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人間の闇を掘り尽くすNHKの「ねほりんぱほりん」が凄い



最近のNHK

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 僕が毎週愉しみにしている番組に、NHK「ねほりんぱほりん」があります。

 最近だと、前期までNHKで放送していた境界のRINNE」「スポンジ・ボブ」「サム&キャット」を視聴していたのですが、残念ながら全て放送が終了してしまったので、仕方なくおとうさんといっしょミニ」内の「5歳のつぶやき」というコーナーを観ながら、「今回もコーナー名に反して4歳とか6歳のつぶやき採用しているな……」と、至極どうでもいい感想を抱く日々を過ごしていた僕にとって「ねほりんぱほりん」の放送は救いでした。

 因みに「サム&キャット」はフルハウスのようなホームコメディなのですが、やんちゃな暴れん坊の女の子「サム」が、おとぼけた天然気味の美少女である「キャット」の家に居候するという、海外らしい大胆な百合ドラマでもあるので強くお薦めします。必ず後半に心温まる教育パートがある「フルハウス」と違い、破壊と混沌だけで話が終わるパターンも多く、30分前の「スポンジ・ボブ」と連続して視聴すると、いい感じに脳味噌がアメリカンになります。

 

 

ねほりんぱほりん

・偽装キラキラ女子

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 閑話休題。それでは「ねほりんぱほりん」自体はどういった番組かと言いますと、「山里亮太」と「YOU」さん演じる男女のモグラが「人間予報」と称して、どこで見つけたのか謎な非常にぶっ飛んだ要素のある人間をゲストとして、根掘り葉掘り面白エピソードを掘り起こしてく人形劇。この「人間予報」という単語のダークさが良いですね。この二匹の邪悪なモグラから見れば、人間なんて視聴率を稼ぐ道具に過ぎません。

 さて、例えばどういった過去のあるゲストが登場するかと言いますと、第一回のゲストは……

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「偽装キラキラ女子」です。

 キラキラ女子とは、ツイッター上で自分の優雅な生活ぶりをアピールしている上流階級の女性たちなのですが、その高慢な態度と世間知らずぶりは、インターネットの住民を度々刺激してしまい、週に一人は軽く炎上しているような状態です。

 有名所では「ばびろんまつこ」さんが居ます。「ばびろんまつこ」さんはツイッターにて高級バッグや人脈の自慢などを繰り返し、多くのフォロワーから羨望と嫉妬心を無意味に集めていたのですが、ある日ふと消えたと思ったら、詐欺で逮捕されてしまいました……。「偽装」という意味ではこの上ない行為ともいえますね。

 しかしばびろんまつこさんの場合は、詐欺で得たお金だとしても、自慢に足る暮らしを実現していたのは事実。一方、今回の「偽装キラキラ女子」はと言いますと、

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アイコンの写真やら、高級そうなディナーなどの写真も全て拾い物で構成されています。

 

 アイコンはモデルの写真をバレないよう切り取り、ネットで拾った高級なデザートを加工し貼り付け、金持ちだからこそ許される発言で一般市民を煽る……。彼女たちをそんな狂った行動へ駆り立てる理由とは……

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「架空の私になりたい」という変身願望が大部分だそう。「女の子は誰もがお姫様」と言いますが、それはまた現代社会では儚い綺麗事。実際は生まれた時点である程度の階級が決まっているもの。せめてネットの中だけはキラキラした私を演じたいという訳です。

 だからと言って、それで煽られる側の一般市民たちは堪ったものではないのですが。どれだけヘイトを集めても、次の日アカウントを消せば全て解決ですからね。彼女たちの中ではいずれ「昔ネットでやんちゃしたなぁ」と、想い出として昇華されるのでしょう。想像するだけで非常に腹たちますね。まぁ失敗すると詐欺で逮捕されたりもするのですが。女性の闇は深い。

  そんなこんなで一発目から、我々視聴者に大きな衝撃を残した「ねほりんぱほりん」。ラストもキラキラ女子の実態を散々晒し者にした挙句に「ニンゲンっておもしろい」で締める邪悪っぷり。

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 2回目のゲストは「元国会議員秘書」。

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 こちらも俗世間に塗れた1回目とは違い、政治界の裏という非常に闇に近い部分を攻める流石のNHK

 特に議員と愛人としてスクープされてしまったものの、誤解を解こうと言い訳する事もできず、ひたすら平謝りして応援陣営から卵を投げられるなど、とても興味深い話が多数なのですが、政治ネタ多めなのと3回目の衝撃がデカすぎたので割愛します。

 

・元薬物中毒者

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 「偽装キラキラ女子→元国会議員秘書」と経て、三回目は「元薬物中毒者です。

 偽装キラキラ女子はまだ出来心で許されるレベルですし、元国会議員秘書は黒い部分はあるものの、基本的には多忙な人格者であったのですがこの回はガチ犯罪者です。NHKでドラッグの話を語るなんて最早「中島らもの小説の域。

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 さっそく登場したのは「元薬物中毒者 エリさん(29)」。現在はドラッグを止め既婚。

