ARアプリ「セカイカメラ」が機能拡充、震災前の写真を現地で閲覧可能に


「セカイカメラ」でエアタグを確認する際のイメージ。震災前の写真は茶色の枠、震災後の写真は銀色の枠で表示されている

 頓智ドット株式会社は6月30日、AR(拡張現実)技術に対応したモバイル端末用アプリ「セカイカメラ」の機能拡充を発表した。ヤフー株式会社が手がける「東日本大震災 写真保存プロジェクト」に寄せられた写真を、実際の撮影地付近でセカイカメラから閲覧できるようになった。

 「東日本大震災 写真保存プロジェクト」は、東日本大震災によって失われた街並みや風景を写真として保存するための非営利プロジェクト。4月8日の発足後、一般ユーザーから写真および撮影場所情報の募集を開始した。復興途上の様子を捉えた写真も含めると、6月30日時点では1万8000件以上が集まっているという。

 頓智ドットはこのプロジェクトに賛同。セカイカメラの「FILTER」機能を使って、それらの写真を閲覧できるようにした。実際の閲覧にあたっては、まず写真の撮影場所付近でセカイカメラを起動し、「FILTER」メニュー内の「LIST」に表示される「震災前の記憶」「復興への記録」を選択する。その上で端末内蔵カメラを周辺の風景に向けると、画面上に写真を示すエアタグが表示されるので、任意にタップすれば閲覧できる。

 これにより、被害を受けた現実の風景と、かつて撮影された写真を現地で見比べることができる。頓智ドットはプレスリリース内で「被災された方々の中には、まだ日々の生活に追われ写真を見るどころでない方や、むしろ、しばらく写真を見たくないという方もいらっしゃるかもしれません」とコメントする一方で、数カ月後、数年後、数十年後に復興を遂げた後、震災前の日々を思い出したり、震災の記憶を風化させないために活用してもらいたいと説明している。

 なお、セカイカメラはiPhone版、iPad版、Android版がリリースされており、いずれも無料で利用できる。


震災前に被災地で撮影された写真復興途上の写真も閲覧できる

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(森田 秀一)

2011/7/1 13:16