岐阜県御嵩町の住宅地で10月20日午前9時ごろ、東西65m、南北76mにわたって最大深さ3mの地盤沈下が発生した。人的被害はなかったものの、道路と空き地に陥没、住宅5軒に傾斜や亀裂、上下水道管に破損の被害が出た。経済産業省中部経済産業局は21日、地下の廃坑に起因する特定鉱害だと判断した。

被害現場の様子。地盤沈下によって道路に陥没が発生した(写真:岐阜県御嵩町)
被害現場の様子。地盤沈下によって道路に陥没が発生した(写真:岐阜県御嵩町)

 御嵩町は、かつて石炭の一種である亜炭の一大産出地だった。1968年にすべての炭鉱が閉山したが、現在でも町内の地下には約6km2の廃坑が広がっているという。田畑の陥没は年に数回あり、住宅地の陥没も直近で2007年に発生していた。

 特定鉱害は、石炭鉱害のうちで地表から50m以内の浅い所を採掘したことに起因する陥没被害だ。特定鉱害と確認されれば、復旧工事の費用が特定鉱害復旧事業等基金によって手当てされる。

 ただし、現行の基金制度では、基金を拠出するのはあくまでも復旧工事にかかる費用に限られる。地下の廃坑を埋めるなどの根本的な対策や仮住居の費用などには使えない。

 今回の陥没を受けて、岐阜県の古田肇知事と御嵩町の渡辺公夫町長は28日に大畠章宏経済産業大臣を訪問し、制度の運用見直しなどについて要望書を提出。被害者の負担軽減や基金の拡充に加えて、予防対策の実施を求めた。