・テクニック等の「経隓」が重芁であり、たた新事業やベンチャヌで「行動するこず」も
 しくは行動する起業家を理解するこず、芳察するこずが最終目暙である。
 アントレプレナヌシップは倧孊の䞭だけで孊べるものではない。英語や数孊のように教宀で孊んで
 いくよりも、䜓育や音楜のように実技が重芁な科目ず考えたほうがよい。ルヌルや技術の知識があ
 っおも野球ができないように、アントレプレナヌシップは頭だけではなく経隓ず行動が欠かせない。

(4) アントレプレナヌシップは『倚面的』である。
 アントレプレナヌシップは孀立した孊問分野ではなく、経営孊や経枈、金融、法埋、政治、瀟䌚、
 文化などの倚くの芁玠が圱響し䜜甚しおいる。したがっお、アントレプレナヌシップは経営孊だけ
 で考えるのは充分ではなく、他の孊問の知識や考え方を借甚し掻甚しおいかなければならない。

(5) ベンチャヌを起業するため、ベンチャヌに入瀟するためだけの孊問ではない。
 過去20幎の䞖界では、アントレプレナヌシップが人間の幞犏を向䞊させるうえで重芁な圹割を果た
 しおきた。倧孊生は、ベンチャヌに入る以前の段階においお、珟代の経枈瀟䌚を理解するためにア
 ントレプレナヌシップを孊ぶべきである。ベンチャヌの経営者を目指すためだけの講矩ではない。
 倧䌁業や䞭堅䌁業の新芏事業や、 瀟䌚犏祉や瀟䌚改善のための新しい取り組み、地方振興の運動も、
 その基盀はアントレプレナヌシップである。

(6) 起業家は生たれるのではなく、䜜られる。 ”Entrepreneurs are made, not born.”
 起業家は、生たれ぀きの玠質を持った人間が起業しおいるのではなく、成
 功したベンチャヌ経営者は才胜だけで成功したわけではない。マむクロ゜
 フトのビル・ゲむツ氏も゜フトバンクの孫正矩氏も、すばらしい才胜を持
 っおいるが生たれ぀きの倩才ではなく、どこかで孊習しおいる。その堎
 所は倧孊ではなく、家庭や友人、あるいは職堎の仕事からかもしれないし、
 あるいは先茩の経隓や倱敗談から孊んでいるだろう。アントレプナヌは孊
 習が䞍可欠である。
 たた、起業家は自分の力だけで成功したのではない。ベンチャヌで働く仲
 間や郚䞋、掻甚する技術やアむデア、そしお足りない資金を提䟛する投資
 家があっおこそ経営を成り立たせるこずが可胜である。したがっお、自分
 自身の知識胜力だけではなく、䞖の䞭の資源に぀いお孊んでいくこずが重
 芁であり、そうした資源の有効掻甚技術を孊んで実践できる胜力を持った
 人間が成功しおいるず考えおほしい。




                             ~3~
アントレプレナヌシップはなぜ重芁か
①教育の根底は、珟実を理解するこず
 倧孊は、孊術研究を行う堎であるず同時に、高等教育の堎である。高等教育に぀いお倧孊が期埅さ
れおいるのは、孊生に察しお、充実した人生を送れる良き瀟䌚人ずなるための準備、幅広い知識、劎
働意欲、科孊的合理性、批刀的思考、道埳性や文化教逊の逊成などを習埗させるこずである。
 これらはどれも重芁な目暙だが、もっず根本的な孊習の目暙がある。それは『理解するこず』であ
る。私達は、理解もしおいない䞖界を改善するこずはできず、自分自身を、その匷さ、限界、動機を
把握しおいなければ前に進むこずもできない。䞖の䞭ず自分をより理解可胜なものにしおいくこずに
より、倧孊教育は人間的成長、創造性、達成、進歩の基瀎がためをするこずができる。
 「理解するこず」が孊習の基本的な目暙であるずするならば、倧孊は、珟代の生掻における経隓・
条件を反映するものでなければならない。倧孊が䞖界から切り離され、そこに働きかけないのであれ
ば、䞖界を理解可胜なものにするこずは難しい。
 倧孊での孊習は、孊生に察しおこれから生きおいく珟実をどのように理解しどのように圱響を及が
しおいくかを教えなければならない。孀立し固定されおしたった教育が成功するはずもない。過去の
優れた業瞟を研究し、人間の本性に぀いお問い続けるこずは、教逊ある人間になるための基本である
が、倧孊の長所はそのダむナミズムず適応力であり、叀兞的な問題だけでなく、自然・瀟䌚・人間の
経隓における切迫した目の前の問題に取り組む胜力である。

②アントレプレナヌシップは、䞖界の重芁なファクタヌ
 新しい事業に取り組んで新しい䟡倀を創出しおいるアントレプレナヌシップずいう抂念ず掻動は、
䞖界の経枈瀟䌚においお重芁なファクタヌである。アントレプレナヌシップは、䞖界䞭の補品やサヌ
ビスにむノベヌションず改善をもたらし、より効率的で入手しやすく効果的なものにしおいる。アン
トレプレナヌシップは、私たちの個人ずしおのあるいはコミュニティずしおの生掻レベルを高めおお
り、たた人々の働き方やコミュニケヌションを倉化させおいる。たた、䞖界的に倩然資源が枛少し、
人類が持続可胜な将来を保っおいくためには、むノベヌションだけでは十分ではない。我々に必芁な
のは、新たなアむデアを実珟し倚くの人々が利甚できるようにする掻動であり、これこそアントレプ
レナヌシップなのである。
 こうしたアントレプレナヌシップをうたく利甚できるかどうかは、結局は我々が「理解するこず」
にかかっおいる。理解できないものを考案し改善するこずはできないのである。蚳のわからない物を
修理しお盎すこずはできない。理解するこずは倧孊教育の根本的な目的であり、アントレプレナヌシ
ップず倧孊教育は切っおも切れない関係である。こうしたこずから、アントレプレナヌシップが倧孊
の孊郚教育のテヌマずしお取り䞊げられるのは自然な動きなのである。


        アントレプレナヌシップが察象ずするのは「ベンチャヌだけではない」




                      ~4~
日本でアントレプレナヌシップが意味を持぀理由
①新しい経枈䟡倀創出が求められおいる
 たずえば、䞖の䞭に぀いお次の4぀を考えおみよう。
  (1)珟代の日本は、欧米に远い぀け远い越せずいう高床成長期たでの時代ではない。䞭囜等のアゞア
    や新興囜に負けないような補品・サヌビスを新しく生み出しおいかなければならない。
     菅総理倧臣の斜政方針挔説、2011幎1月24日、衆議院本䌚議 
    ・䞖界䞭が、新しい時代を生き抜くにはどうすればよいか暡玢しおいたす。日本だけが、経枈の閉塞、瀟
     䌚の䞍安にもがいおいる蚳にはいかないのです。珟実を冷静に芋詰め、内向きの姿勢や埓来の固定芳念
     から脱华する。そしお、勢いを増すアゞアの成長を我が囜に取り蟌み、囜際瀟䌚ず繁栄をずもにする新
     しい公匏を芋぀け出す。たた、瀟䌚構造の倉化の䞭で、この囜に暮らす幞せの圢を描く。今幎こそ、こ
     うした囜づくりに向け舵を切る。私のこの決意の䞭身をこれから説明いたしたす。
 (2)倧孊生の就職が深刻な状況にある。䌁業が新卒採甚を抑制しおいる理由は、芏暡の拡倧に積極姿
   勢が取れないからである。新しい垂堎を創りだし、商売によっお経枈䟡倀を増やしおいかなけれ
   ば、瀟䌚で掻躍すべき若者が損をする。「成長」は若い䞖代に恩恵をもたらすものなのだ。
 (3)地方をみるず、少子化・高霢化や過疎によっお沈滞しおいる。たずえば地方郜垂の商店街はシャ
   ッタヌ通りず化し、働き手の若者がいない。雇甚の受け皿であるべき倧䌁業は、地方に工堎に建
   蚭するよりもアゞアに工堎を䜜っお珟地生産をしおいる。地方はアゞアず芋えない競争をしおい
   るのである。沈滞を打開しようず、県や垂町村は、新しい地堎産品、B玚グルメの新商品䜜り、
   海倖芳光客やプロスポヌツの誘臎など、さたざたな「地域振興策」を掚進しおいる。
 (4)東日本倧震灜ですさたじい被害を受けた日本は、これから埩興の時代になる。戊灜の埌のような
   東北地方で、䜕䞇人もの人々が文字通りれロから仕事を再開しおいく。氎産業を再開する、小売
   の商店を埩掻させる。それぞれが加工堎を䜜り盎し、店を新築し、新たな生きる糧を創り䞊げお
   いくこずだろう。
 以䞊は日頃のニュヌスで聞かされる話であるが、いずれにも「新しい取り組み」ずいうフレヌズが
入っおいる。民間䌁業だけでなく、囜や自治䜓も地方の人々も孊生も、新しいこずを考えお䌁おお再
建しおいかねばならない。

②それぞれの堎におけるアントレプレナヌシップ
 だからこそ、新しい取り組みを孊ぶこずが必芁であり、重芁である。 新しい経枈䟡倀を創出するこ
                                『 しい経枈䟡倀 創出するこ
                                    経枈䟡倀を
ず』を目暙ずするアントレプレナヌシップを孊び研究し、21䞖玀日本の課題に察凊しおいくこずが重
芁になっおいるのである。
 もちろん、既存の経枈孊、経営孊、瀟䌚孊、あるいは理工孊の分野から、こういった問題に取り組
むこずもできる。しかし、アントレプレナヌシップは、これらの孊問領域に欠けおいる新しい知識を
䞖の䞭に提䟛できる抂念である。
 実瀟䌚の職堎においお、新しい事業を行う知識技術を掻甚する堎面はどこにあるだろうか。たずえ
ば、䞋の衚で瀺した職堎でアントレプレナヌシップをどのように掻甚できるかを自分で想像しおみよ
う。そこで考える䞭で、アントレプレナヌシップの重芁性がおのずず明らかになっおいくだろう。

                  それぞれの職堎における「アントレプレナヌシップ」
  職堎                   課題ず事業構想                    アントレプレナヌシップ
NPO法人「カ   人ずうたくコミュニケヌションできない高校生ず瀟䌚ずなじたせるプロゞェクトを立 民間非営利組織による瀟䌚改革運動の新
タリバ」      ち䞊げNPO法人を蚭立したが、掻動資金もボランティアの数も足りない。     しい取り組み。
       商店街で営業しおいた叀本屋は店を閉めたが、4幎前に始めたアマゟンに出
前橋垂の叀本
       店しおいるアフィリ゚ヌトプログラム叀曞ECビゞネスが急成長。拡倧するた 新しい流通圢態ECぞの取り組み。
屋
       めに叀曞買取の店を䜜るこずを怜蚎䞭。
       過疎化が進む町においお、町独自の新しい地堎産品の䌁画、補品化を暡玢
犏島県の町圹
       しおいるが、倧半がうたくいかずに倱敗しおおり、いかに䜎リスクでそこそこ売れ 新しい地堎産品の開発ず販売䌁画。
å Ž
       る補品を䜜っおいくかが課題になっおいる。
千葉垂の瀟䌚 千葉垂の老人向け介護ケア斜蚭が慢性的に䞍足で、犏祉協議䌚のメンバヌ
                                         瀟䌚犏祉団䜓の新芏事業進出。
犏祉協議䌚  でデむケアセンタヌ開蚭を考えおいる。

       生埒のいじめの問題や孊校近蟺の治安の問題を、保護者や地域関係者を小
䞊尟垂の小孊                                     孊校での新しい教育支揎䜓制の䌁画ず構
       孊校に参画しおもらっお䞀緒に孊校経営を考えおアクションする取り組みを暡
校                                          築。
       玢しおいる。




                                  ~5~
なぜ倧孊で「アントレプレナヌシップ」なのか
 アントレプレナヌシップは、長らく経枈孊のテヌマの䞀぀にすぎないず考えられおきた。しかし、
最近の研究では、アントレプレナヌシップが珟代経枈における富の創出の䞻圹ずしお先導的な圹割を
担っおいるこずが認められおいる。少なくずも過去20幎の䞖界では、たえず新しい事業が誕生し、そ
れらの事業の原動力であるアントレプレナヌシップは人間の幞犏を向䞊させるうえで重芁な圹割を果
たしおいる。
 こうした認識がある䞭で、アメリカの倧孊ではアントレプレナヌシップに関する講矩は急激に増加
しおいる。以前からビゞネススクヌルでは䞀般的なカリキュラムずしお扱われおいたが、近幎は関心
が高たる䞭で孊郚教育の䞭で最も急速に拡倧しおいるテヌマである。 ある調査によれば、1985幎圓時、
アメリカの倧孊で蚭眮されおいるアントレプレナヌシップ関連科目は玄250だったものが、 2008幎珟圚
では5000を超え、アントレプレナヌシップを専攻科目にできる倧孊のプログラムは、1975幎の104æ ¡
から2006幎には500校超ぞず増加しおいる。
 䞋の衚は、アメリカのアントレプレナヌシップ教育で最先端にあるバブ゜ン倧孊米マサチュヌセ
ッツ州経営孊郚で開講しおいるアントレプレナヌシップ関連科目のリストである。䞀芋しおわかる
ように、倧孊ではベンチャヌビゞネスの経営だけを教えおいるのではない。ファミリヌビゞネス家
業や倧䌁業のコヌポレヌト・ベンチャヌ、䞖界各囜のアントレプレナヌシップ、あるいは瀟䌚問題を
アントレプレナヌシップの芖点で分析しお解決に向け取り組もうずする瀟䌚孊関係の授業もいく぀か
蚭けられおいる。これは4幎制孊郚の倧孊生ビゞネススクヌル等の院生ではないに察する授業であ
り、専攻科目ずしおだけではなく「教逊科目」ずしおアントレプレナヌシップが教えられおいるこず
がわかるであろう。

               バブ゜ン倧孊・経営孊郚孊郚のアントレプレナヌシップ関連科目
    分野        䞻テヌマ                                          講矩の名称英語原文
   経営管理   事業機䌚           Entrepreneurship and Opportunity
          成長事業の経営管理      Managing Growing Businesses
          テクノロゞヌ         New Technology Ventures
          起業家論           Great Entrepreneurial Wealth: Creation, Preservation and Destruction
          ファミリヌビゞネス戊略    Key to Success Family Business Enterprises
          起業家ずしおの家業経営    Family as Entrepreneur
          コヌポレヌト・ベンチャヌ   Corporate Entrepreneurship
          マヌケティング        Marketing for Entrepreneurs
          成長戊略           Venture Growth Strategies
          事業の実践挔習        The Ultimate Entrepreneurial Challenge
   ファむナンス 資金調達           Raising Money-VC, Angels & Incubators
          ベンチャヌファむナンス    Entrepreneurial Finance
     囜際   䞭囜の起業          Entrepreneurship and New Ventures in China
          䞭南米の起業         Entrepreneurship in Latin America
          アゞアの起業         Entrepreneurship in Asia
     瀟䌚   瀟䌚的起業家論        The Enlightened Entrepreneur: Changemakers, Inspired Protagonists, and Unreasonable People
          瀟䌚的起業の蚈画       Social Entrepreneurship by Design
          瀟䌚的起業の経営管理     Social Enterprise Management
          瀟䌚問題の芳察        The Enlightened Observer
          環境ず起業          Environmental and Sustainable Entrepreneurship
          トルコの環境関連起業     Social Responsibility through Eco-Enterprise in Turkey
          アフリカの起業ず瀟䌚     South Africa: Entrepreneurship, Culture, & Society in Developing Economy
     文化   起業的文化          The Creation of Entrepreneurial Culture within your Organization
  ワヌクショップ 起業䜓隓䞀般       Living the Entrepreneurial Experience (General Focus)
          起業䜓隓䌁業       Living the Entrepreneurial Experience (Corporate Focus)
          起業䜓隓技術開発     Living the Entrepreneurial Experience (Technology Focus)
          起業䜓隓家業       Living the Entrepreneurial Experience (Family Focus)
          起業䜓隓瀟䌚起業     Living the Social Entrepreneurial Experience
 出所バブ゜ン倧孊ホヌムペヌゞ。



  さらには、最近の倧孊自䜓が、起業掻動を行っおいる。各倧孊は「技術移転オフィス」               TLO、
Technology Transfer Office。を通じお、倧孊内の教員や研究者がベンチャヌビゞネスを蚭立しお自ら
の研究を垂堎向けに商品化するこずを支揎しおいる。研究機関ずしおの倧孊は、むノベヌションや、
新たな䌁業の基瀎ずなるような新たな補品・プロセスの創造ずいう点で、唯䞀ではないにせよ重芁な
源泉ずなっおいるのである。倧孊が教員による重芁な掻動ずしおアントレプレナヌシップを掲げ぀぀、
そうした掻動を孊生たちに教えおいないずすれば、孊校の䜿呜ず実践が乖離しおしたう。




                                       ~6~
アントレプレナヌシップの孊び方
アントレプレナヌシップ教育の特城
   アントレプレナヌシップ教育の
              教育
①察象が具䜓的な「珟実の掻動」
 では、倧孊生はどのようにアントレプレナヌシップを孊んでいけばいいのだろう。
 アントレプレナヌシップは、音楜ず同様に、テヌマを自ら䜜り出すような孊問であっお、目暙ずな
るこずを発芋するような孊問ではない。たずえば、歎史孊、瀟䌚孊、人類孊ずは違っお、アントレプ
レナヌシップは、その研究察象を孊ぶ者が自分で䜜り出すものだ。たた、アントレプレナヌシップの
関心は具䜓的な珟実、すなわち新事業や䌁業、補品、サヌビスを䜜っおいる掻動である。哲孊者はも
っぱら他の哲孊者を盞手に話したり曞いたりするだろうが、アントレプレナヌや音楜家にずっおは、
「芳客」や「垂堎」が必芁である。
②音楜ずの類䌌
 倧孊のカリキュラムの䞭で、アントレプレナヌシップがどのように䜍眮づけられるか理解するには、
アントレプレナヌシップず音楜を比范するずわかりやすい。アントレプレナヌシップ教育ずは、音楜
教育ず同じように、プロフェッショナルからアマチュアたで広がる連続䜓に沿っお行われる。音楜の
堎合、掻動の䞀方の端には䜜曲家や挔奏家がいる。他方の端には、䜜曲家や挔奏家のパフォヌマンス
を鑑賞する芳客がいる。その䞭間には、指揮、特定の楜噚の習埗、理論、歎史など、音楜における倚
くのファクタヌが存圚し、音楜ずいう芞術テヌマを理解し楜しむこずに貢献し、たた音楜をより発展
させおいる。音楜の教育ずは、こうした連続䜓を倧切にし、どのファクタヌも軜芖しないものである。
音楜教育では、名挔奏家にはどうすればもっず良い挔奏ができるかを教え、鑑賞する人達にはどのよ
うに音楜を味わうかを教える。音楜がどのように䜜甚するかを瀺し、どのように倉化しおいるかを図
瀺し、その芁玠を分析する。
 さらに音楜は、アントレプレナヌシップず同様に競争が行われる「実力䞻矩」である。しかしその
実力ずいうものは、単玔なものでも絶察的でもない。音楜を聎く芳客に圱響され、芳客が音楜のテヌ
マの圢成を手䌝い、どのような音楜が倧切なのかを聎き手が決める。聎き手の趣味が良くなり、期埅
の氎準が高たるほど、音楜は良いものになっおいく。アントレプレナヌシップも音楜ず同様に実力䞻
矩の䞖界だが、アントレプレナヌシップの実力は垂堎お客、需芁家により決められる。このよう
に、音楜のシステムは、アントレプレナヌシップに盞圓皋床あおはたるのである。
③倧孊それぞれに教育は異なる
 それぞれの倧孊で、アントレプレナヌシップ教育の枠組みを画䞀的に適甚できるずは考えにくい。
孊校が違えば、察象ずする孊生も教員も、歎史も、文化も、目的も別々である。倧孊はさたざたな教
育的な機胜を果たしおおり、孊生の䞖代も倚様化しおいる。たずえば、ビゞネススクヌルを䜵蚭する
倧孊におけるアントレプレナヌシップは、ビゞネススクヌルを持たない倧孊のアントレプレナヌシッ
プ教育ずは別物かもしれない。アントレプレナヌシップは、「この教育でどこの倧孊にもOK」ずいう
孊問ではない。それぞれの教育課皋には特有の成果があり、教育察象の孊生があり、倧孊の地元のコ
ミュニティの䞭で掻動しおいる。したがっお、アントレプレナヌシップ教育は、䞀぀の凊方箋がある
わけではないのである。
 アントレプレナヌが掻動する瀟䌚は、偶然によっお出珟し、続いおいくものではない。我々が、そ
れを構築し維持しおいかなければならないのだ。そのためには、アントレプレナヌシップがなぜ倧切
なのか、それがどのように䜜甚するのか、そうすればそれを維持できるのかを理解する必芁がある。
そうした孊習ができる堎を提䟛するのが倧孊教育なのである。
④アントレプレナヌシップは、倚面的な芁玠からなる実践的孊問
 先にみたように、アントレプレナヌシップは実瀟䌚の珟実掻動がテヌマであるが、それは䞀぀䞀぀
の孀立した掻動ではなく、倚皮倚様な芁玠に圱響される。経営孊の実践ずしおアントレプレナヌシッ
プを考えおみおも、経枈や金融、法埋、政治、瀟䌚、文化などの芁玠が掻動に圱響し䜜甚しおいる。
アントレプレナヌシップはこれらの芁玠孊問の分野が結び぀き、おたがいに匷化しあい、そしお
理論ず実践を橋枡しするシステムになっおいる。
 アントレプレナヌシップは珟実のビゞネスを重芖しおいるから、理論や思玢ではなく具䜓的なビゞ
ネスの成吊が重芁である。具䜓的なビゞネスは、「孊習」ではなく、「行動」である。アントレプレナ
ヌシップは、新しい事業を目指す意思や構想から「きっかけ」を぀かみ、そしお起業掻動やそのプロ
セスを理解する「知識」ず「経隓」を孊び、そのような孊習が終わった䞊で新しい事業のチャンスを
ずらえお起業しおいく行動ずいうプロセスが望たしい。アントレプレナヌシップの教育も、この
プロセスにしたがっお行われおいくこずが最適である。


                      ~7~
「アントレプレナヌシップ教育のむメヌゞ」




            Heinonen. J., et al.(2006) ”An entrepreneurial-directed approach to entrepreneurship education:
            mission impossible?”, Journal of Management Development, vol.25, pp.80-94.




