CA1888 – 動向レビュー:図書館で「ゲーム」を行なう / 井上奈智

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カレントアウェアネス
No.330 2016年12月20日

 

CA1888

動向レビュー

 

図書館で「ゲーム」を行なう

電子情報部電子情報サービス課:井上奈智(いのうえ なち)

 

1. はじめに

 あなたは、さすらいの宗教者となり、千年の眠りから目覚めようとする魔族の復活を阻止するべく、魔族の再生を目論むマッドサイエンティストや魔族の末裔と戦う。

 こんなストーリーが、図書館の一角で話されるかもしれない。図書館員が読み上げるストーリーテリングではなく、図書館利用者が参加するテーブルトーク・ロールプレイングゲーム(以下、TRPGとする。)の世界の中で、である。

 ゲームというと、少し古いところでは、ファミリーコンピュータなどの家庭用ゲーム機や、新しいところでは、「ポケモンGO」現象に代表されるデジタルゲームを想像するだろうか。一方のアナログゲームには、将棋、囲碁、百人一首といった伝統ゲームのほかに、ドイツや米国から輸入される-最近は日本製のものも多い-「現代ボードゲーム」(以下、ボードゲームとする。)や、上述のTRPGなどがある。

 ロールプレイングゲームと聞けば、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったデジタルゲームが頭に浮かぶかもしれないが、TRPGは、複数のプレイヤーがテーブルを囲み、空想上の世界や時に現代を舞台に、各々の参加者が種々の役を演じながら(ロールプレイしながら)、課題の解決を目指すゲームである。その課題を与えるのはコンピュータではなく、ゲームマスター(GM)と呼ばれる進行役と、「ルールブック」と呼ばれる分厚い本である。ゲームマスター以外の参加者は、プレイヤーとしてチームを組み、たまにゲーム上対立しながら、ゲームの仕組みや進め方、役の種類などが書かれた「ルールブック」と、ゲームマスターがしばしば独自に作成するシナリオを基に、ゲームを進めていく。

 海外では、これらのゲームを図書館サービスに組み込んでいる図書館が多い。日本ではまだ珍しいが、最近はいくつかの事例が報告されている。本稿では、日本や海外の動向を紹介しながら、図書館の役割とゲームの効用の親和性について検討する。

 

2. 図書館の役割とゲームの効用の親和性

 ゲームは単なる「遊び」であり、図書館でゲームを行なうことに抵抗感を覚えるかもしれない。図書館でゲームを行なう根拠をどこに見出せばよいだろうか。

 図書館法(平成23年12月14日法律第122号)第1条には、「この法律は、……もつて国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とする」とあり、図書館は、教育と文化の発展に資するものとして位置付けられている。

 同じく第2条には、「「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」と定義されている。

 2006年に提言された「これからの図書館像-地域を支える情報拠点をめざして-」(1)では、「図書館が地域の課題解決や調査研究を支援できるようサービスや運営を改革し」と、図書館サービスにおける調査研究の重要性を再確認している。また、「図書館を利用していない住民に対しても積極的に働きかけを行う」と、いわゆるアウトリーチ活動にも力を入れる必要性が指摘されている。

 この提言の主体となった「これからの図書館の在り方検討協力者会議」の議論では、「障害者・高齢者・多文化サービス」(2)について挙げられており、「さまざまな障害に対応したサービスが必要である」、「高齢者や在日外国人の増加が予想されるため、高齢者サービス、多文化サービスへの取組を強化する必要がある」とされる。すなわち、利用にハードルのある人々を図書館に呼び込むことを求めている。

 文化・教育、教養、調査研究、レクリエーション、アウトリーチ活動、障害者・高齢者・多文化サービス。これら図書館の役割が、図書館でゲームを行なう際の根拠になりそうである。

 ゲームは多様な文化を取り込んでおり、教養と結びつきが強いことはいうまでもない。伝統ゲームである将棋や囲碁は数百年を超える歴史を持ち、「王手」や「駄目」など、ゲーム由来の言葉が一般に使われている。ボードゲームの作品には、「イスタンブール」「ディスカバーインディア」という地名を冠したものから(当然ながらそのボードゲームの装飾は、タイトルに関する地域の文化を大きく取り込んでいる。)、「曼荼羅」「枯山水」という仏教の雰囲気を豊富に含むものもある。島を開拓するゲーム「カタン」では、「資源」の取引が重要な意味を持っており、産出の少ない「資源」が高いレートで取引されるなど、経済学の基礎概念を学ぶことができるルールとなっている。ゲームは文化・教育や教養と重なる位置にある。

