【4月26日 AFP】約1万9000人が犠牲となった2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震級の巨大地震が、東北地方で過去に3回起きていたとする新たな調査結果を、日独スイスの研究チームが25日、オーストリア・ウィーン(Vienna)で開かれた欧州地球科学連合(European Geosciences UnionEGU)の総会で発表した。今後の災害予測に大きな影響を及ぼす可能性がある。
 
 スイス連邦工科大学(Swiss Federal Institute of Technology ETH)のミハエル・シュトラッサー(Michael Strasser)氏(地質学)によると、チームは東北地方太平洋沖地震よりも以前に、震源近くの海底で堆積物の再移動が少なくとも3回、発生していたことを突き止めた。

 大規模な再堆積の誘発にはさまざまな要因が考えられることから、シュトラッサー氏は「理論的には地震とは言えないかもしれない」と前置きした上で、現段階では地震が堆積物の移動原因として最も有力だと語った。

 共同研究チームは3月、特殊な海洋調査船を用いて、東北地方沖のプレートの沈み込み境界付近を最大水深7700メートルまで調査。マグニチュード(M)9.0を観測した東北地方太平洋沖地震の震源域付近の海底調査も行った。現在、得られたサンプルの分析を行っている。

 海底堆積物の再移動が起こった時期を特定できれば、災害予測技術への重要な貢献となるとシュトラッサー氏は説明する。「地震発生を予測するには、発生パターンを把握する必要がある」からだ。

 歴史文献には、この地域で1300年前にも大きな揺れを観測したとの記述がある。

 東北地方太平洋沖地震前と後のデータ比較では、前年3月11日の地震によって東北沖海底の数箇所で最大50メートルのずれや隆起が生じ、断層帯が1万5000平方キロメートルにわたって5メートルも隆起したことが分かっている。(c)AFP