どのような科目を孊んでいくか
   どのような科目を
         科目
 アントレプレナヌシップは、日本では新しい孊問領域である。日本で初めおアントレプレナヌシッ
プの専門コヌスが開蚭されたのは1992幎の法政倧孊倧孊院の起業家コヌスであり、それからただ20幎
も経っおいない。2008幎時点では日本党囜の247の倧孊・倧孊院でアントレプレナヌシップ関連の科目
が教えられおいるが、ただ教育䜓系が充分に敎備された倧孊は少ない。
①倧孊孊郚で孊ぶこずが望たしいアントレプレナヌシップ領域
 では、孊生はどのような科目を取りながらアントレプレナヌシップを孊んでいくか。倧孊が蚭眮す
る科目が少ないから、圓然、孊生が自由に遞択する䜙地は少ない。そのような制玄があるものの、珟
圚の日本におけるアントレプレナヌシップからみお必芁な孊習領域は以䞋のようなものが考えられる。
しかし、䞋蚘のような講矩科目が完備しおいる倧孊は日本には少なく、倚くの倧孊ではキャンパスで
、科目の講矩を開いお運営しおいるため、内実は䞋衚のようなテヌマをたずめお講矩するような
「あれもこれも」の総花的な講矩になっおいるようにも思われる。


     1.経営管理                     ・アントレプレナヌシップの意思、機䌚、事業構想。
                                ・ベンチャヌの事業蚈画ビゞネス・プラニング
                                                ・      。
                                ・ベンチャヌの経営戊略、組織論。
                                ・ベンチャヌのマヌケティング。
                                ・技術経営。ハむテクノロゞヌず経営管理。
     2.起業家論                     ・起業家の必芁条件、玠質、背景。
                                ・起業家の歎史。
     3.制床                       ・ベンチャヌの䌚蚈、財務管理。
                                ・䌚瀟制床、法制床。
     4.ファむナンス                   ・ベンチャヌファむナンス。
                                ・株匏垂堎。
     5.ワヌクショップ                  ・ベンチャヌの実践プログラム。
     6.講挔、むベント                  ・ベンチャヌ経営者の講挔。
                                ・ビゞネスプラン発衚䌚。



                                                    ~8~
②実際に䜕から孊んでいくか
 ずはいえ、このような運営の話は倧孊偎の問題であり、圓の倧孊生は䞎えられた条件の䞋で孊んで
いくしかない。たずは、通う孊郚のシラバスを読み、講矩を聞いおアントレプレナヌシップを考え、
講矩や曞籍で知識を぀け、瀟䌚を知り、方向を考えるこずが望たしい。
 倧孊の限られた講矩を「受け身」で聞き孊びながら、自分自身でアントレプレナヌシップを䞻䜓的
に考えおいくのである。アントレプレナヌシップは独立した孊問䜓系ではなく、経営・経枈・瀟䌚・
工孊等の孊識が組み合わさっおいる。䜕から孊ぶかずいえば、自分が興味あるか圹立぀かを考えお、
今ある講矩を遞び孊んでいくこずである。アントレプレナヌシップ教育に、理想的なモデルずするよ
うな履修䜓系を孊生が考える必芁はない。しいお蚀えば、アントレプレナヌシップを入門的に教える
講矩から遞択しおいけばよく、そこで教員が重点ずする内容分野を掘り䞋げお履修しおいくこず
が最善の遞択であろう。
 たた、アントレプレナヌシップを孊ぶ堎は必ずしも倧孊の䞭だけではない。孊内で孊ぶこずが最も
効率的で䜓系的ず思われるが、真に実践的で最近の知識情報は孊倖の瀟䌚にあるからである。倧孊の
䞭でアントレプレナヌシップを孊ぶず同時に、瀟䌚いろいろな経隓をし、実瀟䌚の先茩に話を聞くこ
ずも、アントレプレナヌシップ教育の重芁な䞀郚分ず考えるべきだ。

            匕甚Kauffman Foundation (2008), “Entrepreneurship in Higher Education”




■蚭問
 蚭問

 1. アントレプレナヌシップは「実践的」であるが、それはなぜか。
 2. アントレプレナヌシップで「経隓ず行動」が重芁である理由に぀いお、自分の考えを述べなさい。
 3. 倧䌁業はアントレプレナヌシップの察象か。たた、圹所や瀟䌚犏祉団䜓はアントレプレナヌシッ
   プの察象か。
 4. 東日本倧震灜から埩興に向けお行う仕事は、どこにアントレプレナヌシップがあるのか。
 5. アントレプレナヌシップは孊べるのか。孊べない郚分があるずすれば䜕か。
 6. アントレプレナヌシップを倧孊で孊べば、実瀟䌚でどのように圹立぀であろうか。自分自身の考
   えをたずめおみよう。




                                 ~9~
Ⅱ起業家ずベンチャヌビゞネス
  起業家ずベンチャヌビゞネス
起業家の意味
     きぎょうか、英語entrepreneur アントレプレナヌ 「䌁業家」ずも蚀う。
 『起業家』         entrepreneur アントレプレナヌ。
               entrepreneur、アントレプレナヌ                ずは、自
ら事業を起こす者をいう。日本では、通垞はベンチャヌ䌁業を経営する人々を指すこずが倚いが、欧
米では自営業者や家業、あるいは新しい瀟䌚的組織の立ち䞊げ瀟䌚起業家などを含めお、日本よ
りも幅広い意味に䜿われおいる。英語のentrepreneurは、フランス語である"entrepreneur"アント
ルプルヌヌル、請負業者・起業家の英語読みから始たった。
 䜕かに取りかかる、     事業を興すずいう意味の蚀葉ずしおは、英語には「undertake」が䞀般的である。
しかし、「undertaker」には「葬儀屋」ずいう意味もあるこずが嫌われお、珟圚では「entrepreneur」
ずいうフランス語起源の蚀葉が「起業家」に盞圓する英語になっおいる。


       ntrepreneurの定矩
   Entrepreneurの定矩
   An entrepreneur is a person who has possession of a new enterprise, venture or idea and is
 accountable for the inherent risks and the outcome. The term was originally a loanword from
 French and was first defined by the Irish-economist Richard Cantillon. Entrepreneur in
 English is a term applied to a person who is willing to launch a new venture or enterprise and
 accept full responsibility for the outcome. Jean-Baptiste, a French economist, is believed to
 have coined the word "entrepreneur" in the 19th century - he defined an entrepreneur as "one
 who undertakes an enterprise, especially a contractor, acting as intermediately between
 capital and labor.
  起業家は、新しい事業や挑戊を行おうずする熱意を持った人間であり、リスクや結果ぞの責任を持぀人々で
 ある。この蚀葉はもずもずフランス語から借甚され、アむルランドの経枈孊者リチャヌド・カンティペンが初
 めお定矩したものである。英語では、起業家ずいう甚語は、新しいビゞネスや䌁業を蚭立し、結果に察する党
 責任を負うこずをいずわない人間に察しお適甚される。フランスの経枈孊者ゞャン=バティストは、19䞖玀に
 起業家ずいう蚀葉が生たれたず考えおおり、圌は、起業家に぀いお、資本ず劎働の䞭間的存圚ずしお掻動し、
 その二぀の芁玠の掻甚を請け負っお、䌁業経営を匕き受ける人間ず定矩した。 Wikipediaより匕甚



アントレプレナヌシップの解釈

   Entrepreneurship is the act of being an entrepreneur, which can be defined as "one who
 undertakes innovations, finance and business acumen in an effort to transform innovations
 into economic goods".
  アントレプレナヌシップは、起業家、すなわちむノベヌションを経枈的䟡倀に転換しようずしお技術革新や
 金融掻動やビゞネス技術に取り組もうずする人々の諞掻動のこずを蚀う。 Wikipediaより匕甚

 『アントレプレナヌシップ』英語entrepreneurshipは、日本では通垞「起業家粟神」   あるい
は䌁業家粟神ず蚳されるこずが倚い。すなわち、心の動き、魂、気力、理念、自尊心ずいった心理
的気質をあらわすかように認識されるこずが少なくない。日本では、おそらく「スポヌツマンシップ」
スポヌツマン粟神の解釈にたねお、entrepreneurshipの接尟蟞である"-ship"を「粟神」ず解釈し
たかもしれない。
  しかし、䞊衚のように、entrepreneurshipの英語を日本語に蚳すず、起業家の掻動、新しい事業を
生み出す掻動、ずいう意味ずなっおいる。぀たり、英語のentrepreneurshipは、日本語で「起業家粟
神」 ず衚珟される粟神的な意味よりも、    新しい事業を起こすずいう掻動の党䜓的な意味を持っおいる。
日本の研究者においおも、たずえば枅成教授は『䌁業家ずは䜕か』         枅成忠男線蚳、東掋経枈新報瀟、
1998幎の序文で「アントレプレナヌシップは、正確には粟神をも含めた党䜓的な䌁業家掻動を意味
する」ず述べおいる。




                                             ~ 10 ~
ベンチャヌビゞネスずいう和補英語
①「ベンチャヌビゞネス」か、「スタヌトアップ」か
  日本では、起業家が立ち䞊げた䌚瀟のこずを『ベンチャヌビゞネス』                             venture business、あるい
は「ベンチャヌ䌁業」「ベンチャヌ」ずいう蚀葉で衚珟しおおり、この3぀ずも同じ意味で甚いられお
                  、
いる。しかし、ベンチャヌビゞネスは英語では䜿わない。぀たり和補英語である。たた、英語圏では
「ベンチャヌ」     ずいう蚀葉もほずんど甚いられおおらず、                    䞀般には  「startup」 ずいう蚀葉が䜿われる。
startupは開業党䜓を指す広い意味があり、日本語で蚀う「自営業」も含たれる。英語では、新しく組
織を蚭立しお行う事業はすべおstartupず蚀うのである。
  Wikipediaに"A venture is a major undertaking, synonymous with adventure."ず曞いおあるよう
に、ベンチャヌずは冒険や挑戊に盞圓するものであっお、䌁業掻動を指す蚀葉ではない。日本でベン
チャヌ䌁業を衚す「高い成長を目指しおリスクに挑戊する䌁業」ずいう意味に察しおは、英語圏で
は”emerging enterprises”、”emerging companies”がよく䜿われる。たた、米囜の政策においお
は、”Emerging Business Enterprises” (EBE)、日本語でいえば「新興䌁業」が䜿われおいる。これら
の英語はstartupよりも範囲が狭たったもので、                「新芏性のある事業を行っおいる瀟歎の新しい䌁業」                  を
指しおいる。

②「ベンチャヌビゞネス」䜿甚の経緯
    「ベンチャヌ・ビゞネス」ずいう蚀葉をわが囜で最初に甚いたのは、䞭小䌁業庁指導郚調査課長圓時の䜃
   近雄である。1970幎5月にOECD工業委員䌚ずボストン倧孊共催の第2回ボストン・カレッゞ・マネゞメントセミナヌ
   に参加した䜃は、垰朝報告のなかで米囜では「ベンチャヌ・ビゞネス」ずいう新しい䞭小䌁業が台頭しおいるずの
   報告をおこなった。ずころが、このセミナヌは「ベンチャヌ・キャピタルず経営」をテヌマずしおおり、䜃はベン
   チャヌ・キャピタルの投資察象ずしおいる䌁業のこずを、米囜では「ベンチャヌ・ビゞネス」ず呌んでいるず誀解
   しおいたのだった。
    そのころ、囜民金融公庫調査課長の枅成忠男圓時ず専修倧孊教授䞭村秀䞀郎圓時は囜民金融公庫の「小
   零现䌁業新芏開業実態調査」を通しお、知識集玄型ずもいえる新しいタむプの䞭小䌁業を発芋しおいた。枅成ず䞭
   村は、この新型䞭小䌁業ず「ベンチャヌ・ビゞネス」ずが、酷䌌しおいるこずから䜃の報告に匷い関心を持った。
   そこで枅成は、日本長期信甚銀行調査圹圓時の平尟光叞の玹介で、長銀䞻催の報告䌚で䜃ず䌚い、セミナヌの
   資料を借りた。そこにはベンチャヌ・ビゞネスずいう甚語は甚いられおいなかった。疑問に思った枅成は文献にあ
   たっお調査したずころ、米囜ではそのような甚語法は存圚しない事実を確認した。米囜ではベンチャヌ・ビゞネス
   は、単に新芏事業䞀般を指しおいるに過ぎなかった。しかし、枅成ず䞭村は発芋した新型䞭小䌁業を「小さいけれ
   ど、研究開発ずか、知識集玄的で、むノベヌタヌ的な䌁業は、やはり䞭小䌁業ず呌ばない方がいい」ず考え、あえ
   おそれらの呌称に「ベンチャヌ・ビゞネス」を採甚した。
    このように、和補英語ずしおうたれた「ベンチャヌ・ビゞネス」は、1970幎に枅成忠男「アメリカにおける新型
   䞭小䌁業の展開」 囜民金融公庫『調査月報』114号によっおはじめお玹介された。さらに、1970幎末から71幎幎
   初にかけお、枅成ず䞭村が経枈雑誌ぞ盞次いで寄皿したこずから、     「ベンチャヌ・ビゞネス」が産業界に広く知ら
   れるようになっおいった。しかしベンチャヌ・ビゞネスの抂念は抜象的であったため、倚様な解釈を蚱すずいった
   欠点があった。倧䌁業からのスピン・オフずいった䞀面のみを捉え、圓時流行した「脱サラリヌマン」ず同矩に扱
   い、抂念が矮小化されるずいった事態も生じた。    そこで、このような誀解を改めるため、枅成ず䞭村は、枅成忠男、
   䞭村秀䞀郎、平尟光叞1971  『ベンチャヌ・ビゞネス』日本経枈新聞瀟を執筆した。
                     山厎泰倮「日本における1970 幎代「ベンチャヌ・ビゞネス」の展開」より䞀郚抜粋。
                                                              



ベンチャヌビゞネスず䞭小䌁業、倧䌁業の違い
①明確な定矩はない
 『ベンチャヌビゞネス』ずいう蚀葉には、明確な定矩は存圚しない。抂括的に衚珟すれば「新技術
や高床な知識を軞に、創造的・革新的な経営を展開する䞭小䌁業」であり、䞭小䌁業の䞀぀のグルヌ
プである。先に述べたように、アメリカではベンチャヌビゞネスの抂念を”Emerging Companies”ず蚀
うこずが倚いが、これも明確な定矩はない。䞭小䌁業は、䞭小䌁業基本法によっお定矩が定たっおお
り、補造業の堎合は「資本金3億円以䞋の䌚瀟ならびに埓業員の数が300人以䞋の䌚瀟」である。
 では、ベンチャヌビゞネス以倖の䞭小䌁業は䜕ず衚珟すればよいかずなるず、アメリカでは通称「ス
モヌルビゞネス」Small Businessである。䞊蚘のようなベンチャヌの特城を持っおいない䞭小䌁業
はこのようにスモヌルビゞネスず衚珟すればよい。


                                       ~ 11 ~
②䞀般的にみおベンチャヌはどう違うか
 ここで、基本的なベンチャヌビゞネスの特城をみおみよう。我々はベンチャヌをどのように認識し
おいるだろうか。ベンチャヌビゞネス、䞭小䌁業スモヌルビゞネス、倧䌁業の䞉者の違いは䜕か。
䞋衚は、それをあえお明確に特城づけおたずめたものである。これらは「䞀般的な傟向」であり、ベ
ンチャヌビゞネスがすべお実力䞻矩で挑戊的であるわけではないし、倧䌁業がすべお安定指向でもな
く、あくたでも党䜓的な傟向ずずらえおほしい。なお、ベンチャヌビゞネスの組織運営や経営の特城
ずモデルに぀いおは、第2郚で述べおいるので参考ずされたい。
 ベンチャヌビゞネスを孊ぶ䞊で重芁なのは、これらの䞀般的な特城、あるいは倚少の先入芳に基づ
いた䞖間の垞識を理解した䞊で、掘り䞋げお考察しおいくこずである。なぜベンチャヌがそのような
特城を持぀のか。具䜓的にどのように䌚瀟が運営されおいるのか。信甚力のないベンチャヌはどのよ
うに資金を調達するのか。問題意識はそう簡単に尜きるようなものではない。ベンチャヌがなぜ成功
するのか、なぜ倱敗するのか。これらに察する完党な答えはないのである。


                         䞉者間の特城の比范
                ベンチャヌビゞネス        䞭小䌁業スモヌルビゞネス            倧䌁業
 䌁業芏暡        小䞭芏暡。              小䞭芏暡。             倧芏暡
 埓業員数        抂ね300人以䞋。           300人以䞋(補造業の堎合)。    300人以䞊(補造業)。数千人も。
 株匏          未公開䌁業。株匏公開を目指す。     倚くは未公開䌁業。          倧半が公開䌁業。
 成長性朜圚力を含む 高い。                 高くない堎合が倚い。         
 技術、開発       高い堎合が倚い。            高くない堎合が倚い。         
 信甚力         䜎い。                 䜎䜍䞭䜍。             高い。
 資金調達力       䜎い。                 䜎䜍䞭䜍。             高い。
 採甚力         䜎い人気がなく採甚ができない。   䜎䜍䞭䜍。             高い就職で人気がある。
 䌚瀟の運営       瀟長のトップダりン、独断。       瀟長や同族のトップダりンが倚い。   組織による集団経営。
             柔軟で自由な運営。           同族䌚瀟が倚い。           厳栌なルヌル、柔軟性は䜎い。
             経営の意思決定が速い。                            経営の意思決定が遅い(組織決定)。
             あぶなっかしい運営。                             安定した運営。組織でチェック。
 瀟颚          実力䞻矩、挑戊、急成長指向。                         安定、リスク回避、保守指向。
 埓業員         埓業員がすぐ蟞める。                             長期安定雇甚指向。
             アルバむト等の短期雇甚が倚い。
 絊䞎、犏利厚生     䜎い。                 䜎い。                良い。犏利厚生が良い。
 埓業員に求められるもの チャレンゞ、リスクを取る姿勢。                        組織に忠実、コミュニケヌション。
 埓業員にずっおの可胜性 䌚瀟が急成長するず報われる。                         安定しおいるこずが魅力。
 埓業員の職責      若いうちから高い圹職に。                           幎功序列。若いうちは平瀟員。
 䌚瀟オフィス      目抜き通りから倖れた䞭小ビル。                        ビゞネス街の倧芏暡ビル。
 泚䞊衚の蚘述は、それぞれの盞察的な特城を匷調しお衚珟したもの。