 また、ゲームがレクリエーションであることは異論がないだろう。図書館がこれまで広く提供してきた読書や音楽鑑賞・映画鑑賞にも、レクリエーションとしての側面がある。図書館とレクリエーションの距離は、実務上の感覚ほどには離れているものではない。

 

3. 日本でのゲーム導入事例

 2章で挙げた図書館の役割-文化・教育、教養、調査研究、レクリエーション、アウトリーチ活動、障害者・高齢者・多文化サービス-といった観点から、日本での導入例を5点ほど紹介する。

 

3.1. 大津北中学校図書室でのTRPG

 調査研究という切り口では、2015年から、図書室でTPRGを使った読書企画を何度か行なっている、熊本県大津町の大津北中学校の事例が参考になる(3)

 TRPGを遊ぶときは、自分の分身が剣の腕が立つのか、身が軽いのか、魔法が得意なのかというように、ゲームで使うキャラクタ(登場人物)を作る作業が必要である。そのほか、装備や職業、性格や運命などを、「ルールブック」の選択肢から細かく設定する。自分のキャラクタを選び、そのステータスを記入していく作業は、半日がかりとなることもある。大津北中学校の事例でも2時間をかけている。無数とも思える選択肢の中から「もうひとりの自分」を創る作業は、大変そうに思えるが、実はTRPGでもっとも楽しいひとコマである。この「ルールブック」の選択肢が創造性豊かで、しばしば、よく分からないものが出てくる。例えば、ハルバードとはどんな武器か。レプラコーンとは何者か。ベール=ゼファーは何故「蠅の王」と呼ばれるのか。多少の説明やイラストは「ルールブック」やファンによるウェブサイトにも載っているが多くはない。「ルールブック」の設定との隙間を、参加者の想像力で埋めるのである。本事例では、鎧や服の構造が分からないという声があり、図書室にある図鑑や小説の挿絵などを参考にした。TRPGを通じて、図書室では調べものができる、ということを伝えることができたという。

 そして、TRPG経験者である公共図書館員らの支援を受けて作成したシナリオと市販の「ルールブック」を基にTRPGを行なった。「ルールブック」に「ソード・ワールド2.0」を使い、剣と魔法を舞台にしたファンタジー世界で宝箱を取ったり敵と戦ったりするお話や、また、「クトゥルフ神話TRPG」を使い、生徒が通う中学校を舞台に怪奇現象が起こるお話の中で、生徒たちがロールプレイをした。TRPGの終了後は、図書館員がおすすめのファンタジー小説を紹介するブックトークを行なっている。

 発言が少ない子も、慣れてくるとコミュニケーションをとり「あっちに進もう」などと、積極的に発言するようになったという。また、参加者たちは楽しそうに遊び、図書室に頻繁に来るようになった、と報告されている。TRPGが、教養、調査研究、レクリエーション、アウトリーチ活動といった図書館の役割に貢献した事例である。

 

3.2. 武雄市図書館とTRPG

 2016年11月に、佐賀県武雄市の武雄市図書館は市内を舞台にしたTRPGを開催している(4)。大津北中学校の事例をSNS上で見た図書館員が興味を持ち企画したという。ただし、図書館員はTRPGの経験がなく、シナリオ作りやゲーム進行にノウハウが求められることから、大津北中学校でのTRPG実施に協力した公共図書館員や、地元のTRPG愛好者の支援を受けて開催した。「クトゥルフ神話TRPG」を用いて、武雄市図書館の近くにある武雄神社を舞台にし、神社に伝わる神具に重要な役割をもたせたとのことである。

 イベントは大変好評であったが、図書館員の狙いは、イベントにあわせて郷土資料を展示し、郷土資料の紹介に結び付けることであった。今回は別の展示を行なったため、その点は、次回以降の課題であるという。

 

3.3. 山中湖情報創造館とボードゲーム

 山梨県山中湖村の山中湖情報創造館では、毎月、ボードゲームで遊ぶ日を設定しているだけでなく、何種類ものボードゲームを館内利用に供している(5)

