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『投資の重要性①』三橋貴明 AJER2015.11.17(5)
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本ブログや著作で何度も繰り返していますが、モノ、ヒト、カネという経営(経済ではない)の三要素を自由化する「グローバリズム」は、特定の覇権国が各国に「自由貿易」というルールを守らせ、さらに各国国内が平和、平穏、平静でなければ成立しません。すなわち、平時にのみ、グローバリズムは各国の国民を豊かにする「可能性」があります。
また、自由貿易・規制緩和という構造改革は、各国の企業、国民、あるいは国家同士の競争を煽り、供給能力を引き上げるインフレ対策(物価抑制策)です。すなわち、グローバリズムが正当化される「可能性」がある時期とは、
「各国が平時であり、同時にインフレ期である」
という条件を満たさなければならないのです。
無論、平時・インフレ期であっても、各国の安全保障を棄損するグローバリズムが許されるのか、という論点はあります。上記「正当化される可能性がある」とは、あくまで経済面のロジックの話です。
『IS戦闘員:難民偽装、今夏ギリシャ入国 当局が拘束
http://mainichi.jp/select/news/20151122k0000m030113000c.html
過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員が今年夏、シリア難民を装ってギリシャに入国し、現地当局に拘束されていたことが21日、分かった。欧州の治安当局者が毎日新聞に明らかにした。IS戦闘員による偽装難民の初の摘発例とみられる。パリ同時多発テロの実行犯も同様の手口で10月にギリシャ入りしていたが、ISはそれ以前から戦闘員の欧州潜入を図っていた実態が浮かび上がった。
ギリシャで身柄を拘束されたのは、西アジア方面出身のIS戦闘員。トルコからのシリア難民の波に紛れてギリシャへ密航した。現地で「シリア人」として難民申請した際に、当局側のIS戦闘員に関するブラックリストの顔写真などが、この戦闘員の情報と一致したという。
パリの同時テロでは、競技場で自爆した3人のうちの1人が10月3日、シリア難民としてギリシャで滞在申請し、欧州へ向かっていたことが判明している。申請時に使われた旅券は、戦死したシリア軍兵士のものだった。ISが兵士の旅券を奪い、偽造したとみられる。
さらに仏検察は20日、自爆犯の別の1人も同時期にギリシャで滞在申請していたことを明らかにした。
今夏以降、内戦下のシリアからトルコ、ギリシャなどを経て欧州を目指す難民が急増。欧州の玄関口に当たるギリシャでは、中東やアフガニスタンなどから殺到する人々の身元確認を適正に行えない状態が続いている。(後略)』
現在の欧州は、ハンガリーなど国境を封鎖した国々を除き、表向きはヒト、モノ、カネの移動の自由を何とか守ろうとしています。とはいえ、数百万人規模の中東難民の奔流に耐え兼ね、次第に欧州全域が「国境」を高くする方向に動きつつあります。
ハンガリーのシーヤールトー外務貿易相は、11月12日に毎日新聞のインタビューにおいて、難民について、
「大半は経済移民で、(テロの)戦闘員も交じっている。もし国境管理できなければ大きな脅威だ」
と、語りました。
翌13日の夜、フランスでパリ同時多発テロが発生してしまいました。
「連合は、人間の尊厳、自由、民主主義、平等、法の支配、少数者である人々の権利を含む人権の尊重の諸価値を基礎とする。これらの価値は、多元主義、無差別、寛容、正義、連帯および男女平等が優越する社会にある構成国に共通するものである。(欧州憲法条約 第I-2条[連合の価値])」
という、欧州連合の「価値」をEUが捨て去らない限り、ハンガリーは「離脱」の方向に向かわざるを得ないのではないかと思います。何しろ、ハンガリー(及び他の東欧諸国)は、まだ間に合います。
改めて、グローバリズムの一要素である「ヒトの移動の自由」は、ISILのようなテロリストの存在を前提にしていないと、つくづく思います。というよりも、テロリストは「いない」という前提になっているわけです。
テロリストは、グローバリストと価値観を共有していません。すなわち、「利益」のために活動しているわけではないわけです。
グローバリストとは価値観が異なるテロリストが、グローバリズムを悪用しようとした場合、どうすればいいのでしょうか。恐らく、「解決策はない」というのが答えなのだと思います。
さすがに、熱烈なグローバリズムの信奉者であっても、
「外国人テロリストが国境を越えて移動する自由」
の拡大までをも望むはずがありません。そして、国民が政府にテロリストの入国を拒否するよう要求した場合、国境は高くならざるを得ないわけです。
グローバリズムは、利益以外の価値観を重視する(変な書き方ですが)国際的なテロリストの存在を前提にしていない。
パリの同時多発テロは、上記の「現実」を世界に見せつけたという意味で、わたくしたちが想像する以上に歴史的な事件であるのではないかと思います。
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