マッチ最大手が事業撤退、兼松日産農林
マッチ最大手の兼松日産農林は27日、マッチの製造販売事業から2017年3月末で撤退すると発表した。使い捨てライターなどの普及でマッチ需要は右肩下がりで、唯一の国内工場では設備の老朽化で安定供給が難しくなった。
製品の商標権と製造設備の一部を、マッチやライター、紙おしぼりが主力の日東社(兵庫県姫路市)に譲渡する。譲渡金額は非開示だが、マッチ事業撤退の連結業績への影響は軽微という。
兼松日産農林は今後は住宅の地盤補強や木材の防腐事業などに注力する。「桃」や「燕(ツバメ)」などの商標で知られるマッチの製造販売は日東社が引き継ぐ。
兼松日産農林は1939年にマッチ事業に参入。戦後の復興期には国内で10カ所以上の工場を運営していた。自動点火コンロや使い捨てライターなどの普及でマッチ需要は縮小を続け、現在は淡路工場(兵庫県淡路市)の1ラインのみで生産している。
マッチ事業の売上高は2016年3月期に1億8500万円だったが、現在でも国内で4割のシェアを誇る。