日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先日、静岡の沼津へ出かけた際、ふらりと立ち寄った店にスーパーに、「ハイラーメン」というインスタントラーメンが売っていた。
袋にドーンと大きく「マルちゃん」のマークが入っているものの、東京では見たことがない商品だ。最近流行している「ご当地限定商品」というやつですか、とお店の人に尋ねたら、意外な答えが返ってきた。
「マルちゃんマークが初めて使われた商品で、昔は全国で売っていたそうですが、新しい商品が出たことでどんどん置かれなくてなって今では静岡県内の店でしか置いてないんですよ」
確かに、東洋水産の「商品情報」を除くと、発売日は「1962年」とある。ちなみに、インスタントラーメンの元祖が「日清チキンラーメン」だというのは、あまりにも有名だが、こちらは鍋で煮込んで、、粉末スープをといたどんぶりに入れるタイプの元祖らしい。
50年以上ひっそりと静岡のみで売れ続けるラーメン。なんだか絶滅危惧種みたいだなと思ったら案の定、一部のインスタントラーメン愛好家から「幻のラーメン」なんて言われているらしい。
一体どんな味なのか、と好奇心から買ってみたら、昔ながらのちぢれ麺で、スープはチキンラーメンのようにあっさり味ではなく、白濁してトロッとしていた。子どものときによく食べた駄菓子屋の味的なものをイメージしていたが、2010年に48年ぶりに味が全面リニューアルされたということもあってか、ジャンク感はありながらも今風の味で普通にうまい。
今度はもうちょっと多めに買ってみよう。そう思って次に静岡方面へ向かう予定は、と考えているうちにはたと疑問が浮かんだ。
いろいろな新製品が出回るという状況は静岡だって変わらない。なぜこの地の「ハイラーメン」だけは生き残ることができたのか――。
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