 ボードゲームは、コミュニケーションを促進する上で極めて優れたツールであり、特に図書館というソーシャルなコンテクストで有効であるという。ボードゲームは文化の多様性に能動的に貢献し、ボードゲームによる教育という観点からは、思考力、クリエイティビティ、コミュニケーション能力が鍛えられると、同館員(当時)のベリー(Olle Berg)氏は述べている。また、本のみならずゲームも文化そのものであり、図書館サービスの対象にふさわしいと強調している(6)

 

3.4. 立川市高松図書館とボードゲームの地産地消

 2016年11月に東京都立川市の立川市高松図書館は、地域と連携したゲームイベントを開催した。製作を全て市内で行なった純立川産であり、立川市の特産品である「うど」をテーマにしたボードゲーム「にょきにょきウドラ」や、海外ボードゲームをプレイしている(7)

 ゲームイベントのポスターが市内の喫茶店に貼り出されると、SNSを通じてこれまでにないほど拡散されたという。高松図書館では、既存の利用者がイベントに参加するケースが多いが、本事例の参加者の半数程度が同館をふだん使わない方やその存在を知らない住民であり、担当者が「ここまで反響が大きいと思わなかった」と述べるなど相当な手応えがあったようである(8)

 なお、図書館でゲームをすることに図書館の内外から反対がなかったかという疑問に対しては、同館の指定管理者である担当者も当初そのような意見を心配し、立川市にイベント実施の可否を確認したが、快諾を得られたという(9)。文化・教育、レクリエーション、アウトリーチ活動に貢献した例であるが、地域を巻き込んだ取組みはユニークである。

 

3.5 とやま駅南図書館・こども図書館とデジタルゲーム

 2013年にリニューアル・オープンをした富山県富山市のとやま駅南図書館・こども図書館には、家庭用ゲーム機Xboxが導入されている。Xboxを用いて、モーションセンサーを内蔵したデバイスによる体を動かして遊ぶゲームを提供しており(10)、レクリエーションとしてゲーム機を提供することで、子供同士や親子のコミュニケーションを促進しているという。

 また、「いろいろなゲームをやってみよう」というワークショップを定期的に開催し、トランプ、オセロ、チェス、どうぶつ将棋、ドンジャラなどのボードゲームをプレイしている(11)。図書館に楽しめる場を用意し、これまで図書館を利用しなかった層にも、図書館の魅力を伝えているようである。

 

4. 米国の動向

 一方、海外では、古くから図書館でゲームを行なうことをサービスに取り込んできた。英国では、19世紀半ばに、図書館の役割にレクリエーションも含むようになり、図書館内にゲームルームが設けられた。

 また、米国でも、150年以上にわたり、図書館がゲームを提供してきた歴史を持つ(12)

 不況時はほかのレクリエーションサービスが少なくなるため、図書館でのレクリエーションサービスは重要性を増す。1929年に始まる大恐慌の下、子供たちによるおもちゃの盗難事件が発生していた。これを解決するため、ロサンゼルスで「おもちゃ図書館」が始まり、おもちゃの貸出が行なわれている(13)

 学校図書館では、1920年代に、米国図書館協会(ALA)の手引書の中で、「ストーリーテリングとブックゲーム」という活動を通じ、子供の読書への関心を刺激するように主張されている。現在でも、生徒を対象に図書館内でゲームの貸出やゲーム活動が行なわれているほか、教師向けに授業で使えるゲームを所蔵・貸出している。また、夏の読書プログラムは、ゲームを通じて図書館を活用するような仕組みとなっており、非常に成功していると報告されている(14)

 デジタルゲームも図書館で提供されており、利用者が技術を学んだり、利用者のグループ同士を結び付けたりするために活用されている(15)

 チェスは、図書館で提供されたもっとも古いゲームのひとつであり、チェスクラブを持つ図書館もある。ある地域では、1997年の調査によると、約18万の人口のうち2,500人の子供がチェスをプレイするための登録をしている(16)

 しかし、ゲームを喜んでサポートする図書館ばかりではない。1992年には、利用者が図書館員の注意を聞かずにレファレンスカウンターでチェスボードの使用を継続し、不法侵入で逮捕されるという事件が起こっている。利用者の中には、ほかのサービスに必要な経費の支出の代わりにゲームの購入のために支出することに腹を立てる人もいるであろうことから、少なからぬ図書館員は、図書館でゲームをすることに反対しているとのことである(17)

