おいしい給食NG指示に猛反発、調理師支援の動き広がり当局が方針修正。

2012/10/14 08:48 Written by Narinari.com編集部

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スウェーデンのある学校に、おいしい給食作りに心血を注ぐ女性調理師がいる。毎日用意される焼きたてのパンと、野菜を中心とした15種類の料理は、生徒たちも喜ぶ評判の給食――だったのだが、先日、市の当局が思わぬ理由を掲げてメニューの半減を指示。これに保護者らが反発する事態を招き、ちょっとした一悶着があったそうだ。

スウェーデン紙ザ・ローカルによると、この調理師はスウェーデン中部の街ファールンの学校で調理責任者を務めるアニカ・エリクソンさん。以前から彼女は、生徒たちの栄養面を考えたメニュー作りに注力し、決められた予算内で毎日生徒たちに「いくつかの選択肢を与えられる」豊富な数の料理を作ってきたという。しかし、そんな彼女の努力は「子どもを甘やかしている」として、9月24日、ファルン市当局がメニュー半減の通達を行ったそうだ。

ファルン市では、2011年から学校給食の改善に取り組むプロジェクトを開始。「全学校における給食の品質を上げるために努力する」目標を立て、プロジェクトを推進してきたが、今回はなぜか「めちゃくちゃおいしい」と評判のエリクソンさんの給食を問題視した。エリクソンさんによると、市当局はメニュー数が豊富な彼女の給食は、ほかの学校に通う生徒たちからすれば「不公平」とのこと。また、彼女が作る給食が「ダイエットを目指すプロジェクトのガイドラインから外れる」として、よそに合わせて「メニュー数を減らすよう」言って来たという。

この通達を聞き、学校に通う生徒や保護者は猛反発。不満に思った一部の保護者が地元メディアに情報を流した結果、国内外で大きく報じられることになり、さらに通達撤回を求める嘆願書や、エリクソンさんの努力を支持するFacebookページなども作成し、市当局に抗議の意志を示したという。この動きに驚いた市当局は、「お互いに誤解がなかったか確かめる」として、急遽10月8日にエリクソンさんとの話し合いの場を設けた。

すると、「生徒たちを幸せに、そして満足させることが大切」と訴えるエリクソンさんに対し、市当局は「彼女は誤解している」と説明。今回の件を「伝達不足」から生まれた誤解だと釈明し、「自家製パンや野菜を出したいというやり方に、異論はない」と彼女に伝えたそうだ。しかしながら市側の担当者は、メディアで大きく報じられたことに「影響を受けた」とも認めており、判断の修正を余儀なくされたというのが正直なところなのかもしれない。

かくして、おいしい給食を巡って揺れた学校の問題は一件落着。生徒たちは普段の給食はもちろん、伝統で続いているという彼女の「イースターやクリスマスのバイキング料理」を存分に堪能できそうだ。

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