ネッツアイに火の用心 あなたのハートにG-SHOCK!こんにちは、nakatanigoです。

かつてはディレクターブログを書く立場だったのですが、諸事情により遠ざかっておりました。
というのも、かつて前職でデザイナーをしていた経験から、ディレクターを2年ほど経験した後、デザイナーに転籍したのです。

そこで、今回はその経験から、ディレクターからデザイナーにデザインを依頼する際に注意すべきことをお話させていただきます。ディレクターがデザイナーに依頼をする際、こういう言い方は避けたほうがいいという事例もあわせてご紹介します。

大前提として、デザイナーはディレクターから言われたことしかやらないわけではありませんので、依頼に疑問があれば質問し相談します。しっかりとコミュニケーションをとれば下記のような事例は起こらないと思いますが、それが抜けてしまった場合には効果の小さいデサインができあがってしまうと考えています。

文章の修正は、ディレクターが考えるより煩雑


「文章の修正だけなんで、すぐですよね?」

流しこむだけのテキストならそうでもありませんが、画像にしてしまうテキストがデザイン終盤で変更になると、デザイン全体に影響を及ぼしかねません。デザイナーが決定稿を事前に要求するのはそういった事情からです。
ディレクターは「文字の修正だけだしすぐでしょう」と思ってしまうかもしれませんが(私がそうでした)、たった1行の文言でも字間や字体の調整が必要ですし、周囲の構成要素とのバランスの見直しが必要になってきます。

▼それなりに収まりの良いレイアウト
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▼文字数が減ると空白が生まれてしまい、だらけた印象に。
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文字数が同じならまだ手間は少ないでしょうが、大きな増減がある場合はデザインが再考される可能性もあるでしょう。文章の修正はそう簡単にできるものではありません。

抽象的な要求より、具体的な事例で説明する


「カワイくて、東京っぽいイメージでお願いします」

この例文が実際に使われるかはさておき、残念ながら、人間の価値観は様々で、カワイイと思うものが二者の間で合致するとは限りません。たくさんのユーザーを相手にするなら尚更です。
ポップやクール、カッコイイやカワイイという言葉はイメージを伝える際にすごく便利な言葉ですが、デザインのリクエストとしてはむしろ危険なワードだと思います。なぜなら、それらの言葉はすべて相対的でしかないからです。ディレクターが思う「カワイイ」がLIS LIZA、デザイナーの思う「カワイイ」が草間彌生だった場合、悲劇しか生まれないでしょう。

▼109にも入っているガーリーブランド「LIS LIZA
lisa

▼びっしり埋められた不揃いなドットが可愛い草間彌生のデザイン
yayoi

「カワイくて、東京っぽい」というリクエストをするのであれば、その段階で自分が思う事例を見せつつデザイナーとイメージを摺り合わせていくと、結果的には作業時間を短縮し、高いクオリティのものができ上がるのではないでしょうか。

ディレクターの先入観でデザイナーを束縛するのはやめる


「目立たせたいので赤でお願いします」「黒でクールにお願いします」

このリクエストはとても具体的で明確です。
しかし、こういった言い方はクライアントの強固な依頼でもない限りは止めたほうが良いでしょう。
たくさんの構成要素の中からある部分を目立たせたり、デザイン全体をクールに仕上げることについてはデザイナーの方がより多くのアイデアを持っているはずだからです。
クリックさせたいボタンは赤より緑のほうが良い効果を生む場合があります。全体のデザインも黒より白のほうがクールになるかもしれません。
デザイナーは時間が許す限り、デザイン案のパターンを提出したいものなので、その際に「白でもクールですよ」とレスポンスをする場合もあるでしょうが、あまりディレクターの先入観を押し付けないほうがより自由な発想でデザイナーは仕事ができると思います。

シンプルなデザインほど、精緻な作業が必要


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「凝ったデザインとかいらないんで、シンプルな感じならすぐできますよね?」

無印良品のようなミニマルなサイトは、けっして手抜きではなくデザインされていないわけでもありません。
余白とタイポグラフィ、少ない色使いで構成要素をわかりやすく伝える「デザインは引き算」を地で行くミニマルデザインは、見た目が華美なサイト以上に推敲と作業が必要になる場合が往々にしてあるのです。「シンプル=デザインしていない」という発想は、デザイナーの仕事を否定するものですし、こんな言い方をされたらデザイナーのモチベーションはガタ落ちしてまうでしょう。


いかがでしょうか。

デザイン依頼の際、何気なく上述したような言葉を使ってはいないでしょうか。デザイナーはデザインの専門家ですが、効果的なデザインのためにはより多くの情報が必要になります。デザイナーは疑問点があれば自己解決せずに質問するべきですし、ディレクターは「伝えたつもり」にならず、デザイナーとのコミュニケーションを密に取りながら、イメージを伝えていただければきっと良い結果が生まれるように思います。

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