福島第一原発の30キロ圏内では、住民がいつ我が家に戻れるか絶望視する声もあるが、ここへきてさらに深刻な問題も起こっている。
 「メルトダウンを起こした3号機では、燃料棒のプルトニウムが原子炉の底を突き破り地下に埋没してしまった。そのプルトニウムがどこへ行ってしまったのか、何もわかっていないのです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 衆議院の決算行政監視委員会で8月10日、自民党の村上誠一郎議員から3号機のプルトニウムの行方について質問が出たところ、細川律夫厚労相ら当時の閣僚は何も答えられなかったのだ。

 質疑の翌日、村上議員にインタビューした本澤氏が言う。
 「プルトニウムは地下深く埋まっているはずですが、どこにあるのか誰もわからないし、突き止めようともしない。ただ、すぐ近くに海があるので、地下水を通じて海に流れているのは間違いありません。これについては東電もまったくノーチェック。政府も大マスコミも、臭いものには蓋をしているのです」

 村上議員は原発事故当初、低濃度の汚染水を海洋投棄したことに触れ、汚染物質はアリューシャン列島を経てサンフランシスコにまで達する可能性を指摘したが、政府は説得力のある答弁ができていない。
 「海洋汚染はどんどん続いています。怖いのは、セシウムと違ってプルトニウムの半減期が2万4000年と、気が遠くなるぐらい長いこと。その間も海洋汚染は続くのです。ここで、何らかの手を打たなければ、国際法違反になります。海洋汚染の被害を被った国からは、損害賠償を請求されるでしょう。しかし、政府は目先のことばかりにとらわれて何も手を打たないのです」(本澤氏)

 時間はもうない。