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チャンネルAJER更新しました!

『二つの選挙①』三橋貴明 AJER2012.5.8(3)

『二つの選挙②』三橋貴明 AJER2012.5.8(4)

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北海道十勝管内 音更町(おとふけちょう)「「TPP」に関するまちづくり講演会」

http://www.town.otofuke.hokkaido.jp/town/sonota/sonota/koenkai-230328.html

日時:平成24年5月20日(日曜日) 午後2時から

場所:音更町文化センター

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 エンターテイメント経済歴史小説、「コレキヨの恋文 」、長谷川慶太郎氏との対談本「日本と世界はこう激変する 大恐慌終息へ!? 」、日本の資本主義を語る「悲観論に踊らされるな! ニッポン経済集中講義 」発売になりました!




 チャンネルAJER更新しました↑。今回はもちろん「二つの選挙」


 二つの選挙結果を受け、ポール・クルーグマン教授が「Those Revolting Europeans(革命を起こすヨーロッパ人たち)」というタイトルで、NYTの「The Opinion Pages」にコラムを書いていました。


『Those Revolting Europeans By PAUL KRUGMAN Published: May 6, 2012
http://www.nytimes.com/2012/05/07/opinion/krugman-those-revolting-europeans.html


 訳している時間がないので概要だけ書きますが、ドイツとフランスの枢軸により推し進められてきたユーロ圏の緊縮財政路線、すなわち「メルコジ路線」は終了することになる。実は、大陸欧州の最も頭が良い人たちよりも、一般の有権者(フランスとギリシャの国民)の方が賢明だったという話だよね~。政府支出を削り、増税し、緊縮財政を推し進めれば、企業の投資や個人消費が「なぜか」増えるという説が流れていたけど、嘘っぱちなんだよ~。大陸欧州の経済は、ユーロを解体するか、ECBやドイツ人が嫌インフレの強迫観念を捨て去らない限り、立ち直らないよ。といった感じですか(超訳です)。


 上記の「政府支出を削り、増税し、緊縮財政を推し進めれば、企業の投資や個人消費が「なぜか」増える」という説ですが、どこかで聞いたことがないでしょうか


 はい。


野田首相「消費税を引き上げることで社会保障の将来像に不安がなくなる。消費が喚起され、経済が活性化される可能性もある」
河野龍太郎氏「政府債務が増えるほど、現役世代は消費を抑える傾向がある」
白川総裁「人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制し、そのことが低成長と緩やかなデフレの一因になっていると考えられる」


 野田氏、河野氏、白川氏と、本ブログで「大人気」のお三方が、揃って「財政問題こそが、デフレの主因だ。(逆だろ!)財政を改善する緊縮財政を実施すれば(デフレ期に緊縮財政しても財政は改善しないだろ!)、消費が喚起されてデフレ脱却できる」というトンデモ理論を唱えているわけです。とはいえ、クルーグマン氏のコラムによると、大陸欧州でも同じようなことを言っている人たちが多かったようですね。


 無論、大陸欧州の「頭のいい人たち」の理論は、日本のお三方のように浅はかなものではありません。何しろ、ユーロ圏で使用されている共通通貨ユーロは、「ユーロ圏であれば、どの国にも貸し付けられる」という性質を持っています。すなわち、国債を発行するユーロ加盟国の各政府は、金を借りる際に「競合」が存在するという話になるわけです。


 日本の銀行に貯まっていく過剰貯蓄は、日本円です。我々日本国民の預金である以上、当たり前です。デフレ深刻化で民間の資金需要がない場合、銀行は国債を購入するわけですが、その際に借り手の日本政府に競合はいません。日本円建ての日本国債を発行しているのは、唯一、日本政府のみなのです。日本国債の場合、金の貸し手である銀行側に「選択肢」がないのです。


 それに対し、ユーロ建てのギリシャ国債は、同じくユーロ建てのドイツ国債やオランダ国債、フランス国債などと「競合」しなければ、「国際金融市場」で消化することができません。反対側から見ると、ユーロ圏内の「ユーロを持つ投資家」たちは、金を貸し付ける際に「選択肢」を持っているのです。別に彼らは、ギリシャ政府に金を貸し付ける義務を負っているわけではありません。


 こうなると、その国の財政が均衡的であるか否かは、長期金利に露骨に影響することになります。放漫財政を継続する政府は、ユーロ圏の投資家たちからつまはじきにされてしまうわけです。すなわち、長期金利が高騰します。


 というわけで、ユーロ加盟国が緊縮財政を実施し、財政均衡を追求すると、金を借りる際に「競合(他のユーロ加盟国)」に勝つことができ、安いコストで資金を調達できることになります。結果、民間は金を借りやすくなり、消費や投資が増え、経済成長する「だろう」というのが、欧州の「頭のよい人たち」の考え方なのでしょう。
 