■蚭問
 蚭問

 1.「起業家」の意味を䞀蚀で説明しなさい。

 2.「アントレプレナヌ」「アントレプレナヌシップ」の語源は䜕か。
            、

 3.「ベンチャヌビゞネス」「ベンチャヌ䌁業」「ベンチャヌ」に぀いお意味の違いはあるか。
             、         、

 4.「ベンチャヌビゞネス」ずいう蚀葉は、どうしお和補英語になったのか。

 5. 英語では、
        「ベンチャヌビゞネス」の意味ずしおはどのような蚀葉が䜿われおいるか。

 6.「ベンチャヌビゞネス」ずいう和補英語が䜿われたのは、どのような時代背景があったか。

 7. ベンチャヌビゞネスず倧䌁業の違いに぀いお、䞻な特城ず考えるものを5぀あげなさい。




                              ~ 12 ~
Ⅲ起業の歎史
  起業の

  起業家の掻動は、珟代のベンチャヌビゞネスだけを察象に考えるのではなく、人類がどのよう
 に事業を発展させおきたかずいう䞖界の歎史の流れから俯瞰しお考えるこずが重芁である。
  人類は、叀代䞭䞖以降の冒険的な亀易や、産業革呜、工業化の発展、゚レクトロニクス・コン
 ピュヌタ時代、そしおむンタヌネット革呜、新興囜の発展、ずいう時代の流れの䞭で、倚皮倚様
 な人々が新しい事業を起こし、その掻動によっお経枈䟡倀を創出しおきたからである。
  こうした䞖界の歎史を远いながら珟代にたどり着けば、今日の我々がなぜむノベヌションずア
 ントレプレナヌシップを重芁芖しなければならないかが芋えおくる。




歎史からみた「起業」
叀代から䞭䞖の冒険的貿易事業
               匕甚「海䞊亀易の䞖界ず歎史」http://www31.ocn.ne.jp/~ysino/index.html
①ギリシアの「冒険貞借」
 倚くの郜垂囜家が勃興した叀代ギリシアは、海を䜿っお文明を発展させた。ギリシアは蟲業に適さ
ない土地であるために絶えず食糧の䞍足に悩たされおおり、蟲䜜物を茞入するために船が必芁だった
が、その資材である朚材も茞入せざるをえない状況にあった。こうした䞭にあっお、食糧の3分の2を
茞入しなければならない最倧の郜垂囜家アテネは、玀元前6䞖玀頃からフェニキアず争いながら、゚ゞ
プト、キプロスや、小アゞア珟圚のトルコから穀物を運んでいたが、やがおむタリアのシシリヌ
島や南むタリアに怍民を送り、穀物を生産・茞入する怍民地を建蚭するようになった。
 ギリシアでは、はじめは、自分で船を持ち、船を動かしお商品を売買する単玔な仕組みであった。
船の所有者も船長も商人も䞀぀の船を持぀集団で行われた。やがお、金のある資産家が船䞻や商人に
資金を貞すようになった。船䞻は船舶や運賃を抵圓にしお航海費甚を、たた商人は貚物仕入代金や前
払い運賃を資産家から借りた。
 その䞭で、貿易海商掻動に぀いおの取り決めが発展しおきた。その取り決めずは、船舶や貚物
が喪倱した堎合は貞䞻資産家が䞞損ずし、金を借りた船䞻あるいは商人は返枈の必芁がないが、
それらが安党に到着するず、貞付金にその3分の1ずいった高率の利子を぀けお、貞䞻に返枈されるル
ヌルを䜜った。たた、船長が人呜、船舶、貚物を救うために荷物を海䞊ぞ投棄投げ荷したり、敵
囜や海賊に金品の支払いを匷制された堎合、その損害に応じお返枈すべき貞付金は枛額された。こう
した普通の金銭貞借ずは異なるルヌルのファむナンスを「冒険貞借」Bottomry、海䞊保険の起源の䞀
぀ず呌んでいる。このような掻発なギリシアの海商掻動の䞭で、その埌のペヌロッパ海䞊亀易にお
ける船舶の共有、船䞻ず商人の分離、海事金融や海運取匕ずいった取匕の慣行が圢成されおいった。

  叀代ギリシアでは、資金の借り手の航海が倱敗した堎合には、借り手は貞䞻に金を党額返枈する必芁
 のないファむナンスが生たれおいる。これは珟代のベンチャヌ・ファむナンスの起源ずもいえる。


②䞭䞖地䞭海における「組合」の圢成
 䞭䞖の地䞭海貿易で掻躍したのは、ノェネツィア、ゞェノバなどのむタリア半島の郜垂勢力であり、
東方貿易レノァント貿易ず呌ばれる東郚地䞭海沿岞地域やオリ゚ント地域ずの貿易で富を築いた。
ノェネツィアやフィレンツェの郜垂がルネサンス芞術や郜垂建築で豊かな遺産を残しおいるのは、こ
の東方貿易による富の産物である。
 䞭䞖むタリアの海商経営は぀の方法で行われおいた。その぀は共同冒険組合である。11侖简頃
にたずめられたアマルフィ海法圓時の海䞊亀易の慣習法では、船䞻、商人、船員が集たっお1぀の
組合を結成する。これら持分所有者は自分たちの䞭から管理船䞻を遞んで、冒険組合の党般的な指揮
をゆだね、他の持分所有者は船員ずしおあるいは自分の商品を持った商人ずしお乗組む。船䞻は船䟡
に応じお冒険組合の䞀定の持分があり、商人は自ら投じた資金たたは商品の額に応じお持分が割圓お
られ、たた船員は自分の提䟛した劎圹に察しお持分が䞎えられた。船員が船䞻たた商人である堎合、
その持分が远加された。貚物の取匕から埗た利益はすべお組合の勘定に入れられた。航海が完了する

                             ~ 13 ~
ず裁刀所で蚈算曞の怜査を受け、それぞれの持分数に応じお玔益が船䞻、商人、船員に分配されるこ
ずになっおいた。
 たた、1272幎のラグヌザ海法では、䞀定数の商人がそれぞれ船長および乗組員に察しお、商品取匕
に䜿甚する貚幣や商品を委蚗する。船䞻や船員も、自分の蚈算で投資を行うこずができる。共同冒険
組合の察象ずなった商品の運賃はそれぞれ蚈算され、たた商品の取匕から埗られた利最ずずもに、共
同の基金に入れられる。そしお、航海が終了した時、船䞻ず船員がこの共同基金の半分を受け取り、
残り半分は冒険商人がそれぞれの投資額に応じお配分を受けるこずになっおいた。
 もう぀は、船舶の共同所有である。叀代のように、自らの所有船を自ら単独で経営する船䞻や、
代理人を乗せお監督する船䞻は䞭䞖になるずごく皀になり、経営は䞻ずしお組合方匏で営たれ、倧倚
数の船舶は共有で所有されるようになった。組合員のある者が管理船䞻になり、他の組合員の党郚た
たは䞀郚が船員ずなっお、 しばしば乗船した。15䞖玀たでは船舶はおおむね24の持分に分かれおいた。
1人の組合員が2぀以䞊の持分を持぀こずも可胜であった。そうした船䞻は、自らの商品を満船する堎
合もあれば、そうでない堎合もあった。船䞻が商人でない堎合、商人の組合ず甚船契玄を結んだ。そ
れ以倖に単なる融資もあったようで、ノェネチアでは利子率が20であったずされる。
 このように、共同冒険組合であれ、船舶共同所有であれ、むタリアの堎合、乗組員の党郚たたは䞀
郚がその船舶や海商の持分所有者であっお、自分たちの劎働の察䟡は、賃金の圢匏でではなく利最分
配の圢匏でもっお報酬を受けおいた。それでも、乗組員のなかには持分所有者ではなく、単なる賃金
劎働者ずしお雇甚された船員を補充しなければならない堎合もあった。
 䞭䞖むタリアでは叀代ギリシアよりも海商掻動の取り決めが発展し、資産家でなくおも、䞀定の資
金や劎力を出し合えば船舶を所有し、商品を売買するこずが可胜ずなっおきたのである。

  䞭䞖むタリアの貿易事業は、船䞻、荷䞻の商人、劎働者の船員が集たっお1぀の組合を結成したが、こ
 れは珟代の䌁業の起源ず考えられる。
  劎働者ずしお本来は賃金を受け取るだけの船員は、䞀぀の航海ずいうプロゞェクトで䜜られた組合の
 持ち分を䞎えられ、無事航海を終えられるか亀易で儲けられるかの事業成果によっお、航海で埗た利最
 の䞀郚を「組合の分け前」ずしお䞎えられた。



 ● りィリアム・シェむクスピアの戯曲「ノェニスの商人」
  䞭䞖むタリアのノェネツィア共和囜を舞台に繰り広げられる、貿易ず借金ず恋に
 かかわる喜劇。
  ナダダ人の金貞しシャむロックが貿易商人アントヌニオに金を貞す際に取った
 担保アントヌニオの人肉1ポンドの蚌文が珟実になったこずによっお起こる裁
 刀ず、矎しく富裕な貎婊人ポヌシャを射止めんずする若者の争いが展開される。
  ・アントヌニオ 貿易商人。正矩感が匷く情に厚い。
  ・バサヌニオ アントヌニオの芪友。ポヌシャに求愛結婚を申し蟌む。
  ・ポヌシャ 莫倧な財産を盞続した矎貌の貎婊人。倚くの若者達から求愛され
   おいる。
  ・シャむロック 匷欲なナダダ人金貞し。恚みのあるアントヌニオに、倖掋貿
   易の資金を貞し぀けるが、担保ずしお借り手アントヌニオの人肉1ポンドを蚌
   文に埗る。
  この劇で描かれたアントヌニオはノェネツィアの冒険商人である。アントヌニオの出した船が掋䞊で難砎したず
 いう情報実は虚停の情報であったが入ったこずから、シャむロックが蚎えお裁刀になり、金が返せないアン
 トヌニオから担保である肉をシャむロックが切り取る暩利はあるや吊やずいう争いになる物語である。
  しかし、実際のノェネツィアでは先のような共同冒険組合が拡がっおおり、アントヌニオのように貿易船が難砎
 しおも借金の担保を取られる䟋は少なかったず思われる。


近䞖ペヌロッパにおける貿易の株匏䌚瀟制
  むギリスむングランドは、䞭䞖には亀易面でノェネツィアやハンザの商人に圧倒されおいたが、
15 䞖玀以降は海䞊亀易で力を぀けはじめ、むギリス船は倖囜船に海賊行為を働いおいた。むギリス囜
王も貿易による財政収入を増そうず軍艊を建造するようになり、倖囜人に䞎えおいた特暩を埐々に取
戻し぀぀あった。特に、囜王ヘンリヌ8 䞖圚䜍 1509-47 幎はむギリス海軍の創蚭、王立造船所の開
蚭、造船補助金の支絊などで、海運の発展に倧きく貢献した。
  この時代のむギリスの遠隔地貿易や倧掋貿易では、囜王の蚱可をえお貿易特蚱䌚瀟が䜜られおいた。
それらは、冒険商人組合Merchant adventurer's companyやレパント䌚瀟ず呌ばれたものである。


                            ~ 14 ~
                                              16䞖玀のガレオン船亀易
圌らは、   囜王から特定の航路の海商に぀いお独占暩が䞎えら          16䞖玀の亀易船
れ、䞀航海ごずに自ら芏玄を䜜り護衛船などの費甚を出し合っ
お運営しおいた。しかし、亀易そのものは加入しおいる商人た
ちが自らの勘定で船を所有あるいは甚船しお、         自らの危険負担
の䞋で行われおいた。    特蚱を䞎えた王宀も商人達が䜜った組合
に金を出しお組合員になったり、    王宀の船を護衛船ずしお貞し
出しおいた。
 この短期的な組合組織から、䌚瀟組織が発展した。組合ずい
う䞀時的に金を出しあう結瀟ではなく、     䌚瀟ずいう自前の埓業
員を持った組織集団が生たれた。    アゞア貿易で台頭しおきたオ
ランダに危機感を持ったむギリスのレノァント䌚瀟          地䞭海東
郚貿易に埓事の商人は、囜王゚リザベス 1 䞖に請願し、1600
幎にむギリス東むンド䌚瀟The East India Companyを発足
させ、自前の埓業員ず組織を持った䌚瀟ただし䞀回の航海に
限定した䌚瀟組織を蚭立した。東むンド䌚瀟は、株匏を発行しお資本金が調達され、䞀回の航海が
終わるず持株に応じお利益が配分された。東むンド䌚瀟は創業圓時には 215 人の貎族や商人の出資者
から 68,373 ポンドの資金を集めた。1612 幎たでは圓座䌁業制ずいう䞀航海ごずの䌚瀟組織であった
が、その埌は数回の航海ごずの投資に倉わり、さらに護囜卿クロムりェルの特蚱状によっお株匏配圓
になり、期間を限定した䌁業圢態から、法人ず資本の氞続性がはかられるようになった。
 珟圚の䌚瀟組織である「株匏䌚瀟」は、むギリスの盎埌にオランダで蚭立されたオランダ東むンド
䌚瀟1602 幎が起源である。オランダ東むンド䌚瀟の取り決めでは、出資者の出資金はむギリス
東むンド䌚瀟のように䞀航海毎ではなく10 幎間固定され、たた出資者は出資金のリスク以倖の責任
を負わないずいう有限責任が芏定されおおり、この点で近代株匏䌚瀟の祖ずされおいる。

 ある事業に察しお株匏を発行し、資金の出し手投資家から出資を募る「゚クィティ・ファむナンス」
は、近䞖ペヌロッパの海䞊亀易の商制床ずしお成立した。
 これは、圓時リスクの高かった海䞊貿易においお、資金の出し手が共同で䌁業を蚭立しお、その事業の
リスクを共同分担するこずによっお䞀人圓たりの危険床を䜎め、その代わりに、事業から埗られた利最を
出資者の持ち分に応じお皆に分配するずいう、珟代の株匏䌚瀟ず同じ仕組みである。



近代における起業
①産業革呜による近代的むノベヌション
 数十䞇幎の人類の歎史を1幎のカレンダヌにするず、  産業革呜以降の歎史は12月31日の23時半以降に
あたるほどの極めお短い時間にすぎない。 18䞖玀半ばから珟圚たでの300幎に満たない短い時間の䞭で
倧きな倉化が起きた。人類の歎史においおは、長い間その平均寿呜は30歳以䞋であり、生たれた子䟛
は半分以䞊は成人たでに半数以䞊が死ぬのが圓たり前だった。人々は他の動物ず同様に垞に飢えず盎
面しお生きおおり、数十䞇幎の間その状態が続いおいた。しかし、西暊1800幎前埌から急に人々が豊
かになり、今のように䞖界の䞻芁囜では䞀人圓たりで幎間数䞇ドルずいう所埗を埗るようになった。
 人類は1䞇幎前たでは、狩猟生掻で数人の集団で移動しながら生掻しおいた。  蟲耕による定䜏生掻  新
石噚時代が人類の第䞀のむノベヌションであり、  蟲耕によっお定䜏生掻に入るこずが可胜ずなった。
第二のむノベヌションは正確な文字の発明であり、情報を蚘録し的確に䌝えるこずで倧きな組織囜
家の運営ができるようになった。
 第䞉のむノベヌションは、17䞖玀埌半から18䞖玀前半にむギリスから起こった産業革呜ずいう新し
い生産システムず資本䞻矩ずいわれる近代システムである。資本䞻矩以前の封建制の䞋では、人々は
蟲業を営んでいた。䜕かモノを䜜るにしおも、1人の職人が1぀のものをコツコツず䜜り䞊げおいき、
その技胜は自分の匟子に䌝えおいった。靎屋ならば軒の靎屋の䞭で仕事が完結するずいう家内工業
で人類は数癟幎やっおきた。それに察し、産業革呜では補造技術の機械化が実珟した。圓時のむギリ
スで盛んであった綿織物・毛織物の繊維産業における織物補造機械の自動化・動力化ず、蒞気機関に
                                            、
よる動力の発明ずいうむノベヌションである。産業革呜におけるもう䞀぀のむノベヌションは、     「分業
システム」の導入である。アダム・スミスが「囜富論」で述べおいるが、産業革呜以前はピンを぀
䜜るにも䞀軒の䜜業堎で䞀人の職人が色々な工皋をすべお䜜業し補䜜しおいたものが、その工皋が
぀の工堎の䞭でそれぞれの䜜業工皋を専門ずする工員によっお行われるずいう「工堎のシステム」を


                        ~ 15 ~
生み出し、結果ずしおピンを補造する時間ずコストが飛躍的に䜎枛し、安いピンが倧量に䞖の䞭に出
回るようになった。
 ・1712幎、ニュヌコメン英によっお、蒞気機関を甚いた排氎ポンプが実甚化された。
 ・1733幎、ケむ英が、織機の䞀郚分である杌を改良した飛び杌を発明しお織機が高速化。これ
  により綿垃生産の速床が向䞊した。
 ・1769幎、アヌクラむト英が氎力玡瞟機を開発。工堎を蚭け、機械を据え付けお倚量の綿糞を
  補造するこずが可胜になり、本栌的な工堎制機械工業のはじたりずなった。
 ・1785幎、ワット英が蒞気機関の゚ネルギヌをピストン運動から円運動ぞ転換させるこずに成
  功、この蒞気機関の改良によっお、様々な機械に蒞気機関が応甚されるようになった。
 ・18䞖玀に、コヌクス補鉄法がダヌビヌ英によっお開発され、高熱が容易に利甚できるように
  なったこずから、良質の鋌鉄の倧量補造が可胜ずなった。
 ・1807幎、フルトン米によっお蒞気船が実甚化された。たた1804幎、トレビシック英によ
  り蒞気機関車が発明され、その埌蒞気機関車はスチヌブン゜ン英によっお改良された。
 この産業革呜による工業化で、むギリスをはじめずする欧米では、工堎経営に乗り出す資本家
                                        資本家が倚
                                        資本家
数誕生し、圌ら䞭産階玚ブルゞョアゞヌが発展した。こうした圓時の資本家達は、埓来のやり方
をそのたた継続する経営者も存圚したけれども、その倚くは産業革呜の技術を䜿っお新しい事業や垂
堎進出で利埗を埗ようずする「起業家」でもあったのである。

●リチャヌド・アヌクラむト
 リチャヌド・アヌクラむト英
 リチャヌド・アヌクラむト  氎力玡瞟機で富を築いた起業家
 リチャヌド・アヌクラむト17321792幎)は、1771幎に氎車を動力ずする氎玡機氎
力玡瞟機を発明した。むギリス・ランカシャヌ地方のプレストンで生たれ、28歳たで
床屋で働いた。  その埌か぀らの商売を始め、 か぀ら向け防氎染料を改良しお資金を埗た。
 1768幎、ゞョン・ケむずずもにゞェニヌ玡瞟機を改良しお、綿糞の匷床、長さなど品
質を向䞊させた。翌幎、銬を䜿った倧芏暡な玡瞟機を䜜ったがすぐに氎力によっお運転
する方法に倉曎した1771幎 。ゞェニヌ玡瞟機のように小圢のものではなく、人間の力
では動かないので、   氎力利甚を考えたが、個人の䜏宅ではできないので別に工堎を蚭け、
機械を据え付けお数癟人の劎働者を働かせお倚量の綿糞を造り出すこずに成功した。倧
量生産が可胜になり、立地に制玄がなくなったうえに玡糞䜜業に熟緎した劎働者が必芁
ずしなくなったため、倱業を恐れる劎働者や同業者などから劚害を受けたが、次々に工
堎を䜜り、品質の優れた綿糞を倧量に生産しお富豪の1人になった。1786幎、囜王ゞョヌ
ã‚ž3䞖より Sir ナむトの称号を受けた。


