プリキュアの数字ブログ

プリキュアの数字に関するブログです。数字以外の事も半分くらい。数字に公平であるため広告、アフィリエイトは導入していません。価格.comのプリキュアおもちゃ特集ページ書きました。

プリキュアの、視聴率下降が止まらない(けど、大丈夫)。

最初に断っておきますと、自分の場合プリキュアが好きなあまり
自分にとって有利な情報ばかり選択して取り上げ、「不利な情報を無意識的に遮断している」、いわゆる「正常性バイアス」がかかっているかと思われます。

ですので、沢山のご意見いただければ嬉しいです。

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(34話エンドカードより)

本記事は、

「プリキュアの「世帯視聴率」は確かに下降している。」
けど
「何も問題は無い」
というスタンスで語ります。

(視聴率がどこまで下がるとプリキュアに終わりが見えてくる、とかは東映アニメおよびバンダイにしかわからないと思いますので、当然言及できません。あくまで現状の認識をして頂ければ幸いです。)

 

2016年「魔法つかいプリキュア!」の世帯視聴率が良くありません。(2016年9月25日現在)

もちろん、サザエさんをはじめ、テレビ自体の視聴率が下降しているので、
当然プリキュアの世帯視聴率が下がるのも当然、といえば当然なのですが、
ちょっと最近下げ幅が大きいような感じです。

まずは現状を見てみます。

現状

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 (世帯視聴率はビデオリサーチ社発表の数値を作品毎に平均化したものです)

2016年8月の時点で「魔法つかいプリキュア!」の世帯視聴率の平均値は3.4%。
2004年初代「ふたりはプリキュア」の頃は平均7%台だったのが、年を経るごとに徐々に下がって来て、ついに平均値で3%台に突入しました*1

 

要因な何なのでしょうか・?

子供番組の視聴率低下で真っ先に思いつくのは下記3点ではないでしょうか。

1:少子化なんだから仕方が無い。
2:録画して見るようになったんじゃないの?
3:そもそも番組自体が飽きられてきているんじゃないの?

1つづつ見て見ましょう。

(以後の人口のデータ等は、統計局等が出している「全国」のデータを参照しています。一般的に発表される「世帯視聴率」は関東地区での集計ですので、そこに誤差が生じますことをご了承下さい。)

少子化の影響?

こちらは「ふたりはプリキュア」放送開始の2004年から2014年の10年間のプリキュア対象の女児(3~6歳)の推移です。

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統計局ホームページ/日本の統計 2016−第2章 人口・世帯

統計局ホームページ/人口推計/人口推計(平成26年10月1日現在)‐全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口‐

この10年間で、3~6歳の女児は229万人から206万人に減少しています(90.0%)
もちろん子供の数が減っているのは由々しき事態ではありますが、個人的には思ったよりも減っていない印象です。ここ10年でプリキュア対象女児は1割減。世帯視聴率は半減。
女児の減少「だけ」でここまでプリキュアの世帯視聴率が落ち込んでいるわけではない感じですね。

世帯構成の変化

世帯視聴率は、関東地区で「何世帯」見ていたか(「何人」見ていたかでは無い)ので当然、その世帯に誰が所属しているのか、に影響されます。 

そこで、厚生労働省のデータより
「世帯構成別にみた世帯数の推移」を見てみると

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上記2つの表グラフは平成7年の数値は、兵庫県を除いたもの。平成23年の数値は、岩手県、宮城県、福島県を除いたもの。平成24年の数値は、福島県を除いたもの。

社会保障統計年報データベース|国立社会保障・人口問題研究所

統計局ホームページ/日本の統計 2016−第2章 人口・世帯

上記2つの表グラフから判るのは、日本の総世帯数自体は、平成元年からみると、約4000万世帯から5000万世帯へと1000万世帯ほど増加していますが、
三世代世帯は大きく減少(62%)、夫婦と未婚の子のみの世帯(+片親と未婚の子のみの世帯)はほぼ横ばい(104%)なのに対し、

プリキュア視聴のメイン層では無い「単独世帯」(174%)および「夫婦のみの世帯」(186%)が急激に上昇しているのが判ります。

 さらにそれを「世帯構成」の変化で見ても

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子供番組を見るであろう世帯(「3世代世帯」および「夫婦と未婚の子のみの世帯」)の構成率が減少しているのが伺えます。


世帯の状況厚生労働省統計情報局「グラフで見る世帯の状況」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h25.pdf

に詳しいです。

つまりここから判る事は、

1:「世帯数」は年々増えている。
2:その増えている「世帯」は「単独世帯」と「夫婦のみの世帯」
3:その世帯は「子供向けアニメ」を(一般的に)見ない。
4:従い子供番組の世帯視聴率が相対的に下がる。

