「2011年4月以降に発売する端末は、全てSIMロックを解除可能にする。iモード版ドコモマーケットを開設し、個人開発者にも開放する」---NTTドコモ 代表取締役社長 山田隆持氏は2010年7月14日、「WIRELESS JAPAN 2010」の基調講演で、「スマートフォン新時代」(山田氏)へのドコモの施策を明らかにした。

「ドコモを変革する」

NTTドコモ 代表取締役社長 山田隆持氏
NTTドコモ 代表取締役社長 山田隆持氏
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 山田氏は「世界のモバイル動向とドコモの取り組み」と題して講演。「CSMGの調査によれば、2014年には世界市場でスマートフォンの台数が標準機(フィーチャーフォン)の台数を超える。またネットブックや電子書籍などモバイルデバイスが多様化していく」(山田氏)という潮流があると指摘した。

 その時代の流れに対してドコモはどう向かうのか。山田氏は「ドコモを変革する。あらゆる面での改革に、2年前から取り組んできた」と語る。

2011年4月からはSIMロックの選択権をユーザーの手に

 その改革のひとつがSIMロックの解除である。「2011年4月以降に発売する新端末は、SIMロックを解除する機能を搭載する」と山田氏は明言した。

 ただし「使える周波数や、サービス(が他のキャリアで使えるかどうか)の問題はある。SIMロックの解除に際してはドコモショップにご来店いただき、これらの問題をしっかり説明して、それでも解除したいというお客様には解除する」と、ユーザーが来店した上でないと解除できないようにする方針を示した。

スマートフォンにiモードサービスを取り込む

スマートフォンにiモードメールやFeliCaなどを取り込む
スマートフォンにiモードメールやFeliCaなどを取り込む
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 そしてスマートフォンを強化する。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のAndroidスマートフォンXperiaはバージョンアップ。韓国サムスン電子製AndroidスマートフォンGalaxy Sを2010年の10月もしくは11月に投入。冬モデルではAndroidやBlackBerryなど7機種のスマートフォンを投入する。FeliCa、ワンセグを一部に提供する。

 Android向けには、現在ドコモマーケットを提供している。今のドコモマーケットは実質上アプリケーション紹介サイトだが、2010年秋からは課金サービスも提供していく。現在は約230コンテンツだが、年度末には約700コンテンツに増やすことを目標にしている。

 加えてiモードのサービスをスマートフォンに取り込んでいく。2010年9月にスマートフォンでiモードメールを利用可能にする「spモード」を月額315円で提供開始する(関連記事)。また「iチャネルやiコンシェルもスマートフォン向けに提供していきたい」(山田氏)。

オープンアプリケーションの環境をiモードにも

iモード版ドコモマーケット。個人開発者も対象とし、コンテンツをドコモのサーバーで管理する
iモード版ドコモマーケット。個人開発者も対象とし、コンテンツをドコモのサーバーで管理する
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 逆に、iモード端末にもスマートフォンの良さを取り込んでいく。「スマートフォンの魅力は、オープンアプリケーションの環境があること」と山田氏は見る。「スマートフォン向けには個人作の面白いゲームがあるが、iモードの公式サイトには載っていない。こういったアプリケーションを、ぜひiモード版ドコモマーケットに載るようにしていきたい」(山田氏)。

 現在、iモードにはiメニューサイトがあり、ここにコンテンツプロバイダーがコンテンツを出している。「iメニューサイトは今2万あるが、いずれも法人のコンテンツプロバイダーがサーバーを立てている。個人がコンテンツを出すのは難しい」(山田氏)。そこで「ドコモマーケットのiモード版を作り、ドコモのサーバーでアプリケーションを管理、個人もコンテンツを出せるようにする。オープンアプリケーションの環境をiモードでも実現していきたい」と山田氏は語った。

 「iモード端末は5000万台以上。スマートフォンに注目が集まっているが、iモード端末もブラッシュアップしていく」(山田氏)。iモード版ドコモマーケットは2010年11月にサービスを開始する。

 現在iモードの公式コンテンツでは、ユーザーが支払った料金のうち、9%をドコモが手数料として、残りをコンテンツプロバイダーが受け取る仕組みになっている。講演後、山田氏はITproからの質問に答え「iモード版ドコモマーケットでは、コンテンツをドコモのサーバーで預かるため、ドコモのいただく手数料は9%よりは高くなる。しかしiPhoneのApp StoreやAndroid Marketの30%よりは低くなければならない」と語った。