②19䞖玀埌半におけるアメリカの工業化ず起業掻動
 南北戊争18611865幎が終わったアメリカは、工業化が進展した時代だった。1865幎から20
䞖玀初頭たでの間に、アメリカ合衆囜は䞖界でも先進的な工業囜に成長した。1880幎代前半にアメリ
カは“䞖界の工堎”むギリスを抜いお䞖界䞀の工業囜ぞず躍進し、1890幎代にはいるず圓時の花圢産
業だった鉄鋌生産でもむギリスを䞊回った。土地ず劎働力が豊富にあり、気候が倚様で、運河、川お
よび海岞氎域など航行可胜な氎域があるこずで勃興する工業経枈の亀通需芁を満たした。
 ペヌロッパを䞭心ずする他の倧陞からは1840幎から1920幎たでに3,700䞇人ずいう䞖界史䞊で最倧
の移民がアメリカに流入しお安い劎働力を提䟛し、たた未開発の地域に倚様な地域瀟䌚が圢成された。
 さらには、 技術の進歩や茞送機関の発展が拍車を掛けた。  19䞖玀埌半は西郚開拓運動の時期であり、
鉄道が西郚を開き、誰もいなかった所に蟲堎や町ができた。ただし、むンディアンを駆逐し虐埅する
負の歎史も䞊行しお起こっおいる。1869幎に最初のアメリカ倧陞暪断鉄道が開通し、巚倧な北アメリ
カ倧陞間の移動ず茞送が近代化し、さらに鉄道の建蚭によっお広倧な垂堎西郚や倪平掋が登堎し、
事業を行おうずする者に倧きなチャンスが生たれた。産業の経営手法においおも、ヘンリヌ・フォヌ
ドが始めた移動組立ラむンやテむラヌの科孊的管理法などの経営面のむノベヌションが起こった。
 この時代のアメリカの資本家は、未開拓の垂堎、第二次産業革呜ずいわれる技術革新、茞送手段の
発展、移民による人口の急増ずいう事業を拡倧する䞊で絶奜の条件がそろっおおり、補造業のみなら
ず、鉄道、運河、茞送などの倚様な産業で新しい䌁業が蚭立され、富を埗た資本家が急増した。アン
ドリュヌ・カヌネギヌ鉄鋌   、ゞョン・ロックフェラヌ石油のように、富も人脈も持たない人間
が事業を起こしお経営を拡倧し、倧富豪にのし䞊がった起業家が倚数生たれるこずずなった。
 たた、圌ら資本家は、経営効率を高めるために、持株䌚瀟によるトラスト䌁業合同ずいう経営
手法を採甚し、倧䌁業はトラストを結んで事業を拡倧し、あるいは競合䌁業を合䜵しお垂堎を独占す
る行動が支配的ずなった。19䞖玀埌半のアメリカは劎働者運動ず政府の競争政策が未成熟で、䌁業の
自由奔攟な行動を芏制するこずは皀であったが、その埌、倧資本家の垂堎独占や容赊のない経営に瀟

                            ~ 16 ~
䌚から匷い反発が起こり、劎働者運動や反トラスト運動に぀ながった。

●アンドリュヌ・カヌネギヌ
 アンドリュヌ・カヌネギヌ米 「鋌鉄王」
 アンドリュヌ・カヌネギヌ   
 アンドリュヌ・カヌネギヌ18351919幎は、スコットランド移民の実業家。
 1835幎、スコットランドで手織り 職人の長男ずしお 生たれた。 父芪が産業革呜
で仕事がなくなっおしたった ために、1848幎に䞀家でア メリカ ぞ移䜏した。移䜏
の埌、12歳のカヌネギヌは孊校 ぞ行かずに玡瞟工堎で 働く。そ の埌、䜕床か転職
し、ピッツバヌグ電信局の電報配達の仕事に぀き、電信技士に昇栌した。その埌、
トヌマス・スコットに秘曞兌電 信士ずしお匕き抜かれ おペンシ ルバニア鉄道ぞ入
瀟する。18歳の頃、スコットが ペンシルバニア鉄道の 副瀟長に 昇進するず、カヌ
ネギヌがピッツバヌグ支店の責任者になった。
 カヌネギヌは、持ちかけられ た寝台車のアむデア を取り䞊げ、 ペンシルバニア
鉄道は詊隓的な採甚を決めた。 カヌネギヌは、借金を しお寝台 車のための䌚瀟に
出資しお富を埗る。南北戊争埌 にペンシルバニア鉄道 を退職し 、事業家ずなる。
圓時の鉄道で倚かった朚補の橋から鉄補ぞの需芁増加を予枬し、キヌストン鉄橋䌚瀟を蚭立し成功した。さ
らに、技術革新により鋳鉄よりも匷靭な鋌鉄の倧量補造が可胜になり、鉄道のレヌルや建築ぞ䜿甚されるこ
ずを予芋し、補鉄事業の芏暡拡倧に力を泚ぎ、    「鋌鉄王」ず呌ばれた。カヌネギヌは1901幎に鉄鋌䌚瀟をモ
ルガンぞ売华し、  埌の䞖界䞀のUSスティヌルずなった。 以埌は慈善掻動を行い、ニュヌペヌクのカヌネギヌ・
ホヌルやカヌネギヌメロン倧孊は圌の寄附により蚭立されたものである。

●ゞョン・ロックフェラヌ
 ゞョン・ロックフェラヌ米
 ゞョン・ロックフェラヌ   ロックフェラヌ財閥の祖
  ゞョン・ロックフェラヌ・シニア18391937幎は、実業家。スタン ダ ヌ ド ・
オむルを創蚭した。
  ニュヌペヌク州北郚のリッチフォヌドで、移動販売を営む芪のもずに生たれた。
1855幎の16歳の頃に転居したオハ むオ州クリヌブラン ドで蚘垳 係ずしお働き始め
た。1858幎に、圌は友人ず共にク ラヌク・アンド・ロ ックフェ ラヌ瀟を蚭立し、
同瀟は1862幎に圓時のアパラチア 山脈近郊で発芋され おいた油 田事業に目を぀け
お石油䌚瀟に投資を行った 。1865幎に友人ずの事業を 解散し、 粟油事業を買収し
ロックフェラヌ・アンド・ア ンドリュヌス瀟を蚭立 した。さら に同幎、第二の粟
油所を蚭立した。1867幎にロック フェラヌ・アンド・ アンドリ ュヌス瀟はこの粟
油所を吞収し、さらに芏暡 を拡倧するために、1870幎 にロック フェラヌ兄匟ず他
のメンバヌにより ス タンダ ヌド・オむ ル瀟 を創蚭し、ロックフェラヌが瀟長に就
任した。
  スタンダヌド・オむルは、埐々にアメリカ囜内で石油生産の支配暩を獲埗した。巚倧な利益を消費者に還
元せず高䟡栌で販売し続けたそのビゞネス手法は、広く厳しく批評され、スタンダヌド・オむルは反トラス
ト運動の栌奜の目暙ずしお攻撃された。スタンダヌド・オむル瀟はアメリカ石油垂堎の90を支配するに至
ったため、䞖論は次第に「反独占」   「反トラスト」ぞず向かい、1890幎にシャヌマン反トラスト法が成立し
た。1911幎、アメリカ合衆囜最高裁刀所は、スタンダヌド・オむルが垂堎を独占しおいるこずで解䜓呜什を
䞋し、同瀟は37の新䌚瀟に分割された珟圚の゚ク゜ンモヌビルずシェブロンなど        。1901幎たでに圌には
箄9億ドルの資産があり、圓時の䞖界で最も富を保有しおいた人物ず考えられおおり、ロックフェラヌの財
産を珟代の䟡倀に換算した堎合、2,000億ドルを䞊回るず掚定されおいる。

●トヌマス・゚ゞ゜ン
 トヌマス・゚ゞ゜ン米 「発明王」
 トヌマス・゚ゞ゜ン   
 トヌマス・゚ゞ゜ン1847幎1931幎は、生涯におよそ1,300もの発明を行っ
た発明家、起業家。
 ゚ゞ゜ンは1847幎にオハむオ州ミランで生たれた。小孊校に入孊するも、教垫ず銬が
合わず䞭退した。圓時の逞話ずしおは、算数の授業䞭には「1+1=2」ず教えられおも鵜
呑みにするこずができず、囜語の授業䞭にも、   「A゚ヌはどうしおPピヌず呌ば
ないの」ず質問するずいった具合で、授業䞭に事あるごずになぜを連発しおいたずい
う。最終的には担任の先生から「君の頭は腐っおいる」ず吐き捚おられ、校長からも入
孊からわずか3ヶ月で退孊を勧められたずいう。芋攟された゚ゞ゜ンは、基本的な勉匷
は小孊校の教垫であった母芪に教わった。母芪は教育熱心だったらしく、元々奜奇心が
旺盛だった゚ゞ゜ンに察しお、家の地䞋宀に様々な化孊薬品を揃え、゚ゞ゜ン自身もその地䞋宀で科孊実隓に没頭
しおいたずいう。
 このような少幎時代を送ったが、その埌は母芪の手䌝いを埗ながら発明研究を続け、1877幎、゚ゞ゜ン30歳の時
に蓄音機の実甚化
 蓄音機の実甚化商品化で名声を獲埗した。その埌、ニュヌゞャヌゞヌ州にメンロパヌク研究宀を蚭立し、研
 蓄音機の実甚化
究所では、電話、レコヌドプレヌダヌ、電気鉄道、鉱石分離装眮、電灯照明などを矢継ぎ早に商品化した。なかで
も泚力したのは癜熱電球
        癜熱電球であり、数倚い先行の癜熱電球を実甚的に改良した。圌は癜熱電球の名称を、ゟロアスタ
        癜熱電球
ヌ教の光ず英知の神、アフラ・マズダから匕甚し、   「マズダ」ず名付けおいる。䞀方で、癜熱電球の売り蟌みのため
の合匁䌚瀟を蚭立し、゚ゞ゜ンは起業家
                 起業家でもあった。鉱山経営などにも手を出すが倱敗。高霢ずなっお䌚瀟経営か
                 起業家
らは身を匕くが、オカルトに関心を移し、研究所にこもっお死者ずの亀信の実隓を続ける。1914幎に研究所が火事
で党焌し損害を蒙ったが、臆せずその埌も死者ずの亀信に぀いおの研究を続けた。




                            ~ 17 ~
20䞖玀以降の珟代瀟䌚における起業
①軍事・産業・孊術の耇合
 20䞖玀の䞖界は、産業革呜埌に発展を続ける実業界、列匷の察立・䞖界倧戊・東西察立で軍事力増
匷を必芁ずした政府、および高床な科孊技術が培われた倧孊の組織が耇合的に結束し、技術の進歩の
速床が䞊がった。この関係は䞀般に「軍・産耇合」ずしお知られおおり、軍需による技術や補品の需
                  「   産耇合」
芁、資本ず金融の集䞭による効率掻甚、および倧芏暡な適甚ず高床集䞭管理による技術革新を生む朮
流ずなった。こうした革新は、医孊、物理孊、化孊、電子蚈算、航空孊、物質科孊、造船孊、金属孊
で生たれたが、ベヌスずなる技術の進展は軍事目的の研究に負うずころが倧きかった。
 䟋えば、航空機ず宇宙ロケットの発展は20䞖玀前半の倧きなむノベヌションだが、この飛躍は軍事
利甚なくしおありえなかったずいえる。無線通信や衛星も軍事利甚が技術を飛躍させたし、珟代のむ
ンタヌネットの原型であるARPANETアヌパネットは、1969幎にアメリカ囜防総省・囜防高等研究
蚈画局による指揮の䞋に構築されたコンピュヌタネットワヌクである。
②幅広い業皮での起業                                 りォルト・ディズニヌ
                                            19011966幎
 19䞖玀埌半以降、先進囜を䞭心に囜民生掻が向䞊し、質の高い補品や倚
様で魅力的なサヌビスぞのニヌズが高たっおいった。 この䞭で、食料品や嚯
楜のような重工業以倖の業皮でも新しい起業家が急成長する事䟋も出おき
た。たずえば、 「ミッキヌマりス」の生みの芪であるりォルト・ディズニヌ
が1924幎に兄のロむず蚭立したりォルト・ディズニヌ・カンパニヌは、珟
圚の売䞊高が3兆円を越える囜際的な倧䌁業に発展した。たた、1919幎には
コカ・コヌラ瀟が創業し、1939幎にはカヌネル・サンダヌス米がケン
タッキヌ・フラむドチキンの新調理法を考案、 マクドナルドの祖であるマク
ドナルド兄匟米は、1940幎に開店しおいる。
③珟代のベンチャヌ投資
 起業家ず新蚭立のベンチャヌに察する資金提䟛も、新しいファむナンス技術が登堎した。ベンチャ
ヌキャピタルventure capitalずいう、倖郚の投資家が起業家の蚭立した䌚瀟の株匏を取埗株匏
投資し、䌚瀟を監芖し経営指導しお䌚瀟の䟡倀を向䞊させ、その埌に株匏売华により利益を埗よう
ずするスキヌムの金融業である。
 このようなベンチャヌキャピタルが生たれたのは、第二次䞖界倧戊埌のアメリカ・ボストンで、ハ
ヌバヌド倧孊教授のゞョヌゞ・ドリオ教授や実業界の経営者によっお1946幎に蚭立された。これがア
メリカン・リサヌチ・アンド・ディベロップメントARDずいう投資䌚瀟である。ベンチャヌキャ
ピタルは戊埌のアメリカで始たった投資業であるが、       1970幎代に日本にも導入され珟圚に至っおいる。
④情報通信技術の急速な発展ず起業家
 パ゜コンやむンタヌネットの発展は、ここで述べるたでもない。しかしコンピュヌタヌもトランゞ
スタヌも、初めお䞖で発明されたのは第二次倧戊以降のこずであり、たた、䞖界発のパヌ゜ナルコン
ピュヌタヌを䜜ったアップルの創業は珟圚から35幎前の1975幎である。さらには、むンタヌネットの
商甚化は1995幎ず今から15幎前の最近の発明なのである。
 この短い期間においお、珟代瀟䌚は補品・サヌビスの氎準が飛躍的に向䞊した。半導䜓産業はトラ
ンゞスタヌが発明された1947幎、IC集積回路が発明された1958幎以降に急速に発展し、コンピュ
ヌタヌ産業はその半導䜓のむノベヌションを利甚しお1980幎代に倧きく䌞長した。アメリカの起業家
やベンチャヌビゞネスが集たっおいる「シリコンバレヌ」  サンフランシスコ垂を北端に南に100キロほどの
湟岞地垯、25ペヌゞの参考は、シリコンを䞻䜓原料ずするIC集積回路を取り扱う゚レクトロニ
クス関連産業が集たったために、1970幎代からこのように呌ばれはじめた。
 こうしたむノベヌションの過皋においお、倚くの起業家がベンチャヌビゞネスを起こし業瞟を拡倧
させ、 さらに資金調達をはかるために蚌刞取匕所に株匏を䞊堎 新芏株匏公開、
                                      IPO、35ペヌゞの参考―
させた。これによっお、起業家が保有する䌚瀟の株匏の䟡倀が䜕癟億円あるいはそれをはるかに䞊
回る金額ずなり、億䞇長者ずなる起業家が出おきた。その兞型䟋がマむクロ゜フトのビル・ゲむツ、
アップルのステヌブ・ゞョブズであり、珟圚のアマゟン・ドット・コム、ダフヌ、グヌグル、フェむ
スブックのようなベンチャヌに぀ながっおいく。
 19䞖玀以前の起業家は、自分の立ち䞊げた䌚瀟からの絊䞎報酬や配圓で富を圢成したが、20䞖玀埌
半の起業家は、立ち䞊げたベンチャヌビゞネスを株匏垂堎に公開するこず株匏垂堎で売買取匕でき
るようにするこずによっお、持株の経枈䟡倀を増倧させお富を埗おいるのである。



                         ~ 18 ~
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株匏䌚瀟AllAdsず申したす。サヌビス玹介資料で埡座いたすので、是非ご芧くださいたせ。
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゚ンゞニア採甚のミスマッチを防ぐコヌディング詊隓サヌビス『HireRooハむダヌルヌ』
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JAPAN WEB3.0 AWARD 2023 ブロックチェヌン(NFT)技術を掻甚したアむディア 優秀賞䜜品 遺3.0盞続
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Entrepreneurship Textbook vol.1

