グルメの街、福岡・博多であえての「うどん」!年間400杯のうどんマニアの案内で食べ歩いた5軒がスゴかった

うどんといえば讃岐や稲庭の名前が挙がりますが、柔らかくてもっちり、ふわふわとした福岡のうどんも大変美味しいのです。今回は、オーソドックスな博多うどんらしい博多うどんの「みやけうどん」(福岡県福岡市博多区上呉服町10-24)、ツヤツヤでむちむちした麺の「えびすやうどん」(福岡県福岡市博多区住吉2-16-8)、透き通った麺が美しい「大地のうどん」(福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1 朝日ビルB2F)、スープを吸ってどんどん増える「牧のうどん」(福岡県福岡市博多区博多駅中央街2-1 博多バスターミナルB1F)、麺のモニュンとした弾力が心地よい「ウエスト」(福岡県福岡市中央区舞鶴3-8-1)の5軒を紹介しています。福岡といえば豚骨ラーメン、もつ鍋、水炊きなど美味しいものがたくさんありますが、ぜひ現地でしか味わえないうどんも食べてみてください。(博多のグルメうどん・そば

グルメの街、福岡・博多であえての「うどん」!年間400杯のうどんマニアの案内で食べ歩いた5軒がスゴかった

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こんにちは、ライターの玉置です。もし名物料理のたくさんある博多を訪れる機会があり、テーマを一つに決めて食べ歩くとしたら、あなたなら何にしますか。

豚骨ラーメン、水炊き、もつ鍋、焼き鳥、梅ヶ枝餅など、迷いに迷ってしまうところですが、今回私が食べ歩いたのは、あえての「うどん」です。小麦粉を麺にした、あのうどんです。

福岡のうどんは柔らかい、腰という概念がない、というような話を聞いて気になっていたのですが、実際のところはどうなのでしょうか!

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▲1241年に中国から製粉技術と麺作りの方法が博多にやってきたため、博多の承天寺には「饂飩蕎麦発祥之地」という碑があります。よって博多はうどんの聖地! ……もちろん諸説あり。

さて問題は土地勘のない私がどの店に行くべきか。そこで年間400杯以上のうどんを食べ、「うどん手帖」というサイトで全国のうどん情報を発信しているライターの井上こんさんに、博多駅周辺で美味しいうどん屋さんを教えて!なるべく違うタイプで4軒ね!」という無茶なオーダーでピックアップしていただきました。

 

「えびすやうどん」のカルビぶっかけうどん

最初に訪れたのは、井上さんが「つるちゅるの扁平(へんぺい)麺でツヤツヤ、冷たいうどんはかなりエロティック!2日連続で行ったこともありますっ」と熱くオススメしてくれた「えびすやうどん」です。

うどんがエロティックって、一体どういうことなのでしょう。

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▲左の恵比寿様のマークがかわいいですね。

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▲まるで焼肉屋さんのようなノボリが立っています。新感覚博多うどんってなんだろう。

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▲うどん屋のイメージを覆す明るい店内。

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▲うどん日本一決定戦「U-1グランプリ」のトロフィーが飾られています。

奥のカウンター席に座り、じっくりとメニューを確認します。

こだわりの自家製麺は福岡県産小麦100%のもっちり麺で、羅臼昆布と数種類の削り節で作ったスープが自慢のようです。福岡に来て初の食事ということもあり、期待値はすでにMAXです。

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▲こだわりの自家製麺!

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▲店の奥には製麺室がありました。

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▲この店はうどんだけではなく、丼や定食も充実していますね。これは迷う。

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▲よし、意表をついて「黒毛和牛めし」にしようかな!

何を頼むかさんざん迷ったのですが、ここはやっぱり井上さん推薦の冷たいうどんしかないですよね。シンプルなぶっかけうどんにしようと思いつつ、口から出た注文の言葉は、まさかの「カルビぶっかけうどん」(680円)でした。

ふだんはあまりゴテゴテしたうどんを食べないのですが、お腹の好き具合と旅気分がこいつを選ばせたのだと思います。

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▲うどんにはサービスの天かすがついてきます。

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▲国産の中落ちカルビがたっぷり!