 
番組内容の優劣に関わらず、また視聴人数に差が無くても「世帯構成比」が変化するだけで世帯視聴率は大きくかわります。

おそらく今話題になっている「サザエさんの視聴率下落」もこの「世帯構成比」の変化に一つの要因があると思います。

「子供と一緒に視聴することが想定される番組」は今後も「単独世帯」および「夫婦のみの世帯」の増加により視聴率の減少が見込まれます。

補足しておくと、今後も増加していく「単独世帯」「夫婦のみの世帯」は若い世代ではなく「高齢者世帯」であることが推測されてます。

 『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2013(平成25)年1月推計)|

http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2013/hhprj2013_PRS329.pdf

 
少子化よりも、むしろこの「世帯構成比」の変化によりプリキュアの世帯視聴率が落ちている可能性が高いのではないでしょうか。

 

(補足)

「世帯構成比の変化」以前に、
現状の関東地区の年齢構成は下記の様になっています。

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画像引用:視聴者って? | テレビCM検討編 | 日テレ 広告ガイド

関東地区100人のうち、
50歳以上の男女が44%。
4~12歳の男女は8%。

関東地区の世帯視聴率を左右しているのは、約半数の50歳以上の方たちですね。
子供(男女4~12歳)は8%で、更にこれは「男女」なので、この中でプリキュア対象の女児はさらに少なくなりますね。(プリキュア対象女児は全体の1~2%でしょうか)

この先、
「高齢者向けのプリキュア」を作らない限り、今後プリキュアの「世帯視聴率」が上昇することは無いものと思われます。

(それはいくら面白い作品を作ったところで、ターゲット世帯の割合が減少していく以上、プリキュア視聴率の回復は難しいと思われます。要は作品の良しあしを世帯視聴率で計ることは意味が無い、ということですね)

ただし「視聴率が落ちる」ということは番組にお金を出しているスポンサー様にしてみれば面白くないことは容易に想像できます。それはまた別で考えたいですね。

だたしプリキュアの場合にはもう一つ要因があります。

仮面ライダーとの相関関係の乖離

プリキュアの世帯視聴率と仮面ライダーの世帯視聴率には相関関係があります。

グラフはプリキュア、仮面ライダー、戦隊シリーズの52区間の移動平均線です。
1つの点が過去52週分の平均値です。
(52週の移動平均線は、長期的な視聴率の傾向をつかむのに便利です。)

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グラフを見ると判るのですが、仮面ライダー(青線)とプリキュア(赤線)の世帯視聴率には相関関係が見られます。
(2004年2月~2016年9月での相関係数=0.81)

仮面ライダーの視聴率が上がるとプリキュアの視聴率も上がっていたのです。
しかしここ1年程、その相関関係が崩れてきています。 

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要は、今まで「仮面ライダー」を見ていてそのまま「プリキュア」を見ていた層が、ここ1年程「仮面ライダー」を見終わった後に、チャンネルを変えている(もしくはTVを消している)事になります。
(↑ここまでは事実)
(↓ここからは推測)

これは「プリキュア」の裏番組の影響を受けていると思われます。
この日曜朝8:30分の時間帯は「サンデーモーニング」が強く、大きな事件などが起こるとプリキュアもリビングのテレビの視聴を取られることは良くありました。
今夏も都知事選やオリンピックなどでかなりプリキュアの視聴率が削られていた印象です。

しかしここ1年程で関東地区の8:30の番組の大きな変化としてテレビ東京系「デュエルマスターズVSR」があります。

2015年4月より2年程続いた「ダイヤのA(エース)」の後番組として「デュエルマスターズVSR」が始まりました。
ちょうど、仮面ライダーとプリキュアの「世帯視聴率の相関」が崩れ始めたのはこの頃なのです。
参考に、2015年4月を境の1年間の仮面ライダーとプリキュアの相関係数を出すと、

2014年4月~2015年3月 相関係数 0.68
2015年4月:デュエルマスターズVSR放送開始
2015年4月~2016年3月 相関係数 0.49

 どうも、
特に男児(およびその親)や、プリキュアに興味の無い特撮ファンの視聴習慣が、

仮面ライダー→(そのまま見るものが無いので)プリキュア
から
仮面ライダー→デュエルマスターズへ

へ移行している感じがあります。

デュエルマスターズの子供人気って結構すごいのですよね。
(ただしデュエルマスターズの視聴率の動向がはっきりしないので推測の域を出ませんが)
また、フジテレビ9:00からのドラゴンボールの視聴のために早めにチャンネルを変えている事も推測されます。

これにより、ただでさえ落ちているプリキュアの世帯視聴率が更に追い打ちをかけて落ちている原因の一つになっているものと思われます。

今後日曜朝8:30は、フジテレビが子供向けとして「モンスターハンター」をぶつけてくるので、今後も心配ではあります。

まとめ1

プリキュアの世帯視聴率は
1:長期的には「一人暮らし世帯」「夫婦のみ世帯」増加により、落ちていく。
2:さらにここ1年は裏番組の影響により視聴率が落ちている。

 