  • 1. 序 事業創造をどう孊んでいくか ◆倧孊は将来を自分で拓く時期 君は䜕のために勉匷しおいるか。あなたはどんな人生を歩みたいず思っおいるのか。䜕がしたいの か。あるいは、なぜ仕事をしなければならないのか。 倧孊生は、倚かれ少なかれこうした真正面からの疑問に悩むものである。今の倧人達も若い頃には 皆それを考えおいた。自分で進む道を決めた者、決められずにやりすごした者はさたざたであるが、 ずもかくもそれぞれの力で今を生きおいる。 過去に歎史に名を残した人間も、若き時代には同じように進むべき道を考えおいた。土䜐に生たれ た坂本韍銬は倒幕運動の志士ずしお身を立おようし、埌玉の深谷で育った枋沢栄䞀は尊王攘倷に本気 になっお暪浜を焌き打ちにする䌁おを考えた。゜フトバンクの孫正矩瀟長は犏岡県久留米の高校を䞭 退しおアメリカに枡り自分の人生を切り拓こうずした。 それずは逆に、自分で人生を考えお遞択するこずができずに、定められた道を生きるために歩たざ るを埗なかった者も倚い。パナ゜ニックを創業した束䞋幞之助は、家が貧しいために小孊4幎生で商店 に奉公に出された。トペタの祖である豊田䜐吉は父芪の倧工の仕事を継ぐしかなく、ホンダを創った 本田宗䞀郎は家が鍛冶屋だったから自動車修理店に入っお子守の仕事をさせられた。皆がそういう人 生を歩たざるを埗なかった時代であった。 珟代は昔のそれずは異なっおいる。幞いなこずに、若い頃に考える時間ず環境が䞍足しおいるわけ ではない。日本の若者の半分以䞊は倧孊に進孊し、本人にやる気かあるかどうかは別ずしお、少なく ずも4幎間就職掻動を陀けば実質的には3幎匱は瀟䌚に出る前のトレヌニングを倧孊の内倖で受け る時間はある。 ◆重芁なのは、瀟䌚における「取り決め」 人は、憲法の基本的人暩にあるように、瀟䌚で自由に掻動するこずを蚱されおいる。孊校を卒業す れば、孊校の䞭の指導や匷制からも「自由」になる。しかし、瀟䌚では他人が孊校のように手取り足 取りでは人生を導いおくれないし、倚くの堎合は叱っおもくれない。 人間の実瀟䌚ずは、自分ず他の組織や個人ずの間で䜕かを決めお、自分が働き、その分の䟡倀を金 銭で埗るこずを基本ずする䞖界である。これは圓たり前の話だが、わかりやすく蚀えば、自分が働い おお金を皌ぐこずだ。サラリヌマンはもちろん、お笑いタレントでもプロ野球遞手でも倧孊の教員で も、日々の劎働で収入を埗おいるこずには倉わりがない。人間でなくずも、生きるためのものを皌ぐ こずはすべおの生物が行っおいる行為である。ラむオンは獲物を远わなければすぐに飢えおしたう。 人間が賢いのは、生きるための皌ぎ方を「組織的」に行うこずができるこずである。人間は頭を䜿 えるから、䌚瀟ずいう集団の組織を䜜っお、ものを個人が分担しお生産し販売し、金を皌いでいる。 しかし、人間がその組織䌚瀟をうたく運営するには、さたざたな「取り決め」を孊び理解した䞊 で円滑に凊理をしなければ、ものがうたく䜜れない、補品を売っおも損が出おしたう、あるいは代金 が回収できないこずになる。 本質的にいえば、経営孊郚で孊ぶ「経営」ずいう孊問は、生きるため に皌ぐこずを目的に䜜った組織を、どのように運営しお、満足できる皌 ぎを獲埗するこずができるかを䜿呜ずしおいる。皌ぐずいう蚀葉にはあ たり良いむメヌゞがないかもしれないが、この本質から目をそらしおは いけない。皌ぐずいう蚀葉が気にさわるならば、䟡倀を創るこずず蚀い かえおも良い。怍物は光合成によっお氎ず二酞化炭玠ずいう原料から炭 氎化物を生産し、生きる゚ネルギヌずいう䟡倀を生み出しおいる。 人間は組織を䜜っおいるから、他の生物より圧倒的に優れた䟡倀を創 っおいるけれども、それには倚皮倚様な取り決めが定められお、参加す る人間がそれに埓っおいるために、円滑な運営が可胜になるのである。 このように、円滑に組織を運営する「取り決め」ずそれを行う理由を孊ぶのが経営孊ず考えおほしい。 経営孊郚で孊ぶ䌁業マネゞメントも、簿蚘も䌚蚈も、情報技術も、組織を運営する䞊であるいは組 織で働く䞊で必芁な知識を埗るこずが目的であるはずだ。 ~1~
  • 2. ◆事業創造を孊ぶず、組織の本質がわかる このテキストでは、れロから始たる事業をどのように立ち䞊げおいくか、あるいはそうした事業の 創造起業にはどのような特城があるか、どのような人々が行っおいるのか、ずいうこずを解説し おいる。 たったくの始たりから事業をスタヌトさせるず、先に述べたような人間の䟡倀の䜜り方皌ぎ方 が珟堎で芋えおくる。䌚瀟ずはどのように䜜るのか、瀟長や郚長や埓業員はどのような圹割の分担が あるのか、あるいは䌚瀟の資金はどのように調達しおいるのか。倧きな䌚瀟や圹所にいるず、その事 業の本質がみえにくくなるものだ。1䞇人も埓業員がいる倧䌁業で働いおいるず、日々の自分の仕事で 䌚瀟の経営が芋えるものではない。自動車メヌカヌで品質管理を担圓しおいる係長にずっおは䌚瀟の 決算曞は経理郚の仕事でしかないだろうが、新宿でネットワヌクゲヌムを䜜っおいる埓業員5名のベン チャヌでは株䞻総䌚で䜕が議論されたか皆が知っおいる。 ◆自分の頭で批刀的に考えるこずが重芁 䌚瀟を䜜る、運営する、儲ける事ずは䜕かずいうように、人間の経枈掻動の本圓の意味を探ろうず しお経営を孊ぶならば、おそらく自分達が授業を受けおいる理由や目的も玍埗できるものになるだろ う。孊生ずいうものは若くお自由だからこそ、瀟䌚が決めた取り決めや慣習に察しお無条件無批刀に 埓うだけではなく、たずはその意味を批刀的に考えおもらいたい。 䌚蚈や情報技術の授業では、こういうルヌルだからこのように凊理せよず決め事に埓うこずを匷制 させられるこずが倚い。しかし、このテキストで取り䞊げるアントレプレナヌシップは、 「なぜ」が 重芁な孊問である。その理由を䞀蚀でいえば、考えるこずなく無批刀に生きおいおは新しい事業は生 たれないからだ。珟存するビゞネスや瀟䌚に疑問を感じお悩んだからこそ、倚くのベンチャヌが生た れおきた。マクドナルドや吉野家は、それたでの飲食店のサヌビスが遅くお問題だず考えたからこそ、 「早い、安い、うたい」メニュヌを考え出しおきた。ダむ゚ヌを䜜った䞭内功は小売店の䟡栌が高す ぎるず思ったから、 「安売り」を商売にしお日本䞀になった。 このテキストはさたざたな情報を解説しおいるけれども、出おきた内容を芚えなければずいう矩務 感を持぀必芁はない。もちろん、倪字ゎシックで蚘した重芁項目は芚えおほしいが、倧事なこずは各 項目のストヌリヌを読んだ埌に批刀的に考えるこずである。このようなクリティカル・シンキング critical thinking、批刀的思考を促すために、テキストの各節の終わりに150以䞊の「蚭問」を甚 意しおいる。講矩においおは、担圓教員がこれらの蚭問から逐次セレクトしお課題を出すこずになる が、受講者は各章を読む前に末尟の蚭問を䞀読するず各節のねらいがわかるだろう。 経営は、瀟䌚で生掻する限り誰もがさたざたな局面で盎面するこずである。同時に、生きおいる以 䞊は誰もが経営に関わらざるをえない。サラリヌマンでも、自営業者、公務員、あるいは家庭の䞻婊 でも、組織や家蚈に責任を負う者は、それぞれの芖点で経営の仕組みを実践的に孊ぶこずにより、自 分の可胜性を高めるこずができるはずだ。 孊んで思わざれば 則ち眔くらし。 思うお孊ばざれば 則ち殆あやうし。 孔子「論語為政」 ~2~
  • 3. 第郚 アントレプレナヌシップ総論 Ⅰアントレプレナヌシップを孊ぶずいうこず アントレプレナヌシップを孊 はじめに6぀のポむント (1)アントレプレナヌシップは『新しい経枈䟡倀を創出するこず』が目暙である。 アントレプレナヌシップ9ペヌゞにその意味を掲茉は、新しい物や技術やサヌビスを珟実に創り出すこ ずであり、経枈䟡倀を増やすこずを善ずし、目暙にしおいる。良い経枈瀟䌚機胜を䜜るこずずか、 個人や䌁業が䟡倀を分け合う分配する行動ではなく、あくたでも䟡倀を創るこず商売で売䞊利益 を増やすこずがアントレプレナヌシップの目指すものである。 (2) アントレプレナヌシップは『実践的』である。 アントレプレナヌシップは、珟実の人間の経枈掻動がほずんど唯䞀の関心であるから、その孊問も 実践的で珟実的なものである。珟実のビゞネスで商売がうたくいくために孊ぶのである。 (3) アントレプレナヌシップは、知だけでなく、『経隓ず行動』が重芁である。 アントレプレナヌシップは、教宀の講矩やれミナヌルで孊ぶ「知識」だけではなく、珟実瀟䌚での ノりハり・テクニック等の「経隓」が重芁であり、たた新事業やベンチャヌで「行動するこず」も しくは行動する起業家を理解するこず、芳察するこずが最終目暙である。 アントレプレナヌシップは倧孊の䞭だけで孊べるものではない。英語や数孊のように教宀で孊んで いくよりも、䜓育や音楜のように実技が重芁な科目ず考えたほうがよい。ルヌルや技術の知識があ っおも野球ができないように、アントレプレナヌシップは頭だけではなく経隓ず行動が欠かせない。 (4) アントレプレナヌシップは『倚面的』である。 アントレプレナヌシップは孀立した孊問分野ではなく、経営孊や経枈、金融、法埋、政治、瀟䌚、 文化などの倚くの芁玠が圱響し䜜甚しおいる。したがっお、アントレプレナヌシップは経営孊だけ で考えるのは充分ではなく、他の孊問の知識や考え方を借甚し掻甚しおいかなければならない。 (5) ベンチャヌを起業するため、ベンチャヌに入瀟するためだけの孊問ではない。 過去20幎の䞖界では、アントレプレナヌシップが人間の幞犏を向䞊させるうえで重芁な圹割を果た しおきた。倧孊生は、ベンチャヌに入る以前の段階においお、珟代の経枈瀟䌚を理解するためにア ントレプレナヌシップを孊ぶべきである。ベンチャヌの経営者を目指すためだけの講矩ではない。 倧䌁業や䞭堅䌁業の新芏事業や、 瀟䌚犏祉や瀟䌚改善のための新しい取り組み、地方振興の運動も、 その基盀はアントレプレナヌシップである。 (6) 起業家は生たれるのではなく、䜜られる。 ”Entrepreneurs are made, not born.” 起業家は、生たれ぀きの玠質を持った人間が起業しおいるのではなく、成 功したベンチャヌ経営者は才胜だけで成功したわけではない。マむクロ゜ フトのビル・ゲむツ氏も゜フトバンクの孫正矩氏も、すばらしい才胜を持 っおいるが生たれ぀きの倩才ではなく、どこかで孊習しおいる。その堎 所は倧孊ではなく、家庭や友人、あるいは職堎の仕事からかもしれないし、 あるいは先茩の経隓や倱敗談から孊んでいるだろう。アントレプナヌは孊 習が䞍可欠である。 たた、起業家は自分の力だけで成功したのではない。ベンチャヌで働く仲 間や郚䞋、掻甚する技術やアむデア、そしお足りない資金を提䟛する投資 家があっおこそ経営を成り立たせるこずが可胜である。したがっお、自分 自身の知識胜力だけではなく、䞖の䞭の資源に぀いお孊んでいくこずが重 芁であり、そうした資源の有効掻甚技術を孊んで実践できる胜力を持った 人間が成功しおいるず考えおほしい。 ~3~
  • 4. アントレプレナヌシップはなぜ重芁か ①教育の根底は、珟実を理解するこず 倧孊は、孊術研究を行う堎であるず同時に、高等教育の堎である。高等教育に぀いお倧孊が期埅さ れおいるのは、孊生に察しお、充実した人生を送れる良き瀟䌚人ずなるための準備、幅広い知識、劎 働意欲、科孊的合理性、批刀的思考、道埳性や文化教逊の逊成などを習埗させるこずである。 これらはどれも重芁な目暙だが、もっず根本的な孊習の目暙がある。それは『理解するこず』であ る。私達は、理解もしおいない䞖界を改善するこずはできず、自分自身を、その匷さ、限界、動機を 把握しおいなければ前に進むこずもできない。䞖の䞭ず自分をより理解可胜なものにしおいくこずに より、倧孊教育は人間的成長、創造性、達成、進歩の基瀎がためをするこずができる。 「理解するこず」が孊習の基本的な目暙であるずするならば、倧孊は、珟代の生掻における経隓・ 条件を反映するものでなければならない。倧孊が䞖界から切り離され、そこに働きかけないのであれ ば、䞖界を理解可胜なものにするこずは難しい。 倧孊での孊習は、孊生に察しおこれから生きおいく珟実をどのように理解しどのように圱響を及が しおいくかを教えなければならない。孀立し固定されおしたった教育が成功するはずもない。過去の 優れた業瞟を研究し、人間の本性に぀いお問い続けるこずは、教逊ある人間になるための基本である が、倧孊の長所はそのダむナミズムず適応力であり、叀兞的な問題だけでなく、自然・瀟䌚・人間の 経隓における切迫した目の前の問題に取り組む胜力である。 ②アントレプレナヌシップは、䞖界の重芁なファクタヌ 新しい事業に取り組んで新しい䟡倀を創出しおいるアントレプレナヌシップずいう抂念ず掻動は、 䞖界の経枈瀟䌚においお重芁なファクタヌである。アントレプレナヌシップは、䞖界䞭の補品やサヌ ビスにむノベヌションず改善をもたらし、より効率的で入手しやすく効果的なものにしおいる。アン トレプレナヌシップは、私たちの個人ずしおのあるいはコミュニティずしおの生掻レベルを高めおお り、たた人々の働き方やコミュニケヌションを倉化させおいる。たた、䞖界的に倩然資源が枛少し、 人類が持続可胜な将来を保っおいくためには、むノベヌションだけでは十分ではない。我々に必芁な のは、新たなアむデアを実珟し倚くの人々が利甚できるようにする掻動であり、これこそアントレプ レナヌシップなのである。 こうしたアントレプレナヌシップをうたく利甚できるかどうかは、結局は我々が「理解するこず」 にかかっおいる。理解できないものを考案し改善するこずはできないのである。蚳のわからない物を 修理しお盎すこずはできない。理解するこずは倧孊教育の根本的な目的であり、アントレプレナヌシ ップず倧孊教育は切っおも切れない関係である。こうしたこずから、アントレプレナヌシップが倧孊 の孊郚教育のテヌマずしお取り䞊げられるのは自然な動きなのである。 アントレプレナヌシップが察象ずするのは「ベンチャヌだけではない」 ~4~
  • 5. 日本でアントレプレナヌシップが意味を持぀理由 ①新しい経枈䟡倀創出が求められおいる たずえば、䞖の䞭に぀いお次の4぀を考えおみよう。 (1)珟代の日本は、欧米に远い぀け远い越せずいう高床成長期たでの時代ではない。䞭囜等のアゞア や新興囜に負けないような補品・サヌビスを新しく生み出しおいかなければならない。  菅総理倧臣の斜政方針挔説、2011幎1月24日、衆議院本䌚議  ・䞖界䞭が、新しい時代を生き抜くにはどうすればよいか暡玢しおいたす。日本だけが、経枈の閉塞、瀟 䌚の䞍安にもがいおいる蚳にはいかないのです。珟実を冷静に芋詰め、内向きの姿勢や埓来の固定芳念 から脱华する。そしお、勢いを増すアゞアの成長を我が囜に取り蟌み、囜際瀟䌚ず繁栄をずもにする新 しい公匏を芋぀け出す。たた、瀟䌚構造の倉化の䞭で、この囜に暮らす幞せの圢を描く。今幎こそ、こ うした囜づくりに向け舵を切る。私のこの決意の䞭身をこれから説明いたしたす。 (2)倧孊生の就職が深刻な状況にある。䌁業が新卒採甚を抑制しおいる理由は、芏暡の拡倧に積極姿 勢が取れないからである。新しい垂堎を創りだし、商売によっお経枈䟡倀を増やしおいかなけれ ば、瀟䌚で掻躍すべき若者が損をする。「成長」は若い䞖代に恩恵をもたらすものなのだ。 (3)地方をみるず、少子化・高霢化や過疎によっお沈滞しおいる。たずえば地方郜垂の商店街はシャ ッタヌ通りず化し、働き手の若者がいない。雇甚の受け皿であるべき倧䌁業は、地方に工堎に建 蚭するよりもアゞアに工堎を䜜っお珟地生産をしおいる。地方はアゞアず芋えない競争をしおい るのである。沈滞を打開しようず、県や垂町村は、新しい地堎産品、B玚グルメの新商品䜜り、 海倖芳光客やプロスポヌツの誘臎など、さたざたな「地域振興策」を掚進しおいる。 (4)東日本倧震灜ですさたじい被害を受けた日本は、これから埩興の時代になる。戊灜の埌のような 東北地方で、䜕䞇人もの人々が文字通りれロから仕事を再開しおいく。氎産業を再開する、小売 の商店を埩掻させる。それぞれが加工堎を䜜り盎し、店を新築し、新たな生きる糧を創り䞊げお いくこずだろう。 以䞊は日頃のニュヌスで聞かされる話であるが、いずれにも「新しい取り組み」ずいうフレヌズが 入っおいる。民間䌁業だけでなく、囜や自治䜓も地方の人々も孊生も、新しいこずを考えお䌁おお再 建しおいかねばならない。 ②それぞれの堎におけるアントレプレナヌシップ だからこそ、新しい取り組みを孊ぶこずが必芁であり、重芁である。 新しい経枈䟡倀を創出するこ 『 しい経枈䟡倀 創出するこ 経枈䟡倀を ず』を目暙ずするアントレプレナヌシップを孊び研究し、21䞖玀日本の課題に察凊しおいくこずが重 芁になっおいるのである。 もちろん、既存の経枈孊、経営孊、瀟䌚孊、あるいは理工孊の分野から、こういった問題に取り組 むこずもできる。しかし、アントレプレナヌシップは、これらの孊問領域に欠けおいる新しい知識を 䞖の䞭に提䟛できる抂念である。 実瀟䌚の職堎においお、新しい事業を行う知識技術を掻甚する堎面はどこにあるだろうか。たずえ ば、䞋の衚で瀺した職堎でアントレプレナヌシップをどのように掻甚できるかを自分で想像しおみよ う。そこで考える䞭で、アントレプレナヌシップの重芁性がおのずず明らかになっおいくだろう。 それぞれの職堎における「アントレプレナヌシップ」 職堎 課題ず事業構想 アントレプレナヌシップ NPO法人「カ 人ずうたくコミュニケヌションできない高校生ず瀟䌚ずなじたせるプロゞェクトを立 民間非営利組織による瀟䌚改革運動の新 タリバ」 ち䞊げNPO法人を蚭立したが、掻動資金もボランティアの数も足りない。 しい取り組み。 商店街で営業しおいた叀本屋は店を閉めたが、4幎前に始めたアマゟンに出 前橋垂の叀本 店しおいるアフィリ゚ヌトプログラム叀曞ECビゞネスが急成長。拡倧するた 新しい流通圢態ECぞの取り組み。 屋 めに叀曞買取の店を䜜るこずを怜蚎䞭。 過疎化が進む町においお、町独自の新しい地堎産品の䌁画、補品化を暡玢 犏島県の町圹 しおいるが、倧半がうたくいかずに倱敗しおおり、いかに䜎リスクでそこそこ売れ 新しい地堎産品の開発ず販売䌁画。 å Ž る補品を䜜っおいくかが課題になっおいる。 千葉垂の瀟䌚 千葉垂の老人向け介護ケア斜蚭が慢性的に䞍足で、犏祉協議䌚のメンバヌ 瀟䌚犏祉団䜓の新芏事業進出。 犏祉協議䌚 でデむケアセンタヌ開蚭を考えおいる。 生埒のいじめの問題や孊校近蟺の治安の問題を、保護者や地域関係者を小 䞊尟垂の小孊 孊校での新しい教育支揎䜓制の䌁画ず構 孊校に参画しおもらっお䞀緒に孊校経営を考えおアクションする取り組みを暡 æ ¡ 築。 玢しおいる。 ~5~
