地震時の危険度、木造密集地上位 東京都がランク付け
東京都は15日、地震発生時の建物の倒壊や火災の危険性について地域別に5段階評価した「危険度測定調査」の結果を公表した。調査は2013年9月以来で8回目。危険度が最も高い「ランク5」は85地域(全体の1.6%)となった。建物の耐震化や防災公園の整備などで、都全体の防災力は高まっているとはいえ、荒川区や足立区など木造住宅が密集する地域は高い危険度と判定された。
調査は都民の防災意識を高めたり、震災対策を進める地域の選定に活用したりする狙いで、1975年から5年に1度ペースで実施している。
都内の最も弱い地盤で震度6強に相当する地震の強さを想定。都内5177町・丁目ごとに「建物倒壊危険度」や「火災危険度」のほか、避難や消火活動・救助活動の困難さを加味した「総合危険度」をランク付けした。
「ランク5」は荒川や隅田川沿いの下町地域が多く、古い木造住宅が密集しているうえ、地盤が緩くて建物が倒壊する恐れがあるとして、危険度が高く出た。2番目に危険度が高い「4」は287地域(5.6%)、「3」は820地域(15.8%)、「2」は1648地域(31.8%)、「1」は2337地域(45.2%)だった。
今回の調査では火災発生時の延焼時間を6時間から12時間と設定。生活道路が避難しやすい状況かどうかを細かくチェックするなど、震災時の実態にあわせ、調査の精度を高めた。その結果、生活道路が混雑している中野区や杉並区の一部地域では、前回調査よりも危険度が高く評価された。
都によると、都全体でみれば、耐震性の高い建物への建て替えや耐震改修などで建物倒壊の恐れは前回調査から2割低下。延焼を食い止める道路の整備などで、火災の危険も4割程度下がっている。
都は今後、ホームページに結果を掲載するとともに、調査結果をまとめた報告書を図書館などで閲覧できるようにする。