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デフレ・所得・グローバル株主資本主義(前編)①三橋貴明

デフレ・所得・グローバル株主資本主義(前編)②三橋貴明

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 今週木曜日にもテレビ愛知「山浦ひさしのトコトン!1スタ 」に出演します。


 民主党は昨日の夕方から、党政策調査会の合同会議を都内のホテルで開きました。社会保障と税の一体改革に関連した自公との修正合意について了承を得る手続きを始めたわけです。が、小沢派らの議員や増税反対派から批判が殺到し、結論を本日に持ち越しました


 増税はもちろんのこと、社会保障に関して、
「社会保障分野で全面降伏している。修正合意した内容は自民党案そのものだ
 という批判が出たようですが、まあ、合意文書の社会保障部分が丸ごと自民党の社会保障改革案なので、そうなりますよねえ。まだまだ、揉めそうです。


 スペインの長期金利が7.1%を突破しました。過去の経験上、危険ラインと言われている7%を上回ってしまったのです。


欧州債:スペイン債利回7%突破-ギリシャ選挙後も懸念強い
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5T1K46S972801.html
 18日の欧州債市場でスペイン国債が下落し、10年債利回りは7%を突破した。ギリシャの選挙結果もユーロ圏債務危機への投資家の懸念を払拭(ふっしょく)できていない。
 イタリア国債も下げた。ドイツ国債は一時下げたものの上昇に転じた。スペイン銀行(中央銀行)の発表で市中銀行の不良債権が4月に増えたことが明らかになり、スペイン債利回りを押し上げた。9日にスペイン政府が銀行救済で最大1000億ユーロの支援要請を決めたことを受け、先週の同国債は先週大幅安となった。 (後略)』


 スペイン政府が約10兆円の支援を取り付け、ギリシャで緊縮財政派が勝利したにも関わらず、ユーロ圏の混乱は一向に沈静化を見せません。そりゃまあ、問題の本質が「バブル崩壊」という日本人にはお馴染みの経済現象であり、日本政府同様にユーロ諸国の政府が対策を間違えているわけですから、事が片付くはずがありません。


 スペインの住宅指数をグラフ化してみました。


【スペインの住宅価格指数の推移(インデックス)】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_38.html#SpHsPr


 上図が07年から始まっているのは、スペイン国家統計局が住宅指数を現在の方式で統計を始めたのが同年からだからです。
 スペインの住宅価格は、今年の第1四半期に前年比12.6%下落しました。これは現行の統計を開始した2007年以来、最大の下落幅になります。
 ピークからすでに25%以上の下落を見せていますが、今のところスペインの住宅価格は底打ちする気配を見せません。まあ、バブル崩壊中に政府が緊縮財政を始めている以上、当たり前なのですが。
 
 今回のユーロの混乱は、ずばり「ユーロバブル」の崩壊です。ユーロバブルとは「共通通貨ユーロ」の価値が下落したという話ではなく(下落していますが)、ユーロ圏内の不動産バブルが各国で次々に崩壊し、貸し手側(独仏の銀行など)がPIIGS諸国などに貸し付けたお金が、不良債権化しようとしているという話です。


 バブルとは、不動産価格が上昇することそのものではありません。国民の所得が上がり、堅調に経済成長していれば、不動産価格は普通に上がります。

 そうではなく、スペインならスペインの「銀行」が「外国(独仏等)の銀行」から借りたお金を国内の住宅市場につぎ込み、価格が上昇し、それを見た「他の銀行」までもが「外国」からお金を借り、住宅価格を吊り上げていったというところに「ユーロ・バブル」の本質があります。


 そもそも、スペインが独自通貨国であった場合、不動産バブルなど起きませんでした。何しろ、同国は世界第二位(アメリカが一位)の経常収支赤字国で、国内に過剰貯蓄などありません。ところが、スペインがユーロに加盟したことで、「ユーロ諸国」の金融機関が同国にお金を貸し込み、バブルを膨張させ、崩壊させてしまったのです。(ギリシャやアイルランドなども同様)


 日本の場合、独自通貨国かつ経常収支黒字国(貯蓄超過国)であるため、不動産バブルも崩壊も全て「日本円」の話でした。日本国内の日本円という貯蓄を銀行が不動産プロジェクトに貸し付け、バブルが膨らんだのです。


 それに対し、ユーロ諸国の銀行は「ユーロ圏の外国」から借り入れたお金で、国内の不動産バブルを膨張させてしまったため、話がややこしくなっています。何しろ、日本の場合は不良債権を抱えた銀行が「日本国内の銀行」だったわけですが、ユーロ・バブルの場合は「外国の銀行」になってしまうのです。


 本来、不動産バブルを膨張させた責任は、お金の出し手にもあるはずなのです。日本の場合は、日本の銀行の経営者たちで、それなりに責任を取らされました。また、複数の金融機関が消えるか、あるいは合従連衡を迫られました。


 今回のユーロ・バブルの場合、スペインなどの銀行はもちろんですが、独仏などのユーロ圏の「債権者」である銀行にも責任があるはずです。ところが、独仏などの銀行は自国の「政府」を動かし、バブル崩壊国の政府に金を貸し付け、自分たちの債権を救おうとしているところに、問題の根っこがあるように思えます。


 結果、バブル崩壊国の国民は「国内の銀行が外国の銀行から借りたお金」の責任を取らされることになり、緊縮財政を強いられます。とはいえ、緊縮財政は(少なくともバブル崩壊後は)国民経済の縮小を招き、税収を減らしてしまいます。結果、政府の財源は枯渇し、さらなる支援要請に踏み切らざるを得ないという道をどの国も歩んでいます。


 さらに、バブル崩壊国の政府は通貨発行権を持っていません(ECBに委譲しています)。結果、アメリカのように中央銀行(FRB)に不良債権を買い取らせるという荒業(「正しい」荒業だと思います)も使えず、にっちもさっちもいかなくなってしまっているわけです。
 
 上記の「ユーロの呪縛」を打ち払い、事を収めるには、
バブル崩壊国がユーロを離脱し、通貨発行権を取り戻すのと代償に、デフォルトと通貨暴落を受け入れる」
 か、もしくは、
ECBがFRB張りの量的緩和を実施し、バブル崩壊国の国債を買い取り、ユーロ圏全体がインフレ率上昇を受け入れる」
 しかありません。


 前者はギリシャ国民すらNOといい、後者はインフレ嫌悪症のドイツが絶対に承知しません。
 そんなことは「国際金融市場」の連中が最も理解しているでしょうから、結局、バブル崩壊国の金利が上昇し、預金がドイツなどの銀行に流出し、ドイツの銀行も投資先が見当たらず(何しろ、それまでの主力投資先であった「ユーロ・バブル」が崩壊したので)、ドイツ国債の金利が下がるという状況になっているわけです。


 何と言うか、驚くほど現在の日本(緊縮財政&インフレ嫌悪症の中央銀行)と似ていると思いませんか。

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