ウェブアプリやウェブサービスの命は時に短いものです。企業買収やトラブル、ドメインの失効などでいつ消えてなくなってしまうかはわかりません。サービス閉鎖ともなれば、あなたのデータも消えてしまうか、アクセス不能になるかもしれないのです。そこでこちらでは、ウェブアプリが閉鎖される場合に備えて、データの安全を確保する方法と、よりリスクの少ないウェブアプリを選ぶ方法をご紹介します。

 ここ最近で、「Gowalla」(英文)、「Oink」(英文)が姿を消し、そして恐らくは「Posterous」も消えてしまいます。ウェブアプリが閉鎖される理由はさまざまであり、いつ何時それが起るかはわからないものです。データの移行ツールを提供しているサービスもありますが、必ずしもそうとは限りません

たとえば、Oinkに書いたレビューはほかのサイトに移動できませんし、GowallaのチェックインデータもFoursquareに移行できません。「MegaUpload」の閉鎖では、ユーザーがアップロードしていたデータがすべてアクセス不能になり、取り戻すために訴訟を起こすしかなくなりました(今のところ誰も成功していない)。ウェブサービスの利用は一種の投資とも言えます。やみくもにサインアップして最善の結果を期待するだけではいけないのです。

以下では、ウェブアプリを選ぶ時に考慮すべきポイントと、サービス閉鎖時に備えてクラウドのデータをバックアップする方法をご紹介します。

ウェブアプリの賢い選び方

カッコイイ最新のウェブアプリはつい使ってみたくなります。クールにまとめられた1分間の紹介ビデオなどもよく見かけますよね。たいていサインアップもわずか数秒。ウェブアプリは知らず知らずのうちに生活に必要になっていくものです。

サービスが普通通り稼働していれば何も問題はありませんが、サービス閉鎖という事態になると、とたんにトラブルに巻き込まれることになります。ウェブアプリを使い始める前によく検討して賢い選択をしておけば、サービス閉鎖のリスクを回避でき、最悪の場合でも自分のデータを守ることが可能です

まず、自分のデータが持ち出しでき、そのサービスの中だけに制限されていないことを確認してください。そうでなければ、サービス閉鎖時に自分のデータにアクセスできなくなってしまいます。何かあった場合にほかのサービスにデータを移行できるよう、ユーザーデータをいつでもダウンロード可能にしておくのが最近のトレンドです。Facebookでさえそうしています。サービスにサインアップする前に、自分のデータを持ち出せるか確認するようにしましょう。持ち出せないなら、何かほかのバックアップ方法を考えるか別のサービスを探した方が賢明です。

次に、サービスにサインアップしても1ヶ月は使わないでおくこと。その理由は、ユーザー名の安全を確保するためであり、本当に使いたいサービスなのかを見極めるためです。今すぐ使いたいという衝動と戦ってください。当初の興奮を静め、冷静にモノを見るために1ヶ月おきます。1ヶ月たった後でもそのサービスが活動的なコミュニティを維持しており、自分にとっても価値があると感じたら使い始めましょう。サービスが下火になっていたり、閉鎖時にデータを取り出せないとわかったら、ほかのサービスを探すようにしてください。

「新しさ」の魅惑に屈服しないようにしましょう。新しいものはエキサイティングですが、それが良いサービスとは限りません。そのサービスをどっぷり使い始める前に、果たして自分は新しさに目がくらんでいるだけなのか、本当に役に立ちそうだと思っているのかを確かめてください。

たくさんのウェブアプリが「車輪を再発明」しており、めったに成功しません。それはそのサービスが外見ほど革新的なものではなく、また同じ分野で以前から成功を収めているサービスがほかに存在することを意味します。新しいサービスに飛びつく前に、そのサービスが本当に自分が必要としているものなのか確かめてください。もっと安定している既存サービスと比較しながら、サインアップだけしてしばらく様子をみるようにしましょう。


クラウドのデータをバックアップする

GowallaやOinkのように、せっせと入力したデータをバックアップすることができないサービスがある一方で、データストレージに主眼をおくウェブアプリ(Flickr/Vimeo/Posterousなど)は優れたバックアップ先となります。オリジナルの場所(つまりそのウェブアプリ)・リモート(どこかのクラウド)・ローカルディスク、この3か所にバックアップしておくのが望ましいです。オリジナルにデータがあるのは当たり前として、ローカルとオンライン上のどこか別の場所へのバックアップ方法を用意しておきましょう。


ローカルコピーを保存する

写真や動画をアップロードしている場合は、単純にハードドライブにコピーしておくだけでOK。例えば、YouTubeで動画を公開しているなら、ローカルにオリジナル動画を保存しておきます。写真をFlickrにアップしている場合も同様です。写真や動画のバックアップは簡単にできるわりには怠っている人が多いです。また、デスクトップアプリを使えばローカルコピーはさらに簡単になります。

例えば写真管理アプリを使えばローカルコピーも保存でき、オンラインへの公開もスムーズ。デスクトップのメールアプリもメールをローカル保存しておくツールになります。普段はウェブアプリを使う人でも、デスクトップのメールアプリを常に起動しておけば、よいバックアップ対策になるでしょう。利用中のウェブアプリとうまく連携するデスクトップアプリを探してみてください

もし適当なデスクトップアプリや簡単にローカルコピーを保存する方法が見つからない場合は、ウェブアプリから直接データをエクスポートできないか調べてみます。他サービスへデータを移行できる仕組みが提供されていれば、その機能を使ってバックアップをとりましょう。最低でも、月に1度はハードドライブにデータをダウンロードしておきましょう。


オンライン上にバックアップする

ウェブアプリから写真、動画、テキストデータなどをオンライン上の別の場所にバックアップするなら、クラウドストレージが使えます。無料で大容量のサービスがたくさんあり、サインアップしてデータをアップロードするだけでOKです。また、『CrashPlan』のように自動バックアップを実行してくれるアプリもあります

オンラインのバックアップサービスは、ユーザのかわりにバックアップ作業を行なってくれるので、たいへん便利です。いつもバックアップ作業を忘れてしまうという人は、バックアップサービスにお金を払う価値は十分にあると思います。

Backupify』はGoogleのあらゆるアプリをバックアップでき、Twitter/Facebook/Flickr/LinkedInなどのソーシャルアプリにも対応しています。1GBまでの無料アカウントもあるので、あまりデータ量がない人はお金をかけずに使用可能です。ソーシャルアプリのバックアップを1つずつ手動で作業しているなら、Backupifyを使えばかなり楽になるでしょう。


皆さんは、ウェブアプリが突然閉鎖されるリスクにどのような対策をとっていますか? ぜひコメント欄で教えてください。

Adam Dachis(原文/訳:伊藤貴之)