 とはいえ、ここ数十年間、米国では、ゲームが図書館の文化の一部となっていることは疑いがない。70%以上の公共図書館が何らかの方法でゲームをサポートしている。また、40%以上の公共図書館がゲームトーナメントやデジタルゲームイベントなどを主催しているという(18)

 ALAなどが主催し、2008年から始まった“International Games Day @ your library” は、毎年11月の第3土曜日、世界各国の図書館で、同日にゲームをするというイベントである(19)。2015年には、2,157館が参加し、8万6,280人の参加があったという(20)。日本からは、山中湖情報創造館が参加し、研修室にて朝から晩までボードゲームを行なっている(21)。International Games Dayの報告から参加者の声を拾っていこう。

 

(2010年)(22)

  • ゲームで遊ぶことは常に、図書館に新たな子供を呼び込む。彼らはゲームで遊ぶことを楽しみに、利用者登録カードを取得する。
  • ゲームプログラムに参加した子供の多数は、本を借りて図書館から帰る。彼らの多くは積極的にいつも図書館に来る子供たちでない。

(2012年)(23)

  • 車いすの高齢男性がボランティアとして参加し、一日中、小さな子供たちや十代の若者たちとゲームをした。彼も子供たちも素晴らしい時間を過ごすことができた。

(2013年)(24)

  • 7大陸で同時にゲームを行なっていることは驚きだ。
  • 若い女性と高齢男性は、ただ座って見ていた別の男性をゲームに参加するように誘った。彼が、英語をまったく話せなかったことが分かったので、彼らは言葉を必要としないゲームで遊んだ。(その後、)彼らはスクラブル(単語を作成するゲーム)に挑戦した。誘われた男性は、新しい「米国の言葉」を学ぼうとした(25)。言語の違いにも拘らず、3人がゲームを通じて交流し、楽しい時間を過ごした。

 

 International Games Dayが、高齢者、外国出身者、障害者といった社会的属性を持つ者も含めて、多様な参加者がゲームを軸に交流する場として、新たな利用者の獲得につながっていることがわかる。

 ALAは、図書館とゲームの関係性について、「図書館は文化と情報を共有する。ゲームとは共に行なうことで成立する文化である」「ゲームは、脳によく、社会性、他者の心理への理解、システムリテラシーといった重要なスキルをはぐくみ、そして楽しい!」(26)という。ALAのGames and Gaming Round Tableは、TRPGを、「社会化を奨励し、プレイヤ間の仲間意識を作り出すもの」(27)、ボードゲームを、「多くの親や教育者が、子供がデジタルメディアを受動的かつ孤独に利用することを心配する一方で、異なる背景の人々が、テーブルを囲んで、課題を解決し、たくさんの実践的なスキルを改善し、良い時間を過ごすためのもの」(28)であるとしている。このような、社会化、つながり、コミュニケーションの促進も、ゲームの持つ強みである。

 

5. 終わりに

 図書館の役割とゲームの効用の親和性は、一案として、以下のとおり整理できる。ゲームの分類は、体系的なものがなく色々な分け方があるため、筆者の周りのゲーム愛好者でよく使われる分類とした。ゲームの形態や歴史の深浅から雑駁にジャンル分けしたに過ぎず、同じ分類でも個々のゲームによって、図書館との親和性が大きく変わることに留意されたい。

 

表:図書館の役割とゲームの効用の親和性

 アナログゲームデジタルゲーム
TRPG伝統ゲームボードゲーム
文化・教育
教養
レクリエーション
アウトリーチ活動
調査研究   
障害者・高齢者・
多文化サービス
 

※筆者作成

 

 日本の図書館は、これまで、ゲームをサービスに含めることはあまりなかったが、図書館の役割とゲームの効用は、十分な親和性があるといえる。ゲームが、図書館の別の役割と利用者を結ぶ手段となることも可能であるし、ゲームを図書館のサービスそのものとすることもできる。図書館が提供するゲームのジャンルは、特定のジャンルに限定されるものではなく、TRPG、伝統ゲーム、ボードゲーム、さらにはデジタルゲームもその対象になるだろう。いずれのゲームも、文化・教育、教養を背景としている。ゲームはレクリエーションであり、また、図書館を知らなかった未来の利用者を呼び込む有力な手段であることは、本稿で紹介してきたとおりである。

