Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

年次有給休暇取得で会社とトラブってます。

 トラブルとトラベルは似ている。今、僕が抱えているトラブルを乗り越えたとき、長いトラベルを終えたときに味わえるであろう、満たされた気持ちになるのだろうか。僕にはとてもそうは思えない。

 

 ここ数日、年次有給休暇取得の件で会社とトラブっていた。年次有給休暇は労働者の権利のはずだが、一労働者の僕は自由に取得できないでいる。ヒドい話だ。もっとも、各能力が低いために相対的に意識だけが高くなってしまっている《意識高い系》のように、付与された年次有給休暇より多い日数を取得しようなどというテロいことをするつもりはまったくない。

 

 むしろ逆だ。僕は年休を取りたくないのだ。しかし、会社は僕のそうした自由意志を無視し、強制的に年休を取るように言ってきている。労使間トラブル勃発。「今週金曜日(1/22)に年休を取れ」性急な言い渡しである。人事総務の人の必死さから労基署のガサ入れがあったのだろうと想像する。そう簡単にはいかない。今まで苦汁を飲まされ続けた人事総務および会社の思い通りに動くのもイヤだし。エサはもらっても尻尾は振らねえ。おいそれとはいかないんだよ。本音をいえば休みたい。休日出勤が多く、家族サービスを蔑ろにしているので超休みたい。

 

 しかし、我が営業部は僕と事務員という小さな所帯なので、僕が休むと業務が滞ってしまう。また、僕が不在のうちに、事務員がいつも着用しているピンクチョッキが原因で社内イジメにあってしまうかもしれない。つまり、年休を取れといわれても取れない状況。その旨を伝えると総務人事の人は驚くべきことを僕に告げた。

 

 労基署は関係なかった。1月22日の金曜日に年休を強制的に取得させようとしているのは社長だと言うのだ。こうして「年休を部下に取らせたい社長」と「休みたい(けど休めない)社員」という利害の一致している、戦わなくてもいい2者が対峙することになったのだ。争いを止めようとする物好きは、会社にはいない。

 

 社長に事情を話した。すると社長は「君は相も変わらずに君自身を最適化出来ていないようだな」と意味がありそうでまったくないことを呟き、それから言葉を続けた。その言葉を僕は生きているかぎり忘れることはできないだろう。衝撃的で、僕のちっぽけなプライドを見透かしたような、優しい、温かみのある言葉だった。「休むのも仕事のうちだぞ」そういうと社長は僕に微笑んだのだった。

 

 本当に仕事でした。この文章は平成28年1月22日金曜日早朝にめでたく年休を取得して訪れたスノーリゾートで書かれたものである。年休サイコー。僕は、一睡もせずに午前2時から5時間半、スキーリゾートに似つかわしくない上から下まで漆黒に染まったセルシオを、慣れないハンドルさばきで運転してやってきた。賢明な方はお気づきだろう。この車は社長の愛車である。日帰りスキーをなされる社長と社長の奥様を乗せて僕はやってきたのだ。アイ・アム・年休ドライバー。

 

 だが最低限の自由はある。なぜなら夕方まで自由に行動して構わないと社長に言われたから。昼飯代1000円ももらったよー。クソ。労働者をバカにしやがって。年休を取得した分滞った業務を取り戻すために休日出勤をしなければならぬ。無駄すぎる。とりあえず今は、夕方まで与えられた極めて限定的な自由のなかで、真っ白な雪景色を見ながら体力の回復をはかりつつ今後の身の振り方について考えたい。こうしてトラブルはトラベルへ、劇的なクラスチェンジを遂げたのである。きっつー。

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(この文章は、年休を利用してやってきた某スキーリゾートのレストハウスで20分かけて書かれた)