  • 6. なぜ倧孊で「アントレプレナヌシップ」なのか アントレプレナヌシップは、長らく経枈孊のテヌマの䞀぀にすぎないず考えられおきた。しかし、 最近の研究では、アントレプレナヌシップが珟代経枈における富の創出の䞻圹ずしお先導的な圹割を 担っおいるこずが認められおいる。少なくずも過去20幎の䞖界では、たえず新しい事業が誕生し、そ れらの事業の原動力であるアントレプレナヌシップは人間の幞犏を向䞊させるうえで重芁な圹割を果 たしおいる。 こうした認識がある䞭で、アメリカの倧孊ではアントレプレナヌシップに関する講矩は急激に増加 しおいる。以前からビゞネススクヌルでは䞀般的なカリキュラムずしお扱われおいたが、近幎は関心 が高たる䞭で孊郚教育の䞭で最も急速に拡倧しおいるテヌマである。 ある調査によれば、1985幎圓時、 アメリカの倧孊で蚭眮されおいるアントレプレナヌシップ関連科目は玄250だったものが、 2008幎珟圚 では5000を超え、アントレプレナヌシップを専攻科目にできる倧孊のプログラムは、1975幎の104æ ¡ から2006幎には500校超ぞず増加しおいる。 䞋の衚は、アメリカのアントレプレナヌシップ教育で最先端にあるバブ゜ン倧孊米マサチュヌセ ッツ州経営孊郚で開講しおいるアントレプレナヌシップ関連科目のリストである。䞀芋しおわかる ように、倧孊ではベンチャヌビゞネスの経営だけを教えおいるのではない。ファミリヌビゞネス家 業や倧䌁業のコヌポレヌト・ベンチャヌ、䞖界各囜のアントレプレナヌシップ、あるいは瀟䌚問題を アントレプレナヌシップの芖点で分析しお解決に向け取り組もうずする瀟䌚孊関係の授業もいく぀か 蚭けられおいる。これは4幎制孊郚の倧孊生ビゞネススクヌル等の院生ではないに察する授業であ り、専攻科目ずしおだけではなく「教逊科目」ずしおアントレプレナヌシップが教えられおいるこず がわかるであろう。 バブ゜ン倧孊・経営孊郚孊郚のアントレプレナヌシップ関連科目 分野 䞻テヌマ 講矩の名称英語原文 経営管理 事業機䌚 Entrepreneurship and Opportunity 成長事業の経営管理 Managing Growing Businesses テクノロゞヌ New Technology Ventures 起業家論 Great Entrepreneurial Wealth: Creation, Preservation and Destruction ファミリヌビゞネス戊略 Key to Success Family Business Enterprises 起業家ずしおの家業経営 Family as Entrepreneur コヌポレヌト・ベンチャヌ Corporate Entrepreneurship マヌケティング Marketing for Entrepreneurs 成長戊略 Venture Growth Strategies 事業の実践挔習 The Ultimate Entrepreneurial Challenge ファむナンス 資金調達 Raising Money-VC, Angels & Incubators ベンチャヌファむナンス Entrepreneurial Finance 囜際 䞭囜の起業 Entrepreneurship and New Ventures in China 䞭南米の起業 Entrepreneurship in Latin America アゞアの起業 Entrepreneurship in Asia 瀟䌚 瀟䌚的起業家論 The Enlightened Entrepreneur: Changemakers, Inspired Protagonists, and Unreasonable People 瀟䌚的起業の蚈画 Social Entrepreneurship by Design 瀟䌚的起業の経営管理 Social Enterprise Management 瀟䌚問題の芳察 The Enlightened Observer 環境ず起業 Environmental and Sustainable Entrepreneurship トルコの環境関連起業 Social Responsibility through Eco-Enterprise in Turkey アフリカの起業ず瀟䌚 South Africa: Entrepreneurship, Culture, & Society in Developing Economy 文化 起業的文化 The Creation of Entrepreneurial Culture within your Organization ワヌクショップ 起業䜓隓䞀般 Living the Entrepreneurial Experience (General Focus) 起業䜓隓䌁業 Living the Entrepreneurial Experience (Corporate Focus) 起業䜓隓技術開発 Living the Entrepreneurial Experience (Technology Focus) 起業䜓隓家業 Living the Entrepreneurial Experience (Family Focus) 起業䜓隓瀟䌚起業 Living the Social Entrepreneurial Experience 出所バブ゜ン倧孊ホヌムペヌゞ。 さらには、最近の倧孊自䜓が、起業掻動を行っおいる。各倧孊は「技術移転オフィス」 TLO、 Technology Transfer Office。を通じお、倧孊内の教員や研究者がベンチャヌビゞネスを蚭立しお自ら の研究を垂堎向けに商品化するこずを支揎しおいる。研究機関ずしおの倧孊は、むノベヌションや、 新たな䌁業の基瀎ずなるような新たな補品・プロセスの創造ずいう点で、唯䞀ではないにせよ重芁な 源泉ずなっおいるのである。倧孊が教員による重芁な掻動ずしおアントレプレナヌシップを掲げ぀぀、 そうした掻動を孊生たちに教えおいないずすれば、孊校の䜿呜ず実践が乖離しおしたう。 ~6~
  • 7. アントレプレナヌシップの孊び方 アントレプレナヌシップ教育の特城 アントレプレナヌシップ教育の 教育 ①察象が具䜓的な「珟実の掻動」 では、倧孊生はどのようにアントレプレナヌシップを孊んでいけばいいのだろう。 アントレプレナヌシップは、音楜ず同様に、テヌマを自ら䜜り出すような孊問であっお、目暙ずな るこずを発芋するような孊問ではない。たずえば、歎史孊、瀟䌚孊、人類孊ずは違っお、アントレプ レナヌシップは、その研究察象を孊ぶ者が自分で䜜り出すものだ。たた、アントレプレナヌシップの 関心は具䜓的な珟実、すなわち新事業や䌁業、補品、サヌビスを䜜っおいる掻動である。哲孊者はも っぱら他の哲孊者を盞手に話したり曞いたりするだろうが、アントレプレナヌや音楜家にずっおは、 「芳客」や「垂堎」が必芁である。 ②音楜ずの類䌌 倧孊のカリキュラムの䞭で、アントレプレナヌシップがどのように䜍眮づけられるか理解するには、 アントレプレナヌシップず音楜を比范するずわかりやすい。アントレプレナヌシップ教育ずは、音楜 教育ず同じように、プロフェッショナルからアマチュアたで広がる連続䜓に沿っお行われる。音楜の 堎合、掻動の䞀方の端には䜜曲家や挔奏家がいる。他方の端には、䜜曲家や挔奏家のパフォヌマンス を鑑賞する芳客がいる。その䞭間には、指揮、特定の楜噚の習埗、理論、歎史など、音楜における倚 くのファクタヌが存圚し、音楜ずいう芞術テヌマを理解し楜しむこずに貢献し、たた音楜をより発展 させおいる。音楜の教育ずは、こうした連続䜓を倧切にし、どのファクタヌも軜芖しないものである。 音楜教育では、名挔奏家にはどうすればもっず良い挔奏ができるかを教え、鑑賞する人達にはどのよ うに音楜を味わうかを教える。音楜がどのように䜜甚するかを瀺し、どのように倉化しおいるかを図 瀺し、その芁玠を分析する。 さらに音楜は、アントレプレナヌシップず同様に競争が行われる「実力䞻矩」である。しかしその 実力ずいうものは、単玔なものでも絶察的でもない。音楜を聎く芳客に圱響され、芳客が音楜のテヌ マの圢成を手䌝い、どのような音楜が倧切なのかを聎き手が決める。聎き手の趣味が良くなり、期埅 の氎準が高たるほど、音楜は良いものになっおいく。アントレプレナヌシップも音楜ず同様に実力䞻 矩の䞖界だが、アントレプレナヌシップの実力は垂堎お客、需芁家により決められる。このよう に、音楜のシステムは、アントレプレナヌシップに盞圓皋床あおはたるのである。 ③倧孊それぞれに教育は異なる それぞれの倧孊で、アントレプレナヌシップ教育の枠組みを画䞀的に適甚できるずは考えにくい。 孊校が違えば、察象ずする孊生も教員も、歎史も、文化も、目的も別々である。倧孊はさたざたな教 育的な機胜を果たしおおり、孊生の䞖代も倚様化しおいる。たずえば、ビゞネススクヌルを䜵蚭する 倧孊におけるアントレプレナヌシップは、ビゞネススクヌルを持たない倧孊のアントレプレナヌシッ プ教育ずは別物かもしれない。アントレプレナヌシップは、「この教育でどこの倧孊にもOK」ずいう 孊問ではない。それぞれの教育課皋には特有の成果があり、教育察象の孊生があり、倧孊の地元のコ ミュニティの䞭で掻動しおいる。したがっお、アントレプレナヌシップ教育は、䞀぀の凊方箋がある わけではないのである。 アントレプレナヌが掻動する瀟䌚は、偶然によっお出珟し、続いおいくものではない。我々が、そ れを構築し維持しおいかなければならないのだ。そのためには、アントレプレナヌシップがなぜ倧切 なのか、それがどのように䜜甚するのか、そうすればそれを維持できるのかを理解する必芁がある。 そうした孊習ができる堎を提䟛するのが倧孊教育なのである。 ④アントレプレナヌシップは、倚面的な芁玠からなる実践的孊問 先にみたように、アントレプレナヌシップは実瀟䌚の珟実掻動がテヌマであるが、それは䞀぀䞀぀ の孀立した掻動ではなく、倚皮倚様な芁玠に圱響される。経営孊の実践ずしおアントレプレナヌシッ プを考えおみおも、経枈や金融、法埋、政治、瀟䌚、文化などの芁玠が掻動に圱響し䜜甚しおいる。 アントレプレナヌシップはこれらの芁玠孊問の分野が結び぀き、おたがいに匷化しあい、そしお 理論ず実践を橋枡しするシステムになっおいる。 アントレプレナヌシップは珟実のビゞネスを重芖しおいるから、理論や思玢ではなく具䜓的なビゞ ネスの成吊が重芁である。具䜓的なビゞネスは、「孊習」ではなく、「行動」である。アントレプレナ ヌシップは、新しい事業を目指す意思や構想から「きっかけ」を぀かみ、そしお起業掻動やそのプロ セスを理解する「知識」ず「経隓」を孊び、そのような孊習が終わった䞊で新しい事業のチャンスを ずらえお起業しおいく行動ずいうプロセスが望たしい。アントレプレナヌシップの教育も、この プロセスにしたがっお行われおいくこずが最適である。 ~7~
  • 8. 「アントレプレナヌシップ教育のむメヌゞ」 Heinonen. J., et al.(2006) ”An entrepreneurial-directed approach to entrepreneurship education: mission impossible?”, Journal of Management Development, vol.25, pp.80-94. どのような科目を孊んでいくか どのような科目を 科目 アントレプレナヌシップは、日本では新しい孊問領域である。日本で初めおアントレプレナヌシッ プの専門コヌスが開蚭されたのは1992幎の法政倧孊倧孊院の起業家コヌスであり、それからただ20幎 も経っおいない。2008幎時点では日本党囜の247の倧孊・倧孊院でアントレプレナヌシップ関連の科目 が教えられおいるが、ただ教育䜓系が充分に敎備された倧孊は少ない。 ①倧孊孊郚で孊ぶこずが望たしいアントレプレナヌシップ領域 では、孊生はどのような科目を取りながらアントレプレナヌシップを孊んでいくか。倧孊が蚭眮す る科目が少ないから、圓然、孊生が自由に遞択する䜙地は少ない。そのような制玄があるものの、珟 圚の日本におけるアントレプレナヌシップからみお必芁な孊習領域は以䞋のようなものが考えられる。 しかし、䞋蚘のような講矩科目が完備しおいる倧孊は日本には少なく、倚くの倧孊ではキャンパスで 、科目の講矩を開いお運営しおいるため、内実は䞋衚のようなテヌマをたずめお講矩するような 「あれもこれも」の総花的な講矩になっおいるようにも思われる。 1.経営管理 ・アントレプレナヌシップの意思、機䌚、事業構想。 ・ベンチャヌの事業蚈画ビゞネス・プラニング ・ 。 ・ベンチャヌの経営戊略、組織論。 ・ベンチャヌのマヌケティング。 ・技術経営。ハむテクノロゞヌず経営管理。 2.起業家論 ・起業家の必芁条件、玠質、背景。 ・起業家の歎史。 3.制床 ・ベンチャヌの䌚蚈、財務管理。 ・䌚瀟制床、法制床。 4.ファむナンス ・ベンチャヌファむナンス。 ・株匏垂堎。 5.ワヌクショップ ・ベンチャヌの実践プログラム。 6.講挔、むベント ・ベンチャヌ経営者の講挔。 ・ビゞネスプラン発衚䌚。 ~8~
  • 9. ②実際に䜕から孊んでいくか ずはいえ、このような運営の話は倧孊偎の問題であり、圓の倧孊生は䞎えられた条件の䞋で孊んで いくしかない。たずは、通う孊郚のシラバスを読み、講矩を聞いおアントレプレナヌシップを考え、 講矩や曞籍で知識を぀け、瀟䌚を知り、方向を考えるこずが望たしい。 倧孊の限られた講矩を「受け身」で聞き孊びながら、自分自身でアントレプレナヌシップを䞻䜓的 に考えおいくのである。アントレプレナヌシップは独立した孊問䜓系ではなく、経営・経枈・瀟䌚・ 工孊等の孊識が組み合わさっおいる。䜕から孊ぶかずいえば、自分が興味あるか圹立぀かを考えお、 今ある講矩を遞び孊んでいくこずである。アントレプレナヌシップ教育に、理想的なモデルずするよ うな履修䜓系を孊生が考える必芁はない。しいお蚀えば、アントレプレナヌシップを入門的に教える 講矩から遞択しおいけばよく、そこで教員が重点ずする内容分野を掘り䞋げお履修しおいくこず が最善の遞択であろう。 たた、アントレプレナヌシップを孊ぶ堎は必ずしも倧孊の䞭だけではない。孊内で孊ぶこずが最も 効率的で䜓系的ず思われるが、真に実践的で最近の知識情報は孊倖の瀟䌚にあるからである。倧孊の 䞭でアントレプレナヌシップを孊ぶず同時に、瀟䌚いろいろな経隓をし、実瀟䌚の先茩に話を聞くこ ずも、アントレプレナヌシップ教育の重芁な䞀郚分ず考えるべきだ。 匕甚Kauffman Foundation (2008), “Entrepreneurship in Higher Education” ■蚭問 蚭問 1. アントレプレナヌシップは「実践的」であるが、それはなぜか。 2. アントレプレナヌシップで「経隓ず行動」が重芁である理由に぀いお、自分の考えを述べなさい。 3. 倧䌁業はアントレプレナヌシップの察象か。たた、圹所や瀟䌚犏祉団䜓はアントレプレナヌシッ プの察象か。 4. 東日本倧震灜から埩興に向けお行う仕事は、どこにアントレプレナヌシップがあるのか。 5. アントレプレナヌシップは孊べるのか。孊べない郚分があるずすれば䜕か。 6. アントレプレナヌシップを倧孊で孊べば、実瀟䌚でどのように圹立぀であろうか。自分自身の考 えをたずめおみよう。 ~9~
  • 10. Ⅱ起業家ずベンチャヌビゞネス 起業家ずベンチャヌビゞネス 起業家の意味 きぎょうか、英語entrepreneur アントレプレナヌ 「䌁業家」ずも蚀う。 『起業家』 entrepreneur アントレプレナヌ。 entrepreneur、アントレプレナヌ ずは、自 ら事業を起こす者をいう。日本では、通垞はベンチャヌ䌁業を経営する人々を指すこずが倚いが、欧 米では自営業者や家業、あるいは新しい瀟䌚的組織の立ち䞊げ瀟䌚起業家などを含めお、日本よ りも幅広い意味に䜿われおいる。英語のentrepreneurは、フランス語である"entrepreneur"アント ルプルヌヌル、請負業者・起業家の英語読みから始たった。 䜕かに取りかかる、 事業を興すずいう意味の蚀葉ずしおは、英語には「undertake」が䞀般的である。 しかし、「undertaker」には「葬儀屋」ずいう意味もあるこずが嫌われお、珟圚では「entrepreneur」 ずいうフランス語起源の蚀葉が「起業家」に盞圓する英語になっおいる。 ntrepreneurの定矩 Entrepreneurの定矩 An entrepreneur is a person who has possession of a new enterprise, venture or idea and is accountable for the inherent risks and the outcome. The term was originally a loanword from French and was first defined by the Irish-economist Richard Cantillon. Entrepreneur in English is a term applied to a person who is willing to launch a new venture or enterprise and accept full responsibility for the outcome. Jean-Baptiste, a French economist, is believed to have coined the word "entrepreneur" in the 19th century - he defined an entrepreneur as "one who undertakes an enterprise, especially a contractor, acting as intermediately between capital and labor. 起業家は、新しい事業や挑戊を行おうずする熱意を持った人間であり、リスクや結果ぞの責任を持぀人々で ある。この蚀葉はもずもずフランス語から借甚され、アむルランドの経枈孊者リチャヌド・カンティペンが初 めお定矩したものである。英語では、起業家ずいう甚語は、新しいビゞネスや䌁業を蚭立し、結果に察する党 責任を負うこずをいずわない人間に察しお適甚される。フランスの経枈孊者ゞャン=バティストは、19䞖玀に 起業家ずいう蚀葉が生たれたず考えおおり、圌は、起業家に぀いお、資本ず劎働の䞭間的存圚ずしお掻動し、 その二぀の芁玠の掻甚を請け負っお、䌁業経営を匕き受ける人間ず定矩した。 Wikipediaより匕甚 アントレプレナヌシップの解釈 Entrepreneurship is the act of being an entrepreneur, which can be defined as "one who undertakes innovations, finance and business acumen in an effort to transform innovations into economic goods". アントレプレナヌシップは、起業家、すなわちむノベヌションを経枈的䟡倀に転換しようずしお技術革新や 金融掻動やビゞネス技術に取り組もうずする人々の諞掻動のこずを蚀う。 Wikipediaより匕甚 『アントレプレナヌシップ』英語entrepreneurshipは、日本では通垞「起業家粟神」 あるい は䌁業家粟神ず蚳されるこずが倚い。すなわち、心の動き、魂、気力、理念、自尊心ずいった心理 的気質をあらわすかように認識されるこずが少なくない。日本では、おそらく「スポヌツマンシップ」 スポヌツマン粟神の解釈にたねお、entrepreneurshipの接尟蟞である"-ship"を「粟神」ず解釈し たかもしれない。 しかし、䞊衚のように、entrepreneurshipの英語を日本語に蚳すず、起業家の掻動、新しい事業を 生み出す掻動、ずいう意味ずなっおいる。぀たり、英語のentrepreneurshipは、日本語で「起業家粟 神」 ず衚珟される粟神的な意味よりも、 新しい事業を起こすずいう掻動の党䜓的な意味を持っおいる。 日本の研究者においおも、たずえば枅成教授は『䌁業家ずは䜕か』 枅成忠男線蚳、東掋経枈新報瀟、 1998幎の序文で「アントレプレナヌシップは、正確には粟神をも含めた党䜓的な䌁業家掻動を意味 する」ず述べおいる。 ~ 10 ~
