怒る必要などない

オフィスと同じビルに歯医者さんが入っていて、3年くらい通っていたのですが、今月閉院となり先生がリタイアされました。先日たまたま考え事をしながら廊下をぶらぶら歩いていたら、その先生と病院のスタッフの方々に「近藤さん!」と呼び止められ、閉院の記念撮影を撮っているところになぜか一緒に入れて頂いて写真を撮り、さらに「飲み会に行くから近藤さんも来てください!」と言われ、これも何かの縁だと思ってご一緒させて頂きました。

飲み会の中で教えて頂いた印象的な話があります。

先生が30代の頃は毎日スタッフのミスをメモし、診察時間が終わるとそのスタッフを怒っていたそうです。ところがある時、「怒る必要などない」ということを悟り、対等な人間として接するように変わったそうです。それから入ったスタッフの方の多くは、10年以上も勤務され続けたそうです。怒るのは自分の自信のなさの現れである、と仰っていました。

飲み会には衛生士の方やアシスタント、受付の方など女性スタッフが4名ほど参加されていました。実際にご一緒した方も一番短くて7年、長い方は16年勤務されて、名残惜しそうに先生のリタイアを祝われていました。皆先生と仲が良く、先生の足りない部分、たとえば「先生より私の方が虫歯をよく見つけるんですよ!」とか(それも困りものなんですけどw)なども躊躇無く話す仲。すでに、次は半年後に集まることが決まっていて「その時も近藤さん来てくださいね!」という具合です。

40年以上働いて仕事を終えた時に、何を残せると幸せなのか。普段あまりそういう事は考えませんが、実際そういう現場に偶然立ち会うことができ、自分も少し考えました。こうやって、仕事を終えても会いたいと思うような人とのつながりを持てるのは、幸せなことだと感じました。

怒る必要などない。怒るのは自分の自信のなさの現れである。
本当にその通りですね。

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)

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