 TRPGは、「ルールブック」が豊かな世界観を提供しているが、イラストやシナリオをあえて省いて、ゲームを遊ぶ側の想像にゆだねている部分も多い(29)。イメージをふくらましたり、シナリオを作成したりする中で、図書館の蔵書を利用する、つまりは、調査研究につながる使い方と親和性があるといえよう。一方で、言語やジェスチャーを多用することから、障害者や外国人と一緒にプレイするときには、工夫が少し必要かもしれない。また、伝統ゲームやボードゲーム、デジタルゲームは、多様な利用者と図書館、あるいは多様な利用者同士の接続点になると思われる(30)。ゲームそのものやゲームの背景設定を調べるのに、図書館の蔵書を使う手もあるだろう。

 日本の図書館とゲームを巡る物語は、始まったばかりなのである。

 

(1)これからの図書館の在り方検討協力者会議. “これからの図書館像-地域を支える情報拠点をめざして-(報告)”. 文部科学省.
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286794/www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701.htm, (参照2016-10-01).

(2)これからの図書館の在り方検討協力者会議. “「これからの図書館の在り方検討協力者会議」これまでの議論の概要: これからの図書館サービスの在り方”. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/giron/05080301/001/003.htm, (参照 2016-10-01).

(3)筆者による、同企画に係わった菊陽町図書館(熊本県)の高倉暁大氏への電話取材及び下記文献による。
高倉暁大. 「中学校でのTRPGを使った読書企画」事例報告. みんなの図書館. 2016, (469), p. 46-50.

(4)筆者による武雄市図書館担当者への電話取材による。

(5)“山中湖の図書館でボードゲームの貸し出し 「ボードゲームの日」定期開催も”. 富士経済新聞. 2015-07-17.
http://mtfuji.keizai.biz/headline/317/, (参照 2016-10-01).

(6)筆者によるベリー氏への取材及び下記文献による。
Berg, Olle. 北から南から 図書館サービスとボードゲーム. 図書館雑誌. 2016, 110(1), p. 40-41.

(7)“インターナショナル・ゲームズ・デイ@高松図書館”. 立川市幸・西砂・高松・錦・若松図書館(運営:指定管理者・株式会社図書館流通センター).
http://lib-trc-tachikawa.jp/tkm/pdf/tkm_16e_game.pdf, (参照 2016-11-07).

(8)筆者による立川市高松図書館担当者への電話取材による。

(9)常連でない利用者がイベントに足を運んだという点は、江戸川区立葛西図書館(東京都)の担当者も指摘している。2016年11月に、葛西図書館文化祭の一環で行なった「ボードゲームで遊ぼう」の企画は「非常に好評だった」という。筆者による葛西図書館担当者への電話取材及び下記のウェブページによる。
“<ボードゲームで遊ぼう> 葛西図書館文化祭~AUTUMN FESTIVAL 2016~”. まいぷれ.
http://edogawa.mypl.net/mp/osusume_edogawa/?sid=51377, (参照 2016-11-07).

(10)“ゲーム機がある図書館”. 未来の図書館、はじめませんか?. 岡本真, 森旭彦著. 青弓社, 2014, p. 42-46.

(11)こども図書館・とやま駅南図書館つうしん. Facebook. 2016-09-25.
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1098037920274033&id=463158567095308, (参照2016-10-01).

(12)Nicholson, Scott. Playing in the Past: A History of Games, Toys, and Puzzles in North American Libraries. The Library Quarterly. 2013, 83(4), p. 341-361.

(13)Ibid. p. 345.

(14)Ibid. p. 350-353.

(15)Ibid. p. 341.

(16)Ibid. p. 344.

(17)Ibid.

(18)Schneider, Edward., Hutchison, Brian. Referencing the Imaginary: An Analysis of Library Collection of Role-Playing Game Materials. The Reference Librarian. 2015, 56(3), p. 174-188.

(19)“About”. INTERNATIONAL GAMES DAY@YOUR LIBRARY.
http://igd.ala.org/about/, (accessed 2016-10-01).

