「NOD32」の最新版「V5.0」12月15日発売、微調整HIPSや人工知能クラウド


 キヤノンITソリューションズ株式会社は、個人ユーザー向けのウイルス対策ソフト「ESET NOD32アンチウイルス V5.0」と総合セキュリティソフト「ESET Smart Security V5.0」を12月15日に発売すると発表した。

 NOD32は、64bit版を含むWindows 7/Vista/XP/Home Server 2011と32bit版のWindows 2000 Professionalに対応する。価格は、ダウンロード製品の1台1年版が3200円。パッケージ製品は、Mac OS X用のウイルス対策ソフト「ESET Cybersecurity」も同梱したマルチOS対応となっており、1台版が4800円、5台版が1万6980円。ライセンス台数の範囲内で、NOD32とESET Cybersecurityの好きなほうを使用できる。

 ESET Smart Securityは、64bit版を含むWindows 7/Vista/XPに対応。ダウンロード製品は、1年版、3年版、3台版があり、いずれもオープンプライス。パッケージ製品は、2ライセンス同梱(2PCで1年間または1PCで2年間使用可能)で6800円など。また、V5.0発売記念の5万本限定パッケージとして、3年1ライセンス版も9800円で販売する(価格はすべて税別)。

ESET NOD32アンチウイルス V5.0ESET Smart Security V5.0(3年1ライセンス5万本限定パッケージ)

軽さは健在、豪PassMarkのベンチマークで総合1位をアピール

 ESETはスロバキアに本社を構えるセキュリティ対策ベンダーで、20年前からヒューリスティック技術を研究・開発しているという。いわばウイルスのDNAを検査して未知のウイルスも検知する仕組みだとしており、検出率が高い一方、ウイルス定義ファイルで容量を食わないために動作が軽いのが強みだとしている。

 新バージョンのV5.0でも、軽さを維持。オーストラリアのベンチマークソフト企業であるPassMarkが9月に発表した「Consumer Internet Security Products Performance Benchmarks(Sept 2011)」によると、ESET Smart Security V5.0(英語版)が総合スコアで1位を獲得したという。メモリ使用量や起動時間、スキャン時間、ファイルリード/ライト時間など、軽さを計る14項目の指標でテストを実施。各項目10点/合計140点満点のところ、ESET Smart Security V5.0は107点だった。なお、2位は95点、3位は89点、4位は74点、5位は65点。

「Consumer Internet Security Products Performance Benchmarks(Sept 2011)」の結果

侵入防止システム、クラウドレピュテーションが進化

 さらにV5.0では、新機能によって主に4つの側面で進化しているという。

 まず、1つめがHIPS(Host-Based Intrusion Prevention System:ホスト型侵入防止シス
テム)による「侵入防止機能の進化」。従来のパーソナルファイアウォールが許可する通信を制御する機能だったのに対し、HIPSではシステムレジストリ、プロセス、アプリケーション、ファイルが保護対象となる。これらに対して変更・削除などが行われようとするとポップアップメッセージを表示するほか、システムの内部で何が起きているのかを解析し、各アプリケーションがどよのようなアクションをとっているのか監視することも可能だという。変更・削除の可否などのルールも細かく定義でき、ユーザーがシステムの挙動を微調整できるとしている。

 次に、「ESET Live Grid」による「クラウドレピュテーション技術の進化」がある。これは、2007年から搭載されている「ThreatSense.Net」をさらに進化させたもので、疑わしいファイルや匿名の統計情報をESETに送信する機能がある。加えて、1億人を超えるユーザーから集められた情報のデータベースでリアルタイムに作られたホワイトリストを用い、実行している各プロセスの安全性を評価する。

 ESETのリチャード・マルコCEOによると、「セキュリティベンダーの競合他社もクラウドベースのソリューションを出してきているが、それらはどちらかというとデータベースの延長線上にあるもの。これに対してESETの技術は、人工知能を活用した技術」。ユーザーから送信された情報をもとに、マルウェアの挙動パターンや、クリーンファイルと悪意のあるファイルの判定方法などを人工知能により解析。多くのユーザーに使われているアプリケーションの統計情報とも組み合わせて、悪意のあるアプリケーションかどうか正確に判定できるとアピールしている。

 従来は、ESETのデータベースに集められた情報は、マルウェアであれば定義データベースあるいはヒューリスティックエンジンのモジュールに反映する流れだったため、若干タイムラグがあったというが、ESET Live Gridでは、PCで実行されているプロセスがリアルタイムで怪しいものかどうか判別できるという。「実行中のプロセス」画面において、各プロセスの脅威を色で表示する。

 3つめは「使いやすさの進化」を挙げている。まず、「ゲームモード」により、ゲームを妨げるようなポップアップ通知などを一時的に停止できるようにした。また、日本市場からの要望により「リムーバルメディア自動検査」機能を実装。USBメモリなどを差し込むと、スキャンを行うかどうかのポップアップメッセージが表示される。このほか、オンデマンドスキャン後の自動シャットダウン機能も日本からの要望で実装した。

 4つめは「総合セキュリティソフトとしての進化」。ESET Smart Security V5.0にのみ搭載の機能になるが、「ペアレンタルコントロール」を搭載した。20のカテゴリーやホワイトリスト/ブラックリストを用いて、ユーザーアカウントごとにウェブフィルタリングのルールを設定できる。

16日に東京都内で記者会見したESETのリチャード・マルコCEO(中)、キヤノンITソリューションズ株式会社執行役員プロダクトソリューション事業本部長の楢林知樹氏(左)、ESET法人向け製品のイメージキャラクターとして起用している渡辺真理さん(右)




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(永沢 茂)

2011/11/16 16:04