2015.12.22
# エンタメ

AKBより三代目JSB!? CD販売数ではもはやわからない「本当の流行歌」

「ヒットの方程式」が変わった
〔PHOTO〕gettyimages

文/柴那典(音楽ジャーナリスト)

ふとテレビをつけると、生放送の音楽番組が目にとまる。数十組以上のアイドルやアーティストがかわるがわる登場するような特番だ。たいていは3時間から4時間、なかには10時間以上ぶっ通しで放映されるものもある。いつのまにこんなに増えたのか。「音楽が売れない」と言われ、音楽業界の不振が叫ばれて久しいのに、どうしてだろう……?

そんな風に感じたことのある人は、少なくないのではないだろうか。今回の記事では、そんな素朴な疑問を皮切りに、さまざまな角度から現在のポピュラー音楽を巡る状況を読み解いていきたい。

アップルやグーグル、LINEなど大手IT企業が定額制のストリーミング配信サービスに乗り出し「ストリーミング元年」ともなった2015年。激動の時代を迎えた音楽ビジネスは今、どこに向かっているのか。そしてCDセールスのランキングがヒットチャートとして成り立たなくなりつつある今、本当のヒット曲はどこにあるのか。

こうした視点から、2015年の音楽シーンを振り返っていこう。 

生放送の音楽番組が象徴する「ライブの時代」

まずは、「紅白歌合戦」を筆頭に、年末の風物詩として定着している大型音楽番組について。実はここ数年、民放各局でもその放送枠が拡大している。その多くが長時間にわたる生放送の構成だ。

40年以上の歴史を持つ『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)は、今年から放映回数が2回に拡大。12月2日と12月16日、あわせて7時間強の放映となった。

また、11月24日に放映された『ベストアーティスト2015』(日本テレビ系)は4時間近くに放送枠が拡大。12月25日には同じく4時間にわたる『ミュージックステーション スーパーライブ2015』(テレビ朝日系)が放映される。

これらの番組はすでに年末の恒例となって久しいが、一方、2010年代からは夏や秋の特番もスタートし、新たな定番となりつつある。

こちらの特番はさらに放送時間が長い。『音楽の日』(TBS系、6月27日)は7時間半、『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系、7月4日)は11時間、そして『MUSIC STATION ウルトラFES』(テレビ朝日系、9月23日)は10時間にわたる生放送となった。

これは一体、どんな状況を象徴しているのか。 

関連記事