 すなわち、ポイントになるのは「金利水準」、資金調達コストなのです。クルーグマン氏もコラムで触れていますが、バブル崩壊後に緊縮財政を繰り返した「国際金融市場の優等生」アイルランドですが、未だに長期金利は8%を上回っております。理由は、同国が財政を改善できるほどの税収を得ていないためです。そして、なぜアイルランドの税収が増えないかといえば、もちろん「緊縮財政」で名目GDPの成長率が不十分になっているためという話です。


 すなわち、バブル崩壊後のデフレ期の緊縮財政は低成長(もしくはマイナス成長)や税収減をもたらし、状況を却って悪化させてしまうわけです(長期金利上昇をもたらす)。このことについて、欧州の「頭の良い人たち」は未だに気が付いていないが、むしろ一般大衆の方が理解しているんじゃないの?と、クルーグマン教授は言っているわけですね。


 ちなみに、日本の場合は長期金利が0.87%と、スイスに次いで世界で二番目に低いわけです。というわけで、さすがに日本において、
「このまま国の借金が増えれば、長期金利急騰で破綻する~っ!!!!」
 などとアホなことは言えず(言っている新聞もありますが)、上記のお三方は「財政悪化がデフレの原因だ!」などと、因果関係をさかさまにした、意味不明な主張を繰り返し、何とか消費税アップに持っていこうとしているわけです。


 さて、欧州の「頭が良い人たち」の代表であるこの方は、今回の選挙結果を受けて以下のようなコメントを発しています。


独首相、緊縮財政主軸の政策に変更ないと表明
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE84601I20120507
 週末の欧州選挙で、フランスの次期大統領に社会党のオランド氏が選出され、ギリシャでは緊縮財政策を進めてきた連立与党が敗北したことで、ドイツが推進してきた緊縮財政措置に対する風当たりが強まるなか、メルケル独首相は7日、欧州債務危機への対処に何ら変更はないとの姿勢を示した。
 ベルリンで記者会見したメルケル首相は、欧州は政策転換の瀬戸際にあるとの考えを否定。財政規律強化を定めた欧州連合(EU)の新財政協定をめぐり再交渉の余地はないとの考えを示し、「堅実な財政と成長を通じてのみ進歩を達成できる」とし、緊縮財政と成長支援は「表裏一体」との考えを示した。
 オランド氏は選挙期間中、予算削減と労働法改正に焦点を置くドイツの政策を繰り返し批判。同氏が勝利したこと、さらにギリシャの総選挙で連立与党が過半数議席を獲得できなかったことで、欧州の政策の軸足が財政緊縮化から成長支援にシフトするとの見方が出ていた。
 ただドイツでは、仏大統領選挙の結果が明らかになってまもなく、大きく譲歩を迫られるのはオランド氏になるとの発言が当局者から相次いだ。
 独連邦議会のカウダー・キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)会派院内総務は、「ドイツ政府の立場は明確だ。緊縮財政に向けた道を進み続ける」との立場を示し、「ドイツは、フランスにおける社会党の勝利のつけを払わされる可能性がある。これは容認できない」と述べている。(後略)』


 まさに「イデオロギー」としか呼びようがありません。ドイツが推し進めてきた「緊縮財政」「予算削減」(=需要縮小)と「労働法改正」(=供給能力向上)は、双方ともにインフレギャップを縮小する(もしくはデフレギャップを拡大する)ための政策です。すなわち「インフレ対策」です。


 インフレ対策をバブル崩壊でデフレに陥った国々に強制し、それが「成長のため」であるなどと主張している、あるいは信じ込んでいるわけですね。


 デフレ期にインフレ対策を打ち、事態を悪化させる。かつて(現在も)日本が歩んだ道を、大陸欧州は着々と歩み続けています。それに今回「民主主義」がNO!を突きつけたわけですが、欧州の「頭のよい人たち」は、今のところ考えを改めようとはしていません。結果、今後のユーロ圏ではひたすら政策の混乱が続くことになるでしょう。


 さて、インフレ対策をデフレ期に打ち続け、状況を悪化させるというのは、WW2以後は我らが日本がパイオニアです。混乱の欧州を収めるためにも、日本は早期に「正しいデフレ対策」により現在の苦境を脱し、世界に範を示さなければなりません。


 そのために使える日本国民の武器は、結局のところ欧州の各国民と同じものになるわけです。そう、民主主義です。


本日のエントリーで「民主主義の意味と意義」について考えて下さった方は、

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