返信メールは、たった1行

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   米アップルの最高経営責任者(CEO)、スティーブ・ジョブズ氏が2010年夏、「お忍び」で来日した際の様子が雑誌に掲載された。帰り際、ジョブズ氏が空港で係員と大モメした挙句、「二度と日本には来ない」と吐き捨てたというのだ。

   ジョブズ氏は、直接メールで問い合わせると気軽に返事をしてくれる例も少なくない。早速、真相を聞きだそうと本人にメールすると、意外な答えが返ってきた。

   ジョブズ氏が極秘で来日したとの記事を掲載したのは、「SPA!」の2010年9月21日・28日合併号。7月末、プライベートジェットでジョブズ一家が関西空港に降り立ったという。アップルによる来日の公式発表はない。

「どれも本当のことではありません」

   帰国時、関空からプライベートジェットに乗り込む前の手荷物検査で、係員がジョブズ氏の鞄の中身を確認したところ、手裏剣を発見。機内への持ち込み禁止を告げるとジョブズ氏は「自分のジェット機でテロを起こすヤツなどいるか」と激高したという。夫人も同様に、化粧品の量が持ち込み制限に引っかかったことに腹を立て、化粧水をぶちまけた。最後にジョブズ氏が「こんな国、二度と来るか」と言い捨てて飛び立った――これが記事の趣旨だ。

   真相はどうなのか。実はジョブズ氏は、メディアやユーザーからのメールに、意外にも素早く返信すると言われる。アップルはジョブズ氏のメールアドレスを公表しておらず、本人かどうかの最終確認はできないとはいえ、これまでも米ITブログメディアがジョブズ氏のものとされるアドレスに連絡し、回答を得ている。どの返答も、文面がとても端的なのが特徴だ。

   J-CASTニュースも、記事内容についてジョブズ氏にメールで質問してみた。関空で機内に手裏剣を持ち込もうとしたこと、係員に激怒したこと、もう二度と日本に来ないと言ったことは本当なのかを問い合わせたところ、数時間後には「アイフォーン」から返信があった。やはり端的な回答でたった1行、こう書かれていた。

   「どれも本当のことではありません」

アップル広報も「訪日を楽しみにしている」

   これを裏付けるのが、2010年9月15日付けの米ブルームバーグ(電子版)の記事だ。米アップルは取材に対して、「スティーブは京都で夏休みを満喫したのは事実ですが、空港でのやり取りの描写は完全なつくり話」と断言したという。また、また日本に行くことを楽しみにしているとのことだ。一方で、関空関係者の証言として、7月末、プライベートジェットに手裏剣を持ち込もうとして止められた人物はいたと紹介。ただし、それがジョブズ氏だったかは明かされなかったという。

   「本人」もアップル広報も、「日本にはもう来ない」という話は否定したことになる。ジョブズ氏が怒りに任せて、何かアクションに走る心配はなさそうだ。

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