JT、「マイルドセブン」を「メビウス」に名称変更

JT、「マイルドセブン」を「メビウス」に名称変更
8月8日、JTは、代表的なブランド「マイルドセブン」の名称を「メビウス」に変更すると発表。写真の自動販売機は都内で6月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 8日 ロイター] 日本たばこ産業(JT)<2914.T>は8日、代表的なブランド「マイルドセブン」の名称を「メビウス(MEVIUS)」に変更すると発表した。ブランド名称やパッケージデザインを刷新し、世界でナンバーワンのプレミアムブランドを目指す。
小泉光臣社長は会見で「現在は、ウィンストンというサブプレミアム価格帯が好調だが、今後のさらなる利益成長を実現するためには、プレミアム価格帯の強化が重要になってくる」と述べた。 昨年度比で240億円積み増した販売促進費の多くを投入して、ブランド刷新を進めていく。
同社の世界でのたばこ販売の約14%、日本では約半分を占める主力ブランドの刷新にあたっては、2年前からプロジェクトを組み、一切の制約を取り払って、検討を進めてきた。小泉社長も「相応の決断が必要だったのは事実」としながらも「2年間の調査の中で、メビウスのほうが高評価を得た。こちらで世界戦略を考えたほうがよいと決断した」と話す。
ウィンストンは現在、85カ国で1307億本を販売している一方、マイルドセブンは17カ国・765億本にとどまっている。小泉社長は「既存市場のシェアの拡大はもちろんのこと、展開市場数を増やすことでさらなる成長が見込める」とした。そのための施策として、新ブランド名称の導入、パッケージデザインの刷新、ラインナップの拡張を実施する。
「メビウス(MEVIUS)」は造語。マイルドセブンのMとSを付け、真ん中にEVOLUTIONのEV、I&YOU(U)のIUを入れた。日本では、12年11月にパッケージデザインの刷新、13年2月に名称の変更を行う。また、海外では、すでに12年4月から新パッケージへの切り替えを始めている。また、新名称は、今後1年をかけて導入を進める方針。既存市場での新名称導入が完了した時点で、あらたな市場への展開を進めていく。
同社は、「ウィンストン」、「キャメル」、「マイルドセブン」、「ベンソン&ヘッジス」、「シルクカット」、「LD」、「ソブラニー」、「グラマー」の8銘柄を事業の中核をなすグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)と位置付けている。なかでも「マイルドセブン」は、1977年に日本で発売を開始した老舗ブランド。日本では78年から国内ナンバーワンシェアを守り続けており、現在では、台湾や韓国、マレーシア、ロシアなど世界17カ国で販売している。
<国内では将来の値上げを示唆>
小泉社長は「リーマンショックで気が付いたのは、ブランドポートフォリオの必要性だった」と述べている。景気悪化時の受け皿としては、5月にベルギーの手巻きたばこ大手のGryson社を510億円で買収することを決めた。一方、景気回復時のプレミアム領域強化として、マイルドセブンの刷新を決めたという。
日本において「マイルドセブンは」1箱410円で、サブプレミアムの領域にある。小泉社長は「中期的にプレミアムに持っていく、明確な意思を持っている」と述べ、値上げも視野に入っていることを明らかにした。佐伯明副社長も「持続的な利益成長のために、価格戦略は重要なオプションの1つ。新しい価値を理解してもらえれば、オプションを実行する基盤が整ってくる」とした。
現在、マイルドセブンは、欧州市場から撤退している。今回のブランド刷新は、欧州の形容的表示規制を意識したものではないとしながらも「結果的に(規制のある国への対応として)ポジティブに働く。プレミアムブランドが売れているのは欧州や米国。当然、欧州を意識した展開を図っていく」(佐伯副社長)と述べており、欧州での再投入も視野に入っている。
EU域内では、「マイルド」や「ライト」という表現は、他の製品よりも健康へのリスクが少ないかのような誤解を消費者に与えるとして、たばこの包装に使用することを禁じている。
ただ、米国市場については「展開は考えていない」(小泉社長)と明言した。
(ロイターニュース 清水律子;編集 宮崎亜巳)
*誤字を修正して再送します。

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