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『コレキヨの恋文①』三橋貴明  AJER2012.4.10(3)

『コレキヨの恋文②』三橋貴明  AJER2012.4.10(4)

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4月28日に、鳥取で講演会「日本の明日はどっちだ!?地域経済活性化について語る 」が開催されます。
【日時】平成24年4月28日(土)午後2時~3時30分
【場所】鳥取県立生涯学習センター 県民ふれあい会館
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 エンターテイメント経済歴史小説、「コレキヨの恋文 」、長谷川慶太郎氏との対談本「日本と世界はこう激変する 大恐慌終息へ!? 」、日本の資本主義を語る「悲観論に踊らされるな! ニッポン経済集中講義 」発売になりました!



 昨日は、木原みのる先生の「みのる塾」にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。また参ります。


 さて、先日から話題になっているこの記事。


日本、先進国から脱落?…経団連の研究機関予測
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120416-OYT1T00504.htm
 経団連の研究機関、21世紀政策研究所(森田富治郎所長)は16日、2050年までの日本と世界50か国・地域の長期経済予測を発表した。
 四つのシナリオに基づいて日本経済の成長率や規模を試算したが、少子高齢化の本格化で日本は30年代以降にマイナス成長に転じ、効果的な成長戦略を実施しなければ先進国から脱落しかねないとの見通しを示した。
 同研究所がまとめた「グローバルJAPAN 2050年シミュレーションと総合戦略」で、日本の人口や貯蓄・投資の動向、生産性の変化を予測して試算した。
 日本の生産性が他の先進国並みを維持する「基準シナリオ」では30年代からマイナス成長となり、41年~50年の国内総生産(GDP)成長率は平均マイナス0・47%となる。現在世界3位のGDPは4位と、中国と米国の約6分の1の規模となる。1人あたりGDPは世界18位で韓国(14位)に抜かれる。
 女性の就業率が北欧並みに高まる「労働力改善シナリオ」でも41年~50年のGDP成長率はマイナス0・46%となり、31年~40年は0・17%のマイナス成長になる。
 一方、政府債務の膨張が成長を妨げる「悲観シナリオ」では2010年代にマイナス成長に転じ、41年~50年はマイナス1・32%に落ち込む。GDPの規模は世界9位で、中国、米国の約8分の1に縮む。また、生産性が90年~2010年代と同水準にとどまる「失われた20年が続くシナリオ」では、41年~50年は0・86%のマイナス成長となる。』


 とりあえず、記事は放っておいて、上記報告書は以下になります。


【 グローバルJAPAN - 2050年 シミュレーションと総合戦略 - 】
http://www.21ppi.org/pdf/thesis/120416.pdf


 もうですね、メンバー見ただけでおなか一杯という感じです。

委員長: 森田 富治郎 21世紀政策研究所理事長(第一生命保険会長)
主 査:丹呉 泰健 前財務事務次官
スペシャルアドバイザー :御手洗 冨士夫 キヤノン会長
 米倉 弘昌 住友化学会長(21世紀政策研究所会長)(以下略)


 委員長の森田氏は、第一生命保険社長・会長で、米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級顧問と親交が深く、さらに記事の通り、21世紀政策研究所理事長も兼任しています。21世紀政策研究所は、これまで「地域主権時代の自治体財務のあり方」といった、もう名称からして、
「勘弁してくれ・・・」
 と言いたくなるほど「濃ゆい」提言をしていたりします。


 さらに、丹後 泰健 氏。言わずもがなの、財務省の前事務次官(財務省で一番偉い人)で、現在は経団連の主査兼「読売新聞の社外取締役」を務めています。要は、財務省から読売新聞に天下ったわけでございますね。


 そして、米倉弘昌氏。経団連会長で、
TPPに入らなければ、日本は世界の孤児になる
 という名言(?)を叫んだ、「TPPは世界だ」という面白い認識の持ち主です。ちなみに、米倉氏が会長を務める住友化学は、アメリカでTPPを推進している企業の一社モンサントと提携しています。


 報告書を見ましたが、何と日本は2050年に一人当たりGDPで韓国に抜かれることになっていますが、前提が「現在から見て、日本は全く成長しない」という面白いものになっています。しかも、PPPベースのGDPという、すでに廃れつつある無理のある指標を用い、日本を韓国の下にしているのです。


 なぜ購買力平価(PPP)ベースが廃れているかと言えば、財はともかく「サービス」について「一物一価の法則(PPPの前提)」が成り立つはずがないためです。クルーグマンは、購買力平価について、
「購買力平価はどのような形に直しても現実のデータをうまく説明しない。とりわけ、各国の物価水準変化は為替レートの動向について我々にはほとんど何も教えてくれないことがしばしばある。」
 と語っています。


 具体的に書くと、「床屋で髪を切るサービス」の場合、アメリカで切っても日本で切っても、中国で切っても、本来は同じ価格(一物一価)のはずだ」という無茶な前提になっているのです。「髪を切る」サービスの場合、日本国内でさえ様々な価格水準があるのに、それを「全世界で実は共通」などと仮定するのは、無茶もいいところです。


 財にしても、例えばビッグマックを買うために「どれだけ、国民が働かなければならないか」を計測するビッグマック指数では、実は日本が「最短」です。日本国民は世界で最も短く働くだけで、ビッグマックを購入できます。
 が、現実にはビッグマックその他の財の価格は、「その国の市場競争がどれだけ激しいか」により変わってきます。日本のビッグマックが安いのは、他の飲食店(ファーストフード含む)との競合が激しいことが大きな理由です。


 いずれにせよ、
日本は成長しないから、韓国に抜かれる
 という結論になっており、本当に不思議な報告書です。
 
 報告書に話を戻しますが、結局、この資料は「人口減」「少子化」「アジア(中国)の台頭」「財政危機」「社会保障」「地域主権」といった、これまで「日本経済成長のボトルネック」となっていたキーワードをちりばめたものになっています。一番笑ってしまったのは、消費税を10%に上げたとしても、地方と中央政府の長期債務残高が2050年に対GDP比で600%弱に達するとシミュレーションしているところです。すなわち、消費税アップが前提になっています。


 まあ、丹後氏が加わっている以上、当然なのかも知れませんが、結局、本報告書は、
「このままだと日本は貧乏になる! だから、グローバル! だから、増税! だから、地域主権!」
 という、経団連の望みどおりの結論を導くための資料になっているわけですね。


 ちなみに、どう考えても日本経済の一番の課題であるデフレについては、
デフレからの脱却は当面の課題ではあるが、中長期的には改革を進めることで経済の潜在成長率を引き上げてゆくことが本質的な課題である」
 とだけ書かれています。さすがに、デフレ脱却を無視することはできないのでしょうが、これだけです。デフレ脱却のための提言等は一切なく、「現在のまま日本が成長しない」ことが前提の報告書になっているのです。


 何と言うか、現在の日本は朝日新聞に代表される「反・公共事業」主義者たちと、経団連に代表される「改革・財政均衡」主義者たちに挟まれ、成長力を取り戻せないでいることがよく分かります。この種の人たちに影響され、国民が「自分たちは成長できない」と思い込めば、当然、我が国の経済成長はありません。


 現在の日本においては、「成長(デフレ脱却を含む)」を巡り、一種の言論戦が繰り広げられていることがよく分かります。まさに、「コレキヨの恋文 」の第一章というわけです。


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