"看板のツィイーたんが最大の売りです"『ホースメン』

ホースメン [DVD]

ホースメン [DVD]

 2009年に見逃した、チャン・ツィイー出演のハリウッド映画。


 全身を釣り針で吊るされた女の惨殺死体が発見される。発見者は被害者の養女。さらに、同様の死体が発見され、どちらの現場にも「COME AND SEE」のメッセージが残されていた。捜査に当たる刑事プレスリンは、事件の鍵に聖書の黙示録があることに気づき、手がかりを追い求める。だが、義母を慕っているかのように見せていた養女が、突如、自らが犯人であると告白したことから、事件は不可解なものへとなっていく……。


 チャン・ツィイーが悪役……って、なんでいきなりネタバレしてるんだよ! 予告でもDVDのジャケでも! まあはっきり言ってそこを売りにしないと宣伝しようもないんだろうが……。デニス・クエイドが刑事役のサイコ物ですよ? 誰が見るんだ今さら? オレだってツィイーが出てるにも関わらず、結局劇場には行きそびれたからなあ……。
 義母を残忍に殺された養女、「いたいけな孤児」。だが、涙を流し刑事にすがる彼女こそが犯人であった! ビニール袋入りの胎児を突きつけて不気味に笑うシーンが最高! 天使にも悪魔にもなれる(ぐわっ、陳腐な表現だ……)彼女の演技力を活かしたハマり役だ。『HERO』『ソフィーの復讐』『女帝』など、彼女は常に演技に二面性を要求され、それに応えてきた。しかし、ここがこの映画の最大の見せ場で、最大の驚きどころなのだ。それを予告編で隠せず宣伝の目玉、看板にしなければならなかったということは……。


 他には売りが何にもねえということなんだよおおおおおおお!


 四人いる騎士「戦争」「疫病」「死」「支配」の一人がツィイーなんだが、邪悪そのもののような存在感を発揮する彼女がまず捕まり、当然他の三人も恐るべき殺人者かと思って幻想が高まったのだが、まあ何ということもなく、どんどん消えていく。最後の一人の正体が、もう一度サプライズになる構成だが……うん……まあよくあるパターンなんだけど、丁寧に伏線張り過ぎたせいで、こいつ以外いねえだろとなっちゃうという……。


 テーマも設定して、それに沿ってまずまずきっちり作ってあるのだが、一番インパクトのあるところを序盤〜中盤に持ってきて、温いところを後回しにしたせいで、尻すぼみに終わってしまっている。そのテーマにしても、なんか甘いところに着地したな、という印象で、他に対決すべき問題が残ってるんじゃないの?と思ってしまう。


 ショッキングシーンも、見せてるような見せてないような中途半端なカメラワークがつまらない。ま〜、色んなものが中途半端でしたね。ちらっと出てるピーター・ストーメアが、いつも通りの役なのに加えて出番少なすぎで可哀想。まあチャン・ツィイーファンだけが観ておけばいい作品です。


 さて、チャン・ツィイーと言えば「天使にも悪魔にもなれる」と先に書いたが、本来彼女は、「天使にも悪魔にもドラゴンにもなれる」稀有なる女優なんだよなあ。つーことで、ひさびさにカンフーもの観たいです! お願いします! 『一代宗師』はいったいどうなってるのでせうか!?

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