4年前、中学生だった子どもが高校生となり、放射能の線量調査をしているようです。物理学だけでなく哲学を含め広い範囲で学び考え、原子力ムラにとりこまれないでほしいと思いますが…

朝日新聞2015年3月22日より
線量計 福島県立福島高校(福島市)の生徒たちが、国内外の高校生らに線量計を送り、個人の外部被曝(ひばく)線量を調べた。「フクシマに住めるの?」と海外の学生に聞かれたことがきっかけだ。結果は23日からフランスで開かれる国際高校生放射線防護会議で発表する。

 担当したのは福島高校スーパーサイエンス部物理班の生徒5人。同校は2012年からインターネット電話「スカイプ」などで海外の高校生とやりとりしており、その中で、東京電力福島第一原発事故後、福島市内でふつうに暮らしているのを驚かれることがよくあったという。福島県内の現状を知ってもらおうと調査を計画し、交流のある高校などに協力を求めた。

 昨年6~10月、避難区域以外の福島県内、岐阜や神奈川などの福島県外、フランス、ベラルーシ、ポーランドの計約30カ所で、そこに暮らす高校生・教諭約220人の被曝線量を調べた。1時間ごとの線量がわかる同じ線量計を身につけ、2週間の累積線量から年間の線量を計算した。

高校ごとの生徒らの数値を低い順に並べて真ん中にくる「中央値」は、福島県内が年0・63~0・97ミリシーベルト(福島市0・86ミリ、二本松市0・97ミリ、いわき市0・69ミリなど)、県外は0・55~0・87ミリ(岐阜県恵那市0・87ミリ、横浜市0・59ミリなど)、海外が0・51~1・17ミリだった。

福島高校2年の小野寺悠さん(17)は「避難区域以外では、福島県内とそれ以外の地域は大きな差がなかった。そのことを海外の高校生に伝えたい」と話している。フランスでは、2年の小川葵さん(17)と1年の菅野翔佳さん(16)も、県内産の食品について発表する。

子ども全国ネットより
(「自然放射線も、人工放射線核種による放射線も、同じ」内部被ばくの影響を無視しようとする有識者はそう主張します。空間線量や外部被ばく線量を測定して比較すると、汚染地でさえ、ヨーロッパのそれと比べても決して高くはない=「安全」とされてしまいます。土壌測定を行い、セシウム濃度を明らかにすることで汚染度がわかります。政府や行政が土壌測定をないがしろにする理由なのだと思います。子ども全国ネット)

線量計については、ガラスバッジは30-40%低い数値が出ることが指摘されています。高校生が使用した線量計が気になります。
土壌調査等も調査し内部被ばくについても考察してほしいと思います。

ガラスバッジ
フクロウの会2015年1月19日より
1月15日に伊達市議会議員政策討論会(放射能対策研修会)が開かれフクロウの会の青木一政と(株)千代田テクノル執行役員線量計測事業本部副本部長佐藤典仁氏が講師としてそれぞれ講演を行いました。同政策討論会は同市議会基本条例にもとづく公式な会議で市会議員全員が出席する会議です。

この場で、千代田テクノル佐藤氏がガラスバッジは放射線管理区域で使うもので前方からの照射を前提としているため、福島のような全方向照射では身体による遮蔽効果により約30-40%低くでるとの説明を行いました。福島県内の各自治体ではガラスバッジによる住民の被ばく量測定を行っていますがこれはガラスバッジの本来の使い方から逸脱したもので、これで住民の被ばく量管理を行うことは問題であることが明らかになりました。ましてガラスバッジによる測定結果で住民の被ばく量は予測計算より少ないとして除染基準を緩和するような動きは極めて大きな問題です。


週刊朝日2015年1月28日
より
どの程度被曝したかを知るために福島の住民が首からぶら下げているガラスバッジ。

 ガラスバッジは100円ライターほどの大きさの容器に特殊なガラス素材を封入。放射線を照射した後に紫外線を当てると発光する現象を利用し、個人の積算被曝量を測定する線量計だ。

 首から紐で吊るして胸や腹の辺りに固定し、一定期間使用後に回収し、トータルの被曝量を利用者に知らせる。

 その表示が空間線量率(周辺線量当量)に対し、最大4割も低く示されることがわかった。

 住民からは「正しい数値を示さないなら余計な被曝を強いるだけだ」と反発の声が上がっている。

 ガラスバッジ製造の最大手メーカー「千代田テクノル」が測定値のズレを認めたのは、1月15日。

 伊達市で開かれた市議会議員政策討論会の席だ。

 参加者の一人が説明する。

「プレゼンテーションをした執行役員がデータを示しながらこう言ったのです。『ガラスバッジを前面装着した状態で正面から放射線を浴びれば空間線量率とほぼ同じ数字を表示する。だが、前後左右からくまなく浴びる状態では0.6~0.7倍にしかならない。福島のような全方向から放射線が押し寄せる状況をきちんと考えずに住民にガラスバッジを配ってしまって申し訳ない』と。数値の違いを認め、謝罪までしたことには正直、驚きました」

