日経平均反発、午前終値9778円 一時100円上昇
米雇用改善や円安で買い
週明けの4日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発した。前引けは前週末終値と比べて69円89銭(0.72%)高い9778円28銭だった。米労働省が1日発表した3月の米雇用統計が市場予想以上に改善し、同日の欧米株が上昇したことが好感された。円相場が米景気の改善期待や欧州の利上げ観測を背景に、対ドルやユーロで下げ基調を強めたことも投資家心理を支えた。電機、精密など輸出関連の主力銘柄に買いが入った。
円相場が1ドル=84円台後半と、約半年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。対ユーロでは一時120円台に下げ、輸出採算の改善を期待した買いが先行した。日経平均は一時100円上げた。
もっとも200日移動平均(1日時点で9822円)には届かず、上値では国内機関投資家による売り観測が出ていた。ニューヨーク原油先物相場が時間外の電子取引でじり高で推移したことも重荷になった。東日本大震災が企業業績や生産活動に与える影響を見極めたいとの慎重姿勢はなお根強い。明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリストは「円安は輸出株にプラス材料だが、土台となる生産の先行きが電力供給不安などで読めず素直に好感されていない」と話していた。
日銀が取引開始前に企業短期経済観測調査(短観、3月調査)について、東日本大震災の発生前後の回答を分けた再集計結果を公表した。大企業製造業の業況判断指数(DI)は3カ月後の先行きが「地震前」はプラス3、「地震後」はマイナス2だった。震災の影響を織り込み切れていないとの見方から、大きな材料とはならなかった。
東証株価指数(TOPIX)も反発した。上昇率は0.29%と、不動産や電力株の下げが圧迫して日経平均より小さかった。業種別TOPIXは33業種のうち22業種が高く、鉄鋼や保険が上昇率上位だった。
東証1部の午前の売買代金は概算で6207億円、売買高は同12億2996万株だった。全体の48%にあたる802銘柄が値上がりし、下落銘柄数は708、横ばいは149銘柄だった。
三菱商、キヤノン、ファナック、新日鉄、太平洋セメ、KDDIが買われた。三菱重、国際石開帝石が年初来高値を付けた。ファストリが大幅続伸。スウェーデンの企業と産業用圧縮機の販売事業で提携すると伝わったIHIが堅調だった。一方でみずほFG、菱地所、ANAが下げた。中部電など電力株が安く、東電は前日終値を挟んでもみ合った。
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