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▲卵の黄身を決壊させて、麺に絡めていただきます。

見ての通り、美味しいのは当然。えびすやのうどん、食べて驚きました。

麺肌の口当たりはとても柔らかいのですが、腰がないのかと思ったら大間違い。噛みきろうとすると麺の中央部分に秘められた弾力がブチーンと気持ちよく抵抗するのです。

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▲こんなうどん、初めて……

引っ張るとモニュイーンと伸びて、限界に達するとブチーンと切れる感じ、わかりますか。モニュイーンでブチーンなんですよ。

「どこまでも優しいゴムパッチン」といった感じで柔らかい麺が伸びるのが不思議。この二面性はたしかにエロティックかもしれません。

そしてこの麺を包み込む味付けがまたうまいのです。中落ちカルビはしっかりと甘いのですが、この思い切った味付けが肉と麺を上手に繋ぐんですよ。自分では絶対に作れない味の方程式こそが外食の喜び。そしてネギ、ゴマ、ノリといったサポート役も、一つ一つが良い仕事をしています。いやー、これはうまい。

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▲途中で天かすの歯ごたえと油っ気を加えると、またいいんですよ。

夢中になって食べたのですが、ちょっとこれだけでは物足りない。なぜならうまいから

この残った汁にご飯を入れたら最高だろうなーと思いつつ、私が注文したのは温かいうどんでした。ちょっと変なテンションになっているようです。

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▲まさかのうどん二杯目!

博多滞在中に何軒もうどん屋にいこうと思っているのに、一軒目からおかわりという無謀な行動。いや、これは仕方がないのです。冷たいうどんがこれだけうまかったら、温かいうどんも食べたくなるじゃないですか!

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▲これもまたうまいんだ。ミニうどんにすればよかった気もしますけど。

このスープの中で漂ううどんもまた官能的。もっちもちのあっつあつ。さっきのうどんとは真逆で、ダシの旨味と塩気で食べることで感じる麺のポテンシャルの高さ。これで330円ですよ。

2杯目ということでシンプルなかけうどんにしましたが、天ぷらなどの具をトッピングしたり、丼と一緒に食べることを前提に設計された味のような気がします。もう少しお腹に余裕があれば、カツ丼を追加オーダーしたかった!

 

1軒目:えびすやうどん

えびすやうどん
〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉2-16-8
650円(平均)500円(ランチ平均)

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
※お酒の提供については、現在、国や自治体の要請に準じています 

「大地のうどん」のごぼう天うどん

二軒目にやってきたのは、博多駅のすぐ近くにある「大地のうどん」の博多駅ちかてんです。「ちかてん」が平仮名なのは変換ミスではなく、本当にそういう店名だから(公式サイトに書いてある)。理由はよくわかりませんが。

井上さんの情報によると「北九州発の豊前うどん。透き通った麺で、噛む度にむっちゅんと口の中で膨張するような感じ。オススメはごぼう天うどん!」とのこと。

豊前うどんって何だろうとこの記事を書いている今になって検索してみたら、井上さんが「大地のうどん 高田馬場店」を取材した記事(こちら)がヒットしました。気になる方はそちらを読んでみてください。

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▲アクセスしやすい場所にある博多駅ちかてん。もちろん高田馬場店の方が近いんですけどね。

このお店は食券制なので、入店前に壁のメニューを確認しておきます。井上さん推薦のごぼう天うどんをチェックすると、なにやら正体不明の輪っかが乗っています。本当にゴボウなんでしょうか。これは確認のためにも絶対に頼まないといけませんね。

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▲左上がごぼう天。右から二列目、上から四段目が読めなくてしばらく悩みました。

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▲食券を購入し、厨房が見えるカウンターに着席。

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▲セルフサービスの水をとりにいったら、そのとなりに大量のゴボウが!