  • 11. ベンチャヌビゞネスずいう和補英語 ①「ベンチャヌビゞネス」か、「スタヌトアップ」か 日本では、起業家が立ち䞊げた䌚瀟のこずを『ベンチャヌビゞネス』 venture business、あるい は「ベンチャヌ䌁業」「ベンチャヌ」ずいう蚀葉で衚珟しおおり、この3぀ずも同じ意味で甚いられお 、 いる。しかし、ベンチャヌビゞネスは英語では䜿わない。぀たり和補英語である。たた、英語圏では 「ベンチャヌ」 ずいう蚀葉もほずんど甚いられおおらず、 䞀般には 「startup」 ずいう蚀葉が䜿われる。 startupは開業党䜓を指す広い意味があり、日本語で蚀う「自営業」も含たれる。英語では、新しく組 織を蚭立しお行う事業はすべおstartupず蚀うのである。 Wikipediaに"A venture is a major undertaking, synonymous with adventure."ず曞いおあるよう に、ベンチャヌずは冒険や挑戊に盞圓するものであっお、䌁業掻動を指す蚀葉ではない。日本でベン チャヌ䌁業を衚す「高い成長を目指しおリスクに挑戊する䌁業」ずいう意味に察しおは、英語圏で は”emerging enterprises”、”emerging companies”がよく䜿われる。たた、米囜の政策においお は、”Emerging Business Enterprises” (EBE)、日本語でいえば「新興䌁業」が䜿われおいる。これら の英語はstartupよりも範囲が狭たったもので、 「新芏性のある事業を行っおいる瀟歎の新しい䌁業」 を 指しおいる。 ②「ベンチャヌビゞネス」䜿甚の経緯 「ベンチャヌ・ビゞネス」ずいう蚀葉をわが囜で最初に甚いたのは、䞭小䌁業庁指導郚調査課長圓時の䜃 近雄である。1970幎5月にOECD工業委員䌚ずボストン倧孊共催の第2回ボストン・カレッゞ・マネゞメントセミナヌ に参加した䜃は、垰朝報告のなかで米囜では「ベンチャヌ・ビゞネス」ずいう新しい䞭小䌁業が台頭しおいるずの 報告をおこなった。ずころが、このセミナヌは「ベンチャヌ・キャピタルず経営」をテヌマずしおおり、䜃はベン チャヌ・キャピタルの投資察象ずしおいる䌁業のこずを、米囜では「ベンチャヌ・ビゞネス」ず呌んでいるず誀解 しおいたのだった。 そのころ、囜民金融公庫調査課長の枅成忠男圓時ず専修倧孊教授䞭村秀䞀郎圓時は囜民金融公庫の「小 零现䌁業新芏開業実態調査」を通しお、知識集玄型ずもいえる新しいタむプの䞭小䌁業を発芋しおいた。枅成ず䞭 村は、この新型䞭小䌁業ず「ベンチャヌ・ビゞネス」ずが、酷䌌しおいるこずから䜃の報告に匷い関心を持った。 そこで枅成は、日本長期信甚銀行調査圹圓時の平尟光叞の玹介で、長銀䞻催の報告䌚で䜃ず䌚い、セミナヌの 資料を借りた。そこにはベンチャヌ・ビゞネスずいう甚語は甚いられおいなかった。疑問に思った枅成は文献にあ たっお調査したずころ、米囜ではそのような甚語法は存圚しない事実を確認した。米囜ではベンチャヌ・ビゞネス は、単に新芏事業䞀般を指しおいるに過ぎなかった。しかし、枅成ず䞭村は発芋した新型䞭小䌁業を「小さいけれ ど、研究開発ずか、知識集玄的で、むノベヌタヌ的な䌁業は、やはり䞭小䌁業ず呌ばない方がいい」ず考え、あえ おそれらの呌称に「ベンチャヌ・ビゞネス」を採甚した。 このように、和補英語ずしおうたれた「ベンチャヌ・ビゞネス」は、1970幎に枅成忠男「アメリカにおける新型 䞭小䌁業の展開」 囜民金融公庫『調査月報』114号によっおはじめお玹介された。さらに、1970幎末から71幎幎 初にかけお、枅成ず䞭村が経枈雑誌ぞ盞次いで寄皿したこずから、 「ベンチャヌ・ビゞネス」が産業界に広く知ら れるようになっおいった。しかしベンチャヌ・ビゞネスの抂念は抜象的であったため、倚様な解釈を蚱すずいった 欠点があった。倧䌁業からのスピン・オフずいった䞀面のみを捉え、圓時流行した「脱サラリヌマン」ず同矩に扱 い、抂念が矮小化されるずいった事態も生じた。 そこで、このような誀解を改めるため、枅成ず䞭村は、枅成忠男、 䞭村秀䞀郎、平尟光叞1971 『ベンチャヌ・ビゞネス』日本経枈新聞瀟を執筆した。 山厎泰倮「日本における1970 幎代「ベンチャヌ・ビゞネス」の展開」より䞀郚抜粋。  ベンチャヌビゞネスず䞭小䌁業、倧䌁業の違い ①明確な定矩はない 『ベンチャヌビゞネス』ずいう蚀葉には、明確な定矩は存圚しない。抂括的に衚珟すれば「新技術 や高床な知識を軞に、創造的・革新的な経営を展開する䞭小䌁業」であり、䞭小䌁業の䞀぀のグルヌ プである。先に述べたように、アメリカではベンチャヌビゞネスの抂念を”Emerging Companies”ず蚀 うこずが倚いが、これも明確な定矩はない。䞭小䌁業は、䞭小䌁業基本法によっお定矩が定たっおお り、補造業の堎合は「資本金3億円以䞋の䌚瀟ならびに埓業員の数が300人以䞋の䌚瀟」である。 では、ベンチャヌビゞネス以倖の䞭小䌁業は䜕ず衚珟すればよいかずなるず、アメリカでは通称「ス モヌルビゞネス」Small Businessである。䞊蚘のようなベンチャヌの特城を持っおいない䞭小䌁業 はこのようにスモヌルビゞネスず衚珟すればよい。 ~ 11 ~
  • 12. ②䞀般的にみおベンチャヌはどう違うか ここで、基本的なベンチャヌビゞネスの特城をみおみよう。我々はベンチャヌをどのように認識し おいるだろうか。ベンチャヌビゞネス、䞭小䌁業スモヌルビゞネス、倧䌁業の䞉者の違いは䜕か。 䞋衚は、それをあえお明確に特城づけおたずめたものである。これらは「䞀般的な傟向」であり、ベ ンチャヌビゞネスがすべお実力䞻矩で挑戊的であるわけではないし、倧䌁業がすべお安定指向でもな く、あくたでも党䜓的な傟向ずずらえおほしい。なお、ベンチャヌビゞネスの組織運営や経営の特城 ずモデルに぀いおは、第2郚で述べおいるので参考ずされたい。 ベンチャヌビゞネスを孊ぶ䞊で重芁なのは、これらの䞀般的な特城、あるいは倚少の先入芳に基づ いた䞖間の垞識を理解した䞊で、掘り䞋げお考察しおいくこずである。なぜベンチャヌがそのような 特城を持぀のか。具䜓的にどのように䌚瀟が運営されおいるのか。信甚力のないベンチャヌはどのよ うに資金を調達するのか。問題意識はそう簡単に尜きるようなものではない。ベンチャヌがなぜ成功 するのか、なぜ倱敗するのか。これらに察する完党な答えはないのである。 䞉者間の特城の比范 ベンチャヌビゞネス 䞭小䌁業スモヌルビゞネス 倧䌁業 䌁業芏暡 小䞭芏暡。 小䞭芏暡。 倧芏暡 埓業員数 抂ね300人以䞋。 300人以䞋(補造業の堎合)。 300人以䞊(補造業)。数千人も。 株匏 未公開䌁業。株匏公開を目指す。 倚くは未公開䌁業。 倧半が公開䌁業。 成長性朜圚力を含む 高い。 高くない堎合が倚い。  技術、開発 高い堎合が倚い。 高くない堎合が倚い。  信甚力 䜎い。 䜎䜍䞭䜍。 高い。 資金調達力 䜎い。 䜎䜍䞭䜍。 高い。 採甚力 䜎い人気がなく採甚ができない。 䜎䜍䞭䜍。 高い就職で人気がある。 䌚瀟の運営 瀟長のトップダりン、独断。 瀟長や同族のトップダりンが倚い。 組織による集団経営。 柔軟で自由な運営。 同族䌚瀟が倚い。 厳栌なルヌル、柔軟性は䜎い。 経営の意思決定が速い。 経営の意思決定が遅い(組織決定)。 あぶなっかしい運営。 安定した運営。組織でチェック。 瀟颚 実力䞻矩、挑戊、急成長指向。 安定、リスク回避、保守指向。 埓業員 埓業員がすぐ蟞める。 長期安定雇甚指向。 アルバむト等の短期雇甚が倚い。 絊䞎、犏利厚生 䜎い。 䜎い。 良い。犏利厚生が良い。 埓業員に求められるもの チャレンゞ、リスクを取る姿勢。 組織に忠実、コミュニケヌション。 埓業員にずっおの可胜性 䌚瀟が急成長するず報われる。 安定しおいるこずが魅力。 埓業員の職責 若いうちから高い圹職に。 幎功序列。若いうちは平瀟員。 䌚瀟オフィス 目抜き通りから倖れた䞭小ビル。 ビゞネス街の倧芏暡ビル。 泚䞊衚の蚘述は、それぞれの盞察的な特城を匷調しお衚珟したもの。 ■蚭問 蚭問 1.「起業家」の意味を䞀蚀で説明しなさい。 2.「アントレプレナヌ」「アントレプレナヌシップ」の語源は䜕か。 、 3.「ベンチャヌビゞネス」「ベンチャヌ䌁業」「ベンチャヌ」に぀いお意味の違いはあるか。 、 、 4.「ベンチャヌビゞネス」ずいう蚀葉は、どうしお和補英語になったのか。 5. 英語では、 「ベンチャヌビゞネス」の意味ずしおはどのような蚀葉が䜿われおいるか。 6.「ベンチャヌビゞネス」ずいう和補英語が䜿われたのは、どのような時代背景があったか。 7. ベンチャヌビゞネスず倧䌁業の違いに぀いお、䞻な特城ず考えるものを5぀あげなさい。 ~ 12 ~
  • 13. Ⅲ起業の歎史 起業の 起業家の掻動は、珟代のベンチャヌビゞネスだけを察象に考えるのではなく、人類がどのよう に事業を発展させおきたかずいう䞖界の歎史の流れから俯瞰しお考えるこずが重芁である。 人類は、叀代䞭䞖以降の冒険的な亀易や、産業革呜、工業化の発展、゚レクトロニクス・コン ピュヌタ時代、そしおむンタヌネット革呜、新興囜の発展、ずいう時代の流れの䞭で、倚皮倚様 な人々が新しい事業を起こし、その掻動によっお経枈䟡倀を創出しおきたからである。 こうした䞖界の歎史を远いながら珟代にたどり着けば、今日の我々がなぜむノベヌションずア ントレプレナヌシップを重芁芖しなければならないかが芋えおくる。 歎史からみた「起業」 叀代から䞭䞖の冒険的貿易事業 匕甚「海䞊亀易の䞖界ず歎史」http://www31.ocn.ne.jp/~ysino/index.html ①ギリシアの「冒険貞借」 倚くの郜垂囜家が勃興した叀代ギリシアは、海を䜿っお文明を発展させた。ギリシアは蟲業に適さ ない土地であるために絶えず食糧の䞍足に悩たされおおり、蟲䜜物を茞入するために船が必芁だった が、その資材である朚材も茞入せざるをえない状況にあった。こうした䞭にあっお、食糧の3分の2を 茞入しなければならない最倧の郜垂囜家アテネは、玀元前6䞖玀頃からフェニキアず争いながら、゚ゞ プト、キプロスや、小アゞア珟圚のトルコから穀物を運んでいたが、やがおむタリアのシシリヌ 島や南むタリアに怍民を送り、穀物を生産・茞入する怍民地を建蚭するようになった。 ギリシアでは、はじめは、自分で船を持ち、船を動かしお商品を売買する単玔な仕組みであった。 船の所有者も船長も商人も䞀぀の船を持぀集団で行われた。やがお、金のある資産家が船䞻や商人に 資金を貞すようになった。船䞻は船舶や運賃を抵圓にしお航海費甚を、たた商人は貚物仕入代金や前 払い運賃を資産家から借りた。 その䞭で、貿易海商掻動に぀いおの取り決めが発展しおきた。その取り決めずは、船舶や貚物 が喪倱した堎合は貞䞻資産家が䞞損ずし、金を借りた船䞻あるいは商人は返枈の必芁がないが、 それらが安党に到着するず、貞付金にその3分の1ずいった高率の利子を぀けお、貞䞻に返枈されるル ヌルを䜜った。たた、船長が人呜、船舶、貚物を救うために荷物を海䞊ぞ投棄投げ荷したり、敵 囜や海賊に金品の支払いを匷制された堎合、その損害に応じお返枈すべき貞付金は枛額された。こう した普通の金銭貞借ずは異なるルヌルのファむナンスを「冒険貞借」Bottomry、海䞊保険の起源の䞀 ぀ず呌んでいる。このような掻発なギリシアの海商掻動の䞭で、その埌のペヌロッパ海䞊亀易にお ける船舶の共有、船䞻ず商人の分離、海事金融や海運取匕ずいった取匕の慣行が圢成されおいった。 叀代ギリシアでは、資金の借り手の航海が倱敗した堎合には、借り手は貞䞻に金を党額返枈する必芁 のないファむナンスが生たれおいる。これは珟代のベンチャヌ・ファむナンスの起源ずもいえる。 ②䞭䞖地䞭海における「組合」の圢成 䞭䞖の地䞭海貿易で掻躍したのは、ノェネツィア、ゞェノバなどのむタリア半島の郜垂勢力であり、 東方貿易レノァント貿易ず呌ばれる東郚地䞭海沿岞地域やオリ゚ント地域ずの貿易で富を築いた。 ノェネツィアやフィレンツェの郜垂がルネサンス芞術や郜垂建築で豊かな遺産を残しおいるのは、こ の東方貿易による富の産物である。 䞭䞖むタリアの海商経営は぀の方法で行われおいた。その぀は共同冒険組合である。11侖简頃 にたずめられたアマルフィ海法圓時の海䞊亀易の慣習法では、船䞻、商人、船員が集たっお1぀の 組合を結成する。これら持分所有者は自分たちの䞭から管理船䞻を遞んで、冒険組合の党般的な指揮 をゆだね、他の持分所有者は船員ずしおあるいは自分の商品を持った商人ずしお乗組む。船䞻は船䟡 に応じお冒険組合の䞀定の持分があり、商人は自ら投じた資金たたは商品の額に応じお持分が割圓お られ、たた船員は自分の提䟛した劎圹に察しお持分が䞎えられた。船員が船䞻たた商人である堎合、 その持分が远加された。貚物の取匕から埗た利益はすべお組合の勘定に入れられた。航海が完了する ~ 13 ~
  • 14. ず裁刀所で蚈算曞の怜査を受け、それぞれの持分数に応じお玔益が船䞻、商人、船員に分配されるこ ずになっおいた。 たた、1272幎のラグヌザ海法では、䞀定数の商人がそれぞれ船長および乗組員に察しお、商品取匕 に䜿甚する貚幣や商品を委蚗する。船䞻や船員も、自分の蚈算で投資を行うこずができる。共同冒険 組合の察象ずなった商品の運賃はそれぞれ蚈算され、たた商品の取匕から埗られた利最ずずもに、共 同の基金に入れられる。そしお、航海が終了した時、船䞻ず船員がこの共同基金の半分を受け取り、 残り半分は冒険商人がそれぞれの投資額に応じお配分を受けるこずになっおいた。 もう぀は、船舶の共同所有である。叀代のように、自らの所有船を自ら単独で経営する船䞻や、 代理人を乗せお監督する船䞻は䞭䞖になるずごく皀になり、経営は䞻ずしお組合方匏で営たれ、倧倚 数の船舶は共有で所有されるようになった。組合員のある者が管理船䞻になり、他の組合員の党郚た たは䞀郚が船員ずなっお、 しばしば乗船した。15䞖玀たでは船舶はおおむね24の持分に分かれおいた。 1人の組合員が2぀以䞊の持分を持぀こずも可胜であった。そうした船䞻は、自らの商品を満船する堎 合もあれば、そうでない堎合もあった。船䞻が商人でない堎合、商人の組合ず甚船契玄を結んだ。そ れ以倖に単なる融資もあったようで、ノェネチアでは利子率が20であったずされる。 このように、共同冒険組合であれ、船舶共同所有であれ、むタリアの堎合、乗組員の党郚たたは䞀 郚がその船舶や海商の持分所有者であっお、自分たちの劎働の察䟡は、賃金の圢匏でではなく利最分 配の圢匏でもっお報酬を受けおいた。それでも、乗組員のなかには持分所有者ではなく、単なる賃金 劎働者ずしお雇甚された船員を補充しなければならない堎合もあった。 䞭䞖むタリアでは叀代ギリシアよりも海商掻動の取り決めが発展し、資産家でなくおも、䞀定の資 金や劎力を出し合えば船舶を所有し、商品を売買するこずが可胜ずなっおきたのである。 䞭䞖むタリアの貿易事業は、船䞻、荷䞻の商人、劎働者の船員が集たっお1぀の組合を結成したが、こ れは珟代の䌁業の起源ず考えられる。 劎働者ずしお本来は賃金を受け取るだけの船員は、䞀぀の航海ずいうプロゞェクトで䜜られた組合の 持ち分を䞎えられ、無事航海を終えられるか亀易で儲けられるかの事業成果によっお、航海で埗た利最 の䞀郚を「組合の分け前」ずしお䞎えられた。 ● りィリアム・シェむクスピアの戯曲「ノェニスの商人」 䞭䞖むタリアのノェネツィア共和囜を舞台に繰り広げられる、貿易ず借金ず恋に かかわる喜劇。 ナダダ人の金貞しシャむロックが貿易商人アントヌニオに金を貞す際に取った 担保アントヌニオの人肉1ポンドの蚌文が珟実になったこずによっお起こる裁 刀ず、矎しく富裕な貎婊人ポヌシャを射止めんずする若者の争いが展開される。 ・アントヌニオ 貿易商人。正矩感が匷く情に厚い。 ・バサヌニオ アントヌニオの芪友。ポヌシャに求愛結婚を申し蟌む。 ・ポヌシャ 莫倧な財産を盞続した矎貌の貎婊人。倚くの若者達から求愛され おいる。 ・シャむロック 匷欲なナダダ人金貞し。恚みのあるアントヌニオに、倖掋貿 易の資金を貞し぀けるが、担保ずしお借り手アントヌニオの人肉1ポンドを蚌 文に埗る。 この劇で描かれたアントヌニオはノェネツィアの冒険商人である。アントヌニオの出した船が掋䞊で難砎したず いう情報実は虚停の情報であったが入ったこずから、シャむロックが蚎えお裁刀になり、金が返せないアン トヌニオから担保である肉をシャむロックが切り取る暩利はあるや吊やずいう争いになる物語である。 しかし、実際のノェネツィアでは先のような共同冒険組合が拡がっおおり、アントヌニオのように貿易船が難砎 しおも借金の担保を取られる䟋は少なかったず思われる。 近䞖ペヌロッパにおける貿易の株匏䌚瀟制 むギリスむングランドは、䞭䞖には亀易面でノェネツィアやハンザの商人に圧倒されおいたが、 15 䞖玀以降は海䞊亀易で力を぀けはじめ、むギリス船は倖囜船に海賊行為を働いおいた。むギリス囜 王も貿易による財政収入を増そうず軍艊を建造するようになり、倖囜人に䞎えおいた特暩を埐々に取 戻し぀぀あった。特に、囜王ヘンリヌ8 䞖圚䜍 1509-47 幎はむギリス海軍の創蚭、王立造船所の開 蚭、造船補助金の支絊などで、海運の発展に倧きく貢献した。 この時代のむギリスの遠隔地貿易や倧掋貿易では、囜王の蚱可をえお貿易特蚱䌚瀟が䜜られおいた。 それらは、冒険商人組合Merchant adventurer's companyやレパント䌚瀟ず呌ばれたものである。 ~ 14 ~ 16䞖玀のガレオン船亀易
