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自分の勤務先のことをブログに書くのはこれまで避けてきたわけですけれども、本件ばっかりは一般向けプレスリリースだけでは業界の方にとってモヤモヤすぎると思いますので、こちらで少しばかりディープな内容を。
マイクロアド、データエクスチェンジ事業へ参入。オーディエンスデータと広告配信技術をメディア各社に開放。
ということで、アドネットワークを中心とした事業を展開してきたマイクロアドですが、この度オーディエンスデータの流通を媒介するデータエクスチェンジ事業へ参入します。データエクスチェンジについて詳しくは以前の記事をご参考に。

これまでマイクロアドではデータプロバイダ(メディア企業・媒体)からオーディエンスデータを購入して自社のアドネットワークでのターゲティングに活用するというのをずっとやってきたのですが、そのインフラ・プラットフォーム部分やマイクロアドのデータを他社にも解放するという感じです。

でも、そこで大儲けしようなんて魂胆はまったく無いです。なぜそんなことをするのかと言えば、オーディエンスターゲティングの浸透のため、さらにはディスプレイ広告の発展のためです。「マジ何いっちゃってんスか。」と言われそうですが、結構本気です。以前からくどいくらい書いていますけれども、ディスプレイ広告ビジネスはこれからエコシステム(生態系)がすべてになっていきます。どれだけすごいテクノロジーが産まれようとも、お金を含めたあらゆるものが適切な流動性を持ち、食物連鎖が起こらなければ話になりません。こうした話は常に"ニワトリが先か卵が先か論"になりますが、我々はすぐ卵産み落とせるんだから、産んじゃおうよっていう話なのです。

どういうことかと言うと、まずデータエクスチェンジャーには大きく三つのコアが必要です。
pixel(Webビーコン)処理システムや解析・cookie管理のためのDWHなどのシステムインフラ
データマイニングによってオーディエンスを分析・分類するための人材
アドネットワーク, Ad Exchange, SSP (Yield Optimizer), DSPなどとのAPI接続
というあたりが主要機能で、は何年もやってきて、そろそろ日本でもの外部環境が揃ってくるので、これに対応してその利用を他社さまにも解放しちゃいます、ということです。

2178418043_5c4a3554a0_zこれらを独自に構築しようとした場合、莫大なシステムコストと人材獲得コストがかかって費用対効果が見合う企業は無いと思うので、データエクスチェンジに関してはアウトソースしてもらえればと(流行りのクラウド的な)。また、「データを活用したいんだけどどうしたらいいかがわからない。」という声をこのところものすごい勢いで頂くので、そこらへんも全部まるっと。まるまる環境を提供することで、マネタイズ可能データが燃えるゴミになって空へ消えてしまうのを防ぎたいのです。

で、単にマーケットを作っただけでは幽霊マーケットになってしまうので、MicroAdのオーディエンスデータ(月間3億UB突破!)も販売するし、MicroAdもメディア企業さまのオーディエンスデータを購入するので、しょっぱなから築地みたいにホットなマーケットになることを目論んでおります。

アドエクスチェンジエコシステムがうまく食物連鎖を始めるキーとしては二つあると思っていて、ひとつはメディアがアドサーバを利用してアドエクスチェンジを有効活用しはじめること、もうひとつは強いユーザーインテントを保有するメディアがオーディエンスデータを提供し始めることだろうと。今回はこの後者を円滑にするための土台を提供しようというものです。前者に関しても、メディアがアドサーバ『Vasco』を使って簡単に独自の行動ターゲティング配信を行えるようにするので第一歩。メディアさんにとっての"らくらく行動ターゲティング商品構築パック"です。

21306944_a0b0764a36_m残念ながら米国と日本には情報格差があります。そこで起こることは支配と搾取であることは歴史が物語っています。このまま日本のディスプレイ広告のCPMがジリ貧を続けていていいはずもなく、米国のVC資金で作られたシステムを日本にひょいと輸入して失敗(!?)するだけの流れなんてつまらんぜよ。スプートニク・ショックみたいなこと起こしたいじゃん。日本のオーディエンスデータの流通は、日本のオーディエンスを知り尽くしたわしら日本人がやらんといかんぜよ。

スプートニク・ショック(Sputnik crisis、スプートニク危機)とは1957年10月4日のソビエト連邦による人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げ成功の報によりアメリカ合衆国をはじめとする西側諸国の政府や社会に走った衝撃や危機感を指す。
スプートニク計画以前、アメリカは自国を「宇宙開発のリーダーであり、それゆえミサイル開発のリーダーでもある」と信じていた。しかしスプートニク1号成功の突然のニュースとそれに対抗したアメリカの人工衛星計画「ヴァンガード計画」の失敗は、アメリカの自信を覆し全米をパニックに陥れた。
(Wikipedia)