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▲切りたての茹でたて!いくらでも待ちます!

店員さんが忙しく働く厨房を眺めていると、しばらくして注文したごぼう天うどんが到着しました。

なんじゃこりゃー!

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▲あの絵の通りのうどんが来ましたね。

薄く大振りに切られた太いゴボウが、丼よりも大きく円陣を組んだ状態でカラっと天ぷらにされています。一瞬、丼のフタかと思いました。この写真を福岡在住の友人に携帯で送ったところ、「今日はちょっとゴボウが少なくない?」との返事がきて、さらにびっくり。いやこれで十分です。

すごいですね、これで480円って安すぎませんか。九州にはゴボウがその辺にいくらでも生えているんでしょうか(そんな訳ないですね)。

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▲ごぼう天うどんは『クッキングパパ』で読んで以来、ずっと憧れの食べ物だったので、博多で食べられて嬉しい!

まずはこのごぼう天をいただくと、これがザクザクの歯ごたえでうまい。薄い衣に包まれたごぼうは、まさに大地の味という滋味。そういえばごぼうの天ぷらっていうのを食べるの自体が生まれて初めてのような気もします。

そしてうっすら黄金色に輝く透明感抜群の麺は、まずムニュっとした口当たりで、噛むとムッチュンと反発しつつ切れる絶妙の歯ごたえ。瑞々しく色っぽい外側と、粘り腰で弾力のある内側の二重奏。あぁ、なんだかこのタイプのうどんにどんどんと心を奪われていきます。

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▲伝わるでしょうか、この透明感。麺と天ぷらの両方に合うスープがまたうまい。

そして食べ進むにつれて、汁を吸ってフニャッとしてきたごぼう天もまたうまい。衣はモロモロ、ごぼうはシャッキリ、そしてトゥルントゥルンの麺が一気に口の中へと入ってくるのだからたまりません。

時間の経過によって変化していく味わいの楽しさ。なんだか一杯のうどんに人生を感じてしまいます。

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▲ザクザクの揚げたてもいいですが、このくらい汁を吸った衣もうまいんですよ。

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▲がんばれ、ゴボウのだいちゃん!

大地のうどん、強烈なインパクトでしたね。ありがたいことに東京でも食べられるとのことなので、近いうちに高田馬場店へ行こうと思います。とかいって、また飛行機に乗って福岡市にある本店に行ったりして。

 

2軒目:大地のうどん 博多駅ちかてん

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
※お酒の提供については、現在、国や自治体の要請に準じています 

 

「みやけうどん」のごぼう天うどん

三軒目にやってきたのは、店の外観からして歴史を感じさせてくれる「みやけうどん」です。もちろん一日で無理矢理に回っている訳ではなく、じっくりと3泊4日で他の名物料理(ごまサバが最高でした)も楽しみながら攻めていますよ。

ちなみにここは2軒目として来る予定だったのですが、16時過ぎに到着したところ、うどんの麺が切れていて出直しとなりました。ということで、今回は開店と同時に突入です。

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▲この一角だけ時間が止まっているような店構え。

井上さん曰く、「ふわふわ麺の、ザ・博多うどん。かなりの老舗で戦災を逃れた建物は雰囲気抜群!」とのこと。先にいった2軒は、いわゆる博多うどんと違うタイプの店だったようですが、さてどんな麺が待っているのでしょうか。

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▲せっかくなので斜めからもどうぞ。

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▲この看板のかっこよさ。

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▲外観もよかったですが、内装はさらに最高!

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▲厨房には、五右衛門風呂のようなでかい釜がドーン!

メニューはとてもシンプルで、うどんとそばが320円。そしてトッピングが80円。大地のうどんですっかり気に入ってしまった、ごぼう天うどんを注文してみましょうか。

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▲ザ・シンプルなメニュー構成。

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▲スープは奥の甕に入れておき、煮詰まらないように釜の徳利で湯煎されるシステム。

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▲この歴史を感じさせる釜がすごい!

