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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

システムを使わない理由を使わない人に聞いても駄目だと思う

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 ナレッジマネジメントシステムの導入を進めていく際にシステムの利用率が伸びない事がよくある。情報系のシステムの場合利用率が6割を超えれば十分だと思うのだが未だにシステムの価値を利用率で評価したがる人が多いのも事実で、利用率が低いとすぐに「システム利用率向上施策をうたなければ」ということになる。

 利用率をあげようとする事自体は良いことだと思うのだが、この時に良く取られる「なぜシステムを使わないかユーザに聞いてみよう」という手法には注意が必要だ。そして使わない理由を聞くとたいていは、「使いにくい」と「欲しい情報がない」の2つの理由が1位と2位にくる。この結果を見て大抵の運営者は、システムの細かい機能修正とデータの大量登録作業に着手する。まずはデータを必ず登録する(あるいはブログを必ず書くやメッセージを発信する)ようにと通達を出すという流れだ。

 こうしてユーザはいやいやながらデータ登録を始めその結果利用率があがり表面上はシステムの稼働率が上がるということになるが、実際には面倒な作業をやらされてユーザの不満が高まるだけであまり良い結果にならないことが多い。このやり方が完全に間違いだとは言わないが、もう少し考えたほうが良いと思う。

 先ほど使わない理由に「使いにくい」「欲しい情報がない」の2つが上がると書いたがこの2つの理由は言い訳なのだ。ちょっと考えると気づくがたいして使っていない癖に、使いにくいとか答える人に具体的にどの画面のどのボタンが使いにくいかを問うてみると良い。多分明確には答えられない。同じように欲しい情報がないと答えた人に欲しい情報を具体的に聞いても答えられない事やそもそもそんな情報は社内はおろか世の中のどこにもないことがある。欲しい情報像が不明確なのにむやみに登録数を増やしてもはっきり言ってゴミ情報が増えるだけで効果はでない。むしろ不必要な情報が増えて探しにくくなったり見難くなることもある。

 システムの利用率が低いときは、利用していない人に利用していない理由を聞くのではなく、少数だけど利用している人になぜ利用を続けているのかと利用して良かった事を聞くほうが良いアイデアが出てくることが多い。はっきり言ってナレッジマネジメントシステムのような情報系のシステムは基幹系のシステムと違って利用しなくても本来業務が遂行できてしまうものだ。だからこそ忙しい中でそれを使うには理由があるはずだ。使っている人に活用法や具体的な効果を聞いて、その事例を広めていったり効果を喧伝すると良い。
 「欲しい情報」というのも使っている人に役立った情報をは何かを聞いて、具体的にそれを集めるようにすればコストも抑えられるしむやみにユーザに負担をかけないくてすむ。

 ナレッジマネジメントシステムの場合利用率が100%には成り得ないと割りきることも必要で、使ってない人よりは使ってくれている人をより重視して運用することが肝心だ。

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