クォーク6個の粒子あった 日大などスパコンで証明
物質の基本単位「クォーク」が6個集まってできる粒子「Hダイバリオン」の存在を、日本大の井上貴史助教(原子核物理学理論)らのチームがスーパーコンピューターを使った計算で確認、20日付の米物理学誌フィジカル・レビュー・レターズ(電子版)で発表した。30年以上前に存在が予言されていた。
クォークは3個一組で陽子や中性子、2個一組で中間子をつくることが知られているが、6個も集まってできる粒子については存在を疑う学者も多かった。井上助教は「今回の成果により、実際にあることがほぼ確実になった。いずれ加速器の中で見つかるのでは」と話した。
大きさは陽子とほぼ同じ、重さは陽子の約3倍という。
Hダイバリオンの存在は1977年、米国の物理学者が、クォークについての基礎的な理論を簡略化した手法を使って存在を予言。井上助教らは簡略化せず、スーパーコンを使って膨大な計算を伴うシミュレーションを行った。
シミュレーションでは全部で6種類あるクォークのうち特定の3種類を2個ずつ選び、物理的な特徴を調整した上で、計6個を直径10の13乗分の1センチの空間内に置いた。置いた後で3つずつをつかんで引き離そうとすると、離れるほどクォーク間でより強い力が働くことが分かった。どの3つを選んでも結果は同じで、これは6個のクォークが1つの粒子を形作っていることを示す結果という。〔共同〕