やってきたうどんをみて、「あれ、ごぼう天を注文したはずなんだけどな」と一瞬思いましたが、これで正解のようです。これがみやけうどんのごぼう天なんですね。

ほとんどが衣でカップうどんの天ぷらみたいですが、こういう方向性も大好きです! ほら、なんといっても80円だし!

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▲これぞ懐かしの博多うどんなのでしょう。

ご主人に伺った話によると、ここの麺は製麺所に特注しているオリジナルの茹で麺で、噂に聞く「博多のうどんに腰という概念などない」という話はこういうことなのかと納得です。ふわふわっとし、気負わずに食べられる優しい味。

埼玉出身の私は、ロードサイドにある山田うどんと給食のソフト麺を食べて育ったので、このタイプの茹で麺にも愛着があります。初めてだけどなんだか懐かしい味でした。

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▲鰹と昆布でとったダシを、ふわふわの麺と天ぷらがしっかりと掬い上げます。

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▲ちゃんとゴボウも入っていますよ。

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▲人気ドラマ『孤独のグルメ』に登場したこともあり、海外からの観光客も来ていました。

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博多のうどんには付き物だという、いなりも注文してみました。

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▲こちらもシンプル!でもそこがいい!

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▲こういうウンチクを眺めながら食べるうどんがうまい。

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▲少しお話をさせていただきました。創業は昭和29(1954)年だそうです。

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▲建物自体はお店の創業よりもさらに古く、民家の壁を取っ払って店舗にしたそうです。

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▲あの入り口から、訳ありの侍がぶらっと入ってきそう。

みやけうどん、最高です。他の店と比べてどうこう言うようなうどんではなく、この店の空間で食べるからこその一杯を、しっかりと堪能させていただきました。

うどんが美味しいお店ならたくさんありますが、この店のうどんは絶対にここでしか食べられませんよ!

 

3軒目:みやけうどん

住所:福岡県福岡市博多区上呉服町10-24
地下鉄呉服町駅から徒歩3分

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
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牧のうどん」のごぼう天うどんと丸天うどん

最後の店は博多駅のすぐ近くにある、「牧のうどん」の博多バスターミナル店です。牧のうどんはロードサイドを中心に18店舗あり、旅行者が一番アクセスしやすいのがこのお店。

牧のうどんの「牧」は、前身となる店舗があった地名からきています。「牧にあるうどん屋」で、「牧のうどん」となったとか。よって牧野さんの作るうどんでありません。ただしそのイントネーションは、「牧」部分を強調せず「まきのうどん」とフラットに呼ぶ人が多いようです。

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博多でも有数の柔らかさを誇る牧のうどん

井上さんによると、牧のうどんはもはや牧のうどんというジャンル!ふやふやの麺だけど、茹でおきではなく40分ほどしっかり茹でているから独特の粘りがあります。どんどん出汁を吸うことから、別名『増えるうどん』とも」なのだとか。

茹で時間40分ってすごいですね。そして増えるわかめなら聞いたことがありますけど、増えるうどんってどういう意味なのでしょうか。

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▲店員さんのキビキビした働きぶりを見て、同行者が「さばけとんしゃー(手際がよくて仕事が捌けている)」と感心していました。

今回だけは博多在住の友人が一緒なので、2杯のうどんを注文できます。

まず1杯は、これまで食べてきたうどんと比べるために、茹で加減が「中」でごぼう天をトッピングしたものにしましょう。

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▲とりあえずは「中」の茹で加減から。

そして運ばれてきたお盆がこちらなのですが、これが驚きの連続でした。

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▲さてどこから語りましょうか。

魔人が出てきそうなヤカンは置いておいて、まずは麺から食べてみましょう。箸で持ち上げようとすると、確かに今まで食べたどのうどんよりも柔らかく、モニョーンとしています。ただすぐ切れてしまうような柔らかさではなく、モニュモニュしつつも独特の弾力が残っていて、これがうまいんです。

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▲割り箸よりも全然太い!

