ここが変だよ介護保険制度

介護保険制度がスタートしてはや10年という頃合いなわけだけれども、どうも納得がいかないというか、設計がちょっとおかしいような気がしてならないわけである。非常に基本的な話ではあるわけだけれども、みなさんどう思いますか的な。

介護保険制度の概要

そもそも介護保険制度は設計が無駄に複雑でわかりづらいので、まずは基本的な部分の確認から。基本的な仕組みは概ね以下の通りとなっている。と思われる。

市町村から要介護者の認定を受けた介護利用者が、介護施設等で介護サービスを受けた場合、介護施設は利用者と国保連合会から対価を受け取ることになる。介護保険の保険者は市町村で、利用者からの保険料の徴収も市町村が行っているのだけれども、国保連合会に審査及び支払いに係る事務を受託しているためだ。ちなみに介護保険料の支払いは、40歳以上の人は支払わなければならないということになっているらしい。
少しマニアックな情報になるが、国保連合会から利用者への矢印が「代理支払」となっているのは、介護保険法上、本来の介護給付費の受領者は介護利用者であるところを、介護施設が代理で受領することができるという定めになっているため。
無駄に複雑だという印象は拭えないけれど、さして難しくもないので概ねご理解いただけたと思う。

給付財源の半額は純粋に税金

ということで、ここからが本題なわけだけれども、介護施設等が受け取る対価の財源別内訳である。

まず、介護施設における居住費(家賃)と食費は全額が自己負担。2006年改正でそうなったらしい。これはとりあえず置いておいて、介護サービスの利用料である。こちらは自己負担分は一割で、残りは保険料及び公費で賄われている。保険料というのは上述のとおり、40歳以上の人が被保険者として支払っている保険料のことだろう。なんとこれは半分にしか満たない。端から保険料だけでは財源が足らず、公費でもって負担することが前提の制度なのだ。その結果がこれだ。

なんと無計画なことだと思うのは私だけか?

老人優遇の再分配

さて、租税の重要な機能のひとつに所得の再分配があげられる。それは、裕福な人から多く税を徴収し、得た財源を社会保障やその他社会インフラの整備に充てたり、ときには生活保護などで現金を支給するなどして貧しい人の生活を手助けすることで実現する。

ところがこの介護保険制度はどうだ。給付を受ける介護利用者には、所得に応じた制限などは基本的にはなく、自己負担は一律で一割とのことのようだ。貧しい若者から徴収した税を、富める老人に再分配することにどういった社会的な意義が見出せるのか不明である。

同じ保険料を支払ったのだから同じ給付を受けられるのだというのならまだわかる(それでも積立方式でない限り世代間の不公平感は残るが)。本邦介護保険制度は、先に見た通りその財源の半分は税金なのである。これはどうも納得がいかない。


世の中には高級老人ホームというのもあって、こちらのサクラビア成城さんなどは、右の写真からわかるとおりの超高級ホテルさながらの豪華絢爛な施設で、入居しようと思うと一時金だけでなんと最低でも8,750万円かかる。最大でなんと3億7千万円だ。一時金だけで3億7千万円だよ?そんな大金をぽんと支払えるような大資産家の介護費を、なぜ我々のような幼気な小市民の血税で負担せねばならないのか!

財源として税金を使うなら自己負担率は資産額に応じて決めるのが筋ってものではないの。

きっと昔は、親の代から家を継いで、代わりにtと言ってはなんだけど介護は自分たちがその継いだ家で面倒を見て、という具合で世の中がまわっていたのだろう。それが最近は女性の社会進出や核家族化などの影響で、その「自宅で介護」モデルは厳しい状況にあろう。だから介護のアウトソース先を社会的なインフラとして整備しなくてはならない。それはわかる。

ただその場合、要介護者となった老人世代は、家などの資産がもしあれば、それを換金して自身の介護費に充てるべきなのではないのだろうか。それをせずに、資産は子に残し、介護は外で受け、ではカネが足りないのは必然。そもそも収入がないんだから。で、その足りない分を公費でよろしくというのはどうも何かが間違っているとしか思えないわけである。保育園の保育料は、父母の収入によって変わる。介護費もそういう風にすればよいのではなかろうか。


…いかがでしょうか。

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