検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

深刻な中日のファン離れ ニーズくみ取り変革を

詳しくはこちら

解説の仕事で古巣の中日戦に足を運ぶたび、寂しいなと思うことがある。セ・リーグ5位という成績だけではない。本拠地のナゴヤドームの空席が目立つのだ。今季主催試合の入場者数は1試合平均で2万7663人で、こちらもリーグ5位(数字は15日現在)。応援もどことなく元気がなく、チーム成績も入場者数も最下位のヤクルトの方が、よほどファンの熱気が感じられる。

年間契約席購入者が観戦せず

ナゴヤドームも一目見た限りではそこそこ埋まっているように見えるが、年間契約席を持ちながら観戦にいかない人が増えている。よほどのファンであるシーズンシート購入者が見にいかないのだから問題の根は深い。その人が知り合いに「チケット譲るよ」と言っても、知り合いも「行かない」と断るという。

中日に9年間在籍した私が思うに、本来、名古屋のファンの中日への思い入れは相当なものだ。「おらがチーム」という意識が強く、悪くいえば排他的とも思えるほど。そう考えると、現在の1軍首脳陣の陣容には首をかしげざるを得ない。元西武の森繁和監督を筆頭にほとんどが現役時代は主によその球団でプレーした人で、中日の生え抜きは近藤真市投手コーチと、このほど2軍コーチから1軍担当となった朝倉健太投手コーチだけだ。

もちろん、優秀な人材ならどのチームにいたかに関係なく招請すべきだろう。ただし、能力が同等なら地元で活躍した人を使った方がいい。チームを熟知している利点もある。そう考えると、1軍の監督・コーチ陣(コンディショニングコーチを除く)で生え抜きがたった2人というのはあまりに極端で、これでは名古屋のファンの愛着が薄れるのも当然というものだ。

昨年の日本シリーズが盛り上がったのは、日本ハムも広島もドラフトで獲得した若手を手塩にかけて一人前に育ててきたチームということが大きかった。スターティングメンバーのほとんどが生え抜きだと、ファンも愛着が湧いて応援しやすい。広島あたりも「おらがチーム」の意識が強い土地だから、あれでよそから来た選手がずらりと並んでいたら応援しづらいはず。好きである半面、よそ者ばかりで思い入れが持てない。これが、中日首脳陣を見るファンの偽らざる思いなのではないか。

球団の狭量な考えが見え隠れ

ファン離れは今に始まったことではない。2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で落合博満監督率いる中日は12球団で唯一、選手を日本代表に派遣しなかった。代表に選ばれれば選手は名誉なことで、晴れの舞台を経験できなかった選手たちはかわいそうだった。ファンとしても、応援するチームから代表選手が出れば誇りに思えるものだが、その機会も失われた。

落合監督のころは、けが人の情報も一切表に出てこなかった。ファンとすれば誰が打った、誰が投げたということに加えて、誰がどんなけがをしたかも知りたい情報。ファンサービスの観点からいえば、いかにも不親切だった。

日本代表に派遣しなければ選手は余計なけがをすることもなく、ペナントレースに向けてじっくり準備できる利点はあっただろう。故障者などの情報を非公開にすれば相手チームをかく乱することもできよう。ただ、そこには「自分のチームさえよければ」という狭量な考えが見え隠れして、決して好ましいものではなかった。落合監督どうこうより、球団自体に「ファンあってのチーム」という視点が欠けていた。

長嶋茂雄さんが巨人の監督だったころ、「田尾君、今年のタイガースはどうかな?」と聞かれたことがある。「いやー、今年の阪神はだめです。Aクラスは無理です」と答えると、長嶋さんは「そうか。それじゃあ困るんだ。やっぱりタイガースが元気じゃなかったら、プロ野球は活気が出ないんだ」と言った。

相手チームが弱いと知れば「よかった」と思うのが並の監督だが、長嶋さんはそうではなく、もう一つ上を考えていた。球界全体の盛り上がりのためには相手チームも強くないといけない。そういうことを当時の中日球団は考えられなかったのだろう。「自分のところさえ」という独善的な考えは、たとえ地元愛の強い中日ファンでも受け入れられるものではなかったはずだ。

チームの最大の目標は勝つことだが「勝ちさえすればいい」という考えだと、負けたときに何もファンに提供できないことになる。ひいきのチームが低迷し、負けるかもしれないと思っても「あの選手が見たい」「この選手を応援したい」という思いがあるから球場に足を運ぶわけで、そうでなければ最下位ヤクルトの本拠地である神宮球場にあれだけの数のお客さんが入るわけがない。

選手の育成でも中日は後手に回った。かつての主力では井端弘和や和田一浩がチームを去り、荒木雅博や森野将彦は力が衰え、この数年でレギュラーは様変わりした。そこで彼らに代わる新しい芽がどれだけ育っているかとなると、ぐんと伸びた印象の選手はいない。そのためか、今では「中日にだけは行きたくない」というアマチュアの選手がいると聞く。過度な情報統制などでチームに満ちていた閉鎖的な体質は改善されつつあるとはいえ、次代を担う選手にもそっぽを向かれる状態が続くようなら、この先ファン離れが一層進む気がしてならない。

私は阪神に在籍していた1991年に現役を引退したが、当時の阪神は強くなるための努力を全くといっていいほどしていなかった。フロントに文句を言わない人を監督に呼んでいたくらいで、最下位になるのも当然だった。ところが、99年に野村克也さんを監督に招くと知ったとき、球団が変わったと感じた。ある意味、球界で一番扱いにくい人を監督に呼んだということは、球団が本気で「勝ちたい」と思い始めた証し。その後に星野仙一さんを監督に招いてチームを強くし、「ダメ虎」のレッテルをはがしてみせたのはご承知の通りだ。

ファンとの幸せな関係取り戻そう

球団は親会社のものと思ったら大間違い。半分はそうだとしても、もう半分はファンの人のものだという意識を持っていないと、いい組織はつくれない。チームづくり、球団づくりで指標にしたいのは、ファンが何を望んでいるかということ。様々な利害に目がいく球団の人と違って、純粋に応援してくれている人たちのニーズというのは正しい方向を向いているものだ。「強竜軍団」だったころのチームとファンの幸せな関係を取り戻すべく、中日球団には奮起を望みたい。

(野球評論家)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_