普通のうどんは茹でてから水で締めて、それをまた温めてスープに入れて食べますが、ここのお店は釜揚げスタイル。長時間かけて茹でた麺を、水で締めずにそのままスープに入れて出すため、この柔らかさになるようです。

少し酸味を感じるスープをたっぷりと吸った麺は、うどんとは違う「牧のうどん」という独立した食べ物であるという意見に納得の味!

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▲柔らかいんだけれど、簡単には切れません。

続いて具のごぼう天ですが、フリッター風のシルエットがかわいい。さすが博多、ごぼう天の多様性を感じますね。

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▲こう見えてごぼう天です。

この崩れにくい厚い衣に包まれたごぼう天が、フワフワのうどんと、いや牧のうどんと相性バッチリ。これもごぼう天というよりは、「牧のごぼう天」というべき独立した食べ物なのかもしれません。

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▲この薄いごぼうと厚い衣がいいんですよ。

こうして食べているうちに、麺がスープを吸って、丼の中は汁無しうどんになっていきます。ゆっくりと食べていたら、食べる量よりも麺が膨れる量の方が早いかも。

ここで使うのが小さなヤカンに入った追加用のスープ。減った分だけスープを足すことができる親切なシステム。そしてまた麺が膨れるという驚異の無限ループ!

ある博多出身の友人は、「今ではソウルフードと呼べる存在ですが、食がまだ細かった子供の頃、食べても食べても減らない牧のうどんが苦手でした」と、遠くを見ながら語ってくれました。

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▲大きなヤカンで店員さんが注いでくれる店もあるそうです。

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▲こういう独特の所作がある店っていいですよね。

さて同行の友人が頼んだもう一杯は、「やわ」の丸天うどんです。丸天とは魚のすり身を丸くして揚げたもので、天ぷらと違ってスープの中で崩れません。

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▲せっかくなので「やわ」に挑戦していただきました。

通常でも柔らかい牧のうどん、さてどこまで柔らかい麺なのでしょうか!

はい、これが牧のうどんの「やわ」です!!

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▲上に乗っているのが丸天。

すごい、届いた時点でもうスープがほとんどない程の麺の膨張っぷり。友人曰く、「牧のはだしの効いた病人食。病み上がりに食べると元気になるよ!」とのこと。もちろん元気な人にも美味しい味です。

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▲これぞ牧のうどんという膨張率!これは箸ですするスープだ!!

このフヤフヤの柔らかい麺ですが、油断さえしなければちゃんと箸で持ち上がり、ムニューーンとしつつも適度な弾力を残しています。確かに体調がちょっと悪い時や、二日酔いのときでも食べられそうな優しさです。牧のうどんの半分は優しさでできている気がします。残りの半分は吸ったスープ。

吉田うどんや武蔵野うどんのような硬いうどんと比べたら、つきたてのお餅の方が近い食べ物かもしれません。これはこれでうまい!

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▲ミニューーーーーン。

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▲丸天のダシが加わったスープがまたうまい!

牧のうどんはお持ち帰りもあるようなので、旅の最終日に立ち寄って、お土産にするのも良さそうですね。でもやっぱり店で食べるのとは、ちょっと違う味になるのかな。

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▲うどん玉とスープで180円!

ということで、博多駅周辺で食べられるバラエティ豊かなうどんを堪能させていただきました。井上さんの話によると、これはまだまだほんの一部で、もっとたくさん美味しいお店があるのだとか。

一口に「柔らかいうどん」といっても、その麺は様々。芯にビニョンと伸びる腰があったり、すべてがどこまでも柔らかかったり、店によって違いがあるんですね。

うどんに対する美味しさのイメージが、ガラリと変わる食べ歩きとなりました!

