スーパーマン・ビギンズ『エンジェル ウォーズ』

賛否両論・・・というほど大それたことでもない気がするけど、結構な評判を撒き散らしているザック・スナイダー監督作。見てきました。ボクはダメ映画ながらおもしく見れましたが、いやはやしかし眠りこけてる客の多いこと(笑)ボクも途中かなりキケンでした。

映画の構造が「現実/空想/空想その2」という、まさかの『インセプション・ワールド』でかなり驚いたんですが、そう指摘することはするもののやれパクリだのなんだのという声が一切きこえてこないのは、そのクオリティがあまりにも違いすぎるから(笑)。『インセプション』の世界には複雑な“ルール”が何重にもしかれていて、しかも、その元ネタが過去の映画であったり神話的な何かであったりして、まあ要するに隙という隙が全くなかった。

対して我らがザック・スナイダーによる本作は、まず、第一層にあたる「現実@精神病院」から第二層にあたる「空想@劇場」へ移行するための“理由”が、「悲しいときは現実逃避したいのっ!!」というだけの単なる願望でしかない(笑)。第三層「空想その2@バトルシーン」への移行も「このくらい頑張ってますっ!!」というこれまた単なる願望でしかないのだ。この理由のバカバカしさにはボクもズッコケた。さらにいえば『インセプション』には「層ごとにタイムラグが生じる」という仕掛けがあったため、層の移行により物語の進行が止まってしまうという問題をクリアしていたけれど*1、本作はその辺のことまあイイじゃんてな感じなので、バトルシーン層へと移行するときの合図である「困り顔した主人公がユラユラ」の場面では、ポップコーンがはじけるように好きという文字が躍るー♪*2と鼻くそほじりながら口ずさみたくなる気分にさせられましたね。

さて、ここからはボクの妄想になりますが、ボクはこの映画をかなり好きになりました。この映画というかザック・スナイダーという映画監督にものすごく愛着がわきましたね*3。というのは、原題である『Sucke Punch(サッカー・パンチ)』には『予想もしなかった一撃』という意味があるそうで、これ、映画本編からは「か弱い女の子たちの反逆」という視点に通じてるようにも思えるんですが、どうもピンとくるほどではなくて、それってタイトルにするほど?『エンジェル ウォーズ』のほうが合ってるよ?くらいには思ってしまうんですね。そこでボクは考えました。たぶんザック・スナイダーにとって『予想もしなかった一撃』って『ダークナイト』の大大大成功だったんです!

ザック・スナイダーは、『300<スリーハンドレッド>』を成功させてからアメコミの金字塔『ウォッチメン』映画化のチャンスを手にし、「わはは!『ダークナイト』がクリストファー・ノーラン?ふはは!あいつの『バットマン・ビギンズ』は大した事なかったからな!うん、まあ頑張ってくれたまえ!」と油断していたに決まってるのである。ところが『ダークナイト』は空前の大ヒット。アメコミ映画なのに007オマージュをやっても何も文句はいわれない。さらにその次の『インセプション』も大評判を獲得。そんな天才監督クリストファー・ノーランに我らがボンクラ監督ザック・スナイダーはスーパージェラスを抱いたにきまっているのである。そこで彼は思いついた。「や っ て や ろ う じ ゃ ね え か」と。その思いの表れが本作『Sucker punch』である。次回作となる新生『スーパーマン』では鋼の心をもって是非とも本領発揮していただきたいものです。天才を倒すのは誰?それはあなただ。

*1:それでも笑われても仕方ない画にはなっている

*2:AKB48『ヘビーローテーション

*3:ハイ、先にあげたヘビロテからmaybe〜maybe〜好きなのかもしれない〜♪と本作よろしく『言い訳maybe』に移行しますよー。