地理情報システム(GIS)専業のマップマーケティングは2017年6月1日、災害時の事業継続計画(BCP)を検証できるシミュレーションソフト「TerraMap BCP」を発売した。地震や液状化などの被害想定から、企業の拠点や取引先、従業員の被災状況を予測。地図上で可視化して分析できる。6月9日に出荷開始する。

 TerraMap BCPは、シミュレーションする災害データとして、政府による南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被害想定や1926年以降に発生した地震、地盤の液状化リスク、津波被害などを用意する。任意の震源・震度や、原子力発電所のような災害時の事業継続に影響する施設の影響範囲(災害圏)も指定可能だ。

災害シミュレーションソフト「TerraMap BCP」の画面。被害想定の分析が可能
災害シミュレーションソフト「TerraMap BCP」の画面。被害想定の分析が可能
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 BCPを左右する要素として、拠点や取引先、従業員や顧客などの住所(シンボル)を入力する。シンボルは1対多の親子関係を設定可能で、ある拠点にどの従業員が属するのかといった事業継続上の依存関係を指定し、被災率に反映できる。

 シミュレーション結果は地図上で確認できるほか、拠点や従業員ごとの被害想定、被災率などをまとめたレポートを出力する機能を備える。

TerraMap BCPで出力した被災分析のレポート。グラフやリストで被災率などを確認できる
TerraMap BCPで出力した被災分析のレポート。グラフやリストで被災率などを確認できる
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 価格は39万8000円。初年度は地図データの更新などの保守料として4万8000円が必要だ(いずれも税別)。動作環境はWindows 7以降(64ビット)で、CPUはIntel Core iシリーズ、メモリーは8Gバイト以上を推奨する。「企業規模によらず、手軽にBCP関連のシミュレーションを実施できる」(マップマーケティングの鈴木雄二取締役)価格と動作環境を指向した。

 マップマーケティングは、地図や国勢調査などのデータから商圏などを分析するマーケティングツール「TerraMap」シリーズを主力とするGIS専業メーカー。TerraMap BCPの開発では、鈴木取締役が前職で製造業の経営企画担当として東日本大震災に被災した際の知見を生かした。例えば「BCPの観点からは、震度はもちろん液状化の影響が大きかった」(鈴木取締役)とする。

マップマーケティングの鈴木雄二取締役。自身が前職で被災した東日本大震災で得た知見を製品企画に生かした
マップマーケティングの鈴木雄二取締役。自身が前職で被災した東日本大震災で得た知見を製品企画に生かした
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