 

4軒目:牧のうどん 博多バスターミナル店

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
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※お酒の提供については、現在、国や自治体の要請に準じています 

 

「ウエスト」の明太釜玉うどん

すみません、まだ続きます。井上さんが紹介してくれた店とは別に、もう一軒だけ紹介させてください。最後の最後は博多の街をぶらぶらと歩いていて、何軒も見かけた「ウエスト」というチェーン店。

このウエストについてちょっと調べてみたところ、1966年に福岡市でレストランとして創業した会社で、現在は焼肉、居酒屋、中華料理など様々な形態で出店をしており、その中に「生そば・うどん」と「うどん」の店もあるようです。

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博多の街を歩いていると、かなりの頻度で見かけるウエストの看板。

嬉しいことに24時間営業をしている店舗も多く(そうじゃない店舗もあるようです)、まだちょっと飲み足りない時や、うどんを食べ足りないとき、いつでも気軽に立ち寄れます。

ということで、私もホテルの近くにある温浴施設に入った帰り道に、ふらふらと散歩をしていて見つけた「ウエスト 舞鶴店」へと吸い込まれてみました。旅先で夜中に入る地元のチェーン店、これもまた最高じゃないですか。

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▲西に来たなということが実感できる店名。

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▲力強い「うどん」の文字!

店内に入ってカウンターへと着席。私がよく知っているうどんチェーン店とはちょっと違う内容のメニュー表を眺めているだけで、余裕で30分くらいはニヤニヤと楽しめそうです。でもそんな客は迷惑なので、さっさと決めましょうか。

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▲迷う。これは迷わざるを得ない。

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▲お手頃価格のアルコールメニューも充実!

私が注文したのは、博多といえば明太子ということで、明太子を生み出した「ふくや」とのコラボ商品である「釜玉明太うどん」にしてみました。そして生ビール!

今回の旅行ではうどんをさんざん食べていますが、夜中に食べるうどんは別腹です!

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▲夜中の炭水化物って最高ですよね。とかいってると腹回りが太くなりそうですが(ウエストだけに……)。

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▲熱いファンも多い、ふくやの明太子がドーン!

麺はビニョーンと伸びて、モニュクニュのモニュンな嬉しい弾力。

正直にいうと、24時間営業のチェーン店ということで、うどん自体にはそこまで期待をしていなかったのですが……いいじゃないですか、ウエストのうどん!

博多らしく柔らかいけれど、粘弾性をしっかりと感じさせてくれる麺。関東のチェーン店を食べ慣れている人が食べたら(私のこと)、この麺に驚くのではないでしょうか。

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▲卵と魚卵のハーモニーやー!

ウエストのうどん、これは博多にきたらまた食べますね。博多の中心部なら、どこに泊まっても徒歩圏内にあるんじゃないでしょうか。

伝統ある老舗や新進気鋭の名店にも負けない、チェーンだからこそのうどんカルチャーを感じられると思います!

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▲家の近所でも食べられればいいのにと思って確認したら、千葉に8店と東京の町田に1店あるようです。埼玉にはないのかー。

 

5軒目:ウエスト舞鶴店

ウエスト 店舗一覧:https://www.shop-west.jp/store/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
※お酒の提供については、現在、国や自治体の要請に準じています 

 

今回行ったお店を地図にまとめてみました。うまいものが多い福岡ですが、旅行や出張の際にはうどんも食べてみてください。

1軒目:えびすやうどん
2軒目:大地のうどん 博多駅ちかてん
3軒目:みやけうどん
4軒目:牧のうどん 博多バスターミナル店
5軒目:ウエスト舞鶴店

 

プロフィール

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玉置標本
趣味は食材の採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は古い家庭用製麺機を使った麺作りが趣味。

ツイッター:@hyouhon
ホームページ:私的標本
製麺活動:趣味の製麺

玉置標本「みんなのごはん」過去記事一覧

 

                             
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