次に「録画率」を見てみます。
「録画視聴しているから、プリキュアの世帯視聴率は落ちているんじゃないの?」
という考えも確かに一理あります。

録画率

「録画率」のデータを個人で取得できるのは、

このサイト

地上波録画視聴ランキング | インターネットTVガイド

があります。

ここでは「約10万台のHDレコーダー(レグザ)」の録画視聴のデータが公表されています。

(こんな感じです。1位を100とした相対ランキングですね)

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引用:

地上波録画視聴ランキング | インターネットTVガイド


これをずっと追っているのですが、
アニメトップ10はだいたい「ドラえもん」「妖怪ウォッチ」「アンパンマン」などの定番アニメが上位をしめ、下位に深夜アニメがランクされている構造です。
しかし、プリキュアはこのランキングに入ることはほとんどありません。

つまり「プリキュア」は他のアニメに比較しても、決して「録画視聴率」が高いわけではないのです。
(とはいえ、これは相対的なデータなので参考程度にしかなりませんのですけどね。)

 

「番組自体」に問題はないのか?

 ここまでプリキュアの世帯視聴率下降の「外的要因」を見て来ましたが、最近のプリキュア視聴率低下に「内的な要因」つまり内容に問題があって世帯視聴率が落ちているのでは?という考えもありますよね。

当然、番組内容が面白い、つまらない といったことを示す客観的なデータはありません。

ただ、
自分の観測範囲では、確かに去年よりも「内容が薄い」という意見を耳にする機会が増えてきています。しかしあくまで「大きなお友達」の感想であり、子供とその親がどう感じているかはわかりません。

その中でも
いつも読んでいるこのプリキュアの感想ブログ(ていおブログ)には

「女児を持つ親」がよくコメントを書かれているので参考になります。

その中でこの記事には(ていおブログ: 更新報告
「子供と一緒にプリキュアを見ている母親」

「小学生時代にプリキュアを見ていた女性」

がコメントを書かれており、大きなお友達とは異なるある意味プリキュアに近しい人のコメントが参考になるかと思います。

個人的にはコメントの中の「魔法つかいプリキュアは離乳食である」というコメント(リンク)がかなり腑におちました。
 
親子でプリキュアを楽しんでいるお母さんの感想(リンク:同ブログのコメント)
も考えさせられます。

まあ、どんな意見があるとはいえ、
「魔法つかいプリキュア!」のおもちゃは昨年よりも売れているようなので、

prehyou2015.hatenablog.com

それが何よりの子供の評価ではあるとは思います。

 

KIDS視聴率が取れている以上、大丈夫。

 最後に、
KIDS視聴率についてです。

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調査方法:テレビ視聴率(特定の番組) | 調べ方案内 | 国立国会図書館

 

KIDS視聴率は、世帯視聴率とは異なり

「100人中、何人見ていたか」です。

ここ2~3年のプリキュアは、
KIDS(男女4~12歳)100人中、9人が見ている感じです。

(KIDS視聴率は「男女」の「4~12歳」なので、男子も含むし、小学高学年も含みます。プリキュア対象の「4~6歳女児」に計算し直すと、KIDS視聴率の6倍くらいの女児が見ている計算になるでしょうか。)

このKIDS視聴率の数字はその世代100人中の数値なので「世帯構成比」が変わろうと「少子化」になろうと影響がありません。

外的要因に影響を受けにくく、如実に「子供達の評価」に繋がっているものと思われます。

2016年8月現在で魔法つかいプリキュア!のKIDS視聴率は8.3%。
昨年(Go!プリンセスプリキュア)の年間平均値より8月段階で1.6%ほど落としています。
これが今後どのように推移していくのか。
おそらく少し戻して9%を少し割る程度で落ち着くと思われます。

「世帯視聴率がどうなろうと」この「KIDS視聴率」が年平均で4%とか5%とか「極端に落ちない限り」子供はしっかりとプリキュアを見ている、といえるのではないでしょうか。(楽観的過ぎるかなあ?)

まとめ2

まとめると、

1:「一人暮らし世帯の増加」等「世帯構成比の変化」によりプリキュアの世帯視聴率は落ちている。
2:それは外的要因でありどうにもならない。
3:従い、どんな優れた内容だろうと今後もプリキュアの「世帯視聴率」は落ちていく。
4:だから「世帯視聴率」なんて気にする必要は無い。
5:でもKIDS視聴率はちょっと気にかけよう。

 

 少なくとも「子供対象の番組」においては
「世帯視聴率」は決して作品の人気を表す数値ではありません。
下がったからと言って、何も危惧する必要はありません。

 

再度

f:id:kasumi19732004:20160925202630j:plain(34話エンドカードより)

 

(おわり)

 

最初に書いたことを再度書きますが、
自分の場合プリキュアが好きなあまり自分にとって有利な情報ばかり選択して取り上げ、「不利な情報を無意識的に遮断している」、いわゆる「正常性バイアス」がかかっているかと思われます。


ですので、沢山のご意見いただければ嬉しいです。

 

 

 

prehyou2015.hatenablog.com

 

*1:8月の時点で3%台であれば、1月の放送終了時も3%台であることはほぼ確実です。