日本のお弁当に革命を起こした「イシイのミートボール」今も転がり続けていた【ハンバーグもな!】

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こんミンチは!

全国、数あるハンバーグを追い求めて日々ハンバーグを食べ歩く、日本ミンチ協会ハンバーグ王子のkazukazuです。

 

突然ですが、この商品ご存じでしょうか。

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そうです。

昭和世代の方なら思わず「懐かしい~!」と叫びたくなる、お弁当の大定番メニュー「イシイのおべんとクンミートボール(1979年頃)」のパッケージです。

 

ちなみに、発売当初(1974年)のパッケージはこんなでした。

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なんかめっちゃレトロ!

 

現在(2018年)は、このようなパッケージに。

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こちらは今季発売される冬バージョンのパッケージ。

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ちょっと間違い探し感ありますが(^^;)、ひと目見て違うのは発売当初とは随分パッケージのデザインが変わっている点。

さらに「無添加調理」や「原材料」「品質保証番号」などが記載してあるところも目につきます。

 

そうそう、ミートボールと並んで、もう一品おなじみの商品がありました。

ご存じ、お肉は国産若鶏100%の「チキンハンバーグ」。

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「あったよねー」

「子どもの頃よく食べたよなぁ」

なんて声が聞こえてきそうですね。

 

こちらはミートボールよりも早い1970年から発売。

発売当時のパッケージはこのような感じです。

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やっぱりめっちゃ昭和感!

パッケージ右下の「¥50」が時代を感じさせますね。

 

ミートボール同様、パッケージデザインが変わっていくとともに商品が進化していってるのが感じ取れます。

それもそのはず。これらの商品は2018年時点でミートボールは44年、ハンバーグに至っては50年近くも販売し続けているという超ロングベストセラー商品

昭和から平成へ、まさに半世紀にわたって日本の食卓やお弁当を彩り続けてきた存在と言っても過言ではありません。

そんなミートボールとハンバーグをなぜこうまでとことん追求し続けられているのか。

というわけで、メーカーの石井食品株式会社に取材を試みてみました。

 

“ほとんど店舗”な石井食品

訪れたのはこちら。

千葉県船橋市に構える石井食品本社1階のコミュニティスペース「ヴィリジアン」

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ここ、食品メーカーの玄関口というよりは……

 

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店頭の「マルシェスペース」では、地元千葉の野菜が売られてたり、

 

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「直売スペース」があったり。

 

ここでは、石井食品が製造するほぼすべての商品を購入可能となっています。

その証拠に、

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冷蔵庫の中には主力商品がどっさり!(1.5倍チキンハンバーグ 129円、右の1.5倍チキンハンバーグ和風オニオンソースも同様)

 

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「工場直送ミートボール」など(わずか86円!)、工場限定のレアな商品も。

 

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こちらの「キッチンスペース」では、有料でお料理教室や打ち合わせをすることが可能。

 

さらに「飲食スペース」まで。

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この日の“本日の丼”にはミートボール、“ハンバーグランチ”はもちろんイシイのチキンハンバーグを使用しています。

 

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おっと、ここは小さなお子さんが遊べる「キッズスペース」ですか!

 

われわれが知ってる食品メーカーの範疇(はんちゅう)を軽く飛び越えていました。

 

会社というより「ほとんど店舗」という感じでしょうか。

 

電気店から佃煮を経てハンバーグへ

昭和の子どもたちが大好きだった「イシイのハンバーグ」がこんなことになっているとは。

そう驚いた方も結構いるのではないでしょうか。

しかしその成り立ちや変遷を知る人はそう多くはいないはず。そのあたりを社員の方に聞いてみることに。

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対応くださったのは、広報の松井真実子さんと、

 

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開発・製造技術プロジェクト顧問の石澤聖寛さん。1972年(昭和47年)入社で開発のレジェンド社員でもあります。

 

まずは社の歴史について。これがなかなか面白い。

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石井食品の創業は終戦の年となる1945年。なんと、当時は電気店だったというから驚きです。

1946年には、煮豆など佃煮の製造を始めます。戦後の混乱期、やれることはやっちゃおう! っていう会社だったんですかね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120111818p:plain石澤さん:船橋の近海で海産物が捕れたこともあって、その生産加工を始めたと聞いています。

 

電気から海産物を経て、ここで会社は運命的な出合いを果たします。

1960年代「近所の養鶏場でブロイラーが余った」というのを聞きつけ、「何か有効利用できないか」となり、鶏肉の取り扱いをスタートしたのです。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120111818p:plain石澤さん:まずはフライドチキンを作ったみたいなんですね。で次にチキンのクリーム煮を試した後、1970年に「チキンハンバーグ」が完成したと。そのときに、佃煮の味付けや煮豆を作っていたときの真空包装技術を使った包装が役立ったというわけです。

 

こうして業界初の調理済みハンバーグ「チキンハンバーグ」が誕生。

当時では、レストランなど外で食べる食べ物だったハンバーグを、より家庭的なものとしたパイオニア的な存在になりました。

さらにその4年後の1974年には「ミートボール」が、1979年には「おべんとクンシリーズ」が生まれ、全国の子どもたちのお弁当に欠かせない存在になっていきます。

 

ハンバーグを作る機械まで自作していた

そんなハンバーグとミートボール、開発までにはたしてどんな道のりがあったのでしょうか。

 

── ハンバーグを開発するうえで一番苦心したことは?