(20)“ IGD 2015 final roundup”. INTERNATIONAL GAMES DAY @ YOUR LIBRARY.
http://igd.ala.org/?s=2015+final, (accessed 2016-10-01).

(21)“ゲーム / GAMEボードゲームの日 &International Games Day @ lib-yamanakako”. 山中湖情報創造館.
http://www.lib-yamanakako.jp/library/games.html, (参照 2016-10-01).

(22)“Final NGD10 Numbers”. INTERNATIONAL GAMES DAY@YOUR LIBRARY.
http://igd.ala.org/2010/11/23/final-ngd10-numbers/, (accessed 2016-10-01).

(23)“ IGD12 Wrap-up: So. Much. Awesome”. INTERNATIONAL GAMES DAY@YOUR LIBRARY.
http://igd.ala.org/2012/11/16/igd12-wrap-up-so-much-awesome/, (accessed 2016-10-01).

(24)“ IGD 2013 final roundup!”. INTERNATIONAL GAMES DAY@YOUR LIBRARY.
http://igd.ala.org/2013/12/08/igd-2013-final-roundup/, (accessed 2016-10-01).

(25)ゲームを用いた学びという事例では、ミャンマーの難民キャンプの図書館員同士のゲームを活用する研修も興味深い。子供たちが楽しみながら識字学習に向かうことを目的として、現地語のアルファベットを使ったゲームや、動物や果物の名前を学ぶゲームが紹介されたという。
ナンタナ・ティンカジョン. 図書館員交流活動 BCRミャンマー(ビルマ)難民キャンプ. Shanti. 2016, (286), p. 6.

(26)“Why games in libraries?” Ilovelibraries.
http://www.ilovelibraries.org/gaming, (accessed 2016-10-01).

(27)Games & Gaming Round Table. “ Role-Playing Games”. ALA.
http://www.ala.org/gamert/role-playing-games, (accessed 2016-10-01).

(28)Games & Gaming Round Table. “Tabletop”. ALA.
http://www.ala.org/gamert/tabletop, (accessed 2016-10-01).

(29)ほとんどのTRPGが独自に作られた世界観や物語を持つ。他方、「ガンダムセンチネルRPG」や「艦これRPG」のように、他ジャンルで大ヒットしたコンテンツがTRPGに展開されることもある。その場合、詳細設定やビジュアルが書籍やウェブに豊富に存在するが、プレイするシナリオはゲームマスターによる創作であることが多い。

(30)筆者の経験でいえば、ゲームは一部の愛好者の嗜好品というより、むしろ様々な社会的背景を持った人とコミュニケーションをとるためのツールとなりうると思う。仮設住宅に住む東日本大震災後の被災者と将棋で交流するというイベントを、5回ほど筆者らが実施した。仮設住宅に移るとこれまでのコミュニティが分断され、新たなコミュニティに交われない人は少なくない。その中でも、退職した男性はなかなか知り合いを作れない傾向があるという。将棋の交流会を開催することで、ほとんど外出しなかった男性が参加するという例が多数みられた。被災地の仮設住宅に、任天堂社の家庭用ゲーム機であるWiiが設置され、子供同士やボランティアとの交流に有効だった例もあるという。また、筆者が障害者将棋大会の手伝いをした機会には、視覚障害者、聴覚障害者、精神障害者、内部障害者(心臓など体の内部に機能障害を持つ者)がそれぞれ補助を受けながらも同じ土俵で戦っている姿に感銘を覚えた。筆者は中国将棋(シャンチー)競技の選手であるが、中国語会話がほとんどできない。日本国内の競技者には、中国人のほか、戦争残留孤児の方も多く、中には日本語会話が堪能でない方もいる。しかし、言葉を介せずとも、ゲームを通じてその時の気分や調子が伝わってくるものである。ゲームは、その面白さはもちろんのこと、様々な社会的背景を持つ方にリーチできる手段であると、再発見をしているところである。

 

[受理:2016-11-17]

 


井上奈智. 図書館で「ゲーム」を行なう. カレントアウェアネス. 2016, (330), CA1888, p. 12-16.
http://current.ndl.go.jp/ca1888
DOI:
http://doi.org/10.11501/10228074

Inoue Nachi.
Playing Games at Our Library.