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6月17日 三橋貴明著「ジャパン・コンセンサス―国民を豊かにする「最強」の経済政策  」発売記念

三橋貴明の「「デフレを退治し、日本を救う会」 講演会が開催されます。

http://www.a-un.jp/symposium/index.html

※前半は三橋貴明の講演、後半がパネルディスカッションです。

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『日本をギリシャ化する方法①』 三橋貴明 AJER2012.5.22(1) 】
『日本をギリシャ化する方法②』 三橋貴明 AJER2012.5.22(2) 】

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 三橋はまたもや、北海道十勝の音更町(おとふけちょう)を訪れました。次回作のために、故・中川昭一先生の奥様でいらっしゃる中川ゆうこ様に取材に伺ったのでございます。中川ゆうこ様は、当地の自民党選挙支部長でいらっしゃいます。すなわち、次回総選挙において、「あの」控訴中の石川議員と真っ向勝負をされることになります。総選挙になりましたら、わたくしも全力で支援させて頂くつもりです。
 次回作は、さかき漣様と共著(イラストはもちろんあの方)の「小説」になりますので、さかき様にも御同行頂きました。


【写真 中川ゆうこ様と】
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 さて、昨日の続きです。来週17日(日)18時から開催される三橋貴明の講演「デフレを退治し、日本を救う会http://www.a-un.jp/symposium/index.html で詳しくお話しいたしますが、次なる資本主義の中心は「国民経済」が中心にならざるを得ないでしょう。「国民」経済、英語で言えばNational Economyになります。


 国民(Nationa)のための経済ですので、「国境線のこちら側、向こう側」を明確化(グローバリズムよりは)したものにならざるを得ません。グローバリズムの何が問題かと言えば、国境線を飛び越え、資本が世界中を駆け巡り、結果的に「国民の所得」がなおざりにされてしまったという点です。


 百歩譲って、「日本の投資家」が優遇される株主資本主義であれば、まだマシなのです。何しろ、日本の投資家が受け取る配当金は日本円で、日本国内に再投資されることになります。ところが、これが「グローバル投資家」の場合は、配当金を「所得収支」として海外に持ち帰ってしまいます。結果、その国に再投資されるかどうかは不明です。グローバル投資家は、「儲からない」と判断すれば、さっさと資本を他国に持ち去ってしまうことになります。

 これでは、トリクルダウン理論もあったものではありません。


 まあ、世界最大の対外純資産国で所得収支の黒字が巨額化している日本の国民が言うのもどうかと思いますが、日本国の所得収支黒字の多くは「直接投資」から生まれています。すなわち、日本企業が外国に保有する工場などの資産からの配当金です。ここで問題にしているのは、おもに証券投資(間接投資)の方になります。
 
 さて、アイルランドという国がありました。


 ユーロ圏の銀行がこぞって「アイルランドの銀行」にお金を貸し付け、「アイルランドの銀行」はそのユーロを国内の不動産プロジェクトに融資し、住宅バブルが醸成されていきました。本来、アイルランドは経常収支赤字国で、国内に過剰貯蓄があったわけではないのですが、共通通貨ユーロ加盟国でもあり、「外国から借りたユーロ」により、不動産バブルを膨張させてしまったのです。


 07年にアイルランドの不動産バブルは崩壊を始め、「アイルランドの銀行」の債権が「不良債権」へと姿を変えました。結果的に、「アイルランドの銀行」はユーロの各銀行にお金を返済することが出来なくなってしまいます。すなわち、ユーロ圏の各銀行が「アイルランドの銀行」に貸し込んだお金もまた、不良債権になったわけです。

 普通に考えて、「アイルランドの銀行」にお金を貸したユーロの各銀行側にも、問題があるわけです。「アイルランドの銀行」に貸した債権が不良債権となったなら、ユーロの各銀行は貸し倒れ引当金を計上し、不良債権を処理しなければならないはずです。


 が、そうはなりませんでした。


 なぜか、「アイルランドの銀行」の返済能力を高めるために、「アイルランド政府」が資金注入をします。とはいえ、アイルランド政府に余分なユーロがあったわけではありません。アイルランド政府は「ユーロの各銀行」に国債を発行し、ユーロを借り入れ、自国の銀行を支援しました。


