ウルトラセブンのモロボシ・ダン役で活躍した俳優森次晃嗣(68)が経営する神奈川県藤沢市のレストラン「ジョリーシャポー」で、店内に飾ってあったウルトラセブンのマスクが盗まれていたことが26日、分かった。神奈川県警藤沢署は窃盗事件として捜査している。

 海風が心地よく吹く“ウルトラファン”が集うレストランにはいつもの活気がなかった。森次は「ウルトラセブン・マスク

 逃走中!!」と書かれた空のプラスチックケース(縦60センチ×横40センチ)を静かに見せ「店の“宝”で“俺の分身”が盗まれました…。早く返してほしい」と訴えた。

 森次によると、24日の閉店時には棚の上にマスクはあったが、休業日の翌25日正午すぎに店内に入ると、テーブルに、マスクが入っていた空のケースが置かれていたという。森次は店内の2階でテレビを見ており、妻万里子さん(67)は1階の別室でパソコンを使用し、事務作業を行っていた。店の入り口の鍵はかかっておらず、2人は「物音はしなかった」と振り返った。

 その後、110番通報を受けた藤沢署員が駆け付け、店内にはウルトラマンフィギュアなど計50点以上のお宝グッズがあったが、荒らされた様子もなくマスク以外は何も盗まれていなかったという。同署は「ケースから指紋は検出されず、計画的な犯行かと思われます」と話した。

 ウルトラセブンのマスクは93年に、親交のある俳優京本政樹(52)が関係者を通して贈呈した大切な物だった。67年の放送当時に使用されていた物で「重さ、塗装、質感と手作り感が何とも言えない。作り直せるものでもない」と唇をかんだ。

 この日、公式ブログなどで窃盗事件を知ったファンが同店を訪れたり、連絡をくれたという。「ファンあっての店。ファンの方に楽しんでもらうためにも、1日でも早く返してください」と深々と頭を下げた。【峯岸佑樹】

 今回盗まれたウルトラセブンのマスクは、500万円の価値があると鑑定されたことがある。森次は07年9月に大阪・読売テレビのローカル番組「週刊えみぃSHOW」に出演。お宝鑑定コーナーにこのマスクを持参した。放送時に実際に使われたことと、マニアの熱意が総合的に判断されたという。このコーナーには4人の芸能人がお宝を持ち寄り、このマスクの鑑定額が最高だった。

 ◆森次晃嗣(もりつぐ・こうじ)本名・森次浩三。1943年(昭18)3月15日、北海道滝川市生まれ。65年にドラマ「青春をぶっつけろ」でデビュー。67年のTBS系「ウルトラセブン」のモロボシ・ダン役でブレーク。89年から、俳優業の傍ら、神奈川・藤沢市でレストラン「ジョリーシャポー」を経営。店内ではウルトラセブングッズなどの販売や、毎月最終土曜には自身出演のシャンソンライブも開催している。176センチ、75キロ。血液型O。