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福島1号機「圧力・格納容器に損傷」 注水、大半漏出か

「冠水」による処理困難に

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東京電力は12日、福島第1原子力発電所1号機で、燃料棒が原子炉圧力容器の底に溶け落ちたとみられると発表した。圧力容器だけでなく外側の格納容器も損傷し、注水しても大部分は漏れ出ているという。格納容器に水を満たして冷やす「冠水」は難しく、水位が低くても冷却効果を上げられる方法を検討する。

1号機圧力容器内の冷却水の水位は燃料棒が完全に露出するほど低い。東電は燃料棒は既に溶けて崩れ落ち「圧力容器の底にとどまって水に覆われている」とみている。

東電はこれまで格納容器の密閉性は比較的保たれていると予想。圧力容器に入れた水が漏れ出ても格納容器にたまり、水位が全体として上がって「冠水」が可能とみていたが見通しが狂った。

国の原子力安全委員会の班目春樹委員長は12日の記者会見で「早い時点から燃料が溶融していると考えていたので驚きはない」と述べた。溶けた燃料がすべて水に浸っているかどうかは「分からない」としている。

東電は水位低下は「圧力容器と格納容器が損傷し注いだ水の相当量が抜けているため」と説明。注水量は計約1万トンで、圧力容器の容量360トンと格納容器7400トンの合計を大きく上回る。圧力容器と制御棒を入れる案内管との溶接部に隙間ができ、水が漏れているもよう。全体で数センチメートルの穴が開いたのに相当する漏水があるという。

圧力容器の温度はセ氏100~120度でそれほど高くないため、崩れた燃料の外側はある程度冷えているとみられるが、内部が熱いままだと冷却に時間がかかる。

一方、格納容器の損傷理由や水位は不明。圧力容器の損傷部から燃料の一部が格納容器に達し、底部を傷めたとの見方もある。格納容器の水漏れが多いと「冠水」は難しくなる。

東電は当面、注水を続けて格納容器の水位を可能な限り上げる。注水量を毎時8トンから10トンに上げることを検討中だ。漏れる量を上回れば水位を上げられる」とみる。

当初予定よりは低くても、水位が圧力容器の真ん中程度の水準まで上げられれば配管を通して温まった水を外に出せる。この水を外付けの熱交換器で冷やして圧力容器上部から炉心に戻す。ただ当初予定していたよりも冷温停止に時間がかかる可能性がある。

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