  • 15. 圌らは、 囜王から特定の航路の海商に぀いお独占暩が䞎えら 16䞖玀の亀易船 れ、䞀航海ごずに自ら芏玄を䜜り護衛船などの費甚を出し合っ お運営しおいた。しかし、亀易そのものは加入しおいる商人た ちが自らの勘定で船を所有あるいは甚船しお、 自らの危険負担 の䞋で行われおいた。 特蚱を䞎えた王宀も商人達が䜜った組合 に金を出しお組合員になったり、 王宀の船を護衛船ずしお貞し 出しおいた。 この短期的な組合組織から、䌚瀟組織が発展した。組合ずい う䞀時的に金を出しあう結瀟ではなく、 䌚瀟ずいう自前の埓業 員を持った組織集団が生たれた。 アゞア貿易で台頭しおきたオ ランダに危機感を持ったむギリスのレノァント䌚瀟 地䞭海東 郚貿易に埓事の商人は、囜王゚リザベス 1 䞖に請願し、1600 幎にむギリス東むンド䌚瀟The East India Companyを発足 させ、自前の埓業員ず組織を持った䌚瀟ただし䞀回の航海に 限定した䌚瀟組織を蚭立した。東むンド䌚瀟は、株匏を発行しお資本金が調達され、䞀回の航海が 終わるず持株に応じお利益が配分された。東むンド䌚瀟は創業圓時には 215 人の貎族や商人の出資者 から 68,373 ポンドの資金を集めた。1612 幎たでは圓座䌁業制ずいう䞀航海ごずの䌚瀟組織であった が、その埌は数回の航海ごずの投資に倉わり、さらに護囜卿クロムりェルの特蚱状によっお株匏配圓 になり、期間を限定した䌁業圢態から、法人ず資本の氞続性がはかられるようになった。 珟圚の䌚瀟組織である「株匏䌚瀟」は、むギリスの盎埌にオランダで蚭立されたオランダ東むンド 䌚瀟1602 幎が起源である。オランダ東むンド䌚瀟の取り決めでは、出資者の出資金はむギリス 東むンド䌚瀟のように䞀航海毎ではなく10 幎間固定され、たた出資者は出資金のリスク以倖の責任 を負わないずいう有限責任が芏定されおおり、この点で近代株匏䌚瀟の祖ずされおいる。 ある事業に察しお株匏を発行し、資金の出し手投資家から出資を募る「゚クィティ・ファむナンス」 は、近䞖ペヌロッパの海䞊亀易の商制床ずしお成立した。 これは、圓時リスクの高かった海䞊貿易においお、資金の出し手が共同で䌁業を蚭立しお、その事業の リスクを共同分担するこずによっお䞀人圓たりの危険床を䜎め、その代わりに、事業から埗られた利最を 出資者の持ち分に応じお皆に分配するずいう、珟代の株匏䌚瀟ず同じ仕組みである。 近代における起業 ①産業革呜による近代的むノベヌション 数十䞇幎の人類の歎史を1幎のカレンダヌにするず、 産業革呜以降の歎史は12月31日の23時半以降に あたるほどの極めお短い時間にすぎない。 18䞖玀半ばから珟圚たでの300幎に満たない短い時間の䞭で 倧きな倉化が起きた。人類の歎史においおは、長い間その平均寿呜は30歳以䞋であり、生たれた子䟛 は半分以䞊は成人たでに半数以䞊が死ぬのが圓たり前だった。人々は他の動物ず同様に垞に飢えず盎 面しお生きおおり、数十䞇幎の間その状態が続いおいた。しかし、西暊1800幎前埌から急に人々が豊 かになり、今のように䞖界の䞻芁囜では䞀人圓たりで幎間数䞇ドルずいう所埗を埗るようになった。 人類は1䞇幎前たでは、狩猟生掻で数人の集団で移動しながら生掻しおいた。 蟲耕による定䜏生掻 新 石噚時代が人類の第䞀のむノベヌションであり、 蟲耕によっお定䜏生掻に入るこずが可胜ずなった。 第二のむノベヌションは正確な文字の発明であり、情報を蚘録し的確に䌝えるこずで倧きな組織囜 家の運営ができるようになった。 第䞉のむノベヌションは、17䞖玀埌半から18䞖玀前半にむギリスから起こった産業革呜ずいう新し い生産システムず資本䞻矩ずいわれる近代システムである。資本䞻矩以前の封建制の䞋では、人々は 蟲業を営んでいた。䜕かモノを䜜るにしおも、1人の職人が1぀のものをコツコツず䜜り䞊げおいき、 その技胜は自分の匟子に䌝えおいった。靎屋ならば軒の靎屋の䞭で仕事が完結するずいう家内工業 で人類は数癟幎やっおきた。それに察し、産業革呜では補造技術の機械化が実珟した。圓時のむギリ スで盛んであった綿織物・毛織物の繊維産業における織物補造機械の自動化・動力化ず、蒞気機関に 、 よる動力の発明ずいうむノベヌションである。産業革呜におけるもう䞀぀のむノベヌションは、 「分業 システム」の導入である。アダム・スミスが「囜富論」で述べおいるが、産業革呜以前はピンを぀ 䜜るにも䞀軒の䜜業堎で䞀人の職人が色々な工皋をすべお䜜業し補䜜しおいたものが、その工皋が ぀の工堎の䞭でそれぞれの䜜業工皋を専門ずする工員によっお行われるずいう「工堎のシステム」を ~ 15 ~
  • 16. 生み出し、結果ずしおピンを補造する時間ずコストが飛躍的に䜎枛し、安いピンが倧量に䞖の䞭に出 回るようになった。 ・1712幎、ニュヌコメン英によっお、蒞気機関を甚いた排氎ポンプが実甚化された。 ・1733幎、ケむ英が、織機の䞀郚分である杌を改良した飛び杌を発明しお織機が高速化。これ により綿垃生産の速床が向䞊した。 ・1769幎、アヌクラむト英が氎力玡瞟機を開発。工堎を蚭け、機械を据え付けお倚量の綿糞を 補造するこずが可胜になり、本栌的な工堎制機械工業のはじたりずなった。 ・1785幎、ワット英が蒞気機関の゚ネルギヌをピストン運動から円運動ぞ転換させるこずに成 功、この蒞気機関の改良によっお、様々な機械に蒞気機関が応甚されるようになった。 ・18䞖玀に、コヌクス補鉄法がダヌビヌ英によっお開発され、高熱が容易に利甚できるように なったこずから、良質の鋌鉄の倧量補造が可胜ずなった。 ・1807幎、フルトン米によっお蒞気船が実甚化された。たた1804幎、トレビシック英によ り蒞気機関車が発明され、その埌蒞気機関車はスチヌブン゜ン英によっお改良された。 この産業革呜による工業化で、むギリスをはじめずする欧米では、工堎経営に乗り出す資本家 資本家が倚 資本家 数誕生し、圌ら䞭産階玚ブルゞョアゞヌが発展した。こうした圓時の資本家達は、埓来のやり方 をそのたた継続する経営者も存圚したけれども、その倚くは産業革呜の技術を䜿っお新しい事業や垂 堎進出で利埗を埗ようずする「起業家」でもあったのである。 ●リチャヌド・アヌクラむト リチャヌド・アヌクラむト英 リチャヌド・アヌクラむト 氎力玡瞟機で富を築いた起業家 リチャヌド・アヌクラむト17321792幎)は、1771幎に氎車を動力ずする氎玡機氎 力玡瞟機を発明した。むギリス・ランカシャヌ地方のプレストンで生たれ、28歳たで 床屋で働いた。 その埌か぀らの商売を始め、 か぀ら向け防氎染料を改良しお資金を埗た。 1768幎、ゞョン・ケむずずもにゞェニヌ玡瞟機を改良しお、綿糞の匷床、長さなど品 質を向䞊させた。翌幎、銬を䜿った倧芏暡な玡瞟機を䜜ったがすぐに氎力によっお運転 する方法に倉曎した1771幎 。ゞェニヌ玡瞟機のように小圢のものではなく、人間の力 では動かないので、 氎力利甚を考えたが、個人の䜏宅ではできないので別に工堎を蚭け、 機械を据え付けお数癟人の劎働者を働かせお倚量の綿糞を造り出すこずに成功した。倧 量生産が可胜になり、立地に制玄がなくなったうえに玡糞䜜業に熟緎した劎働者が必芁 ずしなくなったため、倱業を恐れる劎働者や同業者などから劚害を受けたが、次々に工 堎を䜜り、品質の優れた綿糞を倧量に生産しお富豪の1人になった。1786幎、囜王ゞョヌ ã‚ž3䞖より Sir ナむトの称号を受けた。 ②19䞖玀埌半におけるアメリカの工業化ず起業掻動 南北戊争18611865幎が終わったアメリカは、工業化が進展した時代だった。1865幎から20 䞖玀初頭たでの間に、アメリカ合衆囜は䞖界でも先進的な工業囜に成長した。1880幎代前半にアメリ カは“䞖界の工堎”むギリスを抜いお䞖界䞀の工業囜ぞず躍進し、1890幎代にはいるず圓時の花圢産 業だった鉄鋌生産でもむギリスを䞊回った。土地ず劎働力が豊富にあり、気候が倚様で、運河、川お よび海岞氎域など航行可胜な氎域があるこずで勃興する工業経枈の亀通需芁を満たした。 ペヌロッパを䞭心ずする他の倧陞からは1840幎から1920幎たでに3,700䞇人ずいう䞖界史䞊で最倧 の移民がアメリカに流入しお安い劎働力を提䟛し、たた未開発の地域に倚様な地域瀟䌚が圢成された。 さらには、 技術の進歩や茞送機関の発展が拍車を掛けた。 19䞖玀埌半は西郚開拓運動の時期であり、 鉄道が西郚を開き、誰もいなかった所に蟲堎や町ができた。ただし、むンディアンを駆逐し虐埅する 負の歎史も䞊行しお起こっおいる。1869幎に最初のアメリカ倧陞暪断鉄道が開通し、巚倧な北アメリ カ倧陞間の移動ず茞送が近代化し、さらに鉄道の建蚭によっお広倧な垂堎西郚や倪平掋が登堎し、 事業を行おうずする者に倧きなチャンスが生たれた。産業の経営手法においおも、ヘンリヌ・フォヌ ドが始めた移動組立ラむンやテむラヌの科孊的管理法などの経営面のむノベヌションが起こった。 この時代のアメリカの資本家は、未開拓の垂堎、第二次産業革呜ずいわれる技術革新、茞送手段の 発展、移民による人口の急増ずいう事業を拡倧する䞊で絶奜の条件がそろっおおり、補造業のみなら ず、鉄道、運河、茞送などの倚様な産業で新しい䌁業が蚭立され、富を埗た資本家が急増した。アン ドリュヌ・カヌネギヌ鉄鋌 、ゞョン・ロックフェラヌ石油のように、富も人脈も持たない人間 が事業を起こしお経営を拡倧し、倧富豪にのし䞊がった起業家が倚数生たれるこずずなった。 たた、圌ら資本家は、経営効率を高めるために、持株䌚瀟によるトラスト䌁業合同ずいう経営 手法を採甚し、倧䌁業はトラストを結んで事業を拡倧し、あるいは競合䌁業を合䜵しお垂堎を独占す る行動が支配的ずなった。19䞖玀埌半のアメリカは劎働者運動ず政府の競争政策が未成熟で、䌁業の 自由奔攟な行動を芏制するこずは皀であったが、その埌、倧資本家の垂堎独占や容赊のない経営に瀟 ~ 16 ~
  • 17. 䌚から匷い反発が起こり、劎働者運動や反トラスト運動に぀ながった。 ●アンドリュヌ・カヌネギヌ アンドリュヌ・カヌネギヌ米 「鋌鉄王」 アンドリュヌ・カヌネギヌ  アンドリュヌ・カヌネギヌ18351919幎は、スコットランド移民の実業家。 1835幎、スコットランドで手織り 職人の長男ずしお 生たれた。 父芪が産業革呜 で仕事がなくなっおしたった ために、1848幎に䞀家でア メリカ ぞ移䜏した。移䜏 の埌、12歳のカヌネギヌは孊校 ぞ行かずに玡瞟工堎で 働く。そ の埌、䜕床か転職 し、ピッツバヌグ電信局の電報配達の仕事に぀き、電信技士に昇栌した。その埌、 トヌマス・スコットに秘曞兌電 信士ずしお匕き抜かれ おペンシ ルバニア鉄道ぞ入 瀟する。18歳の頃、スコットが ペンシルバニア鉄道の 副瀟長に 昇進するず、カヌ ネギヌがピッツバヌグ支店の責任者になった。 カヌネギヌは、持ちかけられ た寝台車のアむデア を取り䞊げ、 ペンシルバニア 鉄道は詊隓的な採甚を決めた。 カヌネギヌは、借金を しお寝台 車のための䌚瀟に 出資しお富を埗る。南北戊争埌 にペンシルバニア鉄道 を退職し 、事業家ずなる。 圓時の鉄道で倚かった朚補の橋から鉄補ぞの需芁増加を予枬し、キヌストン鉄橋䌚瀟を蚭立し成功した。さ らに、技術革新により鋳鉄よりも匷靭な鋌鉄の倧量補造が可胜になり、鉄道のレヌルや建築ぞ䜿甚されるこ ずを予芋し、補鉄事業の芏暡拡倧に力を泚ぎ、 「鋌鉄王」ず呌ばれた。カヌネギヌは1901幎に鉄鋌䌚瀟をモ ルガンぞ売华し、 埌の䞖界䞀のUSスティヌルずなった。 以埌は慈善掻動を行い、ニュヌペヌクのカヌネギヌ・ ホヌルやカヌネギヌメロン倧孊は圌の寄附により蚭立されたものである。 ●ゞョン・ロックフェラヌ ゞョン・ロックフェラヌ米 ゞョン・ロックフェラヌ ロックフェラヌ財閥の祖 ゞョン・ロックフェラヌ・シニア18391937幎は、実業家。スタン ダ ヌ ド ・ オむルを創蚭した。 ニュヌペヌク州北郚のリッチフォヌドで、移動販売を営む芪のもずに生たれた。 1855幎の16歳の頃に転居したオハ むオ州クリヌブラン ドで蚘垳 係ずしお働き始め た。1858幎に、圌は友人ず共にク ラヌク・アンド・ロ ックフェ ラヌ瀟を蚭立し、 同瀟は1862幎に圓時のアパラチア 山脈近郊で発芋され おいた油 田事業に目を぀け お石油䌚瀟に投資を行った 。1865幎に友人ずの事業を 解散し、 粟油事業を買収し ロックフェラヌ・アンド・ア ンドリュヌス瀟を蚭立 した。さら に同幎、第二の粟 油所を蚭立した。1867幎にロック フェラヌ・アンド・ アンドリ ュヌス瀟はこの粟 油所を吞収し、さらに芏暡 を拡倧するために、1870幎 にロック フェラヌ兄匟ず他 のメンバヌにより ス タンダ ヌド・オむ ル瀟 を創蚭し、ロックフェラヌが瀟長に就 任した。 スタンダヌド・オむルは、埐々にアメリカ囜内で石油生産の支配暩を獲埗した。巚倧な利益を消費者に還 元せず高䟡栌で販売し続けたそのビゞネス手法は、広く厳しく批評され、スタンダヌド・オむルは反トラス ト運動の栌奜の目暙ずしお攻撃された。スタンダヌド・オむル瀟はアメリカ石油垂堎の90を支配するに至 ったため、䞖論は次第に「反独占」 「反トラスト」ぞず向かい、1890幎にシャヌマン反トラスト法が成立し た。1911幎、アメリカ合衆囜最高裁刀所は、スタンダヌド・オむルが垂堎を独占しおいるこずで解䜓呜什を 䞋し、同瀟は37の新䌚瀟に分割された珟圚の゚ク゜ンモヌビルずシェブロンなど 。1901幎たでに圌には 箄9億ドルの資産があり、圓時の䞖界で最も富を保有しおいた人物ず考えられおおり、ロックフェラヌの財 産を珟代の䟡倀に換算した堎合、2,000億ドルを䞊回るず掚定されおいる。 ●トヌマス・゚ゞ゜ン トヌマス・゚ゞ゜ン米 「発明王」 トヌマス・゚ゞ゜ン  トヌマス・゚ゞ゜ン1847幎1931幎は、生涯におよそ1,300もの発明を行っ た発明家、起業家。 ゚ゞ゜ンは1847幎にオハむオ州ミランで生たれた。小孊校に入孊するも、教垫ず銬が 合わず䞭退した。圓時の逞話ずしおは、算数の授業䞭には「1+1=2」ず教えられおも鵜 呑みにするこずができず、囜語の授業䞭にも、 「A゚ヌはどうしおPピヌず呌ば ないの」ず質問するずいった具合で、授業䞭に事あるごずになぜを連発しおいたずい う。最終的には担任の先生から「君の頭は腐っおいる」ず吐き捚おられ、校長からも入 孊からわずか3ヶ月で退孊を勧められたずいう。芋攟された゚ゞ゜ンは、基本的な勉匷 は小孊校の教垫であった母芪に教わった。母芪は教育熱心だったらしく、元々奜奇心が 旺盛だった゚ゞ゜ンに察しお、家の地䞋宀に様々な化孊薬品を揃え、゚ゞ゜ン自身もその地䞋宀で科孊実隓に没頭 しおいたずいう。 このような少幎時代を送ったが、その埌は母芪の手䌝いを埗ながら発明研究を続け、1877幎、゚ゞ゜ン30歳の時 に蓄音機の実甚化 蓄音機の実甚化商品化で名声を獲埗した。その埌、ニュヌゞャヌゞヌ州にメンロパヌク研究宀を蚭立し、研 蓄音機の実甚化 究所では、電話、レコヌドプレヌダヌ、電気鉄道、鉱石分離装眮、電灯照明などを矢継ぎ早に商品化した。なかで も泚力したのは癜熱電球 癜熱電球であり、数倚い先行の癜熱電球を実甚的に改良した。圌は癜熱電球の名称を、ゟロアスタ 癜熱電球 ヌ教の光ず英知の神、アフラ・マズダから匕甚し、 「マズダ」ず名付けおいる。䞀方で、癜熱電球の売り蟌みのため の合匁䌚瀟を蚭立し、゚ゞ゜ンは起業家 起業家でもあった。鉱山経営などにも手を出すが倱敗。高霢ずなっお䌚瀟経営か 起業家 らは身を匕くが、オカルトに関心を移し、研究所にこもっお死者ずの亀信の実隓を続ける。1914幎に研究所が火事 で党焌し損害を蒙ったが、臆せずその埌も死者ずの亀信に぀いおの研究を続けた。 ~ 17 ~
  • 18. 20䞖玀以降の珟代瀟䌚における起業 ①軍事・産業・孊術の耇合 20䞖玀の䞖界は、産業革呜埌に発展を続ける実業界、列匷の察立・䞖界倧戊・東西察立で軍事力増 匷を必芁ずした政府、および高床な科孊技術が培われた倧孊の組織が耇合的に結束し、技術の進歩の 速床が䞊がった。この関係は䞀般に「軍・産耇合」ずしお知られおおり、軍需による技術や補品の需 「 産耇合」 芁、資本ず金融の集䞭による効率掻甚、および倧芏暡な適甚ず高床集䞭管理による技術革新を生む朮 流ずなった。こうした革新は、医孊、物理孊、化孊、電子蚈算、航空孊、物質科孊、造船孊、金属孊 で生たれたが、ベヌスずなる技術の進展は軍事目的の研究に負うずころが倧きかった。 䟋えば、航空機ず宇宙ロケットの発展は20䞖玀前半の倧きなむノベヌションだが、この飛躍は軍事 利甚なくしおありえなかったずいえる。無線通信や衛星も軍事利甚が技術を飛躍させたし、珟代のむ ンタヌネットの原型であるARPANETアヌパネットは、1969幎にアメリカ囜防総省・囜防高等研究 蚈画局による指揮の䞋に構築されたコンピュヌタネットワヌクである。 ②幅広い業皮での起業 りォルト・ディズニヌ 19011966幎 19䞖玀埌半以降、先進囜を䞭心に囜民生掻が向䞊し、質の高い補品や倚 様で魅力的なサヌビスぞのニヌズが高たっおいった。 この䞭で、食料品や嚯 楜のような重工業以倖の業皮でも新しい起業家が急成長する事䟋も出おき た。たずえば、 「ミッキヌマりス」の生みの芪であるりォルト・ディズニヌ が1924幎に兄のロむず蚭立したりォルト・ディズニヌ・カンパニヌは、珟 圚の売䞊高が3兆円を越える囜際的な倧䌁業に発展した。たた、1919幎には コカ・コヌラ瀟が創業し、1939幎にはカヌネル・サンダヌス米がケン タッキヌ・フラむドチキンの新調理法を考案、 マクドナルドの祖であるマク ドナルド兄匟米は、1940幎に開店しおいる。 ③珟代のベンチャヌ投資 起業家ず新蚭立のベンチャヌに察する資金提䟛も、新しいファむナンス技術が登堎した。ベンチャ ヌキャピタルventure capitalずいう、倖郚の投資家が起業家の蚭立した䌚瀟の株匏を取埗株匏 投資し、䌚瀟を監芖し経営指導しお䌚瀟の䟡倀を向䞊させ、その埌に株匏売华により利益を埗よう ずするスキヌムの金融業である。 このようなベンチャヌキャピタルが生たれたのは、第二次䞖界倧戊埌のアメリカ・ボストンで、ハ ヌバヌド倧孊教授のゞョヌゞ・ドリオ教授や実業界の経営者によっお1946幎に蚭立された。これがア メリカン・リサヌチ・アンド・ディベロップメントARDずいう投資䌚瀟である。ベンチャヌキャ ピタルは戊埌のアメリカで始たった投資業であるが、 1970幎代に日本にも導入され珟圚に至っおいる。 ④情報通信技術の急速な発展ず起業家 パ゜コンやむンタヌネットの発展は、ここで述べるたでもない。しかしコンピュヌタヌもトランゞ スタヌも、初めお䞖で発明されたのは第二次倧戊以降のこずであり、たた、䞖界発のパヌ゜ナルコン ピュヌタヌを䜜ったアップルの創業は珟圚から35幎前の1975幎である。さらには、むンタヌネットの 商甚化は1995幎ず今から15幎前の最近の発明なのである。 この短い期間においお、珟代瀟䌚は補品・サヌビスの氎準が飛躍的に向䞊した。半導䜓産業はトラ ンゞスタヌが発明された1947幎、IC集積回路が発明された1958幎以降に急速に発展し、コンピュ ヌタヌ産業はその半導䜓のむノベヌションを利甚しお1980幎代に倧きく䌞長した。アメリカの起業家 やベンチャヌビゞネスが集たっおいる「シリコンバレヌ」 サンフランシスコ垂を北端に南に100キロほどの 湟岞地垯、25ペヌゞの参考は、シリコンを䞻䜓原料ずするIC集積回路を取り扱う゚レクトロニ クス関連産業が集たったために、1970幎代からこのように呌ばれはじめた。 こうしたむノベヌションの過皋においお、倚くの起業家がベンチャヌビゞネスを起こし業瞟を拡倧 させ、 さらに資金調達をはかるために蚌刞取匕所に株匏を䞊堎 新芏株匏公開、  IPO、35ペヌゞの参考― させた。これによっお、起業家が保有する䌚瀟の株匏の䟡倀が䜕癟億円あるいはそれをはるかに䞊 回る金額ずなり、億䞇長者ずなる起業家が出おきた。その兞型䟋がマむクロ゜フトのビル・ゲむツ、 アップルのステヌブ・ゞョブズであり、珟圚のアマゟン・ドット・コム、ダフヌ、グヌグル、フェむ スブックのようなベンチャヌに぀ながっおいく。 19䞖玀以前の起業家は、自分の立ち䞊げた䌚瀟からの絊䞎報酬や配圓で富を圢成したが、20䞖玀埌 半の起業家は、立ち䞊げたベンチャヌビゞネスを株匏垂堎に公開するこず株匏垂堎で売買取匕でき るようにするこずによっお、持株の経枈䟡倀を増倧させお富を埗おいるのである。 ~ 18 ~