 13歳で薬物デビューという素晴らしく狂った経歴。「始まりはタバコと騙されてマリファナを吸わされた」そうですが、「媚薬と騙されてビタミン剤を飲まされる」シチュの逆パターンですね。

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 しょっぱなから、冬目景先生の短編と同じシチュエーションで薬物にハマった女性の登場で、開始5分で僕含めた視聴者は彼女の話に釘付けです。

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 覚醒剤を使用するとトイレですらキラキラと輝いて見えると、嬉しそうに話すエリさん。キラキラ女子なんかに偽装せずとも、覚醒剤さえあれば世界は黄金に輝く事を証明してくれました。

  エリさんは更に、旦那と結婚し子育て中も覚醒剤を使用していたそう。むしろ子育てこそ薬物に頼らないと乗りきれなかったとか。殺し屋1」などの世界だったら、自分より子供の方にヤク打って黙らせていた可能性があります。

 そんなエリさんを中毒から救ったのは、何でも受け入れてくれる夫の愛だそう。こんな内容から良い話で纏まるのは驚きですが、「ぶっちゃけまたクスリやりたい?」と訊かれると、またヤク中へ戻りそうな返事で締めてきっちりオチがつきました。やっぱり人間って面白い事を再確認させてくれます。

 他にも覚醒剤を使いケムール人ばりに深夜の道路を爆走する男や、使用中無限にピザを食べ続けるようになった人など、個性豊かなメンバーが実体験を語ってくれる凄い回でした。

 「元薬物中毒者」まで呼んで、次はどんなバケモノを呼んでくるのか、最早現在逃亡中の凶悪犯や、異次元人などの人間でないパターンしか無いのではないかと予想していたところ、第4回のゲストは「2次元しか本気で愛せない女たち」と人間予報で知らされます。この変化球っぷりは、高くなりすぎたハードルを地面の下から潜られた感じです。

 

2次元しか本気で愛せない女たち

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  今回のゲストは二人の腐女子さん。右の方は黒子のバスケを好きなアニメに挙げコテコテな腐女子感ありますが、左の方は「攻殻機動隊」な上に仮名も「モトコ」という硬派っぷり。毎度のことながら一体どこから人材を発掘してくるのでしょう、正しくネットは広大だわ……と言ったところ。

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 早速「キャラの身長に合わせて壁に付箋を貼り付けキス」や、「イヤホンを両鼻に差すことで声優の曲を口から流す」など、様々な奇行を紹介してくれます。

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 その後、彼女たちに数回の交際経験があることが発覚。思っていた以上に交際人数が多い事に視聴者がビックリする中、「現実の男性は毛が生えている」「蔵馬に比べてダメ」など、三次元の男性を本気で愛せない理由が次々炸裂します。

 結局ブレずに裏切らないのはアニメだけという結論になるのですが、それに対してTLでは「アニメに裏切られた経験がないのはまだまだ浅い」と反論が飛び交います。

 個人的には「アニメを倍速で観る」という話が引っかかり、今回はオタク視点から見るとイマイチ物足りない感はありました。もしかすると前回の薬物中毒者も、現役中毒者から見れば全然にわかだったのでは……と考えてしまいますね。あと蔵馬と比べるのは流石に彼氏が酷だと思います。

 

・ハイスペ婚の女

  そして最新回は「ハイスペ婚」の女です。

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 開始早々「東大以外は人間だと認めない」と高校時代から信じこみ、徹底的にお嬢様に見えるマナーや合コンでの必勝法を研究し、見事東大出身の会計士の夫を手に入れたナナコさんが登場。早速お茶の間の皆を沸かせます。

 このマナーや合コンの研究が予想以上に気合が入っており、「口元を抑える用」「膝にかける用」「殿方に貸す用」で、常に三枚携帯しているそう。勿論、ハンカチで口元を抑える様も優雅に見えるよう練習する徹底っぷり。

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 しかしお金だけで近づいた夫にはどうも魅力を感じず、結局「東大以外も人間だと気づいた」と、異生物キャラが人間も自分も同じと死ぬ前に気づくようなセリフを吐いて、即他の男と浮気したそう。視聴者から見れば、上質な寝取られモノっぽくて良いですね。夫からすれば殺したいほど憎そうですが。人間の闇部分で言えばナナコさんが一番深い気もします。まだ薬物中毒者の方が健全な夫婦生活を送っていますし。

 

終わりに

 

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そんなこんなで、次回のゲストは「保育士」だそう。ここにきて一般的な職業になったのが、どんな毒が拡散されていくのだろうと逆に怖いですね。

 僕もインターネット越しに、沢山のイカれた人間を観察し、実際のヤク中とも会ったりもしましたが、人間の闇というものはどこまで掘っても掘りきれないもの。是非、今後もこの狂気のモグラに愚かな僕ら人間を掘り続けてもらいたいものです。

 こういった攻めに攻めた番組を作れるのは、流石NHKです。僕的には冒頭で紹介した三作もお薦めです。特に「スポンジ・ボブ」は、NHKでの最終回でも脈絡なく「地球破壊装置」を敵キャラが落とす話が始まり、アメリカンな不条理世界を愉しめます。

 今後も、NHKの教育的な要素一切なしな番組たちを応援しています。