枝野幸男官房長官が10日の参院沖縄北方特別委員会で、尖閣諸島について「他国が侵略してきたら、あらゆる犠牲を払ってでも自衛権を行使する」と述べたことに対して、中国で反発が高まった。各メディアが報じ、インターネットでは「日本に原爆を落とせ」など、一般読者による過激な意見が集まっている。

 枝野官房長官は、みんなの党の江口克彦氏への答弁で、尖閣諸島が侵略された場合には「あらゆる犠牲を払ってでも自衛権を行使し、これを排除する」と述べ、自衛隊出動を含めた厳しい対応をとることを表明した。昨年(2010年)の漁船衝突事件など、中国の一連の動きを念頭に置いた発言であることは、明らかだ。

 中国メディアは相次いで、同発言を報道。「愛国論調」が強い環球網などでは、猛反発する読者のコメント投稿が続いている。

 「日本と戦争だ」、「日本を滅ぼせ」、「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)を失うなら、日本に原爆を落とさねばならない。あとのことは考えなくてよい。まったく腹立たしい。取るに足らない小国に、大国であるわれわれが馬鹿にされてたまるか」など、過激な書き込みが多い。

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◆解説◆ 中国の胡錦濤政権には、過激な反日世論や行動を「歓迎しない」傾向が強かった。しかし、7月に黒龍江省内で「満蒙開拓団の日本人死亡者名簿の碑」が作られたことで、反日感情が高まった。同碑は撤去されたが、批判報道は続いている。

 中国の世論は、共産党上層部内の“綱引き”に大きく影響される場合が多い。「本当に自発的な民意が形成されるとは言い難い」との見方もある。中国では高速鉄道が大事故を起こしたことなどで、政府への批判と不信が高まった。そのため、政権側にとっては、世論の高まりを抑さえにくい状態になった。(編集担当:如月隼人)