ハッタリ大王の整理整頓された青春「Super 8」
なんだか、友達のカーチャンが作ったカレーみたいな映画だなあ。
鑑賞直後思った。
「あ、お前んちのカレー、挽肉使うんだ?へー。ルゥは?バーモントカレー?あっ・・そうなんだ・・」
昼飯のトンカツ喰いながら、もう一回、そのカレーのことを考えてみたら、味を全く思い出せなくなった。
E.T.、未知との遭遇、ジョーズ、グーニーズにエクスプローラーズ、果てはITだ。この映画にはなんでも入っている。でも、いくら咀嚼しても味がしない。
J.J.エイブラムズはスピルバーグへのオマージュをキッパリと否定しているが、どう見てもこれはE.T.、未知との遭遇、ジョーズをほどよくブレンドして綺麗に整理整頓したものだ。でも、綺麗に並べただけでは、味がなさ過ぎる。これじゃ、教師が理想とする優等生集団の生真面目な学級会だ。実際の子供とか青春ってのは、もっと向こう見ずでとっちらかってるべきものだろ。
「上手いことまとめて撮れたでしょ?ねー?」
確かに上手いこと撮れてる。お前の家のカレーは、美味い。また喰ってもいいよ。お前にとってはそれが愛の味なんだろ?でも、それはお前向きの愛であって、俺向きじゃない。俺のカーチャンのカレーはカーチャンにしか作れないんだ。あ。そうそう、ひとつだけ。お前の家の福神漬け*1は凄い。漬け物への熱意を感じるよ。
以下、重箱の隅をつつく。ややネタバレだが確信には触れていないつもりだ。
- あの部屋は俺の部屋だ。(ハロウィン、ゾンビのポスター、GILLMANフィギュア)
- 列車事故と護送車のシーンはあと30回くらい観ても良い
- ロメロってコーヒー中毒なんだぜ?
- エル・ファニングだけ輝きすぎだ。ブーちゃんとメガネの立場ないだろ
- エル・ファニングの演技をする演技は全く抑制がきいていない。あんな演技、突然「やれ」っていわれてもやれんだろ。
- 地球外生命体の出し惜しみと「ジョーズ」における鮫の出し惜しみは同系ではないことにまだ気がつかないのか。このハッタリ野郎め。
- Zippoを出すのはもう、おやめなさい。
- 人間をプカプカさせたあげく、白目剥いてムシャムシャ食うようなやつが突然、あんなつぶらな瞳を見せても説得力無いわ。
- 俺だったら、あのペンダントは親父に渡すね。あんなので自立を表現とか。そんなチープさは80年代の仕事だ。
*1:もちろんあのオマケのことである