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YouTubeでテレビ局やクリプトンなど13社がオリジナル動画を配信 Googleが収益“前払い”

» 2012年11月27日 18時39分 公開
[本宮学,ITmedia]
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 Google日本法人は11月27日、動画共有サイト「YouTube」でテレビ局や芸能プロダクションなどによるオリジナル動画を配信する「YouTube オリジナルチャンネル」を開設した。

 フジテレビジョン、TBSテレビ、テレビ朝日といった民放キー局や、ニフティ、クリプトン・フューチャー・メディアなど13社がYouTube上に公式チャンネルを順次開設。テレビ番組やWebサイトなどと重複しないオリジナル動画だけを、毎日〜週数回ペースで配信していくという。

 10月にTBSとフジテレビ、鉄道動画配信を手がけるビコムが先行してチャンネルを開設。来年初旬までにクリプトン、ニフティ、ホリプロ、サンミュージックプロダクション、電通など17の公式チャンネルが出そろう。クリプトンは初音ミクによる創作活動が世界で広がる様子を伝える番組を予定している。

photophoto TBSテレビの公式チャンネル「女子アナの罰」(左)、フジテレビの公式チャンネル「キャサリン三世」

 動画制作に当たっては、Googleがコンテンツ企業に制作費を“前払い”する方式を採用。制作予定の動画によってどれだけの広告収入を得られそうかをGoogleが試算し、相応額を事前に提供する。実際に得られた広告収益がこれを上回った場合は剰余分をシェアし、下回った場合はGoogle側が負担する仕組みだ。

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 同様の取り組みは既にYouTube米国版で2011年に始まっており、100以上の企業が公式チャンネルを運営している。「どのようなコンテンツを制作すればヒットするかといった知見がたまってきている」とGoogle日本法人の水野有平執行役員は話す。

 Googleはこうしたノウハウを基に企業のコンテンツ制作を支援。動画内に字幕を入れたり、再生中に関連動画へのリンクを表示したりと「YouTubeならではのインタラクティブな動画を作ってもらいたい」(水野氏)考えだ。

photo 会見にはTBSアナウンサーの加藤シルビアさん(右)、フジテレビアナウンサーの宮澤智さん(左)、タレントのダイヤモンドユカイさんが登場。加藤さんは「テレビ局の垣根を越えてコラボ企画などもできたら面白い。お互いWin-Winだと思う」とコメント

 テレビ局側もネット動画の配信に前向きという。TBSテレビの杉田謙二氏(テレビメディアビジネス局 デジタルビジネス統括担当局長)は「当初はテレビとネットの組み合わせについて懐疑的だったが、テレビ放送中の『女子アナの罰』を配信したところ、数十万回再生され、テレビの視聴率も上がった。相乗効果が発揮できている」と話す。

 また、テレビ朝日の武居康仁氏(コンテンツビジネス局 コンテンツビジネス戦略部長)は「テレビ放映しているものと同じクオリティ、同じ制作チームで動画を作っていく。スピンオフ的な“おまけ動画”という考えは一切ない」「とにかくいいものを出していく」と意気込んでいた。

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