おれがあいつであいつがおれで

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おれがあいつであいつがおれで
ジャンル 青春小説ファンタジーTSF
小説:おれがあいつであいつがおれで
著者 山中恒
イラスト 長谷川集平
出版社 旺文社
その他の出版社
理論社角川書店童話館出版
掲載誌 旺文社『小6時代』
レーベル 創作児童文学
発行日 1980年6月20日
連載期間 1979年4月号 - 1980年3月号
漫画:なんとかしなくちゃ!
原作・原案など 山中恒
作画 いでまゆみ
出版社 講談社
掲載誌 なかよし
レーベル KCなかよし
発行日 1981年8月5日
発表号 1981年1月号 - 1981年6月号
巻数 全1巻
映画:転校生
原作 山中恒
監督 大林宣彦
配給 松竹
封切日 1982年4月17日
上映時間 112分
ドラマ:転校生!おれがあいつであいつがおれで
原作 山中恒
制作 アズバーズ
放送局 フジテレビ
放送期間 1985年8月19日 - 1985年8月19日
話数 全1話
ドラマ:転校生!おれがあいつであいつがおれで2
原作 山中恒
制作 アズバーズ
放送局 フジテレビ
放送期間 1986年4月21日 - 1986年4月21日
話数 全1話
ドラマ:放課後
制作 共同テレビ
放送局 フジテレビ
放送期間 1992年10月15日 - 1992年11月12日
話数 全5話
ドラマ:どっちがどっち! おれがあいつで・あいつがおれで
原作 山中恒
制作 NHK名古屋放送局
放送局 NHK
放送期間 2002年10月5日 - 2002年12月28日
話数 全12回
ドラマ:おれがあいつであいつがおれで
原作 山中恒
制作 共同テレビジョン、TBS
放送局 TBS
放送期間 2002年12月28日 - 2002年12月28日
話数 全1話
映画:転校生-さよなら あなた-
原作 山中恒
監督 大林宣彦
配給 角川映画
封切日 2007年6月23日
上映時間 120分
漫画:転校生 さよならあなた
作者 三国桃子(著)、PSC(原作)
出版社 角川書店
発行日 2007年6月26日
巻数 全1巻
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おれがあいつであいつがおれで』は、山中恒による日本児童文学作品。旺文社の『小6時代』に1979年4月号から1980年3月号まで12回に亘って連載された。

概要[編集]

ふとしたはずみで身体が入れ替わってしまった少年少女を描いた性転換フィクション作品。小学生の男女2人の異性の身体や生活習慣の違いに対する戸惑い、への目覚めと相互理解に至るまでをユーモアを交えつつ描いている。本作について作者の山中恒は、心理劇だと繰り返し語っている[1]

1980年の初版刊行以来、映画やドラマなどで幾度も映像化されたことなども手伝って、2000年代に入ってもロングセールを続けている[1]

本作は登場人物の人格の入れ替わりをテーマにしているが、大林宣彦監督による映画化作品『転校生』を通じて数々のフィクション作品に影響を与え、日本での"人格入れ替わりコンテンツ"の人気に大きく寄与している[2][3][4]。親兄弟を含め、別人同士が入れ替わってしまうという話は、平安時代に書かれた日本の『とりかへばや物語』(作者不詳)、アメリカマーク・トウェインによる小説『王子と乞食』やチャップリンの映画『独裁者』など、洋の東西を問わず古くから存在する[1]。そして、人格の入れ替わりについてもその歴史は意外と古く、1882年にイギリスの作家エフ・アンスティが出版した父と息子の人格が入れ替わる小説『Vice Versa (あべこべ)英語版』がその最初期のものと言われている[2]。その後も1936年には笑気ガスで人格が入れ替わるというP・G・ウッドハウスによるイギリスの小説『Laughing Gas英語版』が、1972年には母と娘が入れ替わるというメアリー・ロジャース英語版によるアメリカの小説『Freaky Friday英語版[注 1]といった作品が書かれている[2]。日本においては、兄妹の入れ替わりを描いたサトウハチローの児童文学『あべこべ玉』(1934年、のちに『あべこべ物語』と改題)[注 2]あたりが最初期と言われ、本作がそれに続く作品であるとされる[1][2]。中世に書かれた狂言の鷺流脚本「伊勢物語」は、日向の国から伊勢神宮に向かった参宮道者と、伊勢国安濃郡の出家斎夢坊が、同じ御堂の縁側で昼寝をし、通りがかった百姓から急に起こされ、二人の魂が入れ替わってしまう話である。三人が異変に驚く中で、百姓は、二人をもう一度寝かせ、改めて起こし直して元通りにする事を提案する。無事元に戻った二人には、入れ替わった時の記憶はなかったというこの話は、最古の類話といえるかもしれない[5][6]

ストーリー[編集]

斉藤一夫は、小学6年生のやんちゃで元気な男の子。ある日、一夫のクラスに幼馴染の女の子、斉藤一美が転校してくる。幼い頃の思い出をみんなの前であっけらかんと話す一美と、それをうとましく思う一夫。そんな二人の身体が、ひょんなことから入れ替わってしまう。

とりあえず、お互いの振りをして生活することにした二人だが、他人の、それも異性の生活になかなか馴染むことが出来ず、素の自分が出てしまう。周囲も、まじめでおとなしくなった一夫と、男勝りで荒っぽくなった一美に対して違和感を抱くようになる。

一美の服を着て、女言葉を使い、一美らしく振る舞うことになってしまった一夫。スカートをはいて登校すれば、友達だった男の子にスカートめくりをされたり、一美から、自分が生理になると聞かされ慌てたりと、男の子であった一夫にとって、女の子として過ごす生活は戸惑うことばかり。しかし、そんな自分を心配してくれる一美も、男の子としての生活の中で辛い目にあっていると知って彼女を思いやるようになり、二人は次第に絆を深めていく。

そんな中、一夫の父親の転勤が決まり、一美は今度は一夫として、また転校することとなった。離れ離れになったら、もう二度と元の身体に戻れない……。果たして二人は、元に戻ることが出来るのだろうか?

エピソード[編集]

本著を原作として製作された「転校生」を監督した大林宣彦は映画化に合わせて発行された文庫本のあとがきで、映画ではハエ退治の為老婆に殺虫剤をかける場面があるが、あれは出版社に執筆を依頼された際、山中が「子供が人をぶっ殺す作品を書きたい」と担当編集者に伝えたアイデアの名残りではないかと推測している。

書籍データ[編集]

派生作品[編集]

映像[編集]

漫画[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 少女期のジョディ・フォスター主演でディズニーにより『フリーキー・フライデー』として映画化され、その後も繰り返しリメイクされた。
  2. ^ TBSドラマ『へんしん!ポンポコ玉』の原作。

出典[編集]

関連項目[編集]

  • とりかへばや物語
  • パパとムスメの7日間(台詞の中に『転校生』のタイトルや内容が登場する)
  • ケロロ軍曹(入れ替わりを題材とした第35話「我貴君也貴君我也…。の巻」のタイトルが本作のパロディである)
  • 君の名は。(性の入れ替わりをモチーフにしていて、作品に類似性がある)
  • レオン (漫画)(性の入れ替わりを題材としており、第1話「オレがオンナでアイツがオヤジ!?」のタイトルが本作のパロディとなっている)