 

f:id:Meshi2_IB:20181120111818p:plain石澤さん:「商品の日持ち」ですね。商品を真空パックしたとしてもハンバーグはこねて作成するので、どうしても商品自体に空気が入ってしまう。そうなるとどうしても長持ちしなくなってしまうんです。この対策として、酢で品質を持たせるのと同じ発想でトマトベースの酸味をいかしたソースを使用しました。

 

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── それまで誰もやっていない、ほとんど発明の域に近い開発ですもんね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120111818p:plain石澤さん:「ハンバーグの形」もだいぶ試行錯誤を重ねました。当時使用していた成型機にはクセがあって、きれいな楕円にはならずにイビツな形のおむすび型になってましてね。なんとか楕円にするために、いろいろ試しました。結果的には、成型の前にあえて生地の厚みに偏りを持たせるようにことで均一の楕円形にすることができたんです。

 

── 確かにあのバランスの取れた楕円形は「イシイのハンバーグ」のフォルムだよなぁっていう記憶があります。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120111818p:plain石澤さん:そもそも商品を開発するための機械や道具自体が世の中にまだ存在しませんからね。だから、「こういうことができる機械を作ってほしい」とメーカーに発注してから手元に届くまでに時間がかかるんですよ。それが待てなくて簡単なものは自分で作ってみたりしました。たとえば……殺菌装置とか(サラリと)。

 

── ハンバーグはもとより、その道具の開発までやってたわけですか。やっぱりレジェンドです……。

 

ユーザーの願いをかなえるべく無添加調理へ

現在、イシイ食品の主力商品になっている「チキンハンバーグ」シリーズ。そのラインアップは、全部で6種類あります。

  • チキンハンバーグ(108円)
  • 1.5倍チキンハンバーグ(129円)
  • お弁当ハンバーグ テリヤキソース(129円)
  • 1.5倍チキンハンバーグ 和風オニオンソース(129円)
  • 有明鶏の和風おろしハンバーグ(194円)
  • 有明鶏のデミグラスハンバーグ(194円)

かつてはデミグラスやカレー、ホワイトソース、マリナーラ、グレイビーソース、また食パンに挟みやすいよう四角い形のハンバーグサンド用や細長い形のハンバーグなど、実にいろんな種類のハンバーグが発売されていましたが、最終的には完成度が高い現行商品が残りました。

 

── なぜここまでハンバーグやミートボールにこだわり続けながら、ブランド力を維持できているのでしょうか。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120111818p:plain石澤さん:お客様の意見を拾ってくる仕組みがしっかりしているから、なんじゃないでしょうか。ウチはお客様サービスセンターはもちろんのこと、工場見学、店頭での販売、本社1階にある「ヴィリジアン」など、社員が直接お客様とコミュニケーションがとれます。今のチキンハンバーグはまさにお客様のニーズを吸い上げた結晶なんです。

 

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▲お話とはまるで関係ありませんが、会社の玄関口にあったこの大きなパネルがなんとなく気に入りました

 

── パッケージに記載してある「無添加調理」「厳選素材」「品質保証番号」などもその一環であると。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120133559p:plain松井さん:そうですね。うちは1997年から取り組みを始め、2012年には全ての商品を無添加調理にしています!「おいしさは引き算」と考え、厳選した素材にこだわり、原材料をシンプルにすることでおいしさを追求し続けています。

 

── おいしさはずっと足し算だと思ってました。なるほど……。

 

f:id:Meshi2_IB:20181120133559p:plain松井さん:2001年には、ホームページからパッケージにある品質保証番号と賞味期限を入力すると、その商品の原材料の履歴がすぐわかるようにしました。お客様の声をいかして、おいしくて安心して食べられ、いつも喜んでもらえる商品づくりを心掛けています。

 

── なるほど。石澤さん&松井さん、今日はありがとうございました!(ミートボール

のこだわりについては下記サイトを参照)

item.directishii.net

 

ルパンと次元が取り合ったあの逸品

最後にミートボールを使ったオススメメニューを教えていただきました。

トマトソースパスタを作成し、その上にミートボールをのせれば、

ミートボールスパゲティの完成!

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あの……これ、どっかで見たことないですか。

 

そう、アニメ史上不朽の名作にして、宮崎駿氏の記念すべき初監督作品「ルパン三世 カリオストロの城」に出てきたアレ、ルパンと次元が取り合ってたアレですよ!

子どもの頃メッチャうまそうだと思って憧れた……なんて方も多いのでは。

 

というわけで、昭和に始まり、昭和な話題で締めくくらせていただきました。

 

それではまた次回、ハンバーグッドラック!

 

お店情報

ヴィリジアン(石井食品本社1階)

住所:千葉県船橋市本町2-7-17
電話番号:0120-35-3220
営業時間:火曜日~金曜日 10:30~19:00、月曜日・土曜日 10:30~17:30
定休日:日曜日・祝日
※定休日以外にも休館や一部時間の変更、レストラン、キッズスペースが利用できない場合があります。

viridian.ishiifood.co.jp

 

石井食品株式会社 公式サイト:https://www.ishiifood.co.jp/

 

書いた人:kazukazu

kazukazu

日本ミンチ協会ハンバーグ王子。「一日一バーグ」をモットーに年間400バーグ以上を食す日本一のハンバーグマニア。「こんミンチは!」「ハンバーグッド!」「いただきバーグ!」といったミンチ語なるものを多用する変わり者ではあるが基本ビビり。著書に「ハンバーグ大辞典」「デカ盛り完全攻略ガイド」などがある。

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