ステーキけんFC内部告発

「ステーキけん」の井戸実社長は、ツイッターで「他店のほうがうまい」とつぶやく客に「じゃあそっちの店に行け」と返答することで有名ですが、これを執拗にネタにするのがロケットニュース24です。


http://rocketnews24.com/2012/02/13/181532/
『ステーキけん』の井戸実社長が「カウボーイ家族へ行け」と言うので実際に行ってみたぞッ!! | ロケットニュース24
(他の「けん」関連記事はこちら→ステーキけんの検索結果 | ロケットニュース24


んで、新たな燃料が投下されました。


http://rocketnews24.com/2013/01/15/284556/
「ステーキけん」運営会社から独立したフランチャイズのオーナーが、ダメ店を建て直した顛末を、このテの人にありがちな過剰ポジティブアティテュードを散りばめながら語っているというもの。

  • 福岡時代、インフルエンザにかかってもお店に立っていた
  • 福岡時代、業務スーパーで自腹で肉を買いに行くこともあった
  • 味のないまずそうな春雨を出した
  • ゆでて水を切っただけのもやしを出した
  • 極太の茶色くなったキャベツを出した
  • 腐ったブロッコリーを出した
  • カレーは肉が入っていなかった
  • 閉店前に来るお客様に冷たくしたり、断ったり、割れたハンバーグや古くなった肉を出した
  • エアコンが壊れていて、店内の温度が39度になった
  • 暑すぎてすぐにサラダバーが腐敗した

これらのダメな点を改善した、ということなのですが、正確な内容を確認するため、亀島という社長のブログ本文を見てみました。


http://ameblo.jp/mgchildren/entry-11437147086.html
(要約)

  • 1月:福岡でダメ店を任され、インフルエンザにかかっても店で働いた
  • 2月:井戸社長と握手、独立が決まる
  • 3月:社内で悪口を言いふらされ、事故をしても労災を使わず、ダメマネージャーに押し付けられた原価の合わないメニューのため自腹で材料費を負担し、月に400時間働く
  • 4月:独立を果たし福岡から東京に戻るも、店舗の設備はガタガタで什器すら誰かに持ち出されていた
  • 5月:ダメバイトたちの意識改革に乗り出し、減らないようにマズく作っていたサラダバーを改革する
  • 6月:ヘドロのような人材を排除するも、故障したエアコンを直すことができず、助けを求めた上司にも無視され、店内は39℃に
  • 9月、10月:気温も下がり、人材も揃い、素敵な商品やイベントを提案できるようになった

7月と8月はどうなったんだ。エアコンは結局どうなったんだよ!


これ、亀島社長としては頑張った自分の姿をアピールしてるつもりなんでしょうけど、結果として痛烈な内部告発になってますよね。


だって、ステーキけんを運営するエムグラントフードサービスは、独立しようとする人に卑劣な嫌がらせをする会社だ、と言ってるに等しいですよ。
武勇伝のつもりなんでしょうけど、社内のドロドロした陰湿な人間関係を公表するのは、縁が完全に切れてからにしなきゃダメだよ! フランチャイズで独立したとかいっても、お客からすれば同じ「ステーキけん」なんだから。


インフルエンザでも休まないとか、事故でも労災を使わないとか、月に400時間働いたとかそういう社畜自慢はコンプライアンス面でおおいに問題がありますが、まぁ自分のことだからいいでしょう。レストランに伝染病の人間が出勤することの危険性は置いとくとして。でも、「ダメマネージャーが作った原価の合わないメニューのため個人で損失を負担していた」ってのは、明らかに会社批判ですよ。社畜自慢してるくせに、同時に会社批判ってのは離れ業ですね。


サラダバーの件だって、前の店長が「減らないように」わざとマズく作らせていたってのは、ステーキけん自体がそういう体質を持っていると思われても仕方ないでしょ。怠慢や能力不足ではなく、コストカットのためにあえてそうしていたってんだから。


亀島社長は、新しいブログ記事で、このエントリについて釈明しています。


http://ameblo.jp/mgchildren/entry-11449875629.html
いわく、

  • このブログはジョーク日記である
  • 経営者とはオリンピック選手も同様の、雲の上の存在である。われわれ雲上人に、下々の輩が文句をつけるな
  • 記事の無断転載や誹謗中傷は、著作権侵害・営業妨害としてしかるべき処遇をとる


後付けの言い訳としてはおよそ考えられる最悪のケースです。起業しただけで自分のことを「雲の上の存在」と言ってしまうあたりは、かなり味わい深いものがあります。

(外食産業における「雲の上の人」のイメージ映像)


こんな一節も、記事中にありました。

エムグラントフードサービス・井戸実氏を遠まわしに貶めようとする投稿・メッセージなど


インターネット上の事実を曲げた情報に惑わされないでください。

井戸社長とは犬猿の仲であるロケットニュースのことを言ってるんでしょうけど、今回のロケニュー記事は亀島社長ブログを要約しただけで、事実を曲げた情報とはいえません。ロケニューというサイト自体の品性とかは別として。


というか、「ジョーク日記」「本音と建て前、フィクションが3割ずつ」(あと一割はどこへ行ったんだ)という、事実を曲げたエントリを書き、エムグラントフードサービスを遠回しに貶めているのは亀島社長自身じゃないのか。

こりゃ、井戸社長に呼び出されて叱責されるんだろうなぁ。クワバラクワバラ。


亀島ブログと同じように、食事産業で失敗した顛末を描いたものとしては、みうらじゅんが「ザ・スライドショー6」でネタにした「麻布瑠璃仙」があります。

でも、亀島ブログと違ってこちらの失敗談はさわやかです。それは、亀島社長のエントリには「上司もバイトもみんなダメ人間ばかりで、オレだけが頑張った」という自意識が染み出ているのに対して、瑠璃仙の8人の食いしん坊たちは誰のせいにもしていないからなんですよ。


亀島ブログの文章では、エンターテインメントとして活用できるレベルにはならないよなぁ。