東電社長乗った自衛隊機Uターン 震災当日
防衛省側が指示
東京電力の清水正孝社長が東日本大震災の発生当日の3月11日夜、出張先から東京に戻るため、航空自衛隊小牧基地(愛知県)からC130輸送機に乗ったものの、防衛省側の指示で同基地に帰っていたことがわかった。北沢俊美防衛相は26日の閣議後の記者会見で「いろいろと連絡、調整に不備があったと聞いている」と述べた。
防衛省によると、3月11日の午後9時40分までに、経済産業省を通じて防衛省側に小牧基地に隣接する名古屋空港で足止めされている清水社長を輸送してほしいという打診があった。午後11時20分ごろ、担当者が報告したところ、防衛相は「被災者救援のための輸送を最優先すべきだ」との意向を示した。
しかし、清水社長を乗せた輸送機は午後11時30分ごろ、防衛相の意向が伝わる前に小牧基地を出発した。担当者は午後11時46分に引き返すよう指示、輸送機は12日午前0時13分に同基地に戻った。
防衛相は記者会見で「正式な官庁間協力の要請があったわけではない」と強調。当日は午後6時26分に東京―新大阪間で新幹線が全面復旧したことを踏まえて「新幹線が動いていたりした中で、他に対応する道があったのではないか」との認識を示した。
清水社長は12日午前に東京に戻った。社長不在の間、福島第1原子力発電所の事故対応が遅れたのではないかとの指摘がある。
東京電力は「高速道路など、地上の交通手段が滞っていた。最善を尽くして戻ろうとした。自衛隊輸送機の利用に関してはコメントを差し控えたい」としている。
枝野幸男官房長官は閣議後の記者会見で「防衛相の指示は妥当であったと考える」と述べた。
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