それはいわゆる「違法ダウンロード」ではないよね
Winnyを使用し、劇場公開2日前の米映画『シャッターアイランド』を不特定多数のユーザに公衆送信しうる状態にしたとして著作権法違反(公衆送信権侵害)の容疑で9月に逮捕された男性が、同映画を公衆送信目的で「ダウンロード」したことも複製権侵害だとして追送検されたと報道されている。
■ 著作権法違反:映画流出目的ダウンロード、複製権侵害容疑 全国初の立件−−京都府警 − 毎日jp(毎日新聞)
この話、若干わかりにくいところもあって、違法ダウンロード(違法にアップロードされたと知りつつダウンロードした)だから追送検されたのだと勘違いする人もいるかもしれないので、ちょっとだけ捕捉を。
複製権の侵害
今回の件は、違法流通していた映画をダウンロードしたことが問題にされたのではなく、私的使用以外の目的で映画をハードディスクに複製(ダウンロード)したことが問題にされている。
だからこれ、違法流通から入手した云々は関係なくて、たとえば購入したDVDやCDからリッピングしたり、正規のネット配信で入手したりした場合でも、私的使用以外の目的を持っていれば、複製権侵害であるとして責任を問われうるということ。
男性は「ダウンロードした作品を広く見られるようにするのは、同ソフトを使う者の常識。犯罪とはわかっていたが、逮捕されるとは思わなかった」(読売新聞 関西発)と話していることから、私的利用以外の目的でハードディスクにコピー(複製)したことは明白だとして、複製権侵害である(私的複製には当たらない)と判断されたということになる。この男性については、Shareで入手したファイルをWinnyに輸出していたりもしてたみたいだしね。
京都府警はこの件について、
「入手行為だけでも違法性が問われると警鐘を鳴らしたい」
映画流出、PCへのダウンロード自体も立件 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
と報道関係者に話しているようだが(強調はheatwave_p2pによる)、この複製権侵害だけで摘発するのは、おそらく難しいだろうなぁと思う。どちらかといえば、違法アップロード(公衆送信権侵害)で捕まったユーザに罪状を事後的に*1追加するために使われるんだろうね。といっても、違法アップローダーだけに限らないのかもしれないけど。
*1:摘発後に