 伊達市の高橋一由市議はこう憤った。

「空間線量率より最大で4割も低く表示される線量計を配ってどうするのか?」

 ガラスバッジで住民の被曝管理をすることの問題点を一貫して唱え、当日の討論会にも参加したフクロウの会の青木一政氏も言う。

「一方向から放射線を浴びることが多い放射線業務従事者向けに設計されたものを住民の被曝管理用として使うこと自体が無謀。しかも、子供が装着した場合の影響については実験さえしていないというのですから呆れました」

 ガラスバッジは本来、原発作業員やレントゲン技師などが使用するもの。だが、福島第一原発事故以降、福島県の各自治体が住民へ配布するようになった。

 だが、実は放射線管理区域でない低線量の場所では正しく機能しないとの指摘は以前からあった。原発内で放射線管理員として働いた経験もある男性がこう指摘する。

「一定の線量がないとガラスバッジは正しく表示しない。千代田を含む大手メーカーに確認したところ、毎時10マイクロシーベルト以下の環境では性能試験をしていないため、測定値の保証はできないと言われました。特に横方向から放射線を浴びた場合、形状的に0.6倍程度の被曝量しか反映されないというのです」

 この男性は3カ月、ガラスバッジに一定量の放射線を当てる実験をしてみた。すると積算量として3.8ミリシーベルトを示さないといけないのに、0.45ミリシーベルトしか測定されなかったという。問題なのは、こうしたガラスバッジ測定で得られた正しくない個人被曝線量データが、除染、帰還政策などの復興を進める際の参考に使われていることだ。一例を挙げよう。

 昨年8月、環境省と復興庁などは「除染・復興の加速化に向けた国と4市の取組」の中間報告をまとめ、伊達市などのガラスバッジ調査の数字を基に、空間線量率が高くても個人線量は低く抑えられるなどとした。

 具体的には毎時0.3~0.6マイクロシーベルト程度の地域に住んでいても年間被曝量は1ミリシーベルト程度とし、それまで目安としていた毎時0.23マイクロシーベルトを棚上げしてしまったのである。

 同時に被曝管理を空間線量率ではなく、個人線量で行う方針も打ち出した。だが、肝心の個人線量を計測するガラスバッジの値が低く表示されていれば、この政策は意味をなさなくなる。

 それでは、住民の実際の被曝量はどれだけなのだろうか。千代田テクノルのガラスバッジを使用する南相馬市が昨年6月から8月にかけて約7千人の市民を対象に実施した個人線量調査がある。それによると年間被曝推計値が1ミリシーベルトを超える人は13%で、9割近くが国の目標値内に収まる。だが、実際は4割低いことを考慮して再推計すると、実に全体の40%の市民が1ミリシーベルトを超える被曝をしていることになるのだ。

 南相馬市や福島市は「メーカーから4割低く表示されるという説明を受けたことはない」と困惑。伊達市に至っては、「当該の討論会に職員は参加していないので、今後、事実関係を確認していく」と話した。

 千代田テクノルに取材をすると、ガラスバッジが空間線量率よりも4割低く表示されることに対して、こう回答した。

「(4割低くなることについて)そう説明しましたが、数値は本来、人への被曝の影響を測るべき『実効線量』とほぼ等しいものです。我々は法令に沿ってきちんと精度が確認された測定器を販売しているので、福島の住民に使用してもらっても差し支えないものだと考えています」

 また、4割低いデータが行政に使われていることに関しては、「メーカーが答える立場にはありません」と回答した。

 福島で子供の甲状腺検診を行っている北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏が言う。

「いまの低線量の福島ではガラスバッジの数字は当てになりません。実効線量だって正しく検証されていないのです。放射線を扱う仕事をしている人たちでも年1ミリシーベルト以上の被曝をするのは全体の約5%。それなのに福島の子供たちは間違いなく年間1ミリ以上、被曝している。このままいけば10年後には免疫不全などの健康被害が増える危険性がある。帰還を進めるなら、最低でも年1度の全身健康管理が絶対に必要です」

 住民が将来の健康に不安を抱くようなことがあってはならない。
(ジャーナリスト・桐島 瞬)※週刊朝日 2015年2月6日号

3月20日の”武藤類子さんを囲む夕”で”2011年4月6日全校が入学式を行った。子どもを守る気がないのでは?”という言葉が強く印象に残りました。
子どもは自然環境や人的交流の影響を受けながら成長していきます。社会人になった時、この国は守ってくれなかったと言われのも辛いと思いませんか?
青字はブログ担当者の記事