 結果、本来は「アイルランドの銀行」という民間の対外債務問題だったのが、いつの間にか「アイルランド政府の対外債務問題」に話が変わってしまいました。アイルランド政府の問題とは、すなわちアイルランド国民の問題でもあります。


 元々は「アイルランドの銀行」と「ユーロの銀行」の間の問題だったのが、いつの間にか「アイルランド国民の対外債務問題」に姿が転じてしまったわけです。「アイルランド国民の対外債務問題」である以上、アイルランド国民は政府からユーロを絞られ、外国の返済原資確保のための緊縮財政等を強いられることになります(そして、税収が減り、状況が悪化したわけですが)。


 よくよく考えてみると、なぜ「ユーロの銀行とアイルランドの銀行」の問題であった対外債務問題が、「アイルランド国民の対外債務問題」になってしまうのか、法的根拠が分かりません。アイルランドの不動産バブルが崩壊したとはいえ、同国の銀行に貸し込んだユーロの各銀行の経営者たちも、本来は経営責任を問われるべきだと思うわけです。


 とはいえ、現実の世界では、上記と同じ「債務問題の主体者が変わる」ケースが頻繁に見られます。

 というわけで、スペイン。


『スペイン、週末にも金融支援を要請する見通し

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT816508520120608  

 複数の欧州当局筋によると、スペインは国内銀行の資本増強に向けて週末にもユーロ圏に対し支援を要請する見通し。 

(中略)

 フィッチ・レーティングスが前日、スペインの格付けを「BBB」へ3段階引き下げてから事態が急展開した。あるドイツ高官は、ここにきてスペイン政府が「事態の深刻さを認識するに至った」と語った。 


 また6月17日のギリシャ再選挙で緊縮財政措置に反対する左派政党が勝利すれば同国がユーロ圏から離脱する可能性が高まり、市場がパニックに陥る恐れがあるとして、選挙の前に合意することが必要と説明した。 

 スペインのサンタマリア副首相はこの日、国内銀行の救済策について、国際通貨基金(IMF)や外部監査の報告書を待ってから、政府としての立場を明らかにすると表明した。 


 「銀行セクターの問題解決にどの程度の資金が必要か見極めるため、われわれは現在、IMFと外部監査会社とともに取り組んでいる」とした上で「必要資金の推定額に関して、こうした手続きに配慮しなければならない。そのため必要額の見通しが確定次第、政府としての立場を表明する」と述べ「何も決定されていない」と言明した。 


 欧州委員会のアマデウ・アルタファ報道官も、スペインからの支援要請はないとした上で、同国が国内銀行の資本増強に関して支援を要請したきた場合、ユーロ圏として利用できる手段があるとの見解を示した。 


 こうしたなか、コンスタンシオ欧州中央銀行(ECB)副総裁は、スペインがまもなく国内銀行向け支援を要請する見込みと発言。「スペインは銀行資本増強に特化した支援を要請する見通しだ」とし、速やかに行われることが期待されると語った。支援要請は9日に行われるかとの質問に対しては「どのような可能性もあり得る」と述べた。』

 

 や、やるな、スペイン・・・・。「スペインの銀行」への資金注入を「ユーロ圏」にやらせれば、自国の政府の対外債務を増やすことにはならないわけです。すなわち、「スペインの銀行とユーロの銀行」の問題を、「スペイン国民の対外債務問題」にすることを避けられます。アイルランドのケースを見て、「これはまずい」と思ったのかも知れません。


 新財政協定への対応(署名はするけど、予算上は無視する)といい、結構、スペインの政府の対応は「海千山千」だと思います。ある意味で、ギリシャ以上にDQN的ではございますが。


 いずれにしても、グローバル資本主義には上記のような「理不尽」としか思えないことが多々あります。本来、責任を取るべき「ユーロの銀行」が、何のお咎めもない(ギリシャ債は債権放棄を強制されましたが)どころか、「債務国」の国民に責任を転嫁してしまうところなど、典型です。この手の「理不尽な話」も、「次なる資本主義」で少しずつ是